ハリーのための夏休み。最後の週はウィーズリーの家に泊めてもらうことになった。まずロンのご贔屓チームの試合を現地観戦。そのままウィーズリー宅隠れ穴に始業式の日まで泊まり、駅で待ち合わせということになった。
長かった。本当に長かった。
私はハリーを送り出したあと椅子に座り込み、そのまま何本かたばこを吸った。そして酒を飲みソファーに寝っ転がっていたらあっという間に夜になった。自堕落は最高だ。思うに私は最近生き急ぎすぎている。アーリーリタイアということでずっとこうしていたい。だが今の世界ではそんな非生産的な行為は反社会的である。
そうして1週間が反社会的なまま過ぎていった。
カビの生えそうなパンにケチャップをつけただけの食事のおかげでホグワーツに戻るのが今まで以上に楽しみになっていた。
ホグワーツ特急の出るダイアゴン横丁は毎年混むが、今年は類を見ないほどに人が溢れかえっていた。私は筆記用具を一通り補充するつもりでいたのだが、店にたどり着けるか不安になった。しばらく人混みに揉まれていると、その原因に辿り着いた。というか、人の流れに身を任せていたらそこに辿り着いていたのだ。
人混みの原因はフローリシュ・アンド・ブロッツ書店だった。入り口には大袈裟な笑みを浮かべた男の馬鹿でかいポスターが掲げてあった。
「あの人気映画俳優ギルデロイ・ロックハートの自伝!初著書『私はマジックだ!』サイン会…」
「グリンデルバルド先生もファンなんですかッ?!」
私は突然聞こえてきたその声にぎくりとして振り返った。
そこには目を輝かせ本を抱きしめたハーマイオニー・グレンジャーだった。
「いや。たまたま通りかかった」
「あ…なんだ…。そうなんですね」
グレンジャーは肩を落とした。そして店に入ろうとする客の1人にぶつかられ、本を庇ったせいで転びかける。私は慌てて彼女の体を支えた。その小さな体は人混みにのまれかけている。保護者はどうやらいないらしい。ああくそ、放って置けないじゃないか。
「私、当たったんです。サイン会!」
「へぇ。それはおめでとう」
「すごい倍率なんですよ?先生…もしかして映画は見ないんですか?」
「ああ。見ない」
なぜならば映画はプロパガンダ部が作る緻密に計算された洗脳プログラムだから。と、目を輝かせている子供に対して言えるわけもなかった。
「そんなに有名なのか。このロックハートってやつは」
「有名も何も、今イギリスで一番のスターですよ!」
「なるほどね。確かに顔は悪くない」
嘘っぽすぎる笑顔は好みではないが、年頃からオールドミスまで幅広い層が書店に詰めかけるのもまあわかる。もちろん映画スターなんてものはプロパガンダ部の職員なのだが。
「サイン会の列に並ばなくっちゃいけないんです。グリンデルバルド先生から見えますか?」
「ああ。こっち…」
私はグレンジャーを列の最後尾に並ばせてやると、続々とその後ろに魔女たちが並んだ。こんな狭い書店でサイン会なんてやるなよな。
とりあえず生徒の安全は確保できたので私は人をかき分け、書店から脱出した。しかしそこにちょうどウィーズリー一家と鉢合わせしてしまった。
「あら!フレイ先生?!」
「まさかここでお会いするとは。ごきげんよう、ミセス・ウィーズリー…」
先頭に母親と娘、後ろに人混みに話されながらも父、息子たち(割愛)がついてきていた。私は人混みに流されないように書店の入り口の段差に上がった。
「まさか先生もギルデロイのファンなんですの?!」
「ちがいますよ。ここに人がどんどん吸い込まれていくもので巻き込まれたんです」
「なんだ、残念。私も娘もサイン会は外れてしまったんですけど、一目でも見れたらと」
「ああ…なるほど」
そういう人が多いからこんなに混んでいるらしい。やれやれ。モリーと娘はそのまま書店に吸い込まれていった。人混みをかき分けてやっとアーサー・ウィーズリーがやってきた。
「おお…フレイ先生。奇遇ですな!」
この家族はみんな人の良さそうな顔をして、総じて赤毛。家族って面白い。うちとはえらい違いだ。アーサーは私と同じように段差に乗っかり、ふうと一息ついた。
「こんにちは。奥様に付き合って?」
「いえいえ。教科書の買い出しですよ。しかしギリギリではいけませんな。買えるといいんだが…」
「きっと大丈夫ですよ」
父親に遅れて双子が現れた。陽気に挨拶して同じように書店に吸い込まれていく。
「ハリーは?」
「いるはずですよ?ほら…」
そう言ってると私たちから離れたところで小さな赤毛と癖毛が人の流れに逆らえずに書店へ入って行くのがみえた。おやおや、とアーサー。
「本当にお世話になってしまって。ご迷惑はかけませんでしたか?」
「とんでもない!ハリーはいい子ですね。家内がうちの子になってほしい!なんて言っていましたよ」
「それはよかった」
「フレイ先生もぜひ、来年は一緒にうちに泊まりにいらしてください。なんだかお顔がやつれているようですし、1人だと不精するタイプでは?」
「独り身なんてそんなもんですよ。…まあそうですね。来年…」
「それはいい!」
アーサーはそういうとにこやかに笑い私の背中をポンと叩いて書店の中へ入って行った。私はハリーを待つか悩んだが、またこの人混みの中に戻る気になれずにそのまま流れに逆らいながら漏れ鍋へと逃げ込んだ。
酒が飲みたい客は2階席に行くのが暗黙の常識だ。最近は人前でアルコールを嗜むと周囲から冷ややかな目で見られる。二階へ行くと昼間から飲んでるやつはほぼおらず、私は安心して一息つくことができた。酒を頼むのもやぶさかではなかったが、ホグワーツ急行の席を酒の匂いで充満させるのは流石に本気で怒られそうなので控えた。代わりにバタービールを飲み、窓の外を見る。
ああ、本当に人が多い。グリンデルバルドの支配が始まって以来、魔法使いの人口は倍に増えたという。もちろんこれは当局の発表であり、プロパガンダ局の思惑が大いに反映されていることは特別強調する必要もなかろう。(マグルの人口?それは闇の中だ)
私は数十分涼んでから目的の買い物を済ませ、ホグワーツ急行のでる9と4分の3番線へ。ここも一等混む場所だが、先ほどの書店よりはまだマシだ。周りを見てハリーたちを探す。幸い真ん中の車両近辺に赤毛の一団がいたためすぐ見つけられた。
私の姿を見るとハリーがすぐに駆け寄ってきた。
「フレイ!会いたかったー!」
「さっきぶりだな」
「うん。すごい人だったよね?…なんかお酒の匂いがしない?」
「気のせいじゃないかな。夏休みは満喫した?」
「ホントに楽しかったよ」
「話はあとでゆっくり。荷物が途中だろう?」
ハリーはウィーズリー兄弟の元へ駆け足で戻って行った。それと入れ替わりで子供らの荷物をあらかた詰め終わったらしいアーサー・ウィーズリーがやってきた。
「やあフレイ先生。お互い無事駅に辿り着けてよかったですなあ」
「ええ。奥様方は楽しめました?」
「そのようですよ。まあ、私は子供らの教科書を運ぶので手一杯でしたわ」
「改めてハリーがお邪魔しました」
「いやいや、自分の家だと思っていつでも来てくれると家族みんなが嬉しいよ」
「おやおや」
ウィーズリー氏の朗らかな声に冷や水を浴びせるかのような調子で誰かが後ろから滑るようにやってきた。黒い外套に洒落たステッキ。やはりルシウス・マルフォイだった。
「人に取り入るのが上手だな、ウィーズリー。あんな僻地のあばら屋に招かれてグリンデルバルド先生も迷惑だろうに」
「ルシウス…」
アーサー・ウィーズリーとルシウス・マルフォイはどうやら知り合いらしい。険悪な空気が流れ出して私は少し戸惑う。しかしそんなことはお構いなしにアーサーが怒りだした。
「フレイ先生のお気持ちを決めつける方が迷惑じゃあないかね」
「嘆かわしいことに君には客観視という能力が欠けているらしいな」
「おいおいおい。喧嘩はよしてくださいよ」
私は間に入る。取っ組み合いを見物するのもよかったが、ハリーとドラコを仲良くさせたいとか言ってたルシウスがハリーの親友の親と喧嘩しちゃまずい。というか公衆の面前で喧嘩をふっかけるな。
「失礼…では私は子供たちを見送るので」
アーサーは深呼吸をして怒りを収めてくれた。喧嘩をふっかけられた側なのに大人の対応だ。これが大家族の家長か。その点おぼっちゃま育ちの貴族気取りときたら。私は呆れたという顔をルシウスにむけるがルシウスは涼しい顔だ。
「友達は選んだ方がよろしいですぞ。ハリーのためにも」
「だからあんたの周りにはご機嫌伺いと卑怯者が多いのさ」
この一言でルシウスは明確に機嫌を損ねた。元々私に対して不満を抱えていたのもあるだろう。
ハリーの誕生日パーティーで、ルシウスは私を呼び出し自分の人脈と重要性をお仲間にアピールするつもりだったはずだ。しかし私がそれを逆手に取りヴォルデモートに近しい連中に圧力をかけ、力関係をひっくり返した。単純に出世したい(例えばアンブリッジやヤックスリーのような)連中はルシウスのイエスマンに徹するよりも私に直接従ったほうが得とすら考えたかもしれない。
「私はてっきりあなたは社交性に欠けていると思っていましたが、観察眼だけはご立派なようですな?」
ルシウスはそう言ってポケットから小包を出した。そのサイズ感には見覚えがあった。
「これは…?」
「差し上げましょう。あなたはずいぶんこれを欲しがっていましたからな。今後とも末長く続く友情の証として」
「出し渋らなくていいのか?」
「どうせ白紙の手帳だ。私の方でも専門家に調べさせたが何も分からなかった。フレイ先生、あなたならこれが何かわかるやもしれませんな?あなたが本当にドイツ魔法省の元無言者ならば」
ルシウスはその小包を差し出す。しかし私が手に取っても手を離さなかった。
「少々あなたの経歴を調べさせてもらいました。ダームストラングを主席で卒業、しかも飛び級。素晴らしい経歴ですな。しかし問題はこの後だ。卒業後ドイツ魔法省、魔法帝国議会書記官となっていますが?偽装ですかな」
「ああ。私のいた部門は解散後抹消…よくある話ですよ」
「一体何を研究なさってたんです?」
「それ、今知る必要が?」
「もちろん。あなたと私はパートナーですから」
「よく言う…。悪いが黒歴史なんでね。もっとお互い仲良くなれたらお話ししましょう」
「…いいでしょう」
「まあ少なくともこれが友情の証っていうのは気に入ったぞ、ルシウス」
私は包みをひったくり自分のポケットに捩じ込む。
ルシウスはやっぱり面白くないと言う顔をしていたが、手帳を渡すという目的を果たしたのかあいさつもほどほどにその場から立ち去った。
ルシウスがいなくなるとハリーとロンが寄ってきた。どうしても行きの列車で一緒に座りたいらしい。夏休みの思い出を鮮明なうちに語りたいというのだ。素晴らしいね。存在しないはずのノスタルジーに動かされてつい一緒のコンパートメントに乗ってしまった。まあ、去年と違って今年は新しい友達を作る必要もないしいいだろう。
ただ私までウィーズリー夫妻に手を振る羽目になり、なんだか気恥ずかしかった。
列車が動き出すと様々な生徒が通りがけに挨拶をしていった。(私が座っているのに驚きながら)そして本を抱えたハーマイオニー・グレンジャーが少し遠慮がちに相席を求め、ハリーとロンはそれに快く応じた。去年のクリスマス以降親交が深まっているようだ。
「それでね、フレッドとジョージも箒に乗るのが上手くてさ…」
「箒は昔から乗って遊んでたからね。でもハリー、飛行訓練の時から思ってたけど君って本当に才能あるよ」
「クィデッチなんかに夢中になる気持ちがわからないわ」
「君も女の子だね…」
「何よ、その言い方」
などと、子どものやり取りを聞いて私はうんうんと慈悲深く頷いて見たりしていた。本当はコートの内ポケットにしまった例の手帳を検分してたまらなかった。私が夏休みの最後の週何をしていたかと聞かれた時は言葉に詰まったが、ロンは私の生活態度をむしろ面白がった。グレンジャーは眉根を寄せていたが。
そうして窓の外が次第に暗くなってきて、木々の密度がどんどん上がって、外は真っ暗になった。
ホグワーツ駅につき、在校生たちはセストラルの馬車に乗ることになる。ハリーはギョッとしてその骨だけのおどろおどろしい馬を見た。
「セストラルだよ」
「これ…生きてるの?」
「ああ。触ると意外と温かい」
私は馬の頭を撫でた。セストラルは恐ろしい見かけに反して優しい生き物だ。飼い慣らされたものは特に。ハリーもおそるおそるその鼻先を撫でてため息を漏らした。
「なにやってるの?」
ロンとグレンジャーは不思議そうにこっちを見ていた。2人にはセストラルの姿が見えないらしい。
「この生き物はある特定の条件を満たさなきゃ見れないんだよ」
と私はハリーにささやく。
「それってなに?」
「調べてごらん」
たぶん、この学校に通う多くの子どもたちはセストラルを見ることができない。死は遠ざけられる。病、老い、歪み、マグル、私たちは一筋縄では行かない宿命を見えないもののように隠してしまうから。
馬車に乗り込むと、誰かがするりと残りの座席に滑りこんだ。プラチナブランドの髪、そして生意気な顔。ドラコ・マルフォイだった。
「おおや。フレイ先生がいると思えばポッターとウィーズリー…それにグレンジャーか」
グレンジャーの名前を呼ぶ時、ドラコの声色には明らかな嘲笑が含まれていた。マグル生まれの魔法使いは昔『穢れた血』などと呼ばれていた。今その名称を使うものはいないが、あの父親だ。ドラコが侮蔑の言葉として知っていても納得だ。
しかしながら、魔法帝国内において生まれなどは関係ない。少なくとも、建前上は。重要なのは本人の能力。それはホグワーツに入学が許可されている時点で証明されている。さらに言えばグレンジャーは昨年度の成績トップだ。おそらくマルフォイにとってはそれが一番気に入らないのだろう。
「マルフォイ、腰巾着はどうした?」
ロンが明らかに敵対心を持って言った。しかしドラコは相手にしてないという感じで軽くいなす。
「ああ、あいつらなら別の馬車さ。狭苦しく移動するのはごめんだからね」
「なんで乗り込んできたんだって言ったんだ。お呼びでないぞ」
「お呼びでない?へえ。ポッターとは多少話す仲なんだが」
話を振られたハリーはやや気まずそうな顔をした。
「あー…うん。マルフォイ…夏休みはどうだった」
「変わり映えしないね。フランスの別荘に行ったりもしたけど、毎年行ってちゃ飽きるってもんさ。もっとも、ウィーズリーには想像もつかないだろうけど」
「フランスくらいわかるさ!」
「へえ…」
喧嘩腰の2人と気まずそうなハリー、ぼーっとそれを見物している私を見比べてグレンジャーが言った。
「ハリー、あなたマルフォイと仲悪いんじゃなかったの?」
「まあ…よくはないね」
「寮の垣根を越えて親交を深めようって話しただろ?パーティーで」
「パーティー?きみ、マルフォイのパーティーなんかに行ったのか?」
「それは屋敷しもべ妖精が強引にこいって言ったから!いや…でもたしかに、うん。パーティーにはいったしそういう話をしたよ。でも…」
「でも?」
「そういう、人を馬鹿にしたような態度を取り続けるのはやっぱり好きになれない。ロンもハーマイオニーも僕の大事な友達なんだ。自分の友達を軽んじる人とは仲良くなれないよ」
もっともだな。あまりにもっともでドラコも口をきゅっと閉じてしまった。
これ以上は拗れると思った私はわざとらしく咳払いをして無理やり全員の注意を引いた。
「ドラコは性格が悪いから口が悪いんだ。許してやろう」
「はあ?!」
「まだ更生の余地はある。頑張ろうな」
「ちょっと先生、聞き間違いかな…僕の悪口を?」
「ちがうちがう。事実を言ったんだ」
「父上に言いつけるぞ!」
「そうだな。私もおじいさまに言いつける」
「くっ…!大人のくせに…!」
ハリーたちは私とドラコのやり取りにキョトンとしてたがドラコが何も言えなくなったのを見て思わずロンが笑い出した。つられてハリーとグレンジャーも笑ったので、私はホッとする。
ルシウス・マルフォイからの脅迫はまだ有効だ。手帳を渡したからといって手を切ると言う意味ではなかろう。それにまあ、子供って多分みんな仲良しの方がいいよな。
「さて、そろそろ城に着くな。私は一足お先に失礼するよ」
私は生徒に捕まらずに職員席へつくために途中で馬車から飛び降り、子供達に手を振った。やっと気が抜ける。中庭を突っ切っていくと夏休みをおえて再会を喜ぶ生徒たちの声が遠くから聞こえてくる。毎年変わり映えのしない光景。学校は時間が止まっているみたいだ。
職員用テーブルに通じる少し狭い廊下を歩いているとばったりセブルスと遭遇した。
「久しぶり」
「ああ、今年の8月は静かだと思ったら、そういえば君がいないのだったな。フレイ」
「フン。寂しかったのか?」
「まさか」
1ヶ月ぶりのセブルスは相変わらず土気色の顔をしていたが1週間自堕落をしていた私よりは健康そうに見えた。私はあの馬車の揺れでうっすら酔ったせいで晩餐が充分食べれるか不安だった。
「ところで例の…」
とセブルスが何か私に言いかけたところでカツン!という小気味いい靴音が聞こえ、思わずそちらを向いてしまった。
そこにはブロンドに巻き毛の男が我々が振り向くのを待っていたと言わんばかりに立っていた。布をふんだんに使ったボリュームのあるマントに裏地は金の刺繍が山盛り。たかだか新学期の晩餐を式典か何かと勘違いしているかのような派手な男だった。
「やあ、生徒に見つからずに職員テーブルにつける廊下はこちらでよろしかったでしょうな?」
「ああ、はい」
芝居がかった物言いだ。セブルスの眉根がギュッと寄って唇がへの字になった。なんてわかりやすい。
見かけない大人はどうせ闇の魔術の教師だ。つまり仲良くしてもしょうがない。一年経てばいなくなる。私は廊下の端に寄って「とっとと行けよ」という視線をやった。しかしそいつには全く通じなかった。
「あなた、グリンデルバルド先生でしょう?」
私は多分嫌そうな顔をしたはずだ。しかし男は笑顔を全く崩さなかった。それどころかずんずんと私の方へ寄ってきて鼻先まで顔を近づけ、とびきりの笑顔を私に突きつけた。そこでようやく私はこの男の顔をついさっき見たことに気がついた。
「昼間、書店にいましたよね?」
「…まさかあんた…」
「ええ。私が今年の闇の魔術の教師をつとめる名優、ギルデロイ・ロックハートですよ!あなた、私のファンでしょう?」
そんなわけあるか!
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