地獄の砂漠縦断装甲列車の対空砲銃座に配属された儚げちびっ子ロリTS娘 作:4645 (ケモ系大量生産クリーチャー)
…突然だが、「戸籍上は男性」の女性が出兵することになった場合、その事務的扱いがどうなるのか想像したことはあるだろうか。
戦後の価値観の元に普通に考えれば、大半の人が徴兵免除だと答えるだろうし、現実的にもそうするより他は無いだろう。
しかし、俺の場合は"初"の完全な性転換を果たした集団の1人であり、更に歴史的にも似たような事例がひとつも無く、加えて戦死による男性人口の急減に見舞われていた末期の戦時国家で発生した事例であったことから、そうスムーズな対応とはいかなかった。
◇◇◇
…輸送列車の中で突然発生した血みどろ女体化パンデミックにより、一時的に壊滅状態に陥った我らの一団は、打電手が直後に打った救援要請に応えて参上した婦人看護隊の面々により助け出された。
現場は惨憺たる有様で、乗員の四分の一が何かしらの身体障害を併発し、既に死亡している状態であったという。
しかし、五体満足で特に異常のない俺を筆頭に、運よく動ける状態で変態が完了した残りの連中は、特に治療が必要なことも無く、強いて言えば限局性恐怖症*1を発症した者が少々散見される程度だった。
つまり、救援に来た婦人看護隊からすれば、「現場に到着したら元がなんだか分からないような肉塊や奇形の死体と一緒に、怯えるいたいけな女の子の大集団が列車からワラワラと飛び出してきた」という状況になるわけだ。
当然、現場は大混乱に陥った。
なにせ、紙面と目の前の患者の情報がひとつも一致しないのである。
「…アルトゥル・メイコヤン 16歳 男性。」
「そ、そうです!!私がアルトゥルなんです!
本当なんです!ほっほらっ写真…が……」
「あ、貴女がドラガン軍曹だと言うのですか…!?」
「…そうだ。不可解なことにな。」
というわけで、この状況をちょっと包帯を巻くのが上手なだけのおばちゃん集団の力で解決出来るはずもなく、取り急ぎ近くの農村に輸送した後に、数日経ってから貴重な男の医者が飛んでくることになった。
それも、状況が状況なので、物々しい防疫体制を敷いた上で。
とはいっても化学攻撃用のマスクの進化版のようなものをつけているだけだったが。
◇◇◇
数日後、全身をなめし革で覆ったエラい医者が到着し、俺達全員の健康診断を行った。
しかし、健康優良児であるという結果以外は何も得られず、ウイルスの類も一切検知できなかった。
強いて言えば、皆総じて奥歯のすり減り方に男性傾向があるので、この少女達には突如として男から女へ性転換した可能性がないとも言い切れないかもしれない。という推察が出た程度である。
担当者は頭を抱えた。
前線へ送るはずの新兵たちが一瞬にして3割程度消失し、挙句の果てには、残った連中までもが上級軍人含め揃いも揃ってカワイイ女の子の姿に変わってしまったのだから、当然である。
…今どき非戦闘員はそこら中に余っている訳だし、パンフレットを読んだだけとはいえ多少の軍事教育が施された人材を遊ばせておく訳にもいかず、
だからといって、このまま何事も無かったかのように送り出しても色々と角が立ちそうで…
そのまま数日間に渡り、徴発された家屋の中で日に日に後退する戦況とTS娘軍団を見比べた結果、担当者はついに逆転の発想に至る。
「逆に考えれば女性兵士大隊の前例が出来たとも言えるし、もういっそ女子供も動員してよいことにすれば解決なのでは?」
と。
流石にTS娘軍団を活用するための方便だったようだが、後年の価値観からすると、これはかなり特異な事例だと言える。
◇◇◇
…して、一行はいつの間にかゲル化死体の除去が完了していた列車に舞い戻ったわけだが、残念ながらその後についてはあまり語ることがない。
なんせ、普通に輸送再開して戦地に向かい、順当に壊滅して、1話の流れを辿っただけだからだ。
その間に起きたことと言えば、人数が減ったおかげで一旦下車して装甲列車が坂を登り切るのを待つ回数が減ったことと、今までほとんど行われていなかった対空警戒をめちゃくちゃしっかりするようになったくらいのものだ。
当時は敵にも味方にも航空戦力がほぼおらず、強いて言えば上空から双眼鏡で"覗き"をされるぐらいのもので、ほとんど空には目を向けていなかったのだ。
その分、例のTS爆弾の件は本当に青天の霹靂だったと言える。
俺は今でもせいぜい6人乗りの布と木で出来た改造旅客機から素手で落として良いものではないと思うくらいだ。
…それで、話を戻すと、普通に輸送再開して戦地へ向かった訳だが、皆割と女の体に慣れるのが早く、大きすぎる衣服なども器用に裁縫して簡単に仕立て直したりして、結構良い感じに生活できていた。
内臓変異を失敗していた者達が遅れて数人死んだくらいで、特段ハプニングもなく、警戒に当たる中で軍事訓練に勤しむことが出来たくらいである。
ちなみに、俺はこの生活の中で対空砲手の任を受けた。
本当は機関砲手になる予定だったが、威力があって空まで弾が届く物がこの機関砲しか無かったので、名前だけちょろっとすげ替えたのだ。
なお、割と要領が良かったのか、動きがそれっぽく見えていたのか、正直なぜだか分からないが、俺は微妙に優秀だと思われていたようで、到着直前には単独で対空警戒に当たらせて貰えていた。
少女の体で機関砲のクソ硬い機構を操れる時点で、かなり優秀だったのだろう。
まあ、そんな俺も、その後間もなく砂漠の真ん中で死にかける事になる訳だが。
後編で瀕死体験後を回収して死亡差分に移ります。