予玖土町決闘都市   作:ラットマンΣ

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プロローグ 開幕!決闘都市!

 ———予玖土町(よくどちょう) 蒼葉(あおば)邸エントランス ある日のこと

 

「はーい全員注目! 重大発表よ!」

 

 一人の銀髪の少女、蒼葉アキルがエントランスに屋敷の住人を集めてそう叫ぶ。

 

「なんだなんだ? 珍しくテンション高いじゃん、アキル」

 

 赤髪の少女、ケイトがアキルに尋ねる。

 

「まぁね、たまには私もテンションくらい上がるわ! 何せ予玖土町で大規模なデュエルモンスターズの大会を開くのだからね!」

 

 アキルはそう言うとパチン、と指を鳴らす。

 瞬間、エントランス中央に立体映像……ソリッド・ヴィジョンが浮かび上がる。

 

「その名も予玖土町決闘都市(バトルシティ)! あの伝説の決闘都市の名を継いだ大会を開くわ! 無論、I2社(インダストリアル・イリュージョンしゃ)と海馬コーポレーション公認よ! 主催は母様の蒼葉コーポレーションよ!」

 

「おお、良いじゃん! デュエルモンスターズの大規模大会なんてここらじゃそうそうないからな! で、本題は?」

 

 ケラケラと笑いながらケイトはアキルの目を見る。

 アキルは少しむすっとすると続けて答える。

 

「……カード窃盗集団、グールズの残党狩りとその他諸々よ。今回の大会は既に大規模なプロモーションを行っているわ。それに食い付いた奴らを片っ端から捕まえるのよ。セキュリティの協力もあるから難しくはないけど手間が掛かるわ」

 

「ほーん。グールズねぇ……まぁ良いや! 祭りは楽しむに限る! どうせ屋敷の連中はみんな参加するんだろ? ならついでにお使いしてやるぜ! 報酬はたっぷり、な?」

 

 ケイトはアキルに微笑みかける。

 

「はいはい、分かってますよ。けど、気をつけて。噂じゃ闇のカードや非合法のデュエルが発生するらしいから」

 

 アキルは真剣な顔でそう告げる。

 

「なるほどねぇ。ま、とりあえず気をつけるさ」

 

 ケイト含め他のメンバーも軽く頷く。

 簡単なミーティングの後、屋敷の住人たちは己のデッキを調整する作業に入った。

 そうして数週間が経ったのち、激闘の火蓋は切って落とされた。

 

 

 

 ———決闘都市当日

 

 

 

「この町に来るのも久々だなぁ!」

 

 ラフな格好をした一人の長い金髪の女性、クレアがそう呟く。

 

「にしても開幕早々シズハとメリアーナと逸れちまった……なぁ、お(・)前(・)なら居場所わかるんじゃねぇか?」

 

 女は虚空に語りかける。

 

 本来そこから声は返って来るわけがない。

 実際、何も聞こえない。

彼(・)女(・)以外には。

 

(ったく、だからあれほどはしゃぐなって言ったんだよ! アタシとしてはリ(・)ゼ(・)ッ(・)ト(・)と別れられてむしろ良いんだがな)

 

「んなこと言わずに探すの手伝えよ、デ(・)ィ(・)ア(・)ベ(・)ル(・)ス(・)タ(・)ー(・)」

 

 そう呼ばれたのは虚空に浮かぶ精霊、黒いフードを身につけた魔女だった。

 魔女……ディアベルスターは気だるそうな顔をしながら一度目を瞑る。

 

(んー、近場にはいねぇな。……あん?)

 

「どうした?」

 

(……気をつけろクレア、敵だ)

 

 ディアベルスターが手に持つナイフを突きつけた先に居るのは筋骨隆々の男だった。

 男はクレアに気づいたのかデュエルディスクを展開する。

 

「なるほどねぇ、良いじゃねぇか!」

 

 そう言ってクレアも左腕に装着したデュエルディスクを展開する。

 ここに最初の儀式(デュエル)は成立した。

 

「とまぁ、息巻いたは良いが……なんだあれ?」

 

 先攻を取ったのは男だった。

 男は手札を全て使いある一体のモンスターエクシーズを召喚した。

 

『No.54 反骨の闘士ライオンハート』

 

「なんばーず? ってなんだ? それに攻撃力100って……いや、警戒はしとくか……」

 

(……)

 

「ま、いいや! 私のターンドロー! 手札一枚を墓地へ送り、『黒魔女ディアベルスター』特殊召喚!」

 

(さて、仕事の時間だ! 来い! 罪宝よ!)

 

「ディアベルスターの効果! デッキより罪宝を伏せる! アタシは『反逆の罪宝スネークアイ』をセットし、即座に発動! 『ライオンハート』を永続魔法扱いでマジック、トラップゾーンに置く!」

 

「……」

 

 男は無言でライオンハートを永続魔法化する。

 

「さて、この大会は決勝以外はライフ4000ポイント! これで決める! マジックカード『一騎加勢』発動! これによりディアベルスターの攻撃力1500ポイントアップ! 行け! ディアベルスター! 黒魔法(ブラック・マジカ)!」

 

(まぁ、魔力乗せた右ストレートだけどな!)

 

「……」

 

 男のライフポイントが尽きる。

 

「さて、敗者はカード1枚とブランクカード一枚を差し出さなきゃいけないんだよな? 何出す?」

 

 男は2枚のカードをクレアに手渡す。

 

「……受け取れ」

 

「おうよ! ……ってNo.(ナンバーズ)?! 良いのかよ、これ多分レアカードだろ?! ……って」

 

 すでに男の姿は無くなっていた。

 

「……変なやつ。まぁ、ありがたく貰っとくか!」

 

(……)

 

「どうした、ディアベルスター? 神妙な顔して?」

 

(いや、アタシの気のせいだったらしい。気にするな)

 

「?」

 

 クレアはエクストラデッキに手に入れたNo.を入れて仲間を探しに町に出る。

 これと同時に各地で第一の儀式は執り行われた。

 並行世界から迷い込んだ精霊たちは解き放たれた。

 それぞれの持つべき主人のもとに辿り着いたもの、或いは未だ彷徨うもの、未だ開眼しないもの……

 

 

 

 ———予玖土町 某所

 

「さて、これがリストだ。アキル、また面倒なことになったな?」

 

 ニマニマと一人の10歳くらいの少女が笑う。

 

「そうね、リリス。とりあえず並行世界の観測ありがとう。私の方もそろそろ出るわね」

 

「気をつけた方がいい、デチューンしたとは言え君のデッキのカードはどれも危険だ。扱いには気をつけろよ?」

 

 リリスはそう言って虚空に消えた。

 

「わかってるわよ……さて、私に従えられるかしらね……」

 

 そう言ったアキルの手に握られていたデッキは暗黒の瘴気を放ち脈動していた。

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