処女が許されるのは16歳までだよね~?   作:耳野笑

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 前回のあらすじ!

 フォンとベルは、ギルドメンバーたちと海水浴に来た!

 夜、海の見える窓際で、フォンが「好きです。付き合ってください」とベルに告白した!
 ベルは告白を受け入れ、初めて彼氏ができたことに歓喜した!

 さらに、ファーストキスをする!

 ベルはこの流れのまま「これ、イケる。処女、卒業できる」と確信し、フォンの身体に手を伸ばす。
 ――瞬間、それを止められ「『処女をからかって遊ぶ』のが、ずっと夢だったんだ」「まだ煽りたいから、もうちょっとだけ処女でいて?」と言われる!

 ベルはそのまま襲おうとするが、睡眠魔法を掛けられて眠りに落ちてしまったのだった!


第9話 ベルの実家にお邪魔する!/ワクワクお菓子作り!/とあるオスガキの末路!

 

「フォンさん、今週末、我が家で懇意にしている方をお呼びするパーティーを行うのですが、いらっしゃいませんか?」

 

 ある日のこと、僕はベルからそう誘われた。

 

「それって、ベルの実家でご両親に挨拶できるってこと?」

 

「まあ、そうなりますわね」

 

「やった~! 行く行く!」

 

 以前ベルが僕の実家に来てくれた時から、僕もベルのご両親に挨拶したいと思っていた。

 

 これはいい機会だ。もう正式な恋人になったとはいえ、外堀をしっかり固めてしまおう。

 

 *

 

 そして、パーティー当日。

 

 ベルの実家を訪れた僕は衝撃を受けた。

 

「でっっっっっっっっっか……!」

 

 お城のような、巨大な邸宅。バラ園と噴水のある庭。

 

 庭園に囲まれた正方形のスペースには無数のテーブルがあり、豪華な料理が並んでいる。

 

 既にパーティーは始まっていた。身に纏う衣装や宝飾品からして、いずれも名家や豪商など地位ある身分の人たちだろう。彼女たちはワイングラスを片手に談笑している。

 

 ――超大金持ちの豪邸、超大金持ち主催の立食パーティーだった。

 

「すごいね、ベル」

 

「初めて来た方はみんなそう仰いますわ」

 

 隣に立つベルは、襟に金色の蝶の刺繡が入った、黒のロングドレスを纏っている。細いロングドレスが、彼女のスラっとした体形によく調和して美しい。

 金髪のツインテドリルという髪型も相まって、豪奢で厳かな雰囲気を醸し出す。

 

 ベルがお嬢様であるという事実を、改めて実感する。

 

「ドレスコード、ベルに任せて正解だったよ」

 

「ふふっ、よくお似合いですわよ」

 

 僕はベルに選んでもらった、白のタキシードを着ている。水を纏うような滑らかな素材で、高級さがよく分かる。

 

「では参りましょう」

 

「腕組んでいい?」

 

「ど、どうぞ」

 

 僕はベルの腕を掴んで、夫婦のように、パーティー会場へと入る。

 

 すると、こちらに気付いた人たちが、驚いたように僕たちを見る。

 

「僕、変じゃない?」

 

「問題ありませんわ。むしろ好ましい反応ですわよ、これは」

 

 そういうベルは、どこか鼻が高そうだった。

 

 ――僕は可愛い。

 

 とても可愛い。

 

 世が世なら、国を傾けた絶世の美少年だ。

 

 そんな自分がノーブルな衣装に身を包んでいる姿が、周りにどう映るのか。

 そして、そんな男を連れている女が、どう見えるのか。

 

 確かに、彼女たちの視線には、羨望があるように見えた。

 

 その時――。

 

「えっ……ベル……?」

 

 僕らを見て愕然としている2人の女性が、ベルの名を呼んだ。

 どちらも綺麗な女性だ。金髪で、鼻が高くて、どことなくベルに似ているような――。

 

「お久しぶりですわ、トランお姉様、クラリエお姉様」

 

「えっ!? お姉様!?」

 

 僕は驚いて、ベルと彼女たちを交互に見る。

 

「こちらは長女のトランお姉様、次女のクラリエお姉様です」

 

「ベル、姉妹いたの!? そんなこと言ってなかったのに!」

 

「すみません、言う機会がなかったもので。実は私、三姉妹の三女ですわ」

 

 僕は改めて2人を見る。一方、彼女たちは信じられないものを見るような目で僕たちを見ていた。

 

「ベル! だ、誰なのそのえっっっぐい美少年!?」

 

「腕組んでるけど、ま、ままままままさか……!?」

 

 狼狽えている2人の姉に、ベルは満面の笑みで答える。

 

「紹介いたします。彼はフォンさん、私の恋人ですわ」

 

「「いやぁあああああああああああああっ!!!」」

 

 2人はこの世の終わりのように絶叫した。

 

「くっ……ぐぅううううううううううううううっ!」

 

「ひっぐ……ぐすっ……! うぅ……ひっく……!」

 

 号哭する2人の姉。妹に彼氏ができたことを喜んでいるというよりは、悲しくて絶望の涙を流しているように見える。

 

「ありえないっ! ありえませんわっ! 私たち三姉妹は『大人になって彼氏できなくても皆仲良く一緒だよね』と固く誓い合った仲じゃありませんの!」

 

「しかも、しかもそんなっ、めちゃカワ美少年とかっ……! 許せないっ……! 許せませんわっ……!」

 

「その、どうか気を落とさず。お姉様方にもきっと良い相手が見つかりますから」

 

 取り乱す姉2人に、ベルは励ましの言葉を伝える。

 

 しかし、彼氏を自慢できて誇らしいのだろう。ベルの表情は喜色満面。ニヤニヤを隠し切れず、口がきれいな弧を描いている。

 

「笑ってんじゃありませんわっ! 実の姉に向けてなんですのその目は!」

 

「妹に先越されるとか立場ないじゃありませんの! こんな公衆の面前で姉を辱めるのがそんなに楽しいんですの!?」

 

「いえ、とんでもないですわ」

 

「ニヤニヤすな!!!!!!!!!!!!」

 

「いいなぁっ……! 私もそんな可愛い彼氏パーティーに連れて来て自慢したいっ……!」

 

 怒りをぶちまけるトランさんと、悔しさに震えるクラリエさん。

 と、鼻高々でご機嫌なベル。

 

 僕は改めてトランさんたちに向けて挨拶する。

 

「挨拶が遅れてごめんなさい。冒険者のフォンです。ベルさんとお付き合いさせてもらってます」

 

「初めまして、長女のトランですわ。この家の当代当主です。今からでも私に乗り換えてくださいませんか? この屋敷あげますわよ?」

 

「同じく次女のクラリエですわ。実は私、王都で文官をしておりますの。お金ならありますから結婚してくださいませ」

 

「ごめんなさい。僕はベルのことが大好きなので」

 

「「ぐはっ!?!?!?」」

 

 トランさんとクラリエさんが胸を抑えて膝を突く。苦しそうに呻き、血涙を流している。

 

「あははっ、面白いお姉さんたちだね」

 

「これ冗談とかじゃなくて本気で言ってますわよ、この姉ふたり」

 

 トランさんとクラリエさんが凄まじい形相を浮かべながら、僕たちを見上げる。

 

「どうやって知り合ったんですの……?」

 

「私も気になりますわ。どうやって仲良くなったんですの?」

 

「一緒にクエストを組むうちに仲良くなって、同じテントで寝泊まりしたり、一緒に聖祭(フェスタ)の夜を過ごしたり、海に行って遊んだりしました!」

 

「ああやっべ、死にてえですわ」

 

「いいなぁ……いいなぁ……。…………。……いいなぁっ!!!!!」

 

 唇を噛み締め、嫉妬と羨望の籠もった眼差しを向ける姉妹。

 

「ところでお姉様方、お母様とお父様にも挨拶をしたいのですが、どちらにいらっしゃるかご存じありませんか?」

 

「ああ……あっちの、通路側の方で商会長とお話しされていましたわ……」

 

「ありがとうございます。それではごきげんよう、お姉様方」

 

 この後、僕はベルのご両親にも挨拶を済ませた。どちらも優しそうな人たちでホッとした。

 

 ……いつか、結婚の挨拶をする時も、また来ることになるのかな。

 

 *

 

 数日後。

 

 私たちは巨大な農園に来ていた。見渡す限り、一面の小麦と野菜畑が広がっている。

 

()っろ~~~~~~~~~~~!」

 

 と、フォンさんが叫んだ。

 

 今回は1週間掛かりの中期クエストである。依頼主は豪農。依頼内容は、特殊な木々の伐採である。

 

 まず、小麦や野菜といった農作物が育てられているエリアがある。

 そして、そこを取り囲むように、ぐるっと人工林が廻っている。この林には、魔獣が嫌う匂いの香木が用いられており、魔獣による作物被害を防止する役割を持つ。

 

 この林の一部伐採が今回のクエストである。人工林が育ちすぎて、作物を育てている内部エリアと、外側の公有地にまではみ出してきてしまったのだ。

 

「聖騎士団流剣術、第四剣――環星の一太刀(レイル・ヴァリル)!」

 

 私の剣が仄かな氷色の魔力を帯びる。――横薙ぎの一閃。樹木は真一文字に切断され、轟音と共に倒れる。

 

「召喚術――剣機兵(ソルジャー)

 

 一方、フォンさんは機械人形を10体召喚した。それぞれに斧を持たせて、木を伐採させる。彼自身は、既に伐り終えた切り株に座り、機兵たちを操っている。

 

 こうして、作業を進めることしばらく――。

 

「そろそろ休憩にしよっか」

 

「はい、それにしても果てしないですわ……」

 

 私たちは作業を中断し、農園内の小屋に入る。依頼主からは、この小屋を自由に使ってよいと言われている。

 

 小屋といっても、普通の家と遜色ない大きさである。寝台だけでなく、調理器具や食料も備蓄されており、これも自由にしてよいらしい。

 

 フォンさんは15分ほどキッチンに立ち――。

 

「はい、どうぞ」

 

 出てきたのは、ふわふわのスフレパンケーキ。一口大のパンケーキが、大皿の上にいくつも積み重なっている。

 

「えっ、いいんですの!?」

 

「もちろんだよ」

 

「い、いただきます」

 

 私たちはスフレパンケーキを食べる。ふわふわの触感と、ハチミツの甘さがたまらない。この農園で作られたイチゴジャムやブルーベリージャムともよく合う。

 

「お、美味しいですわっ……!」

 

「ふふっ、よかった」

 

 えっ、やわらかっ……! 本当に美味しいですわっ……!

 

 私は夢中でフォンさんのパンケーキを食べていると――。

 

「いつかマイホーム買って、こんな風に暮らしたいね」

 

「……っ!?」

 

 私は驚き、一瞬喉を詰まらせかけるが、どうにか口のものを飲み込む。

 

「び、びっくりしましたわ。同棲なんてあまりにも自分には縁遠いことだったので、考えたこともなくて……」

 

「これから先は、なんでもできるよ」

 

 フォンさんは穏やかな声でそういって、慈父のように柔らかな微笑みを浮かべる。

 

 私は窓の方を見て、空を仰ぐ。眩しい陽射しと、鳥の鳴く声が、私の人生を祝福している。

 

 これが、幸せというものなんですのね……!!!

 

 *

 

 シャワーを浴びてから寝るまでの、空き時間。

 

 私とフォンさんは、テーブルを挟む形でソファに座っている。フォンさんは明日の献立を考えていて、私は明日の伐採範囲を確認している。

 

「あれ、薄力粉ってあるんだけっけ」

 

 と、フォンさんが呟き、立ち上がった。私の真後ろに食品棚があるので確認するつもりのようだ。

 

 私の方が近いので代わりに確認してあげようとすると「あ、いいよ」と制された。フォンさんはそのまま私に近付いてきて、ソファに片膝を乗せ、ぐいっと前傾姿勢になって背後の食品棚を漁り始める。

 

 つまり――目の前に、フォンさんのおっぱいが来る。

 

「~~~~~~~~~~っ!!!!!」

 

 あ、でっっっっっっか。でっか。

 

 服越しでも、みっちり♡とした胸筋の形が分かる。

 

 大きくて、豊かで、淫猥なおっぱいが、目と鼻の先にある。

 

 たちまちスケベ心が頭をもたげる。体温が急上昇して、鼻息が荒くなり、口内に唾が分泌される。薄手の服越しに自己主張する豊かなおっぱいを、鋭い眼力でじっと凝視する。

 

 ていうか、お風呂上がりだからびっっっっくりするぐらい、いい匂いする。幸せで温かい匂いを嗅いだせいで、頭も蕩けそう。

 

 エロっ……! エロすぎですわっ……!

 

「あったあった。邪魔してごめんね、ベル」

 

「いえ、大丈夫ですわ」

 

 離れていくフォンさん。離れていくおっぱい。

 

 少々惜しいが、何事もなかったのように振る舞う。こんな何気ない接近にまで興奮してしまうのは、流石に処女丸出しすぎて恥ずかしい。

 

 平然と、仕事に集中しているクールな女を演じる。

 

「ベル」

 

「はい」

 

「おっぱい見てたのバレバレだよ?」

 

「ぶふっ……!?」

 

 急に核心を突かれて、思わず噴き出す。

 

 同時に、内臓が冷えるような嫌な感覚に襲われる。

 

「み、見てませんわよ」

 

「男の子って、そういう視線分かるんだよ?」

 

「み、見てませんってば」

 

 やっばい。胃が痛い。頭重い。

 

 これは、トラウマになっている出来事のフラッシュバックだ。

 

 フォンさんと初めて会ったあの日――胸をチラ見しているのがバレた時の絶望的な焦燥感が再燃している。

 

「処女って、そういう仕草でバレちゃうんだよ? 余裕のない態度と、胸をチラチラ見ちゃう回数で(笑)♡」

 

 つんつんっと、鼻をつつかれる。手玉に取られているようで、ひどく屈辱的だった。

 

「ぐっ……このっ……!」

 

「非処女と処女って、視線が違うんだよ? 非処女の人は男のコの生おっぱい見たことあるから、そこまでがっつかないんだよ。でも、処女の人は男のコのおっぱいを見れる機会に乏しいから、『今しかない!』って思ってガツガツ見ちゃうんだよね?」

 

「うぅっ……!」

 

「処女特有の、必死な熱視線(笑) だからバレバレ(笑) しかも、バレてることに気付かず、鼻の下伸ばしてジロジロ~って見てるの(笑)」

 

 非処女と処女の違いを区別し、後者に当て嵌まることを丁寧に説明される。『クールな女傑騎士』という誇り高い特徴を、『スケベ心丸出しクソダサ処女』に塗りつぶされ、自尊心が削られる。

 

 愉しそうに細められた、青い瞳。処女を嘲笑する、獰悪に歪んだ口もと。

 

 私は苦しくて、悔しくて、ソファにばたんと倒れ込む。

 

「うぅっ……! 貴方が卒業させてくれないからじゃありませんの……!」

 

 目を瞑り、耳を塞ぐ。すると、無理やり右手をどかされ――。

 

「処女さん(笑)♡」

 

 耳もとで罵倒され、ふぅ~♡と吐息を吹き込まれる。不意打ちすぎて、陸に上がった魚のようにビクンっと跳ねてしまった。

 

「あははっ(笑)♡ じゃあそろそろ寝よっか。おやすみ~」

 

 取り残された私は、絶命した魚のようにピクリとも動けず、横たわったまま。

 

 ち゛、ち゛っ゛く゛し゛ょ゛ぉ゛っ゛……!!!

 

 *

 

 私とフォンさんは寝室に移動した。ベッドは2つある。

 

「おやすみ、ベル」

 

「おやすみなさいませ、フォンさん」

 

 ――そして、眠りについて数時間後。

 

 どさっと、私の真横に何か重たいものが入り込んで来た。

 

「!?!?!?!?!?!?!?」

 

 瞬間的に目が覚める。暗闇の中、目を凝らして見る。フォンさんが目の前にいた。

 

「え……フォンさん?」

 

 すぅ……と寝息を立てて眠っているフォンさん。どうやら、寝ぼけてこちらのベッドに入ってきてしまったらしい。

 

 ど、どうすればいいんですの……? あ、そうだ。私が向こうのベッドに行けばいいんですわ。

 

 私が体を起こそうとした、その時。

 

 フォンさんが寝ぼけたまま脚を絡ませてきた。すべすべの太ももが擦れ合う。

 

「~~~~~~~~~~っ!」

 

 なんっ……!? こ、この天性の淫魔……エロすぎっ……! こんなの相手が私じゃなかったら即襲われてますわよ!?

 

 ああもうっ! ムラムラしますわっ!!!!!

 

 *

 

 そして1週間後、私たちは余分な樹木全てを伐採し終えた。

 

「どうもありがとうございました! 業者では手に負えず困っていたんですよ!」

 

「とんでもないですわ」

 

 オ○ニーしたい。

 

「では、私たちはこれで失礼いたしますわ」

 

 オ○ニーしたいオ○ニーしたいオ○ニーしたい……!

 

 普段、私は毎日オ○ニーをしている。けれど、今週は依頼主から借りた小屋で、しかもフォンさんと寝室が同じなので、1回もオ○ニーができなかった。

 

 さらに、仕事中も、そうでない時間も、常に隣にフォンさんがいる。

 健康的でまぶしい太もも。薄手の布地を圧迫するような、大きなおっぱい。ずっと、ずっと、視線が行ってしまい、その度にムラムラが加速する。

 

 その上、覗きがバレると「処女」を煽られ、更に下半身がイラつくという悪循環。

 

 処女にとって、苦しい我慢を強いられる1週間だった。

 

 私たちは帰り際、馬車に揺られる。その振動すら火照ったカラダに響いてしまって、すごく良くない。

 

 ああもうっ……! ムラムラしますわっ……! 早く帰って思いっきりオ○ニーしたいですわっ……!

 

 馬車に乗って、ホームタウンに戻ってきた。ここから歩いて15分程のところにギルド会館・寮がある。

 

 夜の街を歩く。魔鉱石の街灯が、目映い橙色の光を放っている。雑踏の賑やかさ。うっすらと聞こえてくる酒場の談笑。街の中心部ならではの光景だ。

 

 道中、派手なお城のような建物が見えた。――連れ込み宿(ラブホテル)。どこの街にもある、休憩施設。男女の性行為を主な趣旨とした施設だ。

 

「入ったことある?」

 

 ラブホテルを見ていると、フォンさんがそう訊いてきた。

 

「……いいえ」

 

「そうだよね、ベルの人生には縁がない場所だもんね(笑)」

 

「ぶっ飛ばしますわよ!!!!!」

 

 今この瞬間だけではなく、私の歩んできた人生そのものを馬鹿にするような、痛烈な一言だった。

 

 痛くて。悔しくて。爪が食い込みそうなほど拳を握り締める。

 

「行ってみよっか」

 

「……えっ?」

 

「行ってみようよ、ラブホテル」

 

「えっ!?!?!?!?!?!?!?!?」

 

 フォンさんは何を考えているのかよく分からない、不思議な笑みを浮かべていた。

 

「い、いいんですの?」

 

「うん」

 

 状況を認識し、心臓が強く脈打つ。

 

 私たちはラブホテルに近付く。意外と大きくないドアから入ると、眩しい銀色の通路に、巨石のオブジェが数個並んでいる。

 

 顔が見えないようになっているフロントで鍵を受け取り、そのまま目的の部屋へ。

 

 内装は、海中宮殿をモチーフとしていた。

 

 爽やかな海色の壁。真珠を模した円形テーブル。部屋の四隅に設置されているサンゴ礁の像はパステルピンクに発光しており、部屋を淫靡な桃色に染め上げていた。

 

 天蓋付きキングサイズベッドはレースのカーテンで覆われている。うっすら透けて見えるベッド上には、貝殻の形をしたクッションが置かれていた。

 

 うっわ! すっご! ラブホ! マジのラブホですわ! 私、今ラブホにいますわ! 男の子と、ふたりで!

 

 フォンさんは荷物をソファに置いて座った。

 

「先シャワー浴びてきていいよ」

 

「いやそれ普通は女のセリフですわよ! お先にどうぞ!」

 

「あははっ、じゃあお先~」

 

 フォンさんは先にシャワー室へ向かう。

 

 シャワー室は磨りガラスの扉で隔てられていて、うっすらフォンさんの肌色が透けて見える。

 

 水の流れる音と、艶めかしく動く人影。

 

 うわっ、えっろ……。エロすぎ、エロすぎますわ。

 

 私はベッドに腰掛けて、両手を合わせて待つ。

 

 これ、今日、卒業できるんですの?

 

 だって、そういうことですわよね? ラブホテルに入るって、フォンさんもそのつもりなんですわよね?

 

 私とフォンさんは、正式な恋人。恋人なら性交渉をするのは、自然なこと。

 

「……」

 

 ――私は今日、処女を卒業する。

 

 心の準備、できてませんわ。やり方の勉強もしてきていませんし。こんなことなら、騎士団の同僚に恥を忍んで教えてもらうべきでしたわ。

 

 でも、もうここまで来たからには仕方ありませんわ。とにかく、やるだけですわ。

 

 それに、フォンさんは極めて感じやすい体質。その上インキュバスとしての覚醒を迎え、感度が2倍になり、ますますザコボディになっていますわ。

 

 だから、私でも気持ちよくさせることはできるはず。

 

 大きな緊張。わずかな期待。両面的な感情を抱えながら待っていると、フォンさんがシャワーを浴び終えて上がってきた。

 

 天使の艶姿に、私は見惚れてしまう。

 バスローブに身を包んだだけの、フォンさんの姿。しっとりと濡れた銀髪。上気した頬。近づいてくるだけでいい匂いがする。

 

 こんな可愛い男のコと、S○Xできるんですの?

 

 え、すっご……ホントにすごっ……。

 

「おまたせ、どうぞ」

 

「はい、いってきますわ」

 

 私もシャワー室に入る。

 

 ――なんかエロい匂いがする!!!!! フォンさんが使った後の浴室、エロい匂いしますわ!

 

 これ本当に石鹸の匂いなんですの? なんか、こう、えっちな匂いですわ! 

 

 鼓動が早くなる。絶えず涎が分泌されて、生唾を飲み込む。

 

 さっきまでここでフォンさんが全裸で身体を洗っていたと思うと、より興奮してくる。

 

 あーやっば。なんかのぼせそうですわ。

 

 私は、懸命に興奮を抑えながら、身体を洗っていく。今日が初体験なのだ。丁寧に、普段より一層丁寧に、身体を洗う。

 

 そして、身体を拭き、バスローブに着替えて、部屋へ戻る。

 

 淡いパステルピンクの光に包まれた空間。部屋全体に香る、淫猥な匂い。フォンさんは、天蓋付きベッドのカーテンの中にいる。

 

 逸る気持ちを抑え、カーテンを開ける。フォンさんは貝殻のクッションを抱えたまま、私を見上げている。

 

 近付き、ゆっくりと彼の肩を押してベッドへ倒す。

 

 私の髪が垂れ下がり、カーテンのようにフォンさんの両脇へと降り注ぐ。碧色の双眸が潤み、私を見つめている。

 

 私は伺いを立てるように、フォンさんへと顔を近づける。

 

 そして、唇を重ねた。温かな感覚。これまでにないくらい、愛を交換し合っているという実感のあるキスだった。

 

 舌を入れる。ゆっくりと、撫ぜるように口腔内を舐めて、舌を絡ませ合う。

 

 唇を離す。フォンさんの頬は紅潮し、発色のいい唇の端が淫猥に光る。

 

「……いいよ、ベル」

 

 き、来たぁあああああああああああああっ!

 

 来ましたわ!!!!!!!!!!!!!!!

 

 お母様! お父様! お姉様方! 友人の皆さん! 

 

 遂に今日! 私は! 大人の階段を上りますわ!

 

「大好きですわ、フォンさん」

 

「うん、僕も、ベルのこと大好き」

 

 フォンさんは顔を赤らめながら、バスローブをはだけさせた。露わになる、おっぱい。触ってもないのに、普段よりピンと立っている乳頭は、おそらく興奮を表していた。

 

 1週間ぶりのおっぱいにかぶりつこうとした、その瞬間――怖気が走る。これまで騎士として戦場を潜り抜けてきた第六感が、何らかの脅威を感じ取った。

 

「……!?」

 

 私は慌てて顔を上げ、周囲を見る。

 

 これ、やっぱり石鹸の匂いじゃない! 媚薬ですわ!

 

「あ、気づいた? 実はシャワー室から出てくる前、『性欲を倍増させる媚薬』を仕掛けてきたんだよ」

 

「なにしてるんですの貴方! というか、なんのために!?」

 

 淫魔の視線に含まれる催淫効果を受けないよう、フォンさんから目を逸らす。が、あまりにも遅かった。

 

「うっ――」

 

 極度の興奮状態。身体が熱を浴びて、情欲が暴走する。にもかかわらず、自分の身体が緩慢で、言うことを聞かない。洗脳に掛かりかけている。

 

 まずい。早く、フォンさんを無力化しないと――。

 

 私はフォンさんの両手首を掴んで拘束しようとする。が、あっさりと躱され、そのままベッドにダイブする形になる。

 

 フォンさんの青色の瞳が、妖しく光り輝く。その両目に見つめられて、意識ががっちりと固定され――身体の支配権を失った。

 

 その状態で、フォンさんは私に馬乗りになってくる。その表情は、堕天使と小悪魔ともつかぬ、嗜虐的な笑顔だった。

 

「ぐぅっ……動かないっ……」

 

 本来、力比べでフォンさんに負ける筈はない。フォンさんが100人いても押し勝てるくらいの膂力はある。

 

 でも、今の私は、か弱い少年のように、非力で無力だった。

 

「何をするつもりですの、貴方は」

 

 こうなった以上、私にも分かる。フォンさんはS○Xなんてさせてくれない。

 過去のSMプレイのような、何かしら屈辱的な目に遭わされる。それだけは、確定的だった。

 

 フォンさんの顔が近付いてくる。可愛い。透き通るような、スカイブルーの瞳。まつげ長っ。

 

 ……キスしたい。キスされたい。

 

 でも、そんな願いは叶えられることなく、フォンさんは私の耳もとに唇を寄せる。

 

「処女(笑)♡」

 

 温かな吐息と共に、耳に吹き込まれる罵倒。

 

「処女(笑)♡ 処女(笑)♡ 処女(笑)♡」

 

「ぐうっ……! ぐっぅううっ……!」

 

 脳が蕩ける可愛らしい声で、処女という特徴を笑われている。一番気にしている、女としての劣位を示す特徴を馬鹿にされている。

 

 それがキツくて、苦しくて、悔しい。

 

「騙してごめんね?(笑)♡ でも今日はS○Xしないよ? まだ処女からかって遊びたいもん(笑)♡」

 

「なっ、ふっ……ふざけないでくださいませ!」

 

「あははっ(笑)♡ すっごい顔してる(笑)♡ ご褒美を取り上げられた処女の顔だ~(笑)♡」

 

「貴方っ、どこまで処女の純情を弄べば気が済むんですの!?」

 

 フォンさんの舌がぬちゅっ♡と私の耳内に侵入してくる。

 

「あっ!♡ 耳っ、だめっ……!」

 

 淫猥な水音が、耳から脳味噌まで響き、意識が蕩ける。あまりのエロさに、身体中が爆発しそうなほど性欲が止まらない。

 

「耳責められるの、クセになっちゃってない?(笑)♡」

 

「なってませんわよ!!!」

 

「カラダ、気持ちよさそうにビクンってしてるよ?(笑)♡」

 

 ちゅっ♡れろ~っ♡ちゅぱっ♡と舌が這う水音が響く度、気持ちよくて体が跳ねる。

 

 ぐっ……くっそぉ……! 腰浮いちゃうっ……!

 

「あははっ(笑)♡ マゾ処女(笑)♡ しょ~じょっ(笑)♡」

 

「やめてっ……! 性癖壊れちゃうっ……!」

 

「貧乳(笑)♡ マゾ(笑)♡ 処女(笑)♡ 男の子に相手にしてもらえない負け組ザコメス処女(笑)♡」

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!!!」

 

 ち゛っ゛く゛し゛ょ゛お゛っ゛!!!!!

 

 悔しい。悔しい。悔しい。

 

 身体中熱くて、憤死しそう。

 

 なのに。

 

 こんなにいじめられて、屈辱的な目に遭ってるはずなのに、まるで歓喜に震えているように、身体が反応してしまっている。

 

「処女(笑)♡ 処女(笑)♡ 処女(笑)♡ 期待でいっぱい(笑)♡ 鼻の下伸ばしてワクワクしてた処女さん(笑)♡」

 

「ふんぬぅううううううううううううううっ!」

 

 私は怒りと興奮に突き動かされ、藻掻きながら、腰を振り上げる。

 

「あははっ(笑)♡ へこへこ処女っ(笑)♡ 交尾したくて必死な処女の腰振りウケるっ(笑)♡ がんばれがんばれっ(笑)♡」

 

「こいつ絶対ブチ犯しますわ!!!!!」

 

 ブチブチっ!と脳内で何かがキレる音がした。

 

 血圧が上がり過ぎて、頭の中が燃えるように熱い。

 

「ねえベル。クエスト中、ずぅ~っと僕のカラダ視()してたよね?(笑)♡」

 

「だったらなんですの!!!!!!」

 

「流石に借りてる小屋だからオ○ニー控えてたみたいだけど、こ~んな最高のオ○ズが目の前にあるのに、オ○ニー狂いのお猿さんが1週間我慢するの、苦しかったよね?(笑)♡」

 

「こいつっ……!!!!!」

 

 目の前に、フォンさんのおっぱいがある。

 

 1週間触れなかったおっぱい。

 

 Iカップの、胸筋がみっちり♡とつまった、いやらしいおっぱい。

 

 触りたい。摩りたい。撫で回したい。

 

 がっついて、しゃぶりつきたいっ!!!!!

 

「触らせてっ! 触らせろっ! このオスガキっ!」

 

「あははっ(笑)♡ 必死すぎ(笑)♡ 可愛いよ、オ○ニーモンスターさん(笑)♡」

 

「オ○ニーモンスターとかいうのやめてくださいませっ!」

 

 目の前に極上の肉体があるのに、触れない。

 

 嘲笑われ、オモチャにされている。その事実が、どうしても許せない。

 

 ちくしょおっ……。

 

 ち゛く゛し゛ょ゛お゛っ゛!!!!!!!

 

 フォンさんは格付け完了とでも言わんばかりに、私の耳にちゅぱっ♡とリップ音を響かせ――。

 

「処女(笑)♡ 負け組キモ処女弱者女性(笑)♡」

 

 その瞬間。

 

 身体の中で、何かが弾けた。積もりに積もった怒りが、一点から超新星爆発を起こしたように、強烈なエネルギーとして爆ぜた。

 

「……えっ」

 

 気付けば、私は起き上がっていた。フォンさんは尻餅を突き、信じられないものを見る目で私を見ていた。

 

「な、なんで……洗脳に掛かってるはずなのに……」

 

 理屈など分からない。

 

 私の魅了耐性(レジスト)か、それとも精神力か、はたまた熱し尽くされた怒りか。何かが、フォンさんの洗脳を上回ったのだ。

 

 私は、無言でフォンさんに近付く。

 

「え、ちょっ、まって。ご、ごめんねっ、ベルっ」

 

 犯す。

 

 こいつは、滅茶苦茶に犯す。

 

 私は乱暴にフォンさんを押し倒し、満身の力を持って抑えつける。

 

「ご、ごめんなさいっ! 許してベル! おねがい!」

 

 焦り、懇願するフォンさんの顔が、征服感を煽る。

 

 このオスを、今から、私のものにする。

 

「……滅茶苦茶に、ブチ犯しますわ。泣いてもやめませんから、覚悟なさいませ」

 

 フォンさんの顔が、絶望に染まる。

 

 本能。

 

 感情。

 

 18年以上処女を捨てられず積もりに積もった欲望。

 

 約3か月間煽られ続け、真っ赤に灼熱しきった怒り。

 

 その全てを、今からこのオスの身体にぶつけてやる。

 

「――さあ、理解(わか)らせの時間ですわ」

 

 *

 

 マ○コには勝てなかったよ……。

 

 まだ、身体に気持ちよさが残っている。

 

 おっぱいについたキスマーク。気持ちよさのあまり勝手に出てしまっている、インキュバスの翼と尻尾。

 

 身体のどこを見ても、凄まじい情事の跡が残っていた。

 

 朝日が射し込み、部屋が照らされている。もうすっかり朝だ。一晩中犯されてしまった。

 

 隣には、満足げに寝息を立てるベル。

 

「うぅん……むにゃむにゃ……」

 

 僕はベルの頭をぽんぽんと撫でる。

 

 ――強いのは分かっていた。でも、想像以上だった。組み伏せられて、ずっと啼かされ続けた。気持ちよすぎて、頭も体もどうにかなりそうだった。

 

「ん、あれ……フォンさん、おはようございます」

 

 ベルが目を覚ました。眠たげに目をこすっている。

 

 その平和な様子は、昨晩僕を征服した肉食獣の雰囲気を感じさせない。

 

 意識がはっきりしてきたのか、ベルは身体を起こし、状況を再確認するようにしみじみ呟く。

 

「私、処女、卒業したんですのね……」

 

「うん、卒業おめでとう、ベル」

 

「ありがとう、ございます。言葉にできないほど、万感の思いです」

 

 ベルの言葉は、深い感動を伴っているように感じられた。

 

「男性は、初体験の時痛いと聞きますが……」

 

……ずっと気持ちよかったです

 

 ベルは安堵し、嬉しそうに笑う。そして、僕の身体を抱きしめる。

 恋人からの抱擁。なのに、僕は大蛇に捕らえられた獲物の気分だった。

 

「んひゃっ!?」

 

 そして、ぎゅうっと抱きしめられ、ぱくっと耳を噛まれた。身体に刻まれた快楽と恐怖が、再び疼く。

 

「お理解(わか)りになりましたか? 私の方が強い、と」

 

「ぐぅっ……」

 

 ベルは勝ち誇った顔で、愉しそうにそういった。

 

 処女に負けてしまった。

 

 そして、ベルはもう処女ではない。完全に立場が逆転し、格付けが完了してしまった。

 

「これからも乱れるフォンさんが見れると思うと楽しみですわ」

 

「うぐっ……ちょ、ちょっとは手加減してよ……」

 

「『僕はクソザコ体質のバカオスです。ベルには勝てないからえっちするとき手加減してください』って言えたら考えてあげますわ」

 

「はぁっ!? いう訳ないでしょそんなの!」

 

 ベルの手が僕の背中へと伸びる。

 

「んひゃっ!?♡ あっ!♡」

 

 尻尾を掴まれ、上下に扱かれる。同時にちゅ~っ!と乳首を吸われる。

 

「あっ!♡ あっ!♡ あっ!♡ らめっ……!♡ 乳首吸わないでっ……!♡ 尻尾もだめぇっ……!♡」

 

 気持ちよすぎて身をよじる。けれど、がっしりとベルに抱きしめられていて逃げられず、歯を食いしばって快楽を享受することしかできない。

 

「ほらっ、さっきの言えば許してあげますわよ?」

 

「ああんっ……!♡ ぐうっ……!♡ ぼ、ぼくは……僕は、クソザコ体質の、バカオスでしたっ……!♡ ベルには勝てない、からっ、えっちするとき手加減してください……♡」

 

 僕は羞恥のあまり溢れそうになる涙をこらえ、そういった。

 

 するとベルは、僕を押し倒して組み伏せた。その目には、獣欲が爛々と光る。

 

「貴方がエロすぎてまたムラムラしてきましたわ!」

 

「ちょっ、まって……! 足腰立たないっ……!」

 

「メスを興奮させたらオスが責任を取るべきですわっ!」

 

「まっ――」

 

 *

 

 それから、僕たちは寮に帰ってきた。

 

 各々の自室に戻る。伐採クエストの時からずっとベルと一緒に寝泊まりしていたので、1人の時間は久々だ。

 

 僕は脱衣所の鏡を見る。首筋に、すごい数のキスマークが付けられている。

 

 これ、ギルド行く時とか、絶対他の人に見られちゃうじゃん……。

 

 でも、不思議と嫌な気分ではない。むしろ、自分がベルのものになったという証のようで、嬉しく感じてしまっている。

 

 これが、オス堕ちってやつなのかな……。

 

 *

 

 翌日。

 

 僕とベルがギルド会館に入ると、ギルド長に声を掛けられた。

 

「フォン、ベルさん、おはようございます」

 

「「おはようございます」」

 

 挨拶を返す。ギルド長は僕の首元を見るなり目を見開いた。が、すぐに視線を逸らした。

 

「ベルさん、なんというか……始めはあんなに険悪だったのに、ずいぶんフォンと仲良くなったようで」

 

「そ、その節はご迷惑をお掛けしました」

 

「いえいえ。ですが、もう残り1週間ですね。月日が流れるのは早いものです。ベルさんには大変お世話になりました」

 

「とんでもないですわ。それに……まだ、1週間も残っていますわ」

 

「そうですね。どうかよろしくお願いします」

 

 そういって、ギルド長は去っていった。

 

 僕たちの間に、気まずい沈黙が満ちる。

 

「…………」

 

「…………」

 

 お互いに、意識的に、あるいは無意識的に避けてきた話題。

 

 ベルは謹慎期間の3か月間だけこのギルドで働くという取り決めだった。

 だから、謹慎期間が終われば、騎士団へと帰ってしまう。

 

 その時が、1週間後まで迫っている。

 

「ねえ、ベル……」

 

 騎士団の仕事は主に中央都市であり、さらに多忙だ。めったに会えなくなるだろう。

 

「どうしたんですの?」

 

 ベルは、見たことがないくらい寂しい目をしていた。

 

「ううん、なんでもない」

 

 そういって、僕は問題を先送りにした。

 




『フォン』

性別:男性
種族:ヒューマンとインキュバスのハーフ
容姿:銀髪、水色の瞳。この世界においてIカップ相当の巨乳(胸板が大きい程カップ数が大きい)
職業:Aランク冒険者・召喚術士
備考:ベルをからかって遊ぶのが大好き。

『ベル』

性別:女性
種族:ヒューマン
容姿:金髪、ツインテドリル、紅蓮色の瞳。Aカップ。
職業:騎士団員(謹慎中)→仮冒険者
備考:フォンで処女を卒業できた。
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