地獄の砂漠縦断装甲列車の対空砲銃座に配属された儚げちびっ子ロリTS娘 作:4645 (ケモ系大量生産クリーチャー)
「ごおっしゅ…ごおっしゅ… シューーーッ……」
…俺の住む田舎町の端っこ、丘と丘の間を縫うように敷設されたみすぼらしい線路の終わりにある、巨人がつまんで空から置いたような小さな赤い駅舎の鉄道駅には、この日書記長肝いりの最新兵器とやらが来ていた。
カンカンと甲高く村内に響き渡る駅の鐘の音を聞きつけた俺が、未知への期待に興奮しながらダバダバと走って線路沿いに駆けつけると、ちょうど件の列車が遠くでブレーキをかけ始めている頃合だった。
たっぷり数十秒の減速の後、ようやく重々しい溜息を吐きながら止まったソレの見た目は、貧乏人のテーブルみたいに薄い装甲板を貼り付けた四角い客車の側面に、爪楊枝のように頼りない滑稽な大砲や重火器の類をちくちくと刺して、最後に間抜けな王冠のように申し訳程度の警戒タワーを乗っけたような、いささか急増感溢れる代物だった。
だが、この時の俺はヨソの国のもっとちゃんとした物など見たことが無かったし、それどころか、俺が産まれる前から走ってる数十年モノの前進する煙突付き果物バスケットのような機関車しか知らなかった。
であれば当然、今からすれば硬くなったパンも同然の棺桶号でも、凄まじく立派でかっこよくて勇ましくて、それこそ駆け寄って見物したくなるほど凄まじい最新兵器の威容を放っているように見えたのだ。
まあ、"この時は" まだ男の子だからな。
「…うわ、わっ……!」
しかし、落ち着いて見物できたと言えるのは、せいぜい最初の20秒がいいところだ。
動ける男がみな前線に行ってしまったので、住人が女子供や老人ばかりになったこの田舎町だが、そのどこに詰め込まれていたのかと言うほどに多くの群衆がどこからともなく現れ、列車を取り囲み始めた。
当然ながら窓の類がほとんど無い列車の中を覗き見ることなど出来るはずもなく、すわ愛する家族が帰ってきたのかと歓喜する人々の期待は、あっさりとぬか喜びに終わってしまったが。
そんな必死な連中を相手に、女の子の姿で目立たない上にただの野次馬な俺が太刀打ちできるはずもなく、すぐに人混みから放り出されてしまった。
でも、なんとか背伸びをすることで、そのリベット止めの装甲ドアから、立派なムスタッシュを蓄えた軍人の男がドスドスと乱雑に降りてくる様子を見ることが出来た。
「…ええい、下がれ!下がらんか!!」
男は鞘に入ったままのサーベルを振り回し、雑に周りの群衆を追い払った後、
「戦争において我々の勝利はもはや確実な物となったが、あともう少しだけ勇気ある力強い国民達の後押しが必要だ」
という内容の命令文を読み上げ、更に徴用される村民の名前を上から読み上げ始める。
近所のつららを齧るのが好きなあいつ、目が悪くて前回不合格にされたはずのメガネくん、やたらと火を起こすのが上手な斜向かいの兄ちゃん。
…全体的に若すぎる。
というか、子供と言っても差し支えない男達の名前がほとんどだった。
それに対し、家族が帰ってくるどころか更なる分断に女達は不安そうな表情を浮かべ、憤慨した老人はステッキを振り上げて抗議するも、能天気に栄光の勝利を信じているバカな子供達は、次々と列車に飛び乗って行った。
どうやら準備は必要ないらしい。
本当かよ。
と、少し疑問が脳裏をよぎったが、子供達を誘導する笑ってない笑顔を浮かべたいかつい水兵風の男に気圧されてしまい、とうとう俺も家族に別れも告げる暇もなく他の奴らと団子になってタラップに飛び乗ってしまった。
…そして、着いてからものの数十分で全ての人員を乗せ終えた列車は、そそくさと村から逃げるように車輪を動かし始める。
俺の真横の窓に変なばあさんが最後まで車窓に貼り付いていて、「私の可愛い可愛い孫に届けておくれ」と、何かの刺繍を施した手芸品を国軍の若い男に渡そうとしていたが、若い男は青ざめた顔で生返事をしていた。
ばあさんはにこにこと微笑みながら、俺にも小さなクッキーを渡してくれたが、何故か食べる気にはなれなかったのを今でも覚えている。
◇◇◇
………そして2ヶ月後。
俺と愉快な仲間達は、その数を半分に減らして戦地に辿り着くことになる。
最初に消えたメガネくんは、乗って3日目から常にゲロを吐いて泣き言を言うようになり、そして2週間後の石炭補充作業中に、ふっと茂みの中へ消えていって、そのまま二度と帰ってこなくなってしまった。
今思えば、メガネくんの選択が1番正しかったのだと思う。
俺は1ヶ月目に、いつものように木の座席でケツを痛めていると、急にジリジリと全身が焼けるように痛み始めた。
その晩の内にちんこが股から剥がれ落ち、全身から血が吹き出し、そして翌日には綺麗に少女の姿へと様変わりしてしまったのだ。
戦後数十年経って知ったことだが、俺は我が祖国の書記長をゲイ爆弾でオカマにして戦争を終わらせるという、敵国のふざけた作戦に巻き込まれてしまったらしい。
…つららを齧るのが好きな男は、中途半端に股間が腐って、全身に毒が回り、目を真っ白にして死んだ。
どうやら体の中まで剥がれてしまったらしく、ケツから常に血を垂れ流していた。
やたらと火を起こすのが上手い斜向かいの兄ちゃんは、痒い痒いと喚き続けて、頭を掻きむしり、そのまま自分の頭をかき潰してしまった。
俺は、未だにそいつらの厭に温かくて力強い手を忘れられない。
よく夢を見る。
助けてくれと血走った目をぎょろぎょろさせながら、こちらを凝視するあいつらの夢を。
ああ、もう…。