予玖土町決闘都市   作:ラットマンΣ

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伝説のデュエルキング

 ———予玖土町 赤夢街(アカムがい)にて

 

「さぁて、いい感じのデュエリスト居ないかな?」

 

 クレアは周りを見渡す。

 赤夢街は予玖土町の高級住宅街エリアだ。

 故に治安もいいし良い店もある。

 デュエリスト探しにはうってつけと言うわけだ。

 

「クレア、そう簡単にデュエリストは見つかりませんよ。何せ昨日の予選で白紙のカードと特定のカードを持っていないデュエリストは即失格になってしまいましたからね……まぁ、観戦目的で残っているデュエリストは沢山いますが、デュエルディスクが判定して生き残り同士でしかデュエル出来ない状態ですからね」

 

 横にいるメリアーナと静葉が説明する。

 実際昨日の予選二日目で大半のデュエリストは脱落した。

 残っているのは少数、なかなかデュエリストが見つからないのも仕方ない事だ。

 

「うん? お! 近くにデュエリストがいんじゃん! 早速デュエル申請して行くか!」

 

 そう言ってクレアはメリアーナと静葉を連れて件のデュエリストの元に向かう。

 そこにいたデュエリストは———

 

「む、武藤遊戯……さん?!」

 

「キミがデュエル申請をしてくれた人だね? 僕は武藤遊戯、キミの名前を教えてくれるかな?」

 

「アッ、ハイ! クレアと言います! よろしくお願いします!」

 

(クレアめっちゃ緊張して借りて来た猫みたいになってるじゃない。ウケる)

 

 メリアーナの精霊、ディアベルゼがクレアを煽る。

 しかし今のクレアにはそんな言葉は届かない。

 何せ目の前にいるのは伝説のデュエルキング、クレアの憧れの人、緊張でそれどころじゃないのだ。

 

「じゃあ早速デュエルしようか! よろしくね、クレアさん!」

 

「……ッ! ハイ! よろしくお願いします!」

 

「「デュエル!!!」」

 

「なんか羨ましいですね、伝説のデュエルキング『武藤遊戯』さんとデュエルできるなんて……」

 

 静葉はそんな事を呟く。

 実際、誰もが憧れる対戦だ。

 次第に周囲にオーディエンスも集まってくる。

 

「すげぇ! 本物の遊戯さんだ!」

 

「遊戯さんのデュエルが見れるなんて幻想(ユメ)じゃねぇよな……!」

 

「対戦相手が羨ましいぜ!」

 

 オーディエンスが思い思いの言葉を口にする。

 しかし今の2人には届かない。

 デュエリストたるものデュエルは真剣勝負、故に相手に全霊の敬意を持ってデュエルするのだ。

 

「先攻は私ですね! 私のターン! 私は魔法カード『篝火』を発動! その効果により『スネークアイ・エクセル』を手札に加えます! 更に『スネークアイ・エクセル』を召喚! 『スネークアイ・エクセル』の効果! 『スネークアイ・エクセル』以外の『スネークアイ』モンスターを手札に加えます! 『蛇眼の炎燐(スネークアイ・ポプルス)』を手札に加えます! 更に『蛇眼の炎燐』の効果発動! このカードを特殊召喚! 更に効果でデッキから『蛇眼神殿スネークアイ』を手札に加えます! そのまま『蛇眼神殿スネークアイ』発動! 『蛇眼神殿スネークアイ』の効果によりデッキから『スネークアイ・ワイトパーチ』を永続魔法として場に置きます! ここで『エクセル』の効果発動! 場のこのカードと『ワイトパーチ』を墓地に送りデッキから別の『スネークアイ』モンスターを呼び出す! 来い! 『スネークアイ・オーク』! 『オーク』の効果により墓地の『ワイトパーチ』を特殊召喚! ……行きます! レベル1の『炎燐』『オーク』『ワイトパーチ』でオーバーレイ! 現れよ! No.54! 折れぬ闘志の魂! しかとみよ! 『反骨の闘士ライオンハート』! 私はカードを1枚伏せてターンエンドです!」

 

(クレア……口調まで変えてるのか……ちょっとビックリだ)

 

 クレアの精霊、ディアベルスターは若干引き気味にそう呟く。

 しかしクレアの耳には入らない。

 入っていたら取っ組み合いの喧嘩待ったなしだが……

 

「すごい展開力のデッキだね! それにNo.確か強固な耐性を持っていたはず……けど! 僕のターン! ドロー! 『強欲で金満な壺』を発動! 融合デッキ……じゃなくて今はエクストラデッキだったね、そこからカードを6枚裏側で除外してカードを二枚ドローする! そして僕は『光の黄金櫃』を発動! このカードは1ターンに一度『光の黄金櫃』が記されたカードを手札に加えることができる! 僕はこの効果で『黒き魔術師-ブラック・マジシャン』を手札に加える!」

 

「新たな『ブラック・マジシャン』?!」

 

 メリアーナ達オーディエンスは驚く。

『ブラック・マジシャン』は武藤遊戯の象徴的モンスターだ。

 その新たな姿となれば驚くのも無理はない。

 

「僕は『黒き魔術師-ブラック・マジシャン』の効果を発動! 『光の黄金櫃』が存在する時、手札から特殊召喚できる! 来い! 『ブラック・マジシャン』!!!」

 

「…………!!!」

 

 クレアは目の前の光景に興奮していた。

 あの武藤遊戯とデュエルしていると言う事実、そしてそのフェイバリットである『ブラック・マジシャン』の新たな姿を目前で見られることその一瞬一瞬がクレアには輝いて見えたのだ。

 

「『黒き魔術師-ブラック・マジシャン』はモンスターゾーンに存在する限り『ブラック・マジシャン』として扱う! それによりこの2枚のカードが発動できる! まずは『黒・魔・導(ブラック・マジック)』を発動! 相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する!」

 

 黒き魔術師から放たれる魔法弾によりクレアのセットカードは全て破壊される。

 

「くっ……『ナンバーズ・ウォール』がッ!」

 

 更に魔術師の攻撃は続く。

 

「追撃の魔法カード『千本(サウザンド)ナイフ』を発動! 『ライオンハート』を破壊する!」

 

「なっ……『ライオンハート』まで!」

 

 魔術師の連続攻撃によりクレアのフィールドはガラ空きになってしまう。

 

「更に僕はこのターンは通常召喚を行なっていない! 『トイ・ソルジャー』を召喚! バトル! 『トイ・ソルジャー』と『ブラック・マジシャン』で攻撃! 『黒・魔・導』!!!」

 

「くっ、うぁぁぁあ!!!」

 

 デュエルは一瞬で決着が付いた。

 たったワンターンでの決着。

 オーディエンスは静まり返る。

 誰もが息を呑む光景が広がっていた。

 大の字に倒れているクレア、そしてそれを見る遊戯。

 しばしの静寂の後クレアが立ち遊戯に近づく。

 そして手を差し出す。

 遊戯は少し戸惑ったがすぐにその意味を理解し彼女の手を取る。

 

「ありがとうございました。遊戯さん!」

 

「こちらこそありがとう。クレアさん!」

 

 2人は握手を交わしそう告げる。

 そこには清々しい空気が漂っていた。

 瞬間、オーディエンスが湧き上がる! 

 

「いいデュエルだったぞ!」

 

「お互いいいデュエルでしたよ!」

 

 皆が皆んな2人を讃える。

 クレアはここ最近色々と心労が溜まっていたが今回のデュエルで良い意味で吹っ切れた。

 このデュエルはとても良いものだった。

 

「これはアンティルールの白紙のカード(ブランクカード)2枚です! 受け取ってください!」

 

「うん! ありがとう! またデュエル出来るのを楽しみにしているよ!」

 

 そう言ってクレア達の前から遊戯は離れていった。

 

「…………!!! 最ッ高だったぜ! 遊戯さんとデュエル出来ただけでデュエリスト人生最高の思い出だぜ!」

 

 クレアはその場でピョンピョンと跳ねる。

 

「どっかの借りた猫ちゃんみたいになってたクレアはどこですかネェ?」

 

 メリアーナと静葉がクレアを弄る。

 

「う、うるせいやい! 遊戯さんとのデュエルなんだから緊張くらいするっつうの!」

 

 クレアは頬を赤らめる。

 

「まぁ、クレアの憧れの人とのデュエルですもんね、それくらい舞い上がって……ぐっ?!」

 

 静葉が言葉の途中で心臓を抑えて倒れる。

 

「静葉?!」

 

 クレアが駆け寄るが……

 

(……不味いな、アザミナが目覚めるぞ!)

 

 ディアベルスターとディアベルゼが警戒する。

 そして静葉の背中を突き破る様に……まるで蛹が蝶になるかの様にその精霊は現れた。

 

(さて、妾の手から逃れた小娘が2人、今屠るか)

 

(黙れ! テメェはアタシがぶっ殺す!)

 

(……私の前に出て来たことを後悔させてやる! 行くわよアステーリャ!)

 

(行くぞリゼット!)

 

 2人の精霊は殺意に満ち溢れる。

 静葉は完全にアザミナの操り人形になってしまった。

 故にメリアーナとクレアの取る行動は簡単だ。

 

「「全力でぶっ潰す!」」

 

(ほう、妾に挑むか小娘ども。一木一草、一切の容赦情けなく散らしてくれよう)

 

 そうして静葉を取り戻すため、アザミナを裁くためのデュエルが始まった。

 

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