天官よもぎは知りたい   作:ミルクセーキ

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早坂とのイチャイチャを書きたいけどキャラがそれを許してくれない…


◯◯◯は裏切られる

突然だが諸君らは、秀智院学園生徒会にいくつの職務が存在するのか知っているだろうか?

生徒会長、副会長、書記、庶務、会計、監査。この6つの職務があり、現在の生徒会もこの役職により構成されている。

とは言え、この中の監査に関しては現3年生がついており、生徒会室に来ることはない幽霊部員のようになっているため、実質現生徒会は5人のメンバーで構成されている。

生徒会長『白銀御行』、副会長『四宮かぐや』、書記『藤原千花』、庶務『天官よもぎ』、そして会計。

今回はその謎の人物、会計に焦点を当てて話を進めていこうと思う。

 

 

その会計の名前は『石上 優』

現生徒会メンバー、唯一の1年生であり、白銀のスカウトによって今年の春から入った新メンバーである。

スカウトされたという事からも、能力は高く、現生徒会でよもぎの他にデジタルでの情報処理を得意としている。

仕事を家に持って帰って行うため、生徒会メンバーとの接触は少ないが、彼もまた秀智院学園生徒会メンバーなのである。

そんな彼は今…

 

「あ、そっちに敵行きました。」

 

「了解です。そいつを倒せばいいんですよね?」

 

よもぎと一緒にゲームにいそしんでいた。

どしてこうなっているのかを説明するには、時間を少し戻す必要がある。

 


「あれ?優じゃないですか?」

 

「あ、よもぎ先輩」

 

よもぎは、歩いてて寄った、中庭でたまたま見かけた石上に声をかけた。

時刻は昼過ぎ。

今日は早坂からの弁当がなかった為、一人で()()食事を済ませ、情報収集の為に校内を歩き回っていた。

 

「久しぶりですね、全然生徒会室に顔を出しませんから。」

 

「すみません…家の方が集中出来て…今度顔出します。」

 

「約束ですよ?」

 

そう言うとよもぎは石上が掛けているベンチに座り、石上の方を見る。

 

「色々話聞こうと思ってたんですけど、忙しそうですね?それ…ゲームですか?」

 

「あ、これは…」

 

そう反応する石上の手には、携帯ゲーム機が握られていた。

石上は大のゲーム好きであり、その度合いは学校にもゲーム機を持ってくる始末であった。

そんなゲーム好きの石上はどうやら、よもぎと会う直前までそのゲームに勤しんでいたらしい。

よもぎ自身、石上のゲーム好きは知っていたが、学校でやるほどであるという事は初めて知った。

 

(どうする…?先輩ってこういうのオッケーな人なんだろうか?)

 

一方の石上もここでどの様に説明するか、思案していた。

 

許容範囲!

人とコミュニケーションを取るにあたって、「ここからここまではOKだけどその先は…」という相手の許容範囲を見定めることは、非常に重要になってくるスキルである。

この場合における許容範囲とはズバリ、「校内でゲームを許すか、許さないか」

この手の内容には様々なタイプの人間が存在する。

絶対に許せない派、自分ではやらないけど他の人がやってても気にしない派、全然気にしない派、自分では注意しないけど後で教師にチクる派etc…

この許容範囲を見破れないで話をすると、待ち構えているのは(没収)

そうならないためにも石上は必死に考えを巡らせる。

 

(よもぎ先輩って()()()ほどじゃないけど正義感強い方だし…この手のルール違反とか許さなそう…でも、基本優しい人だし謝ったら許してくれないかな?いや、それにかけるしかない!)

 

そう決断した石上は、取り敢えず謝罪の文を述べようと口を動かす。

しかし、先に口を開いたのはよもぎであった。

 

「それ…面白いんですか?」

 

「へ?」

 

「いや、前々から優の話を聞いて興味はあったのですが、やる暇はありませんでしたし、自分でそういうのを買う性分でもないので…」

 

意外や意外。

よもぎの口から飛び出したのは興味を示す言葉だった。

その発言に少し呆然としていた石上であったが、隣に置いてあるカバンの中から予備のゲーム機を取り出して、よもぎに差し出す。

 

「あの…良かったらやります?」

 

「えぇ是非」

 


 

こうして2人は一緒にゲームをする事となったのである。

最初、よもぎに対してゲームシステムの解説を軽く行った後、その後2人でクエストに向かい見事クリアしていた。

因みに2人がやっているのは、某狩猟ゲームであり、石上は初心者ながらもよもぎの動きが上手く、内心驚いていた。

 

「いやー上手いですね、よもぎ先輩。GGっす。」

 

「GG…?あぁGood Gameの略でしたっけ…?うんGGです優。」

 

そうして、よもぎと石上は画面から顔を上げて

 

「うん結構面白いですねこれ。」

 

「本当ですか?他にも色々ありますけど貸しましょうか?」

 

そう言われたよもぎは少し考え込んでから返答する。

 

「うーん大丈夫です。やっぱりやってる時間とか取れそうにないですから。」

 

「そう…ですか…」

 

そう返答する石上は、すでに勧めるゲームを頭の中でいくつかピックアップしていた。

その為、その石上の返事はどこか寂しさをにじませるものとなった。

 

「まぁこういう時ならできますし、今度別のゲームも紹介してください。」

 

「はい。」

 

そう言う石上の顔は、前髪がかかって分かりずらいがどこか嬉しそうであった。

その時、ふと石上は頭に浮かんだ疑問を投げかける。

 

「それにしても意外でした。」

 

「何がです?」

 

「いや、よもぎ先輩こういうルール違反とかに厳しいと思ってましたよ。」

 

「あぁそのことですか」

 

その質問に、ゲーム機を返しながらよもぎが答える。

 

「確かに僕はルールとかは大事だと思いますよ?」

 

「それならどうして…?」

 

「でも、今回優は昼休みの時間に行ってますし、誰にも迷惑をかけていない。これが授業中に大音量で行ってたとなると話は別ですけどね。」

 

そこまで言って、よもぎは校舎に続く廊下の方を見つめる。

 

「つまりはルールにもゆとりが必要なんです。全てを禁止するというのは、いろんな意味で大変ですから。」

 

「なるほど…何となく分かります。僕もその全て禁止に悩まされている方ですから…」

 

そう言う石上は顔をしかめる。

その様子をよもぎは微笑みながら見つめ、口を開く。

 

「まぁ大変とは言え、やりようはあるんですけどね…とそろそろ来ますよ。あぁゲーム機は僕に渡してください。」

 

「わ、分かりました?」

 

よもぎの急な忠告に首をかしげながらも、石上はそれに従う。

するとよもぎに渡したすぐ後に、その場にある女子生徒が現れた。

 

「ゲッ」

 

「ゲッとはずいぶんな挨拶ね、石上。」

 

「伊井野…」

 

彼女の名前は、『伊井野 ミコ』

石上と同じ1年生であり、風紀委員に属している。

そんな彼女の性格は、ルール違反を全て取り締まる程正義感が強く、真面目で頑固である。

その性格から、今回のように良くゲーム機を持ち込む等の校則違反を重ねる石上は、不良とされ目の敵にされていた。

 

「やぁ伊井野さん。」

 

「天官先輩…どうも。」

 

そう言い、よもぎと伊井野は互いに挨拶を交わす。

 

「2人は知り合いなんですか?」

 

「石上には関係ないでしょ…」

 

「まぁまぁ、前に少し知り合っただけですよ。それで?何か御用ですか?」

 

そうよもぎが問いかけると伊井野は石上の方を向く。

 

「そうでした…さぁ石上ゲーム機を早く出しなさい。」

 

「は?僕が持ってるって証拠はどこにあるんだよ?」

 

「どうせ、いつものことだから持ってるんでしょ?ほら、早く出して。」

 

そう言いながら伊井野は石上に対して手を突き出す。

 

「そこまで疑うんなら、調べてみたら良いだろ?今日は本当に持ってない。」

 

「はぁ?それじゃあそっちの鞄も渡しなさい。」

 

そう言われた石上はその命令に従う。

絶対に見つけるという気概で探し始めた伊井野であったが、結局いくら探しても見つからなかった。

 

「ない…?」

 

「だから言っただろ?これに懲りたら、決めつけで人を疑うのをやめるんだな。」

 

「はぁ!?石上の態度がいつも悪いから、こっちも疑うんでしょ!?」

 

その見つけられない様子に石上が煽るが、負けじと伊井野も噛みついてくる。

しかし、伊井野は何かに気づいたかのような顔をする。

 

「そうだ。石上が持ってないなら、天官先輩が隠してるんじゃないですか?」

 

(マズい!)

 

ここに来て、ターゲットがよもぎに代わり焦る石上。

 

「そんなわけないだろ?大体よもぎ先輩が持ってたとしてどこに隠すんだよ?」

 

「益々怪しい…」

 

石上の応援むなしく、そのかばう様子に更に不信感を持った伊井野はよもぎに近づく。

 

「先輩。ちょっと失礼しても良いですか?」

 

「えぇ。かまわないですよ?」

 

そうして始まったよもぎの身体検査。

石上はハラハラとした様子で見守っていたが、一向にゲーム機が見つかる気配はない。

 

(えっ?この先輩どこに隠したの?マジシャンか何か?)

 

石上がそんなことを思いながらも眺めていると、検査が終わったのか伊井野がよもぎの体から離れる。

 

「何も出ませんね…」

 

「納得されましたか?」

 

「はい…疑ってすみませんでした…」

 

そう言うと伊井野はよもぎに頭を下げる。

それから気まずそうにしながらも石上の方を向く。

 

「石上も疑ってごめん…」

 

「えっあぁいや別に…」

 

「でもいつも、そういうことしなかったら疑われてないと思う。」

 

「お前、いつも一言余計なんだよ。」

 

そんなやり取りの後、伊井野はこの場から去ろうとする。

 

「それじゃあこれで失礼します。」

 

「あぁ待ってください。伊井野さん。」

 

その去ろうとする伊井野をよもぎが止める。

その言葉に伊井野は振り返る。

 

()()()()()()()()()()、何か思い付きました?」

 

その問いに伊井野は少し考えながらも返答する。

 

「はい。私は来期生徒会長になります。これが答えで良いですか?」

 

「うん。なるほど…そうですか頑張ってくださいね。応援してますよ。」

 

「はい。それではこれで…」

 

そう言うと、今度こそ伊井野はその場から去っていった。

石上は、伊井野がいなくなったことを確認すると詰まった息を吐く。

 

「はぁ…行きましたか…」

 

「えぇ、見つからなくて良かったですね?」

 

「所で、僕のゲームどこにやったんですか?」

 

「あぁ、優のカバンの中ですよ?」

 

「え?」

 

そう言われた石上が確認してみると、確かに石上のカバンの中にゲーム機が入っていた。

 

「本当に入ってた…でもどうやって?」

 

「僕が身体検査される前とされてる途中に隙をみてですね。人間一度確認した方を疑う事は少ないですし…マジシャンなんかが使う手法ですよ。」

 

「…先輩マジックできるんですか?」

 

「手法は知っているというだけです。」

 

(何もんだよこの人…)

 

石上は前々から疑問に思っているその疑問を

石上は、出会ったときからよもぎはどこか人と違うところを察していた。

しかし、石上はその察する能力の高さから、よもぎのその部分には踏み込まないようにしていた。

 

「それしても本当に伊井野と知り合いだったんですね?前に聞いたとも言ってましたし」

 

「とは言っても本当に前に少しだけあっただけですよ?向こうが覚えているのに驚いたぐらいですから。」

 

そう言うよもぎの顔は本当に驚いている様子であった。

そして、よもぎは続けて口を開く。

 

「あぁそう言えばやりようの話の途中でしたね」

 

「えぇっと…あぁそう言えば…」

 

石上は先程の会話を思い出していた。

 

「先ほども言った通り全てを縛るという物は、いろんな意味で難しいんですけどやりようはあるんです。」

 

「やりようですか?」

 

「はい。暴力、権力、学力、経済力…何でもいいから人に畏怖される程の強大な力を持つことです。そうすれば全てを縛るという無茶苦茶も通ります。」

 

「それはまぁそうですけど…暴論ですね?」

 

「暴論と言われたらそうですけど事実ですよ。伊井野さんはどれも持ってませんからね…少し心配なんです。」

 

石上は、そう語るよもぎの眼に微かな感情が宿っているのを見た。

しかし、その雰囲気はすぐに霧散し、よもぎは石上の方を見る。

 

「少し暗い雰囲気にしましたね。すみません本題に移りましょう。」

 

「本題ですか?」

 

石上は、そう言えばよもぎが色々聞きたいことがあると言っていたことを思い出した。

 

「最近クラスではどうですか?」

 

「えぇ…聞きたかったことそれですか?」

 

石上は、まるで親のようなことを聞くよもぎにそう返す。

しかし、よもぎの性格上冗談でこういうことを聞かないということを知っていた石上は真面目に返す。

 

「まぁ相変わらずですよ。敬遠されてる感じですね。」

 

「そうですか…」

 

そう答えるよもぎの顔はどこか悲しそうだった。

 

「…前も言いましたけどあれは先輩のせいではないですから。」

 

「そうですね…すみません」

 

そのまま気まずい空気が流れる。

その空気を変える為に石上は、話題を出す。

 

「そう言う先輩はどうですか?」

 

「僕ですか?僕は別に御行ぐらいしか話しませんし…」

 

その返しに石上は内心ニヤリとする。

 

(やっぱり…予想してた通り先輩はどちらかというとこちら側の住人!つまり陰キャ!)

 

陰キャ!

それは陰気な人などを指す呼称である。

現在ではそれ以外にも、オタクっぽい人コミュニケーション能力の低い人なども纏めて指すことが多い。

石上は、人とのコミュニケーションを嫌い斜に構えた性格の生粋の陰キャ!

一方よもぎは、あまり人と関わらず、1人でいることも多いため石上は、よもぎに陰キャ疑惑をかけていた。

今回ゲームにも興味を示したことから、石上の中でのよもぎの陰キャレベルは上昇!

石上は、よもぎに過去の事での恩義もあるが、それと同じくらい同族意識を持って接していた。

 

「先輩…僕たちは仲間ですからね…」

 

「は、はい?」

 

よもぎは、石上の突然の言葉にあまり理解できなかったが、取り敢えずうなずいておいた。

そうやって仲間ができたと喜ぶ、石上の前に男女の二人組が現れる。

 

(うわ!カップルだ!)

 

カップル!

それは、陰キャの天敵とも呼べる存在である。

陰キャは基本的に友達が少ない為に、世間一般で言う青春イベントをこなせないことが多い。

その青春イベントのトップに君臨するのが恋愛!

それを現在進行形でこなしているカップルという存在は、陰キャにとって妬み、羨望の対象となることが多い。

石上は、その中でもことごとくの青春イベントを嫌っており、そのトップのカップルという存在は、石上にとって天敵以外の何物でもなかったのである。

 

(何でこっちに来るんだよ…あぁこれでイチャイチャでもし始めたら、本当に許せない…)

 

「あれ?田沼君じゃないですか?」

 

「あ、天官君。」

 

「えっ?」

 

石上が心の中を怨嗟でいっぱいにしているとよもぎがそのカップルに声をかける。

どうやら男の方と知り合いだったらしいよもぎは、そのまま話し始める。

 

「紹介するよ。こっちがぼ、僕の彼女の柏木さん。」

 

「えっと同じクラスの天官くんだよね?私柏木渚。よろしく。」

 

「えぇ改めまして天官よもぎです。よろしくお願いします。」

 

「ほら前に話した相談に乗ってくれた人のうち一人が天官君だったんだよ。」

 

「わぁ、そうだったんだ!」

 

「まぁ少し相談に乗っただけですよ。肝心なところは御行と実際に行った田沼君の力ですから。」

 

「そ、そう言われちゃうと照れるな…っとそっちの子と何か話してたんだよねごめん邪魔しちゃったみたいで…」

 

「いえいえ、僕が話しかけましたし。」

 

「うんそれじゃあまた今度話そうよ。同じクラスなんだし」

 

「えぇ是非、それじゃあまた。柏木さんもまた今度」

 

「うんそれじゃあね」

 

その世間話が終わると、田沼と柏木は二人で離れていった。

その雰囲気は、付き合いたての見る人が見ればもどかしくなる、そんな雰囲気であったが、石上はそんな事を考えている余裕がなかった。

 

「さっきの人たちと知り合いなんですか?」

 

「いや、知り合いというか同じクラスの人たちで、少し前に恋愛相談受けたことがあるくらいです。」

 

(よもぎ先輩って実は陰キャじゃない…?恋愛相談を受けるってそんな陽キャみたいなことを…)

 

そう考えこむ石上の近くに今度は3人の女子生徒が近づく。

 

(うわ!ギャルだ!)

 

ギャル!

それは、カップルとは別ベクトルで陰キャの天敵とも呼べる存在である。

クラスにはスクールカーストというものがあり、陰キャはその下の方良くても中位に位置することが多い。

その点ギャルやヤンキーというものは、スクールカーストの一番上に君臨する存在!

ときたま、創作においてオタクに優しいギャルというものが登場するが、それは創作にしか無い存在!

陰キャにとってギャルというものは、自分達と決して相入れるものでは無いのである!

 

そのギャル達はこちらに気づくとよもぎと石上の方にやってきた。

 

「あ、天官くんじゃん!」

 

「火ノ口さん」

 

(!?)

 

石上はそのギャルに声をかけられている状況に驚く。

 

(いや、まだ分からない…これでもしよもぎ先輩がカツアゲとかされていたら……すみませんその時は先輩置いて行きます。)

 

仲間では無かったのだろうか?

そんな裏切りを石上が考えていると、他の2人も話に参加する。

 

「天官くん、こんな所で何してるのー?愛の愛妻弁当が無くて拗ねちゃった?」

 

「ちょっ愛妻弁当とかそう言うんじゃ無いし!」

 

「そうですよ?僕はこっちの後輩と話をしてただけです。」

 

そう紹介すると、3人の意識は石上に向く

 

「へーそうなんだ!よろしく!」

 

「あ、どうも」

 

そこで石上を交えて自己紹介が始まったが、石上は絶賛混乱中であった。

 

(いや何この状況…というかさっき愛妻弁当って…)

 

「というか2人の邪魔しちゃったねー」

 

「そうだね。会計君ごめんし!」

 

「あ、いや別に大丈夫です。」

 

「でも、愛は天官くん取られてやきもち焼いてたり〜?」

 

「だからもう!やきもちなんて焼かないし!」

 

その中の金髪のギャル…早坂は、その言葉に強く反発する。

その顔は本気では無いにしろ、少し不機嫌そうである。

その間に火ノ口は、よもぎに何やら耳打ちをする。

それを聞いたよもぎは、早坂に向かって口を開く

 

「早坂さん」

 

「何だし!」

 

「そう怒らないでください、僕は早坂さんのお弁当楽しみですから。」

 

「…うん。」

 

そう言われた早坂は先ほどまでの怒りとは別の意味で顔を赤くしてもじもじする。

 

「じゃ、じゃあ行くから!また後で!」

 

「うわ、待ってよ愛!」

 

そう言ってそのギャル3人組は、バタバタと2人のもとを離れて行った。

 

(火ノ口さんの言う通りでしたね…今度からはもっと感謝を伝えるようにしましょうか…)

 

そんな事を思いながらも、よもぎは、時計の時間からもう少しで昼休みが終わる事に気づく。

 

「ここら辺で解散にしましょうか…とりあえず優が元気そうで何よりです。優?」

 

よもぎが横を見ると石上は顔を伏せて黙り込んでいる。

石上は先ほどのよもぎの様子や他の人との関わり方を思い出す。

 

(ようやく分かった…よもぎ先輩は陰キャじゃ無い…この人は偽装陰キャだ!)

 

偽装陰キャ!

それは、陽キャとも陰キャとも違う存在。

その特徴は、外見や入りの部分は陰キャであるが、関わってみると全然コミュニケーション能力が高かったり、めちゃくちゃ明るい性格であったりする。

このタイプのキャラは根が明るい事が多く、どちらかといえば陰キャの分類ではなく、陽キャとして接され、クラスの中心にいる事が多い。

石上は、カップルやギャルとの関わり合いからよもぎがそういう存在であると見抜いていた。

 

(あんなにカップルや、ギャルと仲良さそうにしてるし、なんなら恋愛フラグみたいのも立ってましたよね?同じ陰キャ分類なのに…信じてたのに…)

 

そうこの偽装陰キャという存在は陰キャにとっては唾棄すべき存在なのである。

なんせ、陰キャにとっては自分と同じ位置にいると思った相手が、自分では手に入れられない物を手にしている状況である。

そんな物は、たとえ先輩であろうと石上にとって許される行為ではなかった。

石上は急に立ち上がるとよもぎの方を向いて叫ぶ。

 

「先輩の裏切り者!」

 

「え?ちょっと優!?」

 

そう言って石上は走ってどこかに行ってしまった。

残されたよもぎは、自分の行動を振り返りながらも首を捻る。

しかし、どれだけ考えても石上に裏切り者と呼ばれる理由がよもぎには分からなかった

 

本日の勝敗

石上の負け (よもぎが偽装陰キャだった為)




石上優は裏切られる
石上の口調って思ったより難しいっすね…
次話 天官よもぎはしている
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