———予玖土町 赤夢街の広場にて
「……私の負けですね、雪奈。約束通り白紙のカードと私が集めた異界のカードを渡します」
そう言って小さな少女……
「……本当にこれでいいんでしょうか?」
カードを受け取った雪奈はそんな言葉を漏らす。
「雪奈、私はアキルさんの願いがわかります。と言うか、アキルさんをよく知っている人はみんなわかっているはずです。その上で雪奈は悩んでいるんですか?」
光美は俯いた雪奈を見ながらそう告げる。
「…………アキルさんの願いはわかってます。それに、それが私達の願いであることもわかってます。けど———
その言葉が紡がれる前に一人の瘴気を纏った少女が現れた。
「けど、何かしら?雪奈」
白銀の髪と蒼く輝く瞳を持っていた少女……今は美しかった白銀の髪も蒼く輝く瞳もくすみ、どこか黒く染まっているようにさえ感じさせる少女……蒼葉アキルが雪奈を睨み、立っていた。
「やっぱり、アキルさんはかなり無理をしてるんですね……私でもわかります、その命が削られているのが。だから……だから、もうやめませんか?アキルさんの願いが叶ってもそこにアキルさんがいなかったら何の意味もないんですよ?!きっと他にも方法が……」
その言葉を聞いてアキルの雪奈に対する処遇は決まった。
「…………雪奈、私とデュエルしなさい。貴方はもう必要ないわ」
冷酷にアキルは告げる。
「わかりました。私がアキルさんを止めます。たとえ裏切り者と言われようとも!」
「先攻は雪奈にあげるわ」
「…………私のターン!私は手札抹殺を発動!互いのプレイヤーは手札を全て捨て同じ枚数カードをドローする!私は4枚、アキルさんは5枚です!」
「手札交換、て訳じゃなさそうね。それで何ができるのかしら?」
「私は今墓地に送ったヴェンデット・コアの効果を発動!墓地のアンデットモンスターを除外して自身を特殊召喚する!霊道士チャンシーを除外して特殊召喚!さらにチャンシーの効果!このカードが除外された場合、墓地のアンデット一体を除外して自身を特殊召喚できる!墓地のアルグールマゼラを除外して特殊召喚!さらにアルグールマゼラは除外された時、特殊召喚できる!その際、レベルを1つ下げることができる!レベル7をにしてアルグールマゼラを特殊召喚!更に手札からチューナーモンスター逢魔ノ妖刀—不知火を召喚!レベル7となったアルグールマゼラにレベル3チューナーモンスター逢魔ノ妖刀—不知火をチューニング!蘇れ消えぬ炎の戦人!シンクロ召喚!炎神—不知火!
更に手札からフィールド魔法誘いのΔを発動!効果により黄金卿エルドリッチを墓地へ、更にエルドリッチの効果でΔを墓地に送りエルドリッチを手札に戻し自身を特殊召喚!更にΔはその効果により手札に戻る。更にエルドリッチ一体で融合召喚!黄金郷のアンヘルカイド!更にアンヘルカイド一体でリンク召喚!グラビティ・コントローラー!更にアンヘルカイドの効果によりEXデッキから
雪奈の場にはリンク1のグラビティ・コントローラー、リンクリボー、更にレベル10の融合モンスター黄金狂エルドリッチ、レベル10シンクロの炎神—不知火と真紅眼の不死竜皇と大型モンスターを大量に配置した布陣を敷いた。これなら何が起きても耐えられるはず、そう考えていた。
「私のターン、ドロー。フィールド魔法ヌメロン・ネットワークを発動、効果によりデッキのヌメロン・ダイレクトを墓地に送り、効果をコピー。現れなさいNo.1、2、3、4!ゲート・オブ・ヌメロン—エーカム、ドゥヴェー、トゥリーニ、チャトゥヴァーリ!更にヌメロン・ネットワークが存在する時、ヌメロンエーカムをカオス化させることができる!現れなさい!CNo.1ゲート・オブ・カオス・ヌメロン—シニューニャ!その効果によりフィールドの全モンスターを除外する!」
「な、除外?!これじゃ私のモンスターが全滅……けど、アキルさんもヌメロン・ダイレクトのデメリットでこのターンはもう召喚も特殊召喚もできない———
「あら、雪奈には言ってなかったっけ?私のカードは全部
「え?」
「フィールド魔法失楽園を発動、さらに手札からヌメロン・カオス・リチューアル発動。これにより墓地、除外状態のヌメロン・ネットワークとNo.4体をレベル12のモンスターとして扱い、オーバーレイ!現れろ、CNo.1000!混沌の憂えは、浅ましき人の業。天壌の夢は、無窮の幻。虚ろの神よ、闇をもて、光に鉄槌を!夢幻虚神ヌメロニアス!さぁ、お終いよ」
雪奈の瞳に圧縮された光線が映し出される。
その熱量はソリッドヴィジョンのものではない。
現実となった物、星を焼く光線が雪奈を貫いた。
「…………」
「雪奈!!!」
光美は雪奈に駆け寄る。
幸い、傷こそ負っているが生きている。
光美は瞳から涙をこぼしながらアキルに向かって叫ぶ。
「どうしてですか!今のはどう見ても闇のゲーム!アキルさんは人を傷つけるような人じゃなかったんですか?!」
「…………うるさい。私は私の願いのためならどんな手段も厭わない。貴方も邪魔よ神代光美、ここで———
瞬間アキルの首に鎌がかけられる。
しかし、切ろうとはしない。
あくまで、まだ警告の段階だからだ。
「こいつがアキルか?クレア」
ディアベルスターがクレアに問う。
「あぁ、だけどもうアタシ達が知ってるアキルとは別人みたいだがな」
そう言ってクレアとディアベルスターはアキルを睨む。
遅れて追いついたメリアーナとディアベルゼ、静葉は雪奈の側で光美を守る体制をとっていた。
「精霊が受肉したのね、イレギュラーが多くて困るわ」
アキルが呆れた声でそう呟いたとき、鎌がアキルの首に少し食い込んだ。
切り口からはドス黒い血が絶えず流れ落ちている。
「誰が喋っていいっつった?テメェの生き死にはアタシ次第なんだぜ?」
ディアベルスターは怒りながらアキルに告げる。
「…………まぁ、いいわ。さよなら、次はトーナメントで会いましょう」
そう言ってアキルは霧散した。
「な?!」
ディアベルスターは驚くが、クレアは驚かなかった。
そんなことよりも今は雪奈の方が重要だ。
「雪奈……息はしてるな。とにかく近くの病院に運ぶぞ!」
クレアは雪奈を抱き抱えて近くの病院に連れ込んだ。
だが、雪奈の傷は深く意識は未だ戻らない。
「どうしちまったんだよ……アキル」
クレアが言葉をこぼす。
それを見た光美はクレアに近づいて一つの真実を伝えた。
「クレアさん達はご存知なかったんですね……アキルさんの本当の目的を」
「アキルの目的って……邪神絡みのやつか?」
クレアは過去の経験からそう推察する。
しかし帰ってきた答えは想定外のものだった。
「半分はあってます。けど、アキルさんの