天官よもぎは知りたい   作:ミルクセーキ

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1巻の内容書きやすい話が多くて困る。


白銀御行は困惑する

「じゃあ私今日も行くから…じゃね!」

 

そう言って早坂はスタスタと早足で教室から出ていく。

その後ろ姿を例によって駿河と火ノ口が見つめる形になっている。

 

「やっぱり怪しい…」

 

「うん怪しい…」

 

2人はここ最近、昼間になるとすぐに何処かに行ってしまう友人をかなり怪しんでいた。

これが男同士の友人関係であったら、特に気にしないで終わる関係もあったかもしれない。

 

「これはもうあれだね。」

 

「うんあれだ。」

 

「「男だ!」」

 

そこは花の女子高生2人、発想力も豊かである。

2人はそう言うと、早坂の後を気付かれないように追いかけ始めた。

気分は、IMF部隊かキングスマンエージェントのそれである。

まぁ2人は、その早坂が会おうとする相手が、エージェントであるという事はつゆも知らないわけだが。

 

 

「今日もありがとうございます。」

 

「いえ、私は持ってきてるだけですので…」

 

ところ変わって中庭である。

1回目の時とは違って、早坂は弁当を2つ持ってきてその1つを渡すようにしていた。

 

「それでも手配してくださってるのは、早坂さんですし。あ、シェフの方にもお礼を言っておいて下さい。」

 

「分かりました。伝えておきます。」

 

そのような話と今日特段あった話であったり、クラスの様子を伝えたり、かぐやの知りたがっている、白銀の様子等を話したりしながら2人は弁当を食べ進める。

そして、よもぎは弁当の中に入っていた少し焦げ目のついた卵焼きを箸で持ち上げ、口に運ぶ。

 

「この卵焼き…」

 

(!)

 

そして、それを食べた後よもぎは少し不思議そうな顔をする。

その食べた姿を見た早坂は一気に緊張する。

その後に続いて何かを言おうとしたよもぎは、何かに視線をやった後、自身の右頬を、右手の人差し指で2回叩く。

それを見た早坂の雰囲気は先までのかぐやの近侍としてのものではなく、普段のギャルのものになっていた。

 

この食事を始めた時に、彼等は何個かのサインを決めていた。

それは、話している内容が内容であるため、当然の措置であった。

そして今回よもぎが取ったサインは、『近くに知り合いがいる』を意味する物であった。

早坂が彼の視線の先に目をやると、そこには件の2人(火ノ口と駿河)が木の後ろでこそこそとしていた。

 

「2人ともそこで何してるんだし!」

 

「うわ!見つかった!」

 

まるで某緑の勇者の物語に出てくる木の精霊なような声をあげて、2人は手を上げながら木の後ろからでてきた。

 

「あははー奇遇だねー」

 

「ねーホントにホントに」

 

「適当言っても騙されないし!」

 

そうぎゃーぎゃーと話す3人を尻目によもぎは弁当を食べ進める。

そんなよもぎに火ノ口と駿河は意味ありげな視線を送り、3人は内緒話を始める。

 

「ねーねーそれで?」

 

「あれって天官君だよね?例の」

 

「例のってなんだし?」

 

「ほら、愛が気になってるって前噂になってた…」

 

その噂は約半年前、つまり早坂が、よもぎの事について調べ回ってた時のものであった。

 

(しまった…口止めしとくの忘れてたのがここまで響くとは…)

 

その噂はその一瞬しか流れなかったし、その後何も無かったから忘れられていたが、今回一緒にいるところを見られた為再燃する事だろう。

早坂はとりあえず、この状況をどうにかしないといけないと思い、誤解を解こうとする。

 

「ち、違うし!庶務君とはそういうのじゃ…」

 

「いやいや、その言い方で否定は無理があるよ愛。」

 

ここにきて早坂痛恨のミス!

今回の早坂のような否定の仕方は、逆に本当っぽさを演出してしまい、逆効果になってしまった。

 

「へーそうかー愛にも遂に、好きな人が…」

 

「だから違うし!」

 

「まぁまぁもう認めなよ。楽になるよ?」

 

「もー!」

 

そんな話をしながら、火ノ口と駿河はよもぎの方に体を向ける。

 

「私『火ノ口 三鈴』って言います!愛の友達やってます!」

 

「私は『駿河 すばる』でーす。同じく愛の友達やってます。」

 

「これはご丁寧にどうも。僕は天官 よもぎです。早坂さんとは仲良くさせていただいてます。」

 

挨拶もそこそこに、火ノ口と駿河はよもぎに詰め寄る。

 

「で、で?2人はどういう関係!?」

 

「もしかして付き合ってるとかー?」

 

「ちょっと2人とも!」

 

そんな3人を見回し、よもぎは声を出す。

 

「僕と早坂さんはただの友達ですよ。お2人が考えてるような仲ではありません。」

 

それを聞くと2人は露骨にがっかりした素振りを見せる。

 

「なーんだ付き合ってる訳じゃないのか…」

 

「それじゃあこれから愛頑張んないとね…」

 

「もう!怒るよ!」

 

「それと、そろそろ昼休みも終わりますから教室に戻りましょう3人とも。」

 

そう言われて3人が時計を見ると確かにもう昼休みが終わる時間になっていた。

 

「うわ!もうこんな時間か!」

 

「それじゃあ天官くん!これからも愛をよろしくねー!」

 

そう言うと、2人は校舎に向かって走っていき、その場には早坂とよもぎの2人が残された。

 

「すみません。騒がしくしました…」

 

「いえ別に大丈夫ですよ…良い友人達ですね?」

 

そうよもぎが問いかけると、早坂は少し俯く。

 

「友人じゃありませんよ…あの子達は。ただ情報が手に入るから一緒にいるだけで、私に友達なんて言う資格ありません…」

 

そう言う早坂の顔は寂しそうな顔をしていた。

 

「…そうですか」

 

2人の間に気まずい空気が流れる。

その空気を破ったのはよもぎであった。

 

「そういえばさっき言いそびれた事なんですけど…」

 

「はい?」

 

「卵焼き。いつもと違って甘い味付けでしたけど、僕はこっちの方が好きだとシェフの方に伝えてもらえますか?」

 

「…はい。作った者にそう伝えます。」

 

そう言う早坂の顔は、さっきまでの寂しそうな顔とうって変わって、にやけてしまいそうになるのをを堪えるのに必死な顔をしていた。

その後2人は教室に向かって歩き出す。

 

「…」

 

そんな2人の姿を見つめている影がもう1つあった。

 

 


そしてその日の放課後。

生徒会室には、我らが生徒会長、白銀御行の姿があった。

そんな白銀は、現在ある事で頭が一杯になっていた。

その内容とは、彼の友人天官よもぎについてであった。

 

(昼に見たのは間違いなくよもぎだったな…顔が見えなかったが、あいつの隣に居たのは金髪の女子生徒…)

 

実は白銀も昼にあの弁当を食べているシーンを見ていたのである。

 

(俺が全然言っても昼食べなかったのに、今日は弁当を食べていた…しかも女子生徒と一緒に!?)

 

よもぎが昼を食べていた事にもそうだが、白銀は女子生徒と一緒というところも気になっていた。

 

(え?あいつ俺以外に友人がいたのか?いや、と言うか男子じゃなくて女子と言う事はもしかして…)

 

「御行?」

 

(いやいやいや、高1から一緒だけどそういう素振り見せた事ないし…いやでもあいつも女子から人気だしなぁ…)

 

「聞こえてますか?御行?」

 

(よもぎはいい奴だけど、変わってるところあるし…なんならちょっとズレてるところもあるから騙されてるとかも…)

 

御行!

 

「わ!なんだ、よもぎ来ていたのか…」

 

「先程から声かけてましたけど」

 

「む、それはすまなかった。」

 

どうやら、白銀が考え事をしている間によもぎが生徒会室に来ていたらしい。

よもぎは白銀が反応したのを確認すると、生徒会室のソファに座って作業を開始した。

 

「どうしたんですか御行?何か考え事でも?」

 

「いや、まぁちょっとな…」

 

白銀はまさか自分が、よもぎの様子を盗み見しており、そこで見た事について考えていたとは言えなかった。

しかし、それはそれとして友人の恋愛事情と言うものは気になる物。

それが、あまり人と関わらない友人であれば尚更のことであった。

白銀は意を決してよもぎに尋ねる。

 

「よもぎ、今日の昼なんだが…」

 

「すみません失礼します…ちょっと相談があって…」

 

質問をしようとした瞬間、生徒会室に男子生徒がやってきた。

よもぎと白銀は目を合わせると、その男子生徒をソファの方まで案内した。

 

「恋愛相談?」

 

そうしてやって来た男子生徒…『田沼 翼』が持ってきたのは恋愛相談と言う物だった。

彼は白銀とよもぎと同じクラスだが、そのような浮ついた話は、彼に聞いた事が無いとよもぎは考える。

 

「はい!恋愛において百戦錬磨と名高い会長に、聞いてもらえたら、何か良いアドバイスもらえるのではと思って。」

 

(えぇ…百戦錬磨なんて誰が言ったんだよ…そんなイメージなのか俺…)

 

「…僕は恋愛経験と言うものが無いので、相談には乗れないと思うのですが…」

 

「それでも、人数多い方が何か良い考えが出てくるかもだから、天官君も聞いてくれない?」

 

「まぁそう言う事なら…」

 

そんな会話があり、よもぎと白銀は田沼の恋愛相談に乗ることになった。

その時よもぎは、生徒会室の外に誰かの気配がある事に気づいた。

扉の方を見てみると、その隙間から黒い髪がぴょこぴょこと覗いているのが見えた。

 

(あれは、四宮さん?)

 

「実は最近、同じクラスの柏木さんが気になっていて…」

 

「なるほど…ところでその子と関わりはあるのか?」

 

そんな事をよもぎが考えている間に、田沼の恋愛相談はスタートしていた。

流石に相談だと言うのに、自分が良く分からないから適当に聞くというのは気が引けた為、よもぎはより耳を傾けた。

 

「バレンタインもらいました…チョコボール3つ」

 

「チョコボール3つ?」

 

よもぎは思わずおうむ返しで尋ねてしまった。

彼のバレンタイン知識では、バレンタインと言うものは好意を寄せる相手や、友人に感謝や愛情を伝える為にチョコを渡す日であると認識している。

それなのに、チョコボール3つと言うものはあまりに失礼ではないだろうか。

 

「これ…義理ですかね?」

 

「あーそれは…間違いなく惚れてるな!

 

(いや、チョコボールですよ!?)

 

その白銀の言葉に外で聞いていたかぐやも思わず心の中でツッコんでしまう。

そして、それはよもぎも同じだった。

 

「いや、御行。流石にチョコボール3つだけしか渡さないというのは惚れている相手にしないのでは?」

 

(そう、その通り!天官くんよく言ってくれました!)

 

そのよもぎの疑問に対してかぐやは自分が気になった事を言ってくれた為、よもぎの好感度を上げる。

 

「分かってないなよもぎは。女って言うのは素直じゃない生き物なんだ!常に真逆の行動を取る物だと考えろ!つまり一見義理に見えるそれは…」

 

「逆に本命…」

 

「なるほど、そう言う考えもありますか…」

 

(逆に本命って何!それに天官くんもそこで折れないで、納得しないで!)

 

かぐやは大声で突っ込みたくなる衝動をすんでのところで抑える。

白銀はなんとかそれっぽい事を言えたことに安堵していたが、相談はまだ続いた。

 

「でも、彼女にそんな気は無いと思います。こないだも…」


「ねー君って彼女いるのー?」

 

「え…居ないけど…」

 

「やっぱり!」

 

「彼女いないってー!」

 

「居そうにないもんね!」

 

「超ウケる!」

 

「ふふっ」


「っていう事がありまして、揶揄われているのかなと…」

 

(それは揶揄われているわね…異性として見られるとかそれ以前の話…)

 

(これは…一応報告書に書いておきますか…こう言うものからイジメに発展するケースも少なくない…)

 

よもぎと、かぐやは動機さえ違えど、ほぼ同じ結論に辿り着いていた。

さてこれを聞いた、百戦錬磨(笑)の解答は…

 

「お前モテ期来てるな…」

 

(いやいやいやそんなまさか!)

 

「今度こそ待ってください御行!これはただ単に揶揄われているだけでしょう!」

 

「なんでそこまで女を疑ってかかるんだ!女だって人間だぞ!このやり取りの裏に隠れてる思いは、これだ!」


「ねー君って彼女いるのー?」(居ないなら付き合ってほしいなー!)

 

「え…居ないけど…」

 

「やっぱり!」(私と運命の糸で繋がっているのね!)

 

「彼女いないってー!」(ホッとしたー!)

 

「居そうにないもんね!」(だって高貴すぎるもの!)

 

「超ウケる!」(フリーなんだ!超嬉しい!)

 

「ふふっ」(彼にふさわしいのはこの私!)


(いや、ポジティブすぎません!?)

 

かぐやはこの白銀の解釈に全然納得が出来ず、心の中で盛大にツッコむ。

 

(でも流石にこれは、天官くんもおかしいって思うはず…)

 

「そんな馬鹿な…彼女たちの中からたった一人選ばないといけないなんて…」

 

「なるほど…そう言う意図が…」

 

(馬鹿しかいないの!?)

 

かぐやは、1人心の中で叫ぶ。

 

「よもぎは国語弱いからな。相手の考えを読む訓練をした方が良い。」

 

「えぇ今度からしてみることにします。」

 

(いいえ、これに関しては国語の成績もう関係ないわよ天官くん!)

 

 

「もし、1人を選んでしまったら彼女たちの友情にひびが入りませんか?」

 

「そうかもしれないな…でもそんな時は、お前が守ってやれば良いんだ!」

 

(何で上から目線!?)

 

もはやツッコミマシーンと化してしまったかぐやであったが、白銀の恋愛観を聞くまでここから離れるわけにはいかず、より耳を傾けるのであった。

また、白銀自身も妙なテンションに陥り、自分でも何を言っているのかよく理解していなかった。

 

「でも、告白なんてどうしたらいいか…」

 

「それならいい方法がある。ここに女がいるとするだろ?そして、こう!」

 

そう言い、白銀は徐に立ち上がり、扉の方に向かう。

そして、思い切り扉に向かって右手を付き、顔を近づける。

 

「俺と付き合え…」

 

(!?)

 

そう呟く白銀の声は、扉の向こうに立っているかぐやまでもろに届き、かぐやは頬を紅潮させる。

 

「と、呟くことによって壁に追い詰められた恐怖心がドキドキという高揚に変わり、告白の成功率が上がる。これを俺は『壁ダァン』と名付けた。」

 

(あービックリした…それに会長それはもう存在するものです。)

 

まるで自分自身が告白されたかのような状況に陥り、かぐやの心臓はバクバクと音を立てていたが、それはそれ。しっかりとツッコミは入れるかぐやなのであった。

 

「なるほど…吊り橋効果を利用するというわけですか…流石御行。百戦錬磨の名は伊達じゃないですね。」

 

「天…才…?」

 

(無知ばっかり!)

 

まさかこんな、流行もとっくに過ぎたような手法に感銘を受ける人間が、存在することにかぐやは驚きを隠せなかった。

 

「そうだ。せっかくだから天官君も何かないかな?告白の成功率をあげる方法とか…」

 

「僕ですか…?そうですね…」

 

(ナイスだ田沼!これでよもぎの恋愛観というものもなんとなく透ける!)

 

(確かに天官くんの恋愛観も気になると言えば気になりますね…まぁ一応聞いておきましょうか…)

 

白銀は、この会話から、今回の昼の女子生徒との関係が、どのようなものなのか探ろうとしていた。

また、かぐやも、何かしらに使えるかもしれないと耳をすませる。

 

「僕には恋愛経験がないので何とも言えませんが、大事なのは相手の情報ですね。」

 

「情報…?」

 

「はい。女性と会話する上で気を付けたいのは同調と共感です。この2つの点を考える上で相手の情報というものは大きな意味を持ってきます。」

 

と言いよもぎは、言葉に合わせて一本ずつ指を立てていく。

 

「趣味、癖、いやなこと、性格…そのようなものは人間の行動に多く出ています。そういう所を会話の中で少しづつ見せれば、女性に友好的に見られる可能性は高いです。後は適度なボディタッチも有効で、適度な接触はってどうしましたか2人共?」

 

そこまで話したよもぎは、

 

「いや、恋愛経験ないってわりには詳しいなと思ってさ…」

 

(そうだよな!?なんか妙に生々しいし!)

 

(そうよね!?なんか手馴れてるというか…)

 

確かに、よもぎが語るようによもぎに恋愛経験はない。

今回よもぎが語ったのは、そういう相手から情報を引き出すためのエージェントしての知識だった。

もちろんよもぎは、この方法を実際に使ったこともある。

実を言うとこの話を聞いてる面子で、一番の百戦錬磨はよもぎなのかもしれない。

 

「…まぁこれは、一般論ですし。ネットにも転がっているような情報ですよ。」

 

「なるほど…そういうものか…ありがとう参考になったよ!」

 

「いえ、僕もお役に立てたなら何よりです。」

 

(いや、あの言い方のリアリティは自分で使ったことがありそうな言い方だった。もしかして、よもぎって意外と俺より先のステージにいるのか!?くっ…気になるけど、直接聞くわけにもいかない…)

 

白銀はこのよもぎの話が実体験に即したものであることまでは見抜けたが、その先が分からず謎は深まるばかりであった。

 

「今回相談してよかったです!天官君は意外だったけど、流石会長!四宮さんを落としただけあります!」

 

(!)

 

「いや、俺と四宮は付き合ってないぞ…それどころか最近嫌われてるんじゃないかと思うくらいだ。」

 

白銀は、最近の弁当に対する四宮の視線から、自分自身が嫌われているのではないかと錯覚し始めていた。

 

(そうです!私は会長に落とされてなんかいません!というか、待ってください?嫌われてるって私何かしましたか!?)

 

その自覚がないかぐやは、自身の行動を振り返ってみるが、心当たりがなく、首を捻る。

 

「大事なのは、自分自身の気持ちですよ!会長自身はどう思っているんですか?四宮さんの事?」

 

(いいこと聞いてくれました!さぁ聞かせてもらいますよ会長!)

 

かぐやは自分自身が聞きたかった内容に入ったため、一言も逃すまいと耳をすませる。

 

「四宮をどう思っているか…まぁ正直金持ちとか天才で、鼻につくところはあるな…あと案外抜けてるし内面怖そうだし…後胸も」

 

(へーそんな風に思ってたんですか会長…)

 

白銀はここぞとばかりにかぐやの気になる点を挙げていく。

その話を聞いたかぐやの顔はどんどんと怒りに歪んでいく。

 

あー御行…

 

「…でもそこが逆に良いって言うか!?可愛いよ?実際美人だし。おしとやかで気品もある、それで賢いとか完璧すぎだろ!四宮マジサイコーの女!」

 

(会長…!そんな風に思ってたんですね!)

 

かぐやは白銀のその怒涛の褒めに、先ほどまでの怒りはどこへやら。心臓は高鳴り、顔を真っ赤にして照れていた。

一方の白銀はというと…

 

(あっぶねー!!!本人めっちゃいるし!!!気づけて良かった!!というか何時からいたんだよ!)

 

よもぎからの指摘と、扉から見えていた髪の一部分で気づけた白銀の心臓は、別の意味で大きな音を立てていた。

 

(とにかくこの相談を早く締めないと…)

 

「とにかく告白しなきゃ何も始まらん。変に策略とか考えて駆け引きしても、ややこしくなって良いことないぞ?」

 

その発言は特大のブーメランである。

 

「ありがとうございました!僕頑張ってみます!」

 

そう言うと田沼は生徒会室を後にする。

とにかくこれにて恋愛相談は一件落着という形をとった。

因みに後日、田沼は、「壁ダァン」を使って見事柏木の心を射止めることに成功したらしい。




次話 生徒会は出かけたい。
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