天官よもぎは知りたい   作:ミルクセーキ

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違うんです……中々書く時間がないのも全部全部学マスとかいう奴のせいなんです……
後スタレ


早坂愛は気まずい

四宮かぐやの近侍早坂愛。

最近の彼女にはある悩みがある。

それは…

 

(最近庶務君と話すのが気まずい……)

 

そう、これは前回の話でも述べたが、現在早坂はかぐやの「男は皆オオカミ」発言によって変によもぎを意識してしまって、話しかけられていないのである。

早坂自身、かぐやに色々と言っているが、自分自身の恋愛経験はおろか男子とのまともな関わりも皆無!

そんな早坂にとって、知り合いの異性の性事情なんて聞いてしまっては、気まずさMAX!

結局、できるだけ顔を見ない様にして話すか、避けるかの行動をとるしか出来ないのである。

また、それ以外にも少しモヤっとする部分はあるのだが、早坂は具体的にそれがなんなのかは言葉に出来ないでいた。

 

(あーもう本当にかぐや様恨みますからね……)

 

早坂はそんな現状を作った元凶に念を送りながら、机に突っ伏す。

一方その様子は周囲も気づいていた。

少し離れたところで、火ノ口と駿河は、早坂の方を見ながらコソコソと会話をする。

 

「ねぇねぇ愛最近どうしたのかな?」

 

「なんかぺしょぺしょだよね。」

 

「最近天官くんとも喋ってないみたいだし……」

 

「これは一肌脱ぎますか……」

 

そんな話をしながら火ノ口と駿河は早坂の方に近づいていく。

そして、駿河は机に突っ伏している早坂の後ろから声をかける。

 

「あーい!」

 

「うわっびっくりした!?」

 

その声に早坂は驚きながらも起き上がる。

そんな早坂に対して、2人は話しかけていく。

 

「愛、最近どうしたの?」

 

「へ?どうも何も別になんでも無いし……」

 

流石に悩んでいることが悩んでいる事の為、早坂はその様子を隠しているつもりであった。

しかし、その2人からの追求は止まらない。

 

「何か悩んでるんでしょー?話しちゃいなよー」

 

「……バレてた?」

 

「うんまぁ分かりやすかったよ?」

 

「そうそう。何年友達やってると思ってるの?」

 

そう言われた早坂は、友達という言葉に若干苦しく思いながらも、観念して話し始める。

 

「うーん…それじゃあ聞いてくれるし?」

 

「「勿論!」」

 

そう言い放つ2人の顔は喜色満面であった。

しかし、その後すぐに早坂から漂う真面目な空気に当てられて、顔を引き締まる。

 

「えーっとこれは友達の友達の話なんだけど……」

 

(愛の話かぁ……)

 

(愛の話だね〜)

 

この手の相談ではありがちな友達の友達の話という入り。

もちろんこのギャル2人には通用せず、2人とも早坂の話として聞き始める。

しかし、早坂はあくまでも友達の友達という体で話を続ける。

 

「で、その友達が異性の知り合いの、そのプライベートな部分を知っちゃって……」

 

(天官くんの事かぁ……)

 

(天官くんの事だね〜)

 

早坂は流石に性事情について知ってしまったとは言えずにプライベートな部分と言葉を濁した。

また、自分が気まずいとは別に感じている感情に対しても、詳しくこれ!と言えるものが無い為、伝えなかった。

 

「その知っちゃったっていうのが、自分から知った訳ではなくて他の人から教えられたというか」

 

「あーなるほど。それで気まずいって事か……」

 

そこまで話されれば2人はその悩んでいる内容にまで辿り着いた。

流石に性事情について知ってしまったという事には、辿り着けないが、早坂がよもぎのプライベートな秘密について人伝に知ってしまって、気まずいという所まで理解した。

 

「うーんその秘密は人に知られたく無いって事だよね?」

 

「私だったら知られたく無いかな?」

 

2人はそこまで言うよもぎの秘密というものに対して、気になりはしたが、流石に突っ込む事はしなかった。

もし、知ったとしたらそれはそれで2人も気まずい雰囲気になってしまったため、それは賢明な判断と言えるだろう。

 

「その秘密がどんなものなのか分からないから何とも言えないけど……その秘密を知っちゃってその友達はその人を見る目が変わったりしちゃったの?」

 

「いやーそういうわけではないんだけど……プライベートな内容だし……向こうも知られたくはなかっただろうし……」

 

早坂は、建前を忘れて自分の話の様に話始める。

2人はその早坂の言い方に気づいたが、面白そうなのでそのままにしておく事にした。

 

「それならさぁ、とりあえず正直に話してみるのは~?」

 

「え?」

 

そう言われた早坂は、その状況を想像し、顔を赤くする。

 

「ちょっとそれは恥ずかしいというか……」

 

「でも、そのまま黙ってても気まずいまんまだよ?」

 

「それは……」

 

早坂はその火ノ口の言葉に言いよどむ。

確かに今の状況も気まずいが、それをずっと続けてしまうというのも早坂の望むものではなかった。

 

(これは、やっぱり覚悟を決めた方がいいですかね……)

 

「よし!ちょっと勇気出して頑張ってみるし!2人とも話聞いてくれてありがとうだし!」

 

その2人の言葉から覚悟を決めた早坂は、席から立ち上がり、胸の前で拳を握り、気合を入れる。

その微笑ましい様子を眺めながら駿河は早坂にツッコミを入れる。

 

「あれ~友達の友達の話なんだよね?なんで愛が気合い入れるの~?」

 

「あっそうだし!その友達の友達に伝えとくし!」

 

早坂はすぐに訂正するが、目の前の2人はニヤニヤとしながら早坂の方を見ていた。

 

 

そして、その後昼休みになり、早坂はよもぎと昼食を食べるために教室から出ていった。

その背中を見ながら、残された2人は会話する。

 

「あーあ。愛青春してるなぁ……」

 

「なにそれ?すばる、おばあちゃんみたいな事言うじゃん。」

 

その言葉に駿河はぎゅんと顔を火ノ口の方に向ける。

 

「だってあの愛だよ?あぁ見えて男関係ガード硬いあの愛だよ?心配もするって!」

 

「お母さんじゃん。」

 

「そりゃそうだよー!私達は愛の1番の親友で保護者でしょ?」

 

「まぁそれもそだね。でも愛がもし泣かされたとしたら……

 

「その時は天官くん問い詰めるしかないよ〜」

 

そう言う駿河と火ノ口の顔は笑顔だが、どこか般若の様な凄みがあった。

よもぎは果たして、このJK2人に問い詰められずにすむのか。

その結果は今誰も知らないのであった。

 


一方で視点は中庭に移る。

中庭のいつものベンチには、よもぎと早坂が座り、弁当を広げていた。

その弁当のメニューは実のところかぐやのものと少し変わっていた。

以前、早坂が卵焼きを作り弁当に入れ、それをよもぎが褒めて以来少しずつ、早坂はその弁当に自分が作った品を入れていっていた。

そしてよもぎも、その少しずつ入ってくる自分好みの味の品に、こういうところが美味しいと早坂に逐一伝えていた。

最近の2人の昼食シーンはそんな様子になっていた。

 

しかし、今の2人の間にはその弁当の感想を言える雰囲気は無かった。

よもぎは、用意した物をいつ渡そうかと機会を伺っているが、現在進行形で早坂と顔があわない為、なかなか切り出せずにいた。

一方の早坂も、先ほどまでの自信はどこへやら。

いざ、本人を目の前にして伝えようとすると恥ずかしさが勝ってしまい、中々切り出せずにいた。

そんな2人の間に流れる雰囲気を最初に打ち破ったのはよもぎであった。

 

「あの、早坂さん。」

 

「は、はい。」

 

「最近、僕を避けてますよね?」

 

「!」

 

よもぎのその指摘に早坂はビクッと体を反応させた。

その様子を見てよもぎは話を続ける。

 

「僕に何か至らない点があったとしたら謝ります。その理由が皆目検討つかないので、何か理由があるのだとしたら教えていただけませんか?」

 

よもぎは、早坂の目を見てそう尋ねる。

一方で早坂は、その追究に驚き、言葉が詰まる。

 

「あっえっと……」

 

「言いづらい事ですか?もしかして、この昼食が迷惑だとか?」

 

「いや、違っ」

 

その突然のよもぎの言葉に早坂は、すぐ反応が出来ず、口からは完全では無い言葉が漏れ出る。

 

「確かに最初は理由付けという話でしたし、やはり早坂さんのご迷惑になるのでしたら、僕は辞めても……」

 

迷惑じゃ無いです!その……オオカミが……」

 

早坂はその辞めるという言葉に、自分が思っているよりも強く否定した。

そしてそのままの勢いで、つい頭で考えていた言葉をそのまま口に出してしまった。

 

「オオカミ?」

 

「あ……」

 

当然よもぎはその言葉に引っかかり、疑問形の形でそのまま早坂に投げ返した。

早坂はその疑問にようやく腹をくくり、今回のあらましをよもぎに説明したのだった。

 

「あーつまり……」

 

全ての説明を聞いたよもぎは頭を抑えながら、早坂に向かって話しかける。

 

「僕が何かをしてしまった訳ではなく、四宮さんから僕の性事情について聞いてしまって、気まずくて避けてたという事ですか?」

 

「そうなりますね…」

 

改めて言葉にされるとやはり意識をしてしまい、早坂は顔を赤くしてしまう。

その姿を見てよもぎは、安堵の表情を浮かべる。

 

「とりあえず、僕が何か失礼をしてしまったという事ではなくて一安心です……」

 

「はい。それは無いので安心してください。」

 

そう早坂は伝えるが、原因が分かっただけでその気まずさが解消されたわけではないと思ったよもぎは、早坂にある提案をする。

 

「あーそういう事なら気まずく無くなるまで、僕は関わらない方が良いですかね?」

 

「い、いえ私の方でもとりあえず気にしない様にしますので……それにその庶務君の本職的にも仕方ないところはありますし……」

 

「そうですね……その配慮していただけたら助かります。」

 

そう話す2人の間には先程とは別種の気まずさが漂っていた。

その雰囲気を変える様に早坂はわざとらしく咳払いをし、大きな声で話す。

 

「も、もうこの話は置いておきましょう!ところでどうです?今日のお弁当は!?」

 

「あ、あぁそうですね。とても美味しいですよ。」

 

先程までの雰囲気も完全になくなったわけではなく、少しギクシャクしていたが、そこからは2人のいつもの昼食風景が過ぎていった。

そして、綺麗に食べきったよもぎは早坂の方を見て、お礼を述べる。

 

「ご馳走様でした。いつもありがとうございます早坂さん。」

 

「お粗末様でした。いえいえ綺麗に食べてくれてシェフもいつも喜んでいますよ。」

 

早坂は自分が料理を使っていることをよもぎに伝えていない為、こうしていつもシェフが作った体にしてお礼を受けている。

そして、そのまま早坂はいつも通り荷物をまとめて教室に戻ろうとする。

しかし、今日はそうはいかなかった。

 

「あ、待ってください早坂さん。」

 

「はい?どうかしましたか?」

 

早坂はそのよもぎの引き留めに、何か伝えとかないといけない緊急性の高い事案が発生したのかと心の中で身構える。

しかし、そんな早坂の心配をよそによもぎは傍に置いた自分のカバンから小さい小包を取り出す。

 

「それは?」

 

「これは……」

 

そう話し始めたよもぎは、これを用意する時の出来事を思い出していた。

 


 

「あら、今日は天官くんだけですか?」

 

「えぇそうみたいですね。」

 

眞妃の相談の次の日

放課後の生徒会室にはかぐやとよもぎという珍しい2人組が揃っていた。

というのも滅多にこない石上と3年生を抜きにすると、基本的に生徒会室にはそれ以外のメンバーが揃っていた。

いなかったとしても1人いないくらいで、2人しか生徒会室にいないこの現状は特殊であった。

 

「なんでも御行は急遽バイトが入ったらしくて、藤原さんはポケモンGOでミューツーが近くに出たという噂を聞いて、その噂の場所に向かっていきましたよ?」

 

「あら、随分と詳しいのね?」

 

「いやいや、そう聞いただけですから……」

 

そういうよもぎの顔はパソコンに向かっている為かぐやから見る事は出来なかった。

かぐやはある程度の確信を持ってよもぎに話しかける。

 

「これ、貴方の仕業よね?」

 

そう言われたよもぎは、一瞬パソコンを打つ手を止めたが、すぐに作業を再開する。

 

「……さて何の事でしょう?」

 

(この男……!)

 

実際のところ、この状況はよもぎが作り出したものである。

御行のバイト先のスタッフに急な予定を作り、そこに御行が入るしかいけなくなる様に仕向け、藤原に対して噂がいく様に、情報を作り上げる。

これだけの事を思い立って僅か1日でこなしてしまうというのは流石エージェントというべきだろうか。

 

一方かぐやは、そんな悠長な事を考えている余裕はなかった。

 

(この状況を使ったのはこの男で確実……後はその目的……)

 

実はかぐやはよもぎの事を知ってから、ずっと警戒していた。

早坂が大丈夫と告げても、よもぎの正体はエージェント、つまり諜報員である。

そんな相手に対して、財閥のお嬢様が何の警戒もなく関わるというのは、どだい無理な話である。

ましてや、その諜報員が自分自身の近侍と親しくなるという事態、警戒するなという方が難しい。

もし、それら早坂に見せている態度が全部嘘で、かぐやに危害を加えるつもりでしたなどという事があれば目も当てられない。

 

もちろん早坂自身もそれらを前提にして関わっているが、最近その気持ちをきちんと持てているのかというと、疑問が残る。

一方のかぐやも、早坂の人を見る力は信頼しているがそれはそれ、これはこれである。

とは言え、生徒会の中で関わっていく内にかぐや自身もよもぎの事を信頼してきていたが、その矢先にこれである。

かぐやの警戒ゲージは一気にマックスまで上がった。

そんな中、よもぎがゆっくりと立ち上がりかぐやの方を向く。

 

「誤魔化してもしょうがありませんね……」

 

「あら、やっぱり認めるのね?」

 

「えぇ。というのも四宮さんに聞きたいことがありまして……」

 

(来た!)

 

かぐやはその言葉に身構える。

その天才的な頭の中には様々な可能性が浮かび、それに対する対抗策も同時に出てくる。

しかし、そんなかぐやに来た質問は予想外のものだった。

 

「早坂さんの喜びそうな物を教えてくれませんか?」

 

「はい?早坂の喜ぶもの……ですか?」

 

かぐやはよもぎのその言葉に目を丸くする。

 

「はい。というのもですね……」

 

そんな状態のかぐやに向かってよもぎは、今回のいきさつを説明した。

途中に出てきた眞妃の事は、家系間のいざこざのせいで話がややこしくなると踏んで伏せることにしたが、概ね全ての内容を伝えた。

 

「そんなことがありまして、そのアドバイス通り相手を考えてプレゼントを選ぼうと思いまして……」

 

「そのために私に早坂の喜ぶものを聞きに来たと。」

 

「はい。四宮さんは僕が知る限り、一番早坂さんに関わっている人物ですから。」

 

「わざわざ2人きりになったわけは……」

 

「四宮さんと早坂さんの関係が露呈するわけにもいかなかったですし、四宮さんに対するメールだと早坂さんの目に留まらないとも限りませんから。」

 

そこまで聞くとなるほどとかぐやも納得……

 

「するわけないでしょ!!!」

 

「!?」

 

できるわけもなく、大きな声で否定する。

 

「仮にも貴方エージェントよ!?その相手に2人きりになるように仕向けられたら警戒するでしょ!」

 

「す、すいません……」

 

「本当に私結構怖かったんですからね!」

 

「いや、本当にすみません……」

 

そのかぐやの怒髪冠を衝く様子によもぎは謝罪を繰り返すことしかできなかった。

そして、その怒りが収まった後にかぐやはよもぎに向かって問いかける。

 

「貴方、うちの早坂に今回のも含めて色々しているみたいだけど、早坂の事どう思ってるの?」

 

このかぐやの質問は、自分のためというよりも早坂のために効いている質問だった。

これで早坂の事について適当に答えたのだとしたら、早坂に今後の関係を考えさせるつもりでいた。

 

「どうとは?」

 

「それは……どんな相手だと思ってるのかって事よ!それでどうなの?答えられたら早坂の喜ぶ物を教えてあげる。」

 

そのよもぎの問い返しにかぐやは自分の気持ちが悟られないようにごまかしながらも問い返す。

一方でそう問われたよもぎは、頭の中で考える。

 

(友人……これが一番近いけど少し違う気もする……恋人はもちろん違いますし、知り合いと言うには距離は近いですし……)

 

色々な考えが頭に浮かんでは消える。

そして、よもぎは結局これといった関係性の名前が思い浮かばずかぐやの方を向く。

 

「すみません。どういう相手かと言われると色々考えてみても答えが出なくてですね……」

 

「……言いわ。教えてあげる。」

 

「良いんですか?答え出せてませんけど……」

 

「いいのよ。貴方が真剣に考えてるのはわかったから。」

 

かぐやにとってはその様子が何よりもの答えだった。

もし、これがよもぎの演技だとしたら、相当な食わせ者であると思いながらかぐやはよもぎに早坂の好みを伝えた。

 

「ありがとうございます。ちょっと参考にして考えてみます。」

 

「はい。役に立ったなら良かったです。」

 

(それにしても早坂に避けられているなんて天官くん何をしたんでしょうね?)

 

まさか自分自身が原因であるとは露知らず、かぐやはそんな事を考えていた。

そんな時ふとかぐやの頭にある疑問がわいてきた。

 

「それにしても、そういう事ならこないだで済んだのではないの?」

 

「こないだですか……?」

 

よもぎは、かぐやに向かって首をかしげながら訪ねる。

 

「あら、知らなかったの貴方。あの子……」


 

「どうかしましたか……?」

 

早坂のその言葉に思考の海に飛ばされていたよもぎの意識はこちら側に戻ってきた。

 

「あぁすみません。これはいつもの弁当のお礼です。」

 

そう言ってよもぎは、早坂の方にその小包を差し出す。

 

「そんなわざわざ……」

 

「それと……」

 

「それと?」

 

早坂はプレゼントを用意してくれた喜びもあるが、それ以上にその言葉の続きが気になった。

よもぎは、その言葉に続けて、早坂に向かって言葉を紡ぐ。

 

「結構過ぎちゃいましたけど、お誕生日おめでとうございます。」

 

「あ……」

 

そう、早坂の誕生日は4月2日。

もう過ぎてしまっていたが、よもぎはそのことをかぐやから聞いていたのである。

早坂自身、いきなりのお祝いに思考が追い付いていなかった。

そんな早坂に向かってよもぎは言葉を続ける。

 

「実はプレゼントを用意するときに四宮さんのアドバイスもいただいてその時に教えてもらったんです。」

 

「な……るほどですね……ありがとうございます。」

 

そう言って早坂はよもぎからプレゼントを受け取る。

その瞬間早坂はようやくプレゼントを貰ったという喜びを実感することができた。

 

「一応四宮さんから聞いた話から喜びそうな物を選んだんですけど……」

 

「いや、わざわざそこまでしてもらわなくても良かったのに……」

 

「いえ、やっぱりお礼はしっかりと伝えたかったですので。」

 

「いやいやそうは言ってもお礼を貰うような事なんて私何もしてないですから。」

 

早坂はこんな事を言っているが、よもぎからプレゼントをもらえたことにより、内心かなり舞い上がっていた。

そして、早坂はふと思い立ち、よもぎに問いかける。

 

「でしたら、誕生日を教えてください。今回のお礼に私もプレゼント用意しますから。」

 

「あーそれで気が済むのでしたら了解しました。僕の誕生日は11月11日です。」

 

よもぎは、早坂に対してそう告げる。

早坂は自身の手帳のその日付をマークするとよもぎの方を見上げた。

 

「これでメモしたので、今度は私が祝いますからね。約束です。」

 

「分かりました約束です。」

 

そう言いあうと、早坂はようやくプレゼントの方を見る。

 

「ところでこれなんですか……?」

 

「あ、それはですね……」

 


 

「~♪」

 

そしてその日の夜

早坂は鼻歌を歌いながら風呂に入る準備をしていた。

毎日激務の早坂にとって風呂の時間というものは誰にも邪魔されない至福の時間である。

その為、早坂はよく使用人用の風呂を貸し切って、ゆっくりと風呂に入る時間を取っている。

 

早坂は風呂の温度を一気に上げ、浴槽に入浴剤を入れ、スピーカーを用意し、浴槽にビーチチェアーを浮かべる。

いつもはこれで終わるところだったが、今夜の早坂は一味違う。

その早坂の手には、今日よもぎから貰ったプレゼントが握られていた。

そして、早坂はよもぎから貰ったプレゼント……アロマキャンドルに火をつける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、早坂が入った後に風呂に入った使用人によると、いつもと違い浴室からほのかにヨモギの香りがしたらしい。




このペースだと僕の考えてる話が書けるのはいつになるんだ……

次話天官よもぎは喋れる
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