グリンデルバルドが勝った世界   作:ようぐそうとほうとふ

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世界を支配する法則


 

 

 

私が壊した全ての夢に

 

私が拒んだ全ての祈りに

 

私が黙した全ての言葉に

 

私が捨てた全ての過去に

 

 

 

 


 

 

 まだほんの少し冬の名残を感じる二月の末。昨年も来た禁じられた森の中にある池のそばで、ハリーと私は対峙していた。先日の予選最後の面談でフリーダに余計なことを言われたらしい。彼は、私の過去を断片的にだが聞いたのだ。

 私はかつて神秘部で行った実験で数万人のマグルの命を奪った。そう。私のわがままで、たくさんの生きているはずのいのちが消えたのだ。それを言い訳するつもりはなかった。

 

 私はこの世界を無かったことにしたかった。自分で変えておいて、気に入らなかったからぶっ壊そうと思ったのだ。

 

 そんなみっともないことをハリーには知られたくなかった。クソフリーダめ。

 しかし次のハリーの質問で私はより自分を取り繕うことが困難になった気がした。

 

 

「それは…グリンデルバルドと血が繋がってないことと関係ある?」

 

 

「ああ、あいつそこまで話したのか」

 私は少し動揺した。いや、血が繋がってないなんてのは本当のところ政府のある程度の地位の人間は知ってるので大した秘密ではないのだが。

「いや、それは…関係ない。のかな。直接の動機ではない」

 私のモニョモニョした言い訳にハリーは厳しく返した。

「じゃあどうして?」

「どうしてか…」

 

 私は天を仰いだ。

 どうして?そんなことどうして知りたがるのだろう。

 知ったところでどうしようもないことなのに、どうしてみんな知りたがるんだ?

 

「五歳の時かな…私はグリンデルバルドの一族に選抜された。そんな制度があるなんて知らなかったから、正直かなり嬉しかった。私の運命なのだと思った。グリンデルバルドの孫にはね、特別才能を持つものだけが選ばれるんだ。私にはそれがあった。だから別に運命なんかじゃない、必然だったのさ。でもそれでもよかった」

 

 私の必然は、ダンブルドアの勝った世界でもグリンデルバルドの勝った世界でも変わらない。大きな運命に負けること。

 

「なのに…いざ彼を前にしたら、思っていたのと全然違った…」

 

 だから本当に、憎い。私が?あの人が?私の思う形をしていないあなたが生きていることが。それを望んだのは私。そうしてしまったのは私。憎いのは、私自身。

 

「その失望をどうにかしようとして、結果的に多くの命を奪った。そして私は逃げ出したんだ」

 

 こんな話させないでくれよ、ハリー。私はもう一回やるって決めたんだ。また折れそうになっちゃうだろ。

 こんな話をして、君に見損なわれることが怖い。私、いつの間にこんなに弱くなったんだろう。

 

「君は去年シリウスとリーマスと出会った帰り道、私に心はちゃんとここにあると言ってくれた。覚えてる?」

「うん」

「でも私にはずっと大きな空洞に感じるんだ」

「そんな悲しいことを言わないでよ」

 

 

 君といるとほんの少しその空洞が埋まってくような気がしてた。

 無かったことになればいいと思ってる世界なのに。

 そう思うことが罪なような気がした。

 笑ったり、怒ったり、泣いたり、楽しそうにすることでこの世界を少しだけ愛してしまう。

 ダメだ。

 そんなことを思ってはダメなんだよ。

 

 

「言わないで…」

「……ハリー…」

「フレイにどんな過去があっても関係ない。ぼくはフレイが今そんな悲しい気持ちでいることが悲しい」

 

 だから私はハリーを利用しなくてはいけない。彼は私の大切な…

 

「……そうか、悲しい気持ち。ハリーは可愛らしい表現をするんだね…」

「え…?」

 私はハリーを抱きしめる。ずいぶん大きくなった。この調子じゃ抜かされてしまうかもしれないな。

「ハリーが悲しいのは、私も悲しいな…」

「そう…」

「きいて」

 

 私はハリーの頭を押さえて、囁いた。

 

「最近、それを埋める方法がわかったんだ」

「そ…それって…?」

「君がいれば、きっとうまくいく気がする」

 

 私の手口はゲラートと全く同じ。私の特別だと思わせて相手に蜜のように甘い選択肢を提示する。泥濘に嵌れば獲物は勝手に首を曝け出して、落とすも繋ぐも私次第。

 かつて、そんなふうにお互いを縛ってた。

 

「ぼくに…できること…ある…?」

「協力してくれるかい」

「うん…いいよ」

 

 思えば私って、こういう風にのらりくらりと人の誠意や好意を躱して利用して、最後にまとめて報いようとした時には手遅れになるばっかりだったなあ。

 

「ありがとう、ハリー」

 

 

 なんてね。

 感傷に浸るくらいならはじめから全部嘘をつくか、全部本当のことを話すか、どっちかにすればいいのさ。

 

 私はハリーから離れて彼を正面から見る。緑色の優しい瞳が私を見ている。ごめんねごめんねごめんねごめんね…

 心なんてものはない。体のどこにもそんな器官は存在しないだろ。もしあるとしても、私のそれはとっくの昔に奪い去られてる。君はそれを悲しいと言ったけど、私にはそれが面白いよ。君にもそれがわかる時が来るさ。

 

 

 さて。なんだか久しぶりな気もするし、早いところ三大魔法学校対抗試合とかいう茶番はスキップして私のグレートな作戦について自慢したかったのだが…。

 なんとここにきてイレギュラーな事案が発生した。

 

 ボーバトン、そして母校たるダームストラングがいよいよホグワーツへやって来てそれぞれの予選突破者が炎のゴブレットに名前を入れた。大会関係者全員が見守る厳粛な場で、ゴブレットは煌々と光り輝き彼らの名前が書かれた羊皮紙を飲み込んだ。

 翌日、ゴブレットにより各校1人ずつ、計3名の代表選手が選ばれる…はずだった。

 

 しかしゴブレットは4人目の名前を吐き出した。

 

 

 ハリー・ポッター。

 

 でてきた羊皮紙の名前をファッジが読み上げた時、私は口に含んでいた野菜ジュースを吹き出し、咽せて周りの教師から白い目で見られた。

 

 誰だ?余計なことをしたやつは!

 

 叫びたくなるのを抑えて、抑えて。とにかく私は口の周りをぬぐわなきゃ。

 

 

 

 

 

 

炎のゴブレット、暴走! ハリー・ポッターが4人目の選手に!

 

 

魔法界を揺るがす大事件が発生!三大魔法学校対抗試合の選手選抜で信じられない事態が起きた!なんと、炎のゴブレットから4人目の選手として、あの有名な『生き残った男の子』、ハリー・ポッターの名前が出現したのだ!

 

これには誰もが仰天。ホグワーツ、ダームストラング、ボーバトンの各校から1名ずつ選出するはずが、今回の試合では前代未聞の4人目が選ばれるという異常事態が発生。選手候補者は各校15名、合計45名に限定され、ハリー・ポッターの名前はそのリストには一切含まれていなかったのだ。

 

運営の失態か? それとも何者かの不正行為か?

この珍事をきっかけに、試合の安全性と炎のゴブレットの信頼性が大きく問われることになるだろう。運営側の警備体制は万全か?ハリー・ポッターの参加を巡る今後の展開に、魔法界全体が注目している。

 

そして、ここで囁かれるある噂。あのハリー・ポッターが”例のあの人”を倒して生き残った理由は、彼自身が邪悪な力を持っていたからだというものだ。この噂はもちろん公式には否定されているが、今回の不可解な選出と何らかの関係があるのではないかとの疑問を抱く者も現れ始めている。

 

さらに、多くの人が感じているのが、ポッターへの”特別扱い”だ。彼には現在ある有名魔法使い一族の一員が後見人についてるというのは一部関係者には有名な話だ。彼はホグワーツ内でも常に注目され、目立つ場面で贔屓されているという声も少なくない。今回の選抜も、その後見人が何らかの方法で影響を与えたのではないかと疑う声も…。果たしてこの事態は偶然か、それとももっと深い陰謀が潜んでいるのか?魔法界に新たな波紋が広がりつつある。

 

 

 

 

 

 炎のゴブレットの暴走はセンセーショナルに取り上げられた。プロパガンダ局による検閲が一部行き届かなかったり、号外という形で無規制のものがばら撒かれたりと当局は二重に恥をかかされた。

 

 当然、大会関係者は厳しい取り調べを受けた。

 

 ハリー・ポッターはゴブレットに名前を入れていない。筆跡も彼のものと一致していなかった。そして儀式以外でゴブレットは厳重なセキュリティの元置かれていた。誰かがイタズラで彼の名前を入れるのは不可能だった。

 強い闇の魔法使い、もしくは大会運営の責任者クラスの人間以外は。

 

 ホグワーツの教師はもれなく取り調べの対象であり、事を重く見たイギリス魔法省は闇祓いをかりだした。

 私の取り調べはアラスター・ムーディーだった。正直3年前のスクリムジョールと同じくらいに厄介な人物だと思った。彼は熟練で、そして頭がイかれているという噂だったからだ。

 彼の待ち構える小部屋を前に、分析官から杖を出すように言われて従う。別室で最近使った呪文を分析するらしい。

 実際面と向かって見ると、厳つい顔にぎょろぎょろと動く魔法の目、ずんぐりとした体に義足といかにも歴戦の猛者という出立ちに気圧されそうになる。

 

「フレイ・グリンデルバルド…わしが言わずともわかってるだろうが、今の所お前は目下の容疑者だ」

「はあ…」

 

 私がハリーを危険な目に合わすと思ってるのか。なんなら落としてくれたフリーダに感謝していたくらいだというのに、名字による偏見だ。

「仮に私が入れたとして…それって何か問題ですか?」

「大いに問題だ。古くて強い魔法を混乱させる闇の魔術を用いることは、この国では許されんことだからな」

「はあ…」

 マッド・アイと呼ばれていると聞いて警戒していたが、思ったよりもシャッキリしている。なんなら少し気さくですらある。

 

「だが安心しろ。わし個人としてはお前が入れたなど全く思わん。あのグリンデルバルドの孫がそんなわかりやすい策謀を巡らすとは思いたくないからな」

「まあでもそれを読んでの事かもしれませんよ」

「ならば我々も手を煩わせずにすむのだがな」

 とりあえず彼には疑われてないようで安心だ。痛くもない腹を突かれるのは不愉快だし、何よりこんな恐ろしい闇祓いを前にしたら別の罪を告白してしまうかもしれないし。

 

「…ではあなたはどうお考えで?この件、誰が犯人だと?」

「わからんのか?お前さんがたの敵だ」

「それは心当たりが多すぎてなんともですね」

「せいぜいポッターを死なせることのないようサポートしろ。敵は時に想像できんほど身近にいる。油断大敵!わかったな?」

 

 そういってムーディーは私を追い払った。少し拍子抜けした。スクリムジョールの時のように長時間詰問が続くと思っていたからだ。小部屋を出ると分析官から杖が返却された。やれやれと頭を掻いてからとりあえず自室へ戻る。

 3校の生徒たちも事態を受けてそれぞれの宿泊場所で自粛ということで、せっかくの異文化交流の機会がなくなってしまった。まあ、私はどうせダームストラングの生徒の通訳に駆り出されるだけなんだろうが。

 

 しかしムーディーは疑っていないと言ったが、ほとんどの人間はハリーと私が共謀したと思っているようだった。廊下を歩いているとヒソヒソとなにか囁かれている。まあ私はダームストラングでの学校生活でよくあったし子供に何を言われてもへっちゃらだが、ハリーが心配だった。寮内で針の筵になっていなければいいのだが。

 

 そう心配しながら自室へ戻ると部屋ではロックハートがくつろいでいた。

 

「おっ。お帰りなさい、思ったよりも早かったですね?自白してしまったんですか?」

「だったら帰ってこれないだろう」

「まさか闇祓いを買収したんですか…?」

「そんな金ないから。まったく…何の用だよ」

「当然取材に来たんですよ。私は作家ですからね」

 ロックハートは机の上に置いていた手帳を見せる。結構使い込まれていて、ところどころに写真やメモが挟まれて厚く膨らんでいた。トムの日記にそっくりな装丁だった。間違えてトムの日記にメモったら全部消えて面白いことになりそうだ。

「一冊しか出してないだろ」

「一冊も出せば立派な作家ですよ!それにね、あなたとトムのわがままに付き合っていなければ3冊は出せていましたよ」

「はあ…っていうかお前どんな本出すつもりなんだ?前のは自伝だったよな。真実に忠実とは言えない…」

「ノンフィクションです」

「……そお…」

「で?炎のゴブレットに何したんですか?」 

「犯人前提での質問はやめろッ!…なんなら私はお前…ではないか。トムを疑っているんだが」

「とんだ名探偵がいたものですね。…これは皮肉ですよ?ちょっと考えればわかることですが、彼がそんなことするはずがない」

「あーもう…話にならなんな。お菓子をあげるから変わってくれ」

「お菓子で釣ろうだなんて、私を8歳の少年だとでも思ってるんですか?まあ私のファンの中にはそういうご婦人はいますがね」

「30歳にさしかかるくせに何言ってんだお前」

「あ…あなたも同い年ですからねッ!」

 ロックハートは不服そうだった。しかし結局トムに変わってお菓子を食べた。比較的最近もらったクッキーなので多分大丈夫のはず。

 トムに変わったロックハートはいつもの笑顔がすうっと消えて多少はマシになる。

 

「君は僕を疑ってるみたいだが、どこまで本気だ?」

「…30%かな」

「思っていたより信用されていないようで残念だよ。今回の件は僕たちの目的にとっては明らかに障害だ。全く迷惑極まりないね」

 口ぶり的には全く関係なさそうだった。まあ、そうだよな。殺そうと思えばもっと目立たず殺すだろう。どうせ私に疑われるんだから。

「じゃあ誰がやったと思う?」

「君を失脚させたい誰かじゃないか」

 トムはあまり興味がなさそうだった。

「私はとっくに失脚してるんだって」

「世間はそうは思っちゃいない。君、新聞読まないのか?」

「あんまり」

「先が思いやられるな」

 トムは喉が渇いたと私に紅茶を催促した。トムはあまり紅茶の味にうるさくない。イギリス人はなぜか紅茶にうるさい奴が多いのだが、彼は食べ物やお茶、さらに言えば見かけについても実はあまり頓着がないようだった。

 その点がやはりゲラートと全然違う。

 彼にはこだわりと美学があった。もちろんトムにそれが全くないとは言わないが、ゲラートは言うなれば、美を愛しそれゆえに美を生み出す。トムは美を理解しているが、それを利用こそすれ愛してはいない。

 

「とにかく…犯人探しは当局に任せて僕たちはやるべきことをやろうじゃないか。ダンブルドア軍団と接触できたんだろう?」

「…ああ。あっちの情報はないに等しいが、動いてくれてはいるらしい…」

「信用しすぎるなよ」

「わかっている」

「セブルス・スネイプもだ」

「はあ…君って本当にセブルスのこと嫌いだよな」

「閉心術に長けたものは信用できない。…将来の僕はむしろそれがスパイとして優秀だと判断したんだろうが、…フ。あいつ、明らかに僕を敵視しているじゃないか。君のことだってゲラート・グリンデルバルドになんと報告しているかわからないぞ」

「…そうだな。突然君が死んでたらそういう事だと思うよ」

「そうならないようにするのが君の役目だ」

「私に守って欲しいってことかあ。そうだよな。君は永遠に16歳の小坊主だもんな…。死ぬのが怖いよな」

「僕をバカにしているのか?」

「…まあ半分。だって分霊箱なんてものをいくつも作ってまで死を回避しようなんていうのはよほど死ぬのが怖いからだろう」

 私の言葉をトムは馬鹿にしたように笑った。

「わかってないな。死が恐ろしいんじゃない。死を克服して、完全な存在になるのさ。不死はこれまでどんな偉大な魔法使いもなしえなかった偉業だ。そして、このサラザール・スリザリンの末裔である僕がそれを成し遂げたわけだ」

「へえ。死なない人間なんて不完全だと思うがな。君は確かにほとんど不滅と言っていい。しかし同時に人では無くなったと思うが?」

「人でなしで結構だ。いや、むしろだからこそ特別な存在だろう?君のおじいさんだって今はこの世界の半分以上を統べる支配者だが、いずれ死ぬ。僕は死なない。死ないことは…つまりはいのちに、そして寿命という時間に縛られないことは、つまりは運命を支配したも同然だ」

「なるほど、君の欲望の根源はそこにあるわけだ。しかし欲望は欠落から生まれるものだよ」

「…何がいいたい?」

「君が望み通り本当に完璧な存在になったというなら、そこでもう欲望は生まれない。なのにヴォルデモートは破壊と殺戮を繰り返す。つまり君のいう完璧とは、不滅存在になることではない。不死になりたいのではないんだよ。ヴォルデモートは特別な存在になりたい。なのになれなくて暴れているわけだ」

「言葉遊びをしたいのか?それとも僕を怒らせようと?」

「とんでもない。君のことを知りたいと思っているだけだよ」

「…じゃあ次は僕が君の事を知る番だな?」

「そういうルールだったか?」

「そうだ。…きちんと、君のことを聞かせてもらおうか」

「なんだよ。改まって」

「僕はまだ君の動機を聞いてない」

「…動機ねえ」

 

 セブルスにはそれっぽいことを言ったが、たしかにトムには動機については一度も話したことない。私は少しだけ考えてから言う。

 

「計画をやろうと思ったのは君がいたからだよ」

「…また話を逸らそうとして。君が僕をさほど脅威に思っていなかったのは知っているんだからな」

「あは。まあ初めはそうだったがな」

「君はゲラート・グリンデルバルドが憎いのか?」

「憎い…か。君らしい質問だな」

「どういう意味だ」

「愛しているからって事もあるってこと」

「愛などと」

 愛と口にしたトムの顔は歪んでいた。

「この言葉が嫌い?」

「嫌いだな。弱い人間のためのまやかしだ。…そういえば、ダンブルドアが一度だけ言っていた」

「そうか、君はダンブルドアの教え子だったな…」

「ああ。やつは僕を初めからずっと危険視していた」

「流石の慧眼だな」

「秘密の部屋事件の証拠はあげられなかったがな。やつは生徒の前ではあまりグリンデルバルドについては触れなかった。だがあの授業中やらふとした時に挟まれる諭すような偉そうな説教はよく覚えているよ」

「どんな文脈で愛について話したんだ?」

「さあ。細かいことは忘れてしまったが…この世で最も強い力の話だったかな。世界を支配する法則の話だったかな。とにかくひどく退屈な話で…僕はそれに《死》をあげた。だがダンブルドアの答えは違った」

「愛がすべて、かな?相変わらずロマンチストだな…」

「君が愛なんて言うと、なんだか吐き気がするよ」

「そりゃすまなかったね。まあ物の例えだよ。君がこの世を支配する法則が死だとする点は結構好きだな。要するにそれに抗うか、従いながら賢く生きるかってことだろ」

「賢く生きてるような顔をして。君は結構愚かだと思う」

「容赦ないね」

「結局はぐらかされてしまった。喋らせるのが上手いな。フレイ」

「君がおしゃべり好きなだけだ」

「じゃあ最後に一つだけ質問だ。一言で答えてくれよ」

「どうかな」

「この世界を支配する法則はなんだ?」

「…ふふふふふ。それはかなりいい質問だぞ」

「答えろよ」

「愛だよ、トム」

「からかって!」

「あはは。ごめんごめん」

 

 言っておくが、今こうして話している私たち2人は両方とも正直の反対側にいる。

 

 トム・リドルの不死へのこだわりはやはり反転して死への恐怖に他ならないと思う。死はなによりも残酷で平等だ。しかし死を超越する方法は『死を克服すること』ではない。死を受け入れることだ。少なくとも私が思う賢く強い魔法使いはみな死を友人のように迎え入れていた。

 ま、分霊箱をいくつも作ったヴォルデモートにはもう手遅れな話だな。

 それに一度も死んだことない私が言ってもあんまり説得力ないな。それに私も今はまだ死を受け入れることはできない。

 では愛についてはどう?はは。そんなの私に聞かないでくれよ。

 

 さて。いずれにしても私のできることはハリーを三大魔法学校対抗試合なんていう茶番で死なせないよう全力で贔屓することだけである。セブルスのスリザリン贔屓をいじりまくったせいですこしすわりは悪いが、仕方あるまい。

 

 

 

 

 

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