処女が許されるのは16歳までだよね~?   作:耳野笑

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 前回のあらすじ!

 フォンとベルはパーティーを結成して初クエストをこなした!

 翌日、ベルは健康診断をする! その際、フォンとくっついたりくっつかれたりしてドキドキしてしまう!

 休日の夜、フォンはベルの部屋を訪れる! そして「処女なの馬鹿にされても反撃できないのどんな気持ち~(笑)♡ ざぁこざぁ~こ(笑)♡」と煽りながら耳責めをする!
 ベルは悔しさに身を震わせながらも、うっすら喜んでしまっていることに危機感を覚えたのだった!

 ベルはフォンのことを「びっち」と罵るが『純潔のナイフ』によってフォンが童貞だと証明される!

 直後、ベルはフォンに押し倒され「処女、僕がもらってあげようか?」と訊かれる! ベルは「処女捨てさせてくださいッ……!」と必死で懇願する!
 が、返ってきた答えは「ウソに決まってるでしょざぁ~こ(笑)♡」だった!

 ベルは遊ばれたことに怒りを覚え、耳責めのせいで興奮しながらも「あんな男をオ○ズにしてたまるか」という想いのもと、オ○ニーを我慢したのだった!


第3話 思春期女騎士vsえちえちインキュバス

 

 僕とベルさんがパーティーを組んで5日が経った。

 

 寮の食堂で朝食を取り、ふたりで寮から一緒に出る。

 

 良く晴れた快晴だ。ベルさんのブロンドヘアが、陽光に照らされて目映く輝いている。

 

 僕たちは徒歩でギルド会館へと向かう。

 

「ねえねえベル」

 

「だから貴方に呼び捨てを許可した覚えはありませんわよ」

 

 僕はベルさんの袖を掴み、上目遣いで彼女を見ながら小首をかしげる。

 

「だめ?」

 

「うぐっ!? そ、そんな可愛い顔してもダメですわよ!」

 

「しょぼ~ん……」

 

 僕はおおげさに肩を落とす。

 

 まあ、まだ出会って5日目だし、徐々に距離を詰めていこう。

 

「ところで僕のことオ○ズにした?」

 

「ぶふッ!? は、はあッ!? してませんわよ!」

 

「え~ウソだ~(笑)♡ 一昨日の夜、お耳舐めて、い~っぱい煽ってあげたんだもん(笑)♡ ぜったいオ○ズにしたでしょ~(笑)♡」

 

 僕は一昨日、ベルさんに耳舐め処女煽り生ASMRをした。男のコに触れるだけで顔真っ赤になってしまう処女には得がたい最高のオ○ズだ。狂ったようにオ○ニーしたに違いない。

 

 ――と、思っていた。

 

「ふふん! 残念でしたわね! 本当にしていませんわ!」

 

 ベルさんはドヤ顔で、胸を大きく張ってそういった。その様子は誇らしげで、嘘を吐いているようには見えない。

 

「え、うそ……ほんとにしてないの……?」

 

「当然ですわ! フォンさん! オカ……夜のお供にするには、貴方では力不足でしてよ! オ~ッホッホッホッ!」

 

 僕は愕然とする。

 

 そ、そんな……。あれだけえっちなことしてあげたのに、オ○ズにされてなかった……?

 

 悔しかった。「オ○ズになるほどの性的価値はない」と言われているも同然。男として、本当に屈辱だった。 

 

「思い上がりましたわね! 自分に性的魅力があると思っているその増長、度し難い程の自意識過剰っぷりですわよ! オ~ッホッホッホッ!」

 

 初めて僕にマウントを取れて嬉しいのだろう。ベルさんは誇らしげな笑みで僕を嘲笑う。

 

 ――悔しい、ほんとに悔しい。

 

「いつか絶対オ○ズにさせてやるからっ……!」

 

「貴方では絶対無理ですわ! オ~ッホッホッホッ!」

 

 *

 

 ギルド会館へ向かう道中、僕は珍しい光景を発見した。

 

「ねえ、あれ、騎士団じゃない?」

 

 大通りに、銀色の鎧を纏う剣士たちの姿がある。――騎士団だ。でも、こんな街中で騎士隊を見かけるのは初めてだ。

 騎士団員であるベルさんも、こんなところで仲間たちを見掛けて意外そうな顔をしている。

 

「騎士、ですわね。知っている顔も何人かいますわ」

 

「なんでこんなところにいるんだろう? 知ってる?」

 

「心当たりは、なくもありませんが……」

 

 そのまま彼女らの横を通り抜けようとした、その時――。

 

「えっ、ベルさんじゃないですの!?」

 

 と、騎士のひとりが声を掛けてきた。

 栗色の髪の、ポニテお嬢様だ。白馬の王子様(お姫様)みたいな雰囲気がある。ベルさんの方が可愛いけど。

 

「あ……偶然ですわね……」

 

 ベルさんの表情が引きつっている。何か気まずい事情でもあるのだろうか。

 

「3か月間ギルドで働くとは聞いていましたが、こんなところで会うなんて!」

 

「そ、そうですわね。では――「実は、この辺りで怪盗ヌーゼの目撃情報があって、私たち騎士隊が派遣されたんですの。貴女の敵討ちのつもりで臨みますわ」

 

 ――その言葉を聞いた瞬間、ベルさんの表情が変わる。見たことがないくらい怖い顔つきだ。

 

 え、なに……? 怪盗? 敵討ち?

 

「あの、それってどういう意味――「ほら行きますわよフォンさん!」

 

 質問しようとした僕を、ベルさんが遮った。そして、僕の背中をぐいぐいと押して急かす。

 

「え、ちょっ、なんで」

 

「ではごきげんよう!」

 

「え、はい、ごきげんようベルさん……」

 

 ベルさんは急いでポニテ騎士に別れの挨拶を告げ、僕の腕を引っ張ってその場から離れる。

 

「さっきのなんなの、ベルさん」

 

「なんでもありませんわ! 本当に何でもありませんから!」

 

 *

 

 無事に今日のクエストが終わり、ギルド会館へと帰ってきた。

 道中、今朝のベルさんとポニテ騎士の会話について訊いてみたが、結局何も教えてくれなかった。

 

 食堂で夕食を済ませ、ふたりで寮へと歩いていく。その帰り道、僕は遠くに見覚えのある姿を見かけた。

 

「あ、ごめんベルさん。今日は寄りたいところがあるから、先戻ってて」

 

「え、ええ、分かりましたわ。また明日」

 

「うん、また明日」

 

 そして、僕はベルさんと別れると、先ほど見掛けた人を追い掛ける。

 

「お~い! ポニテ騎士さん!」

 

「えっ、ぽ、ポニテ騎士? 私のことですの?」

 

 ――そう、ポニテ騎士さんだ。彼女は僕に呼ばれて振り返ると、意外そうな顔をする。

 

「あら、今朝お会いした冒険者の方ではないですの。何かご用ですか?」

 

「うん、落ち着いて話したいから、一緒に食事でもどうかな?」

 

「えっ!?!?!?」

 

 ポニテ騎士さんが驚き、目をキラキラと輝かせる。

 

 あれ、これ逆ナンだと思われてる?

 

「あの、ごめんね。逆ナンとかじゃなくて、訊きたいことがあって」

 

「あ、ああ……。そうですわよね……分かりましたわ……。ぜひご相伴に預からせてください……」

 

 ポニテ騎士さんは肩を落とし、力なくそう答えた。露骨にガッカリしている。

 

「……ご、ごめんね?」

 

「お気になさらず……」

 

 そして、僕とポニテ騎士さんは、近くの飲食店に入った。

 僕は夕食を済ませてしまったので、適当に軽食を注文して食べる。

 

「ベルさんのことでしょうか?」

 

「うん。今朝ベルさんと話してたこと、詳しく教えてほしいな」

 

「承知しました。その前に、貴方は『怪盗ヌーゼ』のことをご存じですか?」

 

「ううん、知らない」

 

「では、まず『怪盗ヌーゼ』のことを説明いたしますわ。彼は、ここ1年ほど金品の窃盗を繰り返している怪盗です。総被害額は1億Gにも及んでいます」

 

「1億……!? なんで捕まってないの、その怪盗……!?」

 

「何度か捕まえかけたことはあるのですが、惜しくも取り逃がしてしまったのです。その理由が、怪盗ヌーゼの特性にあります」

 

「特性?」

 

「はい、怪盗ヌーゼは、インキュバスなのです」

 

 インキュバス――つまり、男性の淫魔だ。

 性欲が強く、感度が高い。また、女性に好まれやすい身体に進化しているため、みんな胸筋(おっぱい)が大きい。

 

 ギルドの冒険者の中にも、何人かインキュバスはいる。それくらい当たり前に社会に受け入れられている存在だ。

 

「インキュバスは女性を魅了する生き物です。洗脳魔法、催淫魔法など『女を操る魔法』に長けた種族なのです。しかも、淫魔は魔力量が多いため、その魔法も強力なものになります」

 

「そっか……! 騎士団も冒険者も大体は女性だから、インキュバスの魅了がもろに効いちゃうんだ……!」

 

「その通りですわ。ここまでが、怪盗ヌーゼの説明になります」

 

 ポニテ騎士さんは水を飲んだ。そして、少し間をおいてから――。

 

「ここからが、ベルさんと怪盗ヌーゼの因縁についてです。……あれは、悲しい事件でしたわ」

 

 ポニテ騎士さんは、すっと目を伏せて話し始める。

 

「ひと月前のことです。怪盗ヌーゼが町長邸の金庫から黄金の指輪を盗み出したんですの。当然、私たち騎士団は彼を捕まえようと追い掛けました。その中に、私とベルさんもいましたわ」

 

「うん」

 

「しかし、怪盗ヌーゼを見失ってしまったのです。私たちは手分けして、各個で捜索しました。そして――ベルさんだけが怪盗ヌーゼを発見し、追い詰めたのです」

 

「え、そうなの!?」

 

「はい。しかし、ベルさんは怪盗ヌーゼを取り逃がしてしまったのです。本人は『不意打ちされた』と仰っていました。しかし、どう不意打ちされたのかを問われても、曖昧な回答しかなさらなかったのです」

 

「……うん? どういうこと?」

 

「不審に思った騎士団上層部は、『記憶を覗く魔法使い』に、ベルさんの記憶を確認させました。どのように不意打ちされたのか、その対策を立てる必要もありますし」

 

 騎士団ってそんな魔法使いまでいるんだ。すごいなあ……。

 

「そこに映っていた記憶は――」

 

 *

 

 月下の街を駆ける。

 

 私は怪盗ヌーゼを追いかけ――そして袋小路に追い詰めた。

 私は彼に剣を向けて告げる。

 

「大人しく投降してくださいませ」

 

「……ま、待ってください騎士さん! 俺は怪盗ヌーゼじゃないんです! ほら、インキュバスの耳も翼も尻尾も生えてないでしょう!」

 

 インキュバスは、黒い耳と、翼と、尻尾が生えている。それが目の前の男にはなかった。

 しかし――。

 

「インキュバスは、自分で耳も翼も尻尾も隠すことができる体質のはずですわ。それに、貴方が怪盗ヌーゼでないというなら、何故逃げるんですの?」

 

「貴女たちが追いかけてくるから怖くなって逃げたんです! 本当です! 嘘だと思うなら、盗品なんて持ってないことを確認してください!」

 

 そういって、怪盗ヌーゼ――かもしれない男性――は両腕を上げて待つ。

 

「え、確認、ですの?」

 

「はい! 隅から隅までちゃんと確認してください!」

 

「……ほ、本当にいいんですの? その、私女性なのですが」

 

「恥ずかしいですけど、無実を証明できるなら構いません!」

 

 私は剣を下ろし、男性に近付く。

 彼は両腕を上げたまま、本当に無抵抗で立っている。――い、いいんですのよね? だって、必要な確認ですものね!?

 

 私は彼の外套のポケットに手を入れる。指輪は見つからない。次に、内ポケットに手を突っ込む。当然、彼の身体にかなり接近することになる。

 

 外套を開いたことで、ベージュのセーターが露わとなる。――でっか!?!?!? めっっっっっちゃ巨乳ですわ!!!

 

 隆々と発達した胸筋で、セーターが内側から押されて膨らんでいる。その膨らみは淫猥そのそので、思わずごくりと生唾を飲む。

 こんな巨乳、見たことありませんわ……!!!

 

 インキュバスはその性質上、女を興奮させる体型をしていることが多い。胸の大きさは、F~Hカップが基本だ。*1

 

 初めてお目にかかる巨峰サイズのおっぱいに、私は目を奪われる。

 

 私はセーターの上から彼の身体を触って、盗品がないかを検める。お腹を触り、脇腹を触り、腋を触っていく。

 

 はぁはぁと鼻息が荒くなってしまう。

 

 べ、別に、これはただの確認行為ですものね! 身体に触っちゃうのは仕方ありませんわよね!

 

「せ、セーターの中も確認させていただきますわ!」

 

「え、な、中も!?」

 

「当然です! 腋や下着との隙間に隠しているかもしれませんからね!」

 

 彼は嫌そうな顔をしながらも、無抵抗で受け入れる。

 そして、私は、下からセーターの中に手を突っ込み、腹筋を摩りながら上へと移動させる。

 

「ふぅ~ッふぅ~ッ! て、抵抗してはいけませんわよッ!」

 

 興奮が止まらない。そして、腹筋のあたりを通り過ぎる。もうちょっと、もうちょっとで、硬く大きいおっぱいがある。

 ふ、不可抗力ですわよねッ! ボディチェックの際に偶然おっぱいに触ってしまっても仕方ありませんわよねッ!

 

 そして、私は人生で初めておっぱいに触れようとした瞬間――。

 

催淫術・強制発情(セオル・エロス)洗脳術・自我混濁(イエム・エゴサンディス)

 

「ぐあッ……!!!!!」

 

 ゼロ距離で、催淫魔法と洗脳魔法を喰らってしまった。

 

 身体が熱い。子宮が疼き、じくじくと熱を帯びる。力が入らない。あっやっば――立ってられない。

 

 同時に――ぐにゃりと視界が揺れる。何が起こって……? あれ、私はいったい何を……?

 

「ふふっ……。やっぱり女ってバカだね。性欲に支配された猿ばっかり」

 

 しゃがみ込み、目の前の男性を見上げる。

 

 ふわふわする。思考がまとまらない。

 

 あ、でも、この人、きれい……おっぱいでっか……えっろ……。

 

「じゃあね、騎士さん」

 

「まっ、て……」

 

 私は手を伸ばす。しかし、彼の背中は遠ざかるばかり。

 

 待って、お願いっ……! せめておっぱい触らせてっ……!

 

 *

 

「以上が、ベルさんの記憶ですわ」

 

「なにしてるのあの人!?!?!?!?」

 

 僕は愕然とする。

 

 つまりベルさんは、ボディチェックという名目で怪盗ヌーゼの身体をまさぐっていたら、隙を突かれて魔法を掛けられ、取り逃がしたのだ。

 

 アホすぎる。アホの処女だ。

 

「この一件が問題視され、ベルさんは3か月の謹慎となったのです」

 

「謹慎理由これだったの!?!?!?」

 

「はい」

 

「アホすぎるでしょ!!!!!」

 

 確かに大きめの失態ではある。にしても、理由がアホだ。

 

 本物の、アホだ。

 

「その、男性からすれば愚かに見えることとは思います。ですが、インキュバスの誘いに抗うのは、女にとって困難を極めます。どうか温かい目で見てあげてください」

 

「う、うん、分かったよ。教えてくれてありがとう」

 

「いえ、お役に立てたのなら良かったです」

 

 その後、僕たちは食事を終えて店を出た。

 

 いい収穫だった。ベルさんで遊ぶ材料がまたひとつ増えた。明日が楽しみだ。

 

 *

 

 翌朝、僕とベルさんはクエストボードを眺めている。

 

「えっ!?」

 

 その時、僕はとんでもない依頼を見付けた。

 依頼主は宝石商。依頼内容は、宝石店の護衛。指定日は明日。そして――。

 

「どうかしたんですの? って、えっ!?」

 

 ――怪盗ヌーゼに狙われている可能性あり、と書かれていた。

 

 このタイミングでこんなクエスト来るなんて……! 凄い偶然だ……!

 

「フォンさん、このクエストを受けましょう」

 

 ベルさんの雰囲気には緊迫感があった。その眼差しは鋭く、強い意思を宿している。

 ――自分が3か月謹慎する原因になった相手だ。人生の汚点となった出来事の雪辱を果たしたいのだろう。

 

「いいよ。じゃあ今日は軽めのクエスト受けよっか」

 

 そして、僕たちは明日のクエストも予約し、今日の分のクエストへ向かう。

 

 *

 

 軽めのクエストを午前中で終わらせ、正午にギルド会館へ戻ってきた。明日のクエストに備えて、今日は早めに寮へ戻る。

 

「ベルさん、この後時間もらっていい?」

 

「ええ、構いませんわよ」

 

「じゃあ、先に寮へ戻ってて。僕はちょっと準備してから、ベルさんの部屋に行くね」

 

「……? は、はい。分かりましたわ」

 

 そして、一旦ベルさんと別れ、必要な物を調達して袋に入れた。その袋を持って、彼女の部屋を訪れる。

 

「やっほ~フォンだよ~」

 

 ベルさんはすぐに開けてくれた。僕は中に入り、ラグマットに座る。彼女もテーブルを挟んで向こう側に座った。

 

「それで、どんな用件なんですの?」

 

「話を聞きたいんだ。怪盗ヌーゼと、何があったのか」

 

 ベルさんは真顔だ。紅蓮色の瞳が、まっすぐ僕を見ている。

 

「ベルさん、何か因縁があるんでしょ? 今朝からずっと張り詰めてるし、この前の騎士さんとの会話の時も、様子が変だったし。だから……怪盗ヌーゼと戦う前に、聞かせてほしいなって」

 

 ベルさんが瞳を伏せる。悲しい過去を思い起こすような、物憂げな表情で、彼女は口を開いた。

 

「貴方の言う通り、深い因縁があるのです。あの男のせいで……私は3か月もの謹慎を言い渡されることになったのですから」

 

「へ~(笑) どんな事情なの?(笑)」

 

「内規のため、お話しできませんわ。しかし、あれは惨い事件でした。私は裏切られ、深い喪失感と、心を抉られるような悲しみを抱えて生きているのです」

 

 ベルさんはあたかも悲しい過去を背負った悲劇のヒロインのような顔で語る。

 

「故にこそ……私は怪盗ヌーゼをこの手で捕らえなければならないのです。この因縁に終止符を打つために」

 

 まるで復讐を誓う主人公のような真剣な面持ちで、凄まじい覇気を纏い、ベルさんは拳を握る。

 

「そうなんだ! じゃあ一緒にがんばろう!」

 

「はい! よろしくお願いしますわ!」

 

「ベルさんのためにもがんばるよ! 怪盗ヌーゼのおっぱい触ろうとして身体まさぐってたら催淫魔法喰らって取り逃がした上に誤魔化そうとしたことまでバレて3か月謹慎になった汚名返上しなきゃだもんね!」

 

 ビシッ!とベルさんの表情が凍った。状況を理解し、再び口を動かすまで、なんとたっぷり10秒。

 

「い、い、今なんと……?」

 

「怪盗ヌーゼのおっぱい触ろうとして、身体まさぐってたら、催淫魔法喰らって取り逃がした上に、誤魔化そうとしたことまでバレて、3か月謹慎になった汚名返上しなきゃだもんね!」

 

「なんで知ってるんですのぉッ!!!!!!!」

 

「ごめんね、昨日のポニテ騎士さんに聞いちゃった(笑)」

 

 ベルさんの紅蓮色の瞳が急激に活力を失い、真っ黒になる。白い肌は青ざめて、ますます真っ白になっている。

 そして、絶望の表情のまま、ばたりと後ろに倒れた。綺麗にセットされたツインテドリルがぐしゃっと歪むのもお構いなしだ。

 

「は、ははっ、ははっ……最悪、最悪ですわ……」

 

「ねえねえ(笑)♡ 私は裏切られ、深い喪失感と、心を抉られるような悲しみを抱えて生きているのですってなに~?(笑)♡」

 

「ぎゃあああああああああっ! やめてくださいっ! 言わないでっ!」

 

「故にこそ……私は怪盗ヌーゼをこの手で捕らえなければならないのです。この因縁に終止符を打つために! キリッ! ってやつ、カッコよかったな~?(笑)♡」

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ! やめてっ! もうほんとに許してっ!」

 

 ベルさんは両手で顔を覆い、ラグマットの上でジタバタする。髪もぐしゃぐしゃだ。

 

「ワンチャン女性なら同情してくれる可能性あったのに! なんでよりにもよって、こんなオスガキに……!」

 

 僕はベルさんに近付き、彼女の手を掴んでどかす。すると、羞恥に歪み、唇を噛んでわなわなと震わせた赤面が露わになる。

 

「おっぱい触ろうとして逃げられるとか、処女丸出し~(笑)♡」

 

「ぐうッ……!!!」

 

「マジで処女すぎ~(笑)♡ それで謹慎になったってマジ?(笑)♡」

 

「うるさいッ……! もう言うなッ……!」

 

「ぜったい騎士団であだ名付けられてるよ(笑)♡ おっぱいまさぐり未遂謹慎処女って(笑)♡」

 

「あああああああああああああああッ!!!!! うるさいッ! 付けられてないッ!」

 

 ベルさんは顔を真っ赤にしながら叫ぶ。恥ずかしくて堪らないのか、その目尻にはうっすら涙が光っている。

 

 僕は一旦彼女の両手を放してあげて、立ち上がる。

 

「さて、じゃあ本題ね。怪盗ヌーゼ戦に備えて、特訓しよっか」

 

「は、はい……? 特訓……?」

 

 ベルさんは上半身を起こす。ツインテドリルが乱れていた。

 

「必要ありませんわよ。私の方が強いのですし」

 

「そうじゃないよ。ハニートラップに引っ掛からないように特訓するんだよ」

 

 僕は持ってきた袋から、ふたつの麻縄と、スポンジ製のおもちゃの剣を取り出す。それぞれ、クエストと、忘年会の余興に使ったものである。

 

「縄と、剣のおもちゃですの……? どうするんですの、それ」

 

「僕は怪盗ヌーゼ役になってベルさんを誘惑するから、それに惑わされず僕を捕まえてみてよ」

 

「ゆ、誘惑……」

 

 ベルさんはそう呟く。心なしか、その瞳はきらきらと輝き、うっすらと口角が上がっていた。

 

「あ~(笑)♡ 今エロいこと期待してるでしょ~?(笑)♡」

 

「は、はあっ!? 期待なんてしてませんわっ! そもそもこんな特訓をすること自体が侮辱ですっ! 必要ありませんわっ!」

 

「え~?(笑)♡ 必要だよ~?(笑)♡ 誘惑してもらえるって聞いただけでニヤニヤしちゃう思春期真っ盛りのベルさんには(笑)♡」

 

「だからしてませんわよっ!」

 

 僕はベルさんに、ふたつの麻縄とスポンジの剣を渡す。そして、一度出入口の方へ向かう。

 

「じゃあ、僕がもう一度入ってきたらスタートね?」

 

「わ、分かりましたわよ! やればいいんでしょう! 秒殺してやりますわ!」

 

 僕は一度部屋を出た。そして、再び入室する。

 

 *

 

「……ここまでですわ、怪盗ヌーゼ。諦めて投降なさいませ」

 

 私は、スポンジの剣をフォンさんに向ける。

 

「僕、怪盗ヌーゼじゃないよ。盗品なんて持ってないから、ボディチェックしてもいいよ?」

 

「二度もその手には引っ掛かりませんわ! この卑怯者!」

 

「いや普通は一回も引っ掛からないと思うけど」

 

「うるさいですわっ!」

 

 男には分からないだけですわ! 初めてHカップとご対面して、それを触れる人生唯一のチャンスが目の前にあって、それを選ばない女なんてこの世にいる筈がありませんわ!

 

 ――すると、フォンさんはローブを脱いだ。ローブの下は、魔法使い用の装束だ。

 

 そして、彼はボタンを上から2つ外す。首回りの素肌と鎖骨が見える。

 男のコの肌色というのは――不思議な魔力を帯びている。それがどんなに性的な部位でなくても、エロい目で見ようと思っていなくても、『つい』視線が行ってしまう。

 

「見ちゃダメ、見ちゃダメだよ~(笑)♡」

 

 フォンさんの甘く可愛い声が、私をたしなめる。

 

 ……あれですわね、初めて会った日のような胸チラで私を誘惑するつもりですわね。

 

「もうひとつボタン外しちゃおっかな~?(笑)♡」

 

 そういいながら、フォンさんは3つ目のボタンに指を掛ける。

 

 ふっ、分かってますわよ。どうせ外すフリに違いな――。

 

「えっ、ちょっ、なにしてっ!?」

 

 ――フォンさんは躊躇いなく、3つ目のボタンを外した。

 

 脱ぎかけの装束からチラ見えする、フリル付きの黒いキャミソール。

 そして、キャミソールからこぼれださんばかりの、むっちり♡とした胸筋の北半球。

 筋肉がみっちり詰まった、むちむちの胸板。大きく膨らんだ、硬そうなおっぱい。

 

 が、眼福ですわ……! でも、ここでガン見していたら、それはハニートラップに引っ掛かっているも同義。これ以上バカにされないためも、さっさと決着を付けますわ!

 

 私は距離を詰める。――既に剣の間合い、あとは振り下ろせば――!

 

「僕、Iカップなんだよ」

 

「――」

 

 与えられた情報を理解できず、脳が停止する。

 

 あい……? I、I……? Iって、なんですの……? A、B、C、D、E、F、G、H、I……I!?!?!?

 

「えっ!? I!? Iカップ!?」

 

「うん」

 

「そ、そんなのありえるわけっ――」

 

 なまじ、フォンさんに近付いてしまったせいで、近くで見下ろせる。

 でっっっっっっっっっっかい。雄大な山脈のような、豊かな巨乳。むっちり♡とした筋肉質な、大きいおっぱいがある。

 

 ――怪盗ヌーゼのものと比べても、こっちの方が大きい。それはつまり、本物の淫魔(インキュバス)すらも凌駕する、偉大なおっぱいであることを示していた。

 

「どっ、どうなってるんですの貴方はっ! インキュバスの平均超えてるって、どんだけ大きいんですのっ!?」

 

「今だけ、もっと近くで見ていいよ?」

 

 私は気付けば、無言で、無意識に、もう一歩踏み出していた。

 フォンさんのおっぱいをガン見する。少し身長差があるので、見下ろす形になる。

 

 キャミから覗き見えるおっぱいは、むっちり♡と膨らんでいて、内側からキャミの布地を()している。

 

 うわエロ……すご……触りたい……。思いっきりまさぐって、撫でまわしたいっ……。

 

 あれ、私、いま何して――。

 

「えいっ」

 

 瞬間――フォンさんに剣と麻縄を奪い取られる。

 

「はっ!?!?!?」

 

 気付いた瞬間には、遅かった。フォンさんに突き飛ばされ、ベッドへと倒れる。

 し、しまった! 体勢を立て直さないと――!

 

「弱体魔法――身体能力低下・上級(パワードレイン・レベル8)、状態異常魔法――脱力・筋肉弛緩(ハイ・リラックス)

 

 スポンジの剣から魔法が放たれ、私に直撃する。瞬間、全身の筋肉が弛む。

 

 力が、入らないっ……!? まさか、あの剣に魔法を装填しておいて、杖代わりにしたんですの!?

 

 フォンさんはニヤニヤしながらベッドに上がってくる。その手には、麻縄が握られている。

 

「ちょっ、待って……!」

 

 フォンさんは私の両手首を掴み、縄で縛る。私は抵抗しようと体を捻じるが、ちっとも力が入らない。

 縄の先端をベッドボードの柱に固定され、寝かされたまま吊るされるような体勢になる。

 さらに、私は足首まで縛られ――完全に身動きを封じられた。

 

「はい、確保~(笑)♡」

 

「くっ……!」

 

 私は歯噛みして、フォンさんを睨み付ける。

 

 ニヤニヤするな、このっ……!

 

「ベルさん、特訓なんて必要ないって言ってたのに、あっさりハニトラ引っ掛かってるじゃん(笑)♡」

 

「ぐうッ……!!! ぐぬぬぬぬぅうッ……!!!!!」

 

 悔しさのあまり呻く。でもその通り過ぎて、返す言葉もない。くそッ……! くそッ……! 最悪ですわッ……!

 

「近付いちゃダメだよ、剣の間合いだったんだから斬らないと」

 

「うぐっ……はい……」

 

「あと、おっぱいはもちろん、目を見るのもダメ。インキュバスの視線には微弱だけど催淫効果があるんだから」

 

「うっ……はい……肝に銘じますわ……」

 

 インキュバスでもない相手のハニトラにすら引っ掛かるなんて、あまりにも情けない失態だった。

 

 これでは、騎士失格ですわね……。

 

「さて、じゃあ、男のコの身体に慣れておこっか」

 

「は、はい?」

 

「はい、ぎゅ~」

 

 フォンさんは私の身体に重なるようにして、抱き着いてきた。

 

 あったか……! うわ硬ったっ……! いい匂いするっ……! 密着してくれるのしあわせ……!

 

 ――って、駄目ですわ! これではまたフォンさんの術中ですわ!

 

「どう? 硬い?」

 

 フォンさんは嫣然と微笑む。細められた空色の瞳が、私の心を見透かすように覗き見てくる。女を手玉に取るような――妖しい微笑だ。

 

「嬉しい? ドキドキする?」

 

「こ、こんなのなんともないですわっ!」

 

「へ~(笑)♡ じゃあ、もうちょっとサービスしてあげるね?(笑)♡」

 

「えっ?」

 

 フォンさんが私の耳もとに顔を近づける。唇からこぼれる吐息が、私の耳に掛かった。――それだけで、ごくりと生唾を飲み込んでしまう。

 

「ベルさん、大好き♡」

 

「んっッ……!」

 

「だいすき♡ だいすき♡ だ~いすきっ♡」

 

 砂糖菓子のような、甘くとろける声。「だいすき♡」という甘露な言葉に、脳と心が喜んでしまう。幸福ホルモンがドバドバと放出されて――しあわせになってしまう。

 

「ベルさん、好きだよ♡ 大好き♡」

 

「んんっ……!」

 

 心にもない言葉だと分かっているのに。

 ニセモノだと分かっていても、人生で初めて異性からもらえた「好き」という言葉に、無上の喜びを感じてしまう。

 

 さらに――。

 

「ひゃあッ!?」

 

 生温かい舌が、私の耳に侵入してくる。ちゅっ♡ぴちゅっ♡れろ~っ♡と、耳奥をいじめるように(ねぶ)られる。

 

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ ああっ♡」

 

 温かい舌が、絶え間なく耳をいじめる。

 耳を這う、柔らかくて、あったかい舌。脳味噌の中に反響する、淫猥な水音。

 

 性欲がどばっと噴火して、身体の温度が上がっていく。

 

「ちゅ~っ♡ ちゅっちゅっ♡」

 

「んんぅっ~~~~~~~~~~~!♡」

 

 燃えるように身体が昂る。

 下腹部が火傷しそうなくらい熱い。もう絶対、ショーツの中はぐしょぐしょだろう。

 

 ヤりたい。ヤりたいヤりたいヤりたいヤりたいヤりたいッ!

 

「あはっ(笑)♡ 目ぎんっぎん~(笑)♡ もう完全に発情しててウケる~(笑)♡」

 

「してないッ! 誰が貴方なんかにッ!」

 

 妖しく光る、スカイブルーの瞳。小馬鹿にするような眼差しが、私を見下ろす。

 

 ドクンと心臓が跳ねる。一瞬――フォンさんに魔性の種族(インキュバス)のような翼が生えている姿を幻視した。

 

 え……? なに、いまの……? わたくし、本当に、催淫に掛かって……?

 

「ねえ、僕のおっぱい見て?」

 

 言われるがまま――胸元に視線を下ろしてしまう。

 

 フォンさんは、まだ第3ボタンまで外したままで、むっちりとした北半球が露わになったままだ。

 硬く、大きく、触り心地のよさそうな巨乳。エロすぎる膨らみ方をした、魔性の山脈だ。

 

「触りたい?」

 

「……さ、さ、さっ……」

 

 触りたくなんてないっ。別に興味なんてないっ。そう言ってやりたいのに……。

 青い瞳に見つめられ――ウソが吐けない。だめですわ、そんな目で見られたらっ……!

 

「……さ、触りたいですっ!」

 

 ――言ってしまった。恥も外聞もプライドも捨てて、処女丸出しの願望を口にしてしまった。

 

 フォンさんは、愉しそうな笑みを浮かべ、私を見下ろして――。

 

「ダメに決まってるでしょざぁ~こ(笑)♡」

 

「こんのオスガキぃいいいいいいッ! 絶対襲うッ! 絶対襲いますわッ!」

 

「あはっ(笑)♡ 発情しながら吼えてる~(笑)♡ ケダモノみた~い(笑)♡」

 

「ちっくしょおおおおおおおおッッッ!!!」

 

 ――この後、私は縄を解いてもらえたが、弱体(デバフ)状態異常(カースド)のせいで動けず、ベッドの上でジタバタすることしかできなかった。

 

 フォンさんは部屋に帰ってしまい、私がようやく動けるようになった頃には、既に夕暮れ時だった。

 

 くそっ……あのオスガキ絶対理解(わか)らせる……! でも明日は怪盗ヌーゼと戦うかもしれないから、身体を休めないと……。

 

 *

 

 翌日。僕とベルさんは、宝石店の警護をしていた。

 

 店内中央の巨大なショーケースには、湖水色に輝く宝石『竜の翡翠』が飾られている。たった10グラムで1億Gを超える、超高級宝石である。

 

 そして、その前に僕たち2人は立っている。

 

「来ないね、怪盗ヌーゼ」

 

「……そうですわね」

 

 店内を見回す。数人の店員しかいない。

 依頼主である宝石商曰く『大きな取引があるから、数日本店を留守にする必要がある』とのことで、人員が手薄らしい。

 

「だいじょうぶだよ。魅了耐性(レジスト)も掛けてるし、昨日特訓もしたし、ベルさんなら絶対負けないよ」

 

「はい、必ず怪盗ヌーゼを捕らえ、雪辱を果たしますわ」

 

 正午の鐘がなる。店が休憩時間に入り、店員がバックヤードに引っ込んだ、その時――突如、入口から煙が膨らみ、店内へと流れ込んで来た。

 

 咄嗟に自分とベルさんに『毒耐性(レジスト)』を掛ける。だが――吸い込んでも、煙臭いだけだ。

 

「ただの煙ですわ! 毒性はありません!」

 

 僕はショーケースを背に、周囲を警戒する。煙の中にいようと、結局はショーケースへ突っ込んでくるしかない。

 

 予想通り、人影が突っ込んでくる。

 

「――土魔法・樹人の蔦(オリンタミア)!」

 

 僕は人影に杖を向け、魔法を構築する。植物の根っこを()し束ね、巨人の腕のような形状の塊根を撃ち出す。

 ――人影に直撃し、彼はよろめいた。

 

「聖騎士団流剣術、第二剣――彗星の一太刀(ルリア・ヴァリル)

 

 ベルさんは彼の背後に回り込み――突きを放つ。剣先はその身体を貫き、塊根に突き刺さる。磔刑のごとく、怪盗ヌーゼは身体を串刺しにされ、縫い留められる。

 

「急所は外しましたわ。大人しく縄に付けば治療を施します」

 

「……」

 

 怪盗ヌーゼは何も答えない。徐々に煙が晴れていく。薄れた景色の中、僕らが見たものは――。

 

「えっ」

 

「なっ……!?」

 

 ――剣に突き刺された、機兵人形の姿だった。僕は後ろを振り向く。ショーケースの中が空になっていた。

 

「しまった……!」

 

 出入口の方を見る。黒ローブ姿の男が走り去っていく。

 

「待ちなさい! 怪盗ヌーゼッ!」

 

 僕たちは駆け出す。自分たちに加速魔法(エンチャント)を掛けて、黒ローブの男を追い掛ける。

 しかし――向こうも自身にバフを掛けているせいで追いつけない。

 

 恐ろしく逃げ足が速い。騎士団の追跡すら振り切ったという走力は伊達ではないらしい。

 

「召喚術――岩人形兵(ゴーレム)!」

 

 僕はヌーゼの行く手に、岩人形兵(ゴーレム)を5体召喚する。道を塞ぐようにぎっちりと敷き詰められた岩人形兵(ゴーレム)が、壁となって立ちはだかる。

 

「……ッ!」

 

 ヌーゼは一瞬立ち止まるが、すぐに細路地に入っていった。僕らもそれを追い掛ける。

 

「――残念だけど、そっちは行き止まりだよ」

 

「くッ……!」

 

 ヌーゼは行き止まりに突き当たり、立ち往生する。が、こちらを振り向き、ローブを外した。

 爽やかな青年に見える。僕には及ばないが、確かにおっぱいが大きい。

 

 彼は焦った様子で――。

 

「……ま、待ってください騎士さん! 俺は怪盗ヌーゼじゃないんです!」

 

「もうその手には引っ掛かりませんわよ!」

 

 ベルさんがそういって剣を向ける。ヌーゼは何かに気付いたようにハッとした。

 

「あっ! あの時の騎士だ!」

 

「あの時はよくも騙しましたわねっ! 貴方は絶対に許しませんわ! 貴方のせいで私は恥をかかされ、謹慎になったんですのよ!」

 

「いや知らないし。ていうか仕事中に男のおっぱい触ろうとする方が悪くない?」

 

「ベルさんが男のおっぱいに勝てる訳ないでしょ!」

 

「貴方はどっちの味方なんですの!?」

 

 ベルさんはヌーゼへと斬り掛かる。――が、彼は巧みにその斬撃を躱す。

 

 二撃目、三撃目――と、ヌーゼは素早い身のこなしで斬撃を回避し続ける。

 普段よりベルの動きが鈍い。おそらく、インキュバスに凝視され続けることで、少なからず催淫効果が表れているのだろう。

 

「炎魔法・燎原の火(ライヴァング)!」

 

「聖騎士団流剣術、第一剣――光星の一太刀(リーシュ・ヴァリル)!」

 

 ヌーゼが火球を放つ。――しかし、ベルさんの斬撃に両断される。火球は二つの火の玉に割れて、左右の壁に着弾した。

 

 ベルさんは剣を引き、突きの構えを取る。

 

「聖騎士団流剣術、第二剣――彗星の一太刀(ルリア・ヴァリル)!」

 

 ――神速の一突き。ヌーゼは躱しきれず、僅かに肩を切り裂かれ、よろめいた。その隙を狙い、僕は魔法を放つ。

 

「土魔法・樹人の蔦(オリンタミア)!」

 

 塊根を放つ。――極太の根がヌーゼに直撃する。彼は吹っ飛ばされ、壁に激突した。

 そのまま落下し、壁を背にして倒れたまま、首ががくっと傾いた。

 

「おつかれさま、ベルさん」

 

「お疲れさまですわ! 遂に雪辱を果たしましたわ! これが私の名誉を傷つけた愚か者の末路ですわ! オ~ッホッホッホッ!」

 

 ベルさんは高笑いしながら倒れたヌーゼへと近づく。そして、彼を縛ろうと縄を取り出し――。

 

催淫術・強制発情(セオル・エロス)洗脳術・自我混濁(イエム・エゴサンディス)

 

「「!?」」

 

 ――突然ヌーゼが起き上がり、ベルさんに魔法を掛けた。

 

 ゼロ距離で催淫・洗脳魔法を喰らってしまったベルさんは、胸を抑えて(うずくま)る。

 

「ベルさんッ!」

 

 僕はヌーゼへ向けて塊根を放つ。彼は素早く躱し、距離を取る。――僕たちとヌーゼの立ち位置が入れ替わってしまった。

 

「ベルさんッ! しっかりッ!」

 

「うっ……くっ……!」

 

 僕はベルさんの下へ駆け寄った。彼女は胸を抑えたまま呻いている。頬が紅潮し、息も荒くなっている。

 ――強い発情状態だ。とても戦える状態ではない。

 

 ヌーゼは余裕の笑みを浮かべる。僕は彼に杖を向け――。

 

「土魔法・樹人の蔦(オリンタミア)!」

 

「炎魔法・燎原の火(ライヴァング)!」

 

 僕の打ち出した塊根が、火球によって燃やし尽くされる。

 

 マズい。人間種(ヒューマン)淫魔族(インキュバス)では、魔力量に差がありすぎる。しかも、得意とする魔法の相性も最悪だ。

 魔法陣を描く時間はないし、魔法陣を描かずに召喚するエネミーやゴーレムでは弱すぎる。

 

 1対1では、勝てない。ベルさんの協力なくして勝てる相手ではない。

 

「ベルさんッ! がんばって!」

 

「うぅっ……!」

 

「ムリだよ。キミの声は彼女に届かない。いま、彼女は、俺に恋をしてる」

 

 彼は笑いながら後退していく。このままだと逃げられてしまう。岩人形兵(ゴーレム)を召喚して道を塞いでもいいが、それだと召喚主である僕が狙われて、結局負ける。

 

 横目で、ベルさんの様子をうかがう。恋をしている表情。焦がれるような眼差し。荒い呼吸。紅潮した顔色。――完全な洗脳状態だ。

 

「お願いベルさんっ! 立って!」

 

「うぅッ……! む、無理ですっ……! ヌーゼさんに攻撃なんてできませんっ……!」

 

「目を覚まして! アイツはベルさんが謹慎になった原因なんだよ!」

 

「でも……! 私は、ヌーゼさんのことが好きでっ……!」

 

「ベルさん、後でおっぱい触らせてあげるからアイツ倒して!」

 

「はい!」

 

 ――元気な返事と共に、ベルさんが立ち上がった。僕とヌーゼは何が起こったのか理解できず、目を丸くする。

 

「「えっ?」」

 

「フォンさん、言質取りましたわよ! ヌーゼを倒せばおっぱい触らせてくれるんですのよね!?」

 

「え、うん」

 

 僕は呆然としたまま頷く。ベルさんは剣を構え、ヌーゼへと斬り掛かった。彼は逃げようとするが――咄嗟に僕は岩人形兵(ゴーレム)を召喚し、道を塞いだ。

 

「え、ちょっ、まさか、俺の洗脳が上書きされてっ……!? お前、何者だっ!?」

 

「いや、何者といわれても……」

 

 やけになって、ダメもとで叫んだだけなんだけど……。

 

 ベルさんの斬撃がヌーゼを掠める。それに合わせるように岩人形兵(ゴーレム)を動かし、隙だらけの脳天に拳を振り下ろす。

 ――ゴスッ!と鈍い音がした。

 

「がっ……!? あり、えない……! 淫魔(インキュバス)の洗脳を、人間ごときが上書きできる筈が……!」

 

 フラフラとよろめくヌーゼを、ベルさんが柄頭で殴る。彼は完全に意識を失い、バタリと倒れた。

 

 僕は油断せず、彼を植物の根でぐるぐる巻きにして拘束する。更にその上から縄で縛って、完全に身動きを封じた。

 

 一方、ベルさんは自分の手を見ながら、不思議そうな顔をしている。

 

「どうして、突然意識が戻ったんですの……?」

 

「わかんない……。でも、ヌーゼも倒せたし、事件は無事解決だね」

 

「ええ……そう、ですのね。私、ついに、因縁の『怪盗ヌーゼ』を、この手で倒したんですのね……」

 

 ベルさんは拘束されているヌーゼを見ながら、しみじみと呟いた。

 

 ――この後僕たちは、盗まれた宝石を回収し、ヌーゼを騎士団に引き渡した。

 

 万事解決だ。……突然洗脳が解除されたのは、謎だったけど。

 

 *

 

 激闘を終えた私たちは、寮に帰ってきた。階段を上がりながら、フォンさんと話す。

 

「またしても洗脳されてしまって、ご迷惑をお掛けしました。申し訳ありません」

 

「こっちこそごめんね。一撃で仕留めきれなかった上に、倒したと思っちゃった。お互い様だね」

 

 そして、私の部屋の前に着いた。

 

「じゃあ、おやすみベルさん」

 

 フォンさんはそういって、自分の部屋へ行こうとする。――反射的に、ガシッと彼の腕を掴む。

 

「約束、覚えてますわよね?」

 

 ――ベルさん、後でおっぱい触らせてあげるからアイツ倒して!

 

 ――フォンさん、言質取りましたわよ! ヌーゼを倒せばおっぱい触らせてくれるんですのよね!?

 

 ――え、うん。

 

 確実に、言質を取っている。約束したはずだ。私には、おっぱいを触る権利がある!

 

「や、約束しましたわよねっ」

 

「いいけど、せめてシャワー浴びさせてよ。汗臭いし」

 

「駄目ですわ。このまま部屋に帰したら、そのまま出てこない恐れがありますわ」

 

「えぇっ~~~~~!?」

 

「約束は果たしてもらいますわよっ! さあっ!」

 

「うぅ……」

 

 私はフォンさんの手を引き、自分の部屋に入る。

 

 ――今から私は、異性のおっぱいを触る。ヤバい、ヤバいヤバいヤバい。めちゃくちゃ興奮するっ。

 

 フォンさんはベッドに腰掛ける。

 

「寝転んでくださいませ。膝立ちだと、身長差のせいで触りにくいですわ」

 

「こ、こう……?」

 

 フォンさんはベッドに横になる。そして、私もベッドの上に乗る。

 

 フォンさんは、魔法使い用装束のボタンをひとつずつ外していく。

 

 男のコの生脱ぎ……えっろ……。

 

 はぁはぁと、呼吸が荒くなる。興奮のせいで涎が分泌されて、生唾を飲み込む。

 

 フォンさんが、装束を完全に開いた。上半身を包む、可愛らしくも煽情的な、黒いフリル付きのキャミソール。

 

 そして、キャミソールからこぼれ出しそうな、むっちり♡とした胸筋。

 

 えっろ……マジで、えっろ……。エロすぎっ……。

 

 私は止まらない生唾を飲み込む。胸元をガン見し、そのキャミソールがめくられる瞬間を待つ。

 

 フォンさんの頬は、ほんのり桜色に紅潮していた。そして彼は、自分の手でキャミソールをめくり上げ――運命の瞬間が訪れる。

 

 ――巨大なおっぱいが露わになる。

 

 筋肉で大きく膨らんだ、硬そうなおっぱい。豊かに育った、山脈のような巨大な胸板だ。

 その真ん中には、可愛らしい、きれいなピンク色の乳首がある。

 

 わぁああああああああああ!

 

 わ、わぁあ~~~~~~~~っ!

 

 おっぱい! 

 

 本物のおっぱい!!!!!!!

 

 男のコのおっぱいだぁあああああっ!!!!!

 

「うわっ、これっ、なんか恥ずかしいっ……あんまり見ないでよっ……」

 

 でっかッ……!!!

 

 でっかッ……!!!!!!

 

 でかすぎますわッ……!!!!!!!!!!!

 

 ――「見ないで」といわれても、無理に決まってますわ! このおっぱいから目を逸らせるわけありませんわっ!

 

「ちょ、ちょっと……見すぎっ……!」

 

 フォンさんの顔が赤い。『自分から下着をめくっておっぱいを触らせる』という行為は、いくらフォンさんでも恥ずかしいらしい。

 

 そんな姿すら、私をますます昂らせる。私は目をギンッギンに見開き、おっぱいをガン見する。

 

「いっ、いいんですわよねっ!? 触ってもっ!?」

 

「うん、いいよ……」

 

 私は、両手をめいっぱい開き――ガバッとおっぱいに触れた。

 

 ふわぁ……硬ったぁ……! すっご……! 硬い……えっろ……えっろっ……!

 

 むっちり♡と淫猥に膨らんだ胸板。私はその巨乳を、手のひらいっぱいで触り、摩り、撫でつける。

 硬くて、卑猥で、幸せな感触だ。手のひらと五指、すべてでおっぱいの硬さを堪能する。

 

「はあッはあッ! 硬った……! でっか……! エロすぎッ……! 最高ッ……!」

 

「うぅっ……」

 

「ふぅッふぅッ~! エロすぎますわっ! なんですのこのおっぱいっ! でかすぎますわよっ!」

 

 いま、私、異性のおっぱい触ってる……!

 

 男のコのおっぱいに触ってる……!

 

 最高ですわ~~~~~~~~~~~!

 

 私は右手でフォンさんのおっぱいをまさぐりながら、左胸に顔を押し付け、頬擦りする。

 

「な、なにっ!?」

 

「硬った~~~~~~! 最高ですわっ!」

 

「ちょっ、こんなの許してないんだけど!?」

 

 フォンさんの声が頭に入ってこない。

 

 やめられない、止まらない。

 

 おっぱいが持つ魔性の引力に惹かれ、手と顔がおっぱいから離れない。

 

 ――頬に感じる、硬くむっちり♡とした、最高の感触。顔面をおっぱいに埋めるの天国すぎるっ……!

 

「硬すぎっ! エロすぎっ! 最高ですわっ! もうここに住みたいですわっ!」

 

「住まないでっ! 離れてよっ!」

 

「いやですわっ! 今日から本籍地フォンさんのおっぱいに移しますわっ!」

 

「言葉選びがキモすぎるんだけどっ!!!」

 

 おっぱいに顔面を押し付け、すんすんと匂いを嗅ぐ。クエスト後の汗の匂いと、男のコのいい匂いが混じった――媚薬のようなえっちい香りだ。

 

「ちょっ、嗅がないでよ汗臭いからっ!」

 

「オス臭えっろ……! やっば、興奮止まらないですわっ……!」

 

「ああもう最悪! だからシャワー浴びたかったのにっ!」

 

 オスのエロい匂いをいっぱいに吸い込み――脳へと幸せが直撃する。ますます体が昂り、全身の血液が熱く沸騰する。唾液がぜんぜん止まらない。

 

 右手でおっぱいを触り、左胸に顔面を押し付けて堪能する。すると――まさぐられているせいか、ピンク色の乳首がピンと立ってきた。

 

 その卑猥な突起に惹かれるように――乳首を口に含み、舐める。

 

「んひゃっ……!? な、舐めるのはだめ! 禁止!」

 

 その言葉で、余計止まれなくなる。フォンさんの嫌がる声すら、燃え盛る炎へ油を注ぐように興奮を促進させて、ますます身体が昂る。

 

 私はフォンさんの言葉に反し、乳首を舐め続ける。更に、右手でピンと立った乳頭を(つね)り上げると――。

 

「んああああっ!?♡」

 

 フォンさんがエロい喘ぎ声を上げた。止まれない。エロすぎる。最高すぎる。

 

「んっ!♡ んっ!♡ んっ!♡ んっ!♡ んんっ!♡ んひゃっ!? ああっっ!♡ だめっ!♡ あっ!♡ あっ!♡ ああんっ!♡」

 

 左乳首をしつこく舌ビンタして、右手で乳頭をくりくりといじると、フォンさんはずっと気持ちよさそうに喘ぎ続ける。

 その甘く可愛い声が、あまりにもえっちで、下半身に響く。下腹部が熱くて仕方ない。

 

 ――そして私は、思いっきり左乳首を吸い、同時に右乳首をぞりっと抓り上げた。

 

「んああああああああああっ!!!!!♡」

 

 フォンさんの身体がビクッと海老反りになり、ひと際高い声で()いた。

 

「フォンさん、感じてますの?」

 

「は、はあっ!? 感じてないけど!? 処女の拙いテクニックじゃこれっぽっちも感じないけど!?」

 

 必死に強がるフォンさんのせいで、余計に嗜虐心が燃え上がる。

 

「んっ♡ んっ♡ んっ♡ んっ♡ んんっ!♡」

 

 私はちゅうちゅうとフォンさんのおっぱいを吸う。その度、フォンさんは喘ぎ声を漏らす。

 

「らめっ!♡ らめっ!♡ これほんとにらめっ!♡ ふぐっ……!♡ このっ……!♡」

 

 電流が流れるように、フォンさんの身体がびくびくっと跳ねる。顔を真っ赤にして、できるだけ喘ぎ声を上げないように、快楽信号に耐えている。

 

「感じていない割には、ずいぶんと気持ちよさそうですわね?」

 

「こんのっ……! 処女のくせにっ……!」

 

 フォンさんはスカイブルーの瞳をうるうると潤ませ、私を睨む。その悔しそうな表情が、私の嗜虐心と征服欲を満たしてくれる。

 

「生意気なオスガキですわね。それなら、もっといじめてさしあげますわ……!」

 

 再び乳首を吸おうと顔を近づける。――が、キャミソールをバッと下ろされて遮られる。

 

「じゅうぶん触ったでしょ! もうおしまい!」

 

「なっ!? まだですわ! いくらなんでも短すぎますわ!」

 

「だめ! 終わり!」

 

「こんなところで終われる訳ないでしょう! この機会にしっかり理解(わか)らせてさしあげますわっ!」

 

 私はキャミソールに手を掛け、まくり上げようとすると――。

 

「謹慎理由ギルドメンバー全員に言いふらすよ?」

 

「うぐっ!?!?!?!?!?」

 

 私はキャミをめくろうとした手を止める。

 

 そ、それはマズい。私の名誉が地の底に落ちてしまう。もうギルドに行けなくなる……!

 

「ぐっ、ぐうっ……! ぐぅうううううっ!」

 

「えっちょっ、なんで泣くの!? うそうそ! 言わないから! 泣かないでベルさん!」

 

「乳首吸うのはやめますから、もうちょっと触らせてくださいっ! Iカップのおっぱい触れるなんて、一生に一度あるかないかの機会なんです! どうか慈悲をくださいませ!」

 

「え、えぇ……」

 

 おっぱいは誇りより優先される。この日、この瞬間だけは、プライドを脇に置いておこう。

 

「一生に一度なんて、寂しいこと言わないでよ」

 

「えっ……?」

 

 フォンさんは、慈父のように穏やかな笑みを浮かべる。

 

「ベルさんが触りたいなら、毎日触ってもいいよ?」

 

「マジですの!?!?!?!?!?!?!?!?」

 

 過去イチ大きい声が出た。

 

 人生で、最大の衝撃だった。

 

 え、毎日おっぱい触れる!? そんな夢のような話があるんですの!?

 

「えっ、ほ、ほんとですの!?」

 

「いいよ、でも、僕以外にえっちなことしちゃダメだよ?」

 

「もちろんですわ!」

 

 奇跡だ。

 

 奇跡が起きた。

 

 私、これから毎日フォンさんのおっぱい触れるんだ!

 

「ありがとうございますフォンさん! 私生きててよかったですわ!」

 

「あははっ、えっと、シャワー浴びてきていい?」

 

「それは失礼いたしましたわ!」

 

 私は素早くフォンさんの上からどく。今日だけは、生意気なオスガキが、神様のように見えた。

 

「ベルさん」

 

 フォンさんは立ち上がる。そして、私の耳もとに顔を近づけ――。

 

「僕のこと、い~っぱいオ○ズにしていいよ?♡」

 

 ちゅっ♡と、私の耳にキスをして、フォンさんは部屋から出ていった。

 

 取り残された私は、バタリとベッドに倒れる。下腹部が燃えるように熱を帯びている。まだ、おっぱいの感触が、鮮明に手に残っている。

 

 欲望のまま、ショーツの中に手を伸ばそうとして――ピタリと止まる。

 

 私の脳裏に、数日前の光景がよぎる。――あれは、フォンさんに「僕のことオ○ズにしたでしょ?」と聞かれ、「ありませんわ」と言ってやった時のことだ。

 

 ――思い上がりましたわね! 自分に性的魅力があると思っているその増長、度し難い程の自意識過剰っぷりですわよ! オ~ッホッホッホッ!

 

 ――いつか絶対オ○ズにさせてやるからっ……!

 

 初めて、フォンさんの悔しそうな顔を見れた瞬間だった。

 

 私がフォンさんにマウントを取れる、たった一つの要素。1:99のパワーバランスの、1の部分。

 

 もし私がフォンさんをオ○ズにしたら、その1すら失うことになる。

 0:100の、完全敗北になる。正真正銘、格下のクソザコ処女であると認めたことになる。

 

「ぐぅッ……! ぐぅうううううッ!!!!!!」

 

 私は葛藤する。

 

 負けたくないっ……! 負けたくないっ……! 負けてたまるかっ……!

 

 でも、これ苦しいっ……!

 

 人生で初めて異性のおっぱいを触って、その夜オ○ニー我慢できるわけないじゃないですのッ……!

 

 でもっ! でも嫌だっ! あんなオスガキに負けたくないっ! クソザコ処女だなんて自分で認めたくないっ……!

 

「ぅううう~~~~~~~~~~~~~ッ!!!!!」

 

 だめだ。がまんできない。

 

 ――そして私は、フォンさんに敗北した。

 

*1
この世界の男性のカップ数は、女性と測り方が違います。





『フォン』

性別:男性
容姿:銀髪、水色の瞳。この世界においてIカップ相当の巨乳(胸板が大きい程カップ数が大きい)
職業:Aランク冒険者・召喚術士
備考:処女をからかって遊ぶのが大好き。

『ベル』

性別:女性
容姿:金髪、ツインテドリル、紅蓮色の瞳。Aカップ。
職業:騎士団員(謹慎中)→仮冒険者
備考:処女であることに強いコンプレックスを抱いている。
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