グリンデルバルドが勝った世界   作:ようぐそうとほうとふ

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三大魔法学校対抗試合

 

 

 さて、三大魔法学校対抗試合の正式な代表選手をご紹介しよう。

 

 我が母校、ダームストラング専門学校からはヴィクトール・クラム。なんとクィディッチワールドカップにも出場予定の現役クィディッチ選手だ。

 ボーバトン魔術アカデミーからはフラー・デラクールが選出された。麗しいその美貌はヴィーラとの混血だからと噂されるが真相は果たして?

 そしてホグワーツ魔法魔術学校からはセドリック・ディゴリー。ハッフルパフの好き隣人。監督生にしてウルトラグリスリーズのキャプテンだ。人望だけで言えばおそらく全校トップの好青年。

 そしてイレギュラーな選出者?疑惑のハリー・ポッター。

 

 以上4人が三つの課題に挑むこととなる。

 ハリーを外せという声が大きかったが、残念ながら炎のゴブレットによる選出は魔法契約なのだ。ハリーの出場は致し方無かった。大会運営、およびホグワーツ教員による会議ではフリーダは私の胸ぐらを掴みかからんばかりの勢いでどうやってゴブレットに名前を入れたのか畳みかけたが、知らんがな。私が知りたいんだって。

 

 とにかく犯人探しも行き詰まり、せめて死人が出ないように運営していくほかなかった。

 今回の大会形式は2ヶ月で全ての課題を済ませる必要がある。

 準備の必要があるため、教員関係者はすでに三つの試練について知らされていた。しかし4人目が追加されたことで多少、ケツに火がついている方々がいるらしく会議は早々に終わった。

 

 第一の課題はドラゴンの守る卵を奪取すること。

 第二の課題は禁じられた森に巣食う毒蜘蛛から人質を救出すること。

 第三の課題は迷宮脱出。

 

 外部からやってきた魔法省の連中は信用できないと言うクラウチ校長の強い意見のおかげで、教員がこれら課題の安全策、監督を務めることとなった。

 私は第一の課題、ドラゴンの安全輸送の担当になった。責任者はケトルバーン先生なのだが、彼にはいまいち安全という観点が欠けている。セブルスは第二の課題の人質の安全担当。ロックハートは…特になかった。クラウチ、フリットウィック、マクゴナガルは全ての課題に対して安全策をしき、スプラウトはポンフリーと共にあらゆる怪我人に対処する必要があった。

 

 普段の業務もこなさなければいけない中で無茶を言う。

 しかもイースターは三校交流パーティーがあり、大広間を花畑の如く装飾する必要があった。私の安寧の地が一気にブラックな職場になってしまった。

 

 しかしまあ、これら課題からハリーを生き残らせるというのは少々骨が折れる要求だ。なんせ私は直接手を出せないし。

 ただどの課題に対しても言えるのは、自分の得意分野で蹴散らせという事だけだった。

 

 私はハリーに課題内容を伝えた。

 

「え…情報漏洩だよそれ?!」

 

 ハリーはドン引きしていた。セブルスの贔屓をつねに揶揄い続けていた私が露骨な贔屓をすることはかなりの衝撃だったらしい。でもどうせみんなやってるし。

 

「グレンジャーあたりと頑張って対策を練ってくれ」

「う、うん…。それにしてもドラゴンって…本気で?」

「楽しみだな」

「ドラゴン怖いんじゃなかったっけ?」

「怖いけど好きなんだよ」

「何それ。…でも一生に一度見るか見ないかだもんね。楽しみ」

 

 ドラゴンの輸送がされる夜、私はハリーを呼び出した。どうせなら事前に見せてあげようと思い、透明マントを被ったハリーとこっそり禁じられた森へ。

 

 かなり深い場所まできて、ようやく木々の隙間から煌々と燃える炎が見えた。草を踏み分けて進むとひらけた場所があり、そこには大きなテントとキャンプファイヤーが燃えていた。そう、テントが燃えていた。

 何人かの魔法使いが大慌てで消火に向かっていた。そうしている間に2メートルはある大きな人影がテントの中から太い鎖を搬出しており、その鎖はじゃらじゃらと音を立てて跳ね回っていた。悲鳴と怒号が響き、燃えるテントの隙間から鱗に覆われた巨大なドラゴンの頭が飛び出た。

 

「あ、フレイ先生ー!」

 

 現場に駆けつけてくる魔法使いの1人が私に声をかけてきた。暗がりと炎の逆光でよく見えなかったが、近くにきてやっとわかった。赤毛に日焼けした肌。チャーリー・ウィーズリーだった。

 

「来たなら手伝ってくださいよ!現場監督でしょ一応!」

「いや、火傷しそうだし…」

「そういうジョークはいいですから!」

 

 チャーリーは私も教えていたのだが、まあ成績は良くなかった。しかしドラゴンについての異常な執念で有名だった。

 彼は授業中はずっと居眠りをしていたが、ダームストラングやホーンテールホールでドラゴンと多少触れ合ったことのある私によく絡んできていたのでそれなりに仲はいい。まあウィーズリーの連中はだいたい社交的なのでそれくらいの仲の人間はたくさんいると思うが。

 

「あいつはなんで暴れてるんだ?」

「そりゃハンガリー・ホーンテールだからですよ!この種は気性が特に荒いから」

「あれに当たる生徒は気の毒だな」

「まあ運が悪かったと思って棄権するのが一番だと思いますね」

 

 テントはなんとか消火され、鎖に繋がれたドラゴンが暴れながら出てきた。見るからに凶暴そうな立派なドラゴンだった。見えないがハリーが息を呑むのがわかった。

「でも彼女がこの中だと一番美しいドラゴンだと思いますね!うん。鱗に一つだって傷がないし、あのギラギラした目…綺麗ですよね」

 チャーリーはうっとりしていた。さすがドラゴンが好きという情熱一本で不可能と思われた就職を決めた男だ。

「…は!いけない。それじゃあまた」

 チャーリーはそういうと仲間に加勢しに行った。私はまた少し離れ、暗がりへ行った。するとハリーの生首がにゅっとでてきて

 

「死んじゃうよ…」

 

 とつぶやいた。そうなんだよね。

 しかし幸いなことに、この課題はドラゴンを倒す必要はない。

 

 グレンジャーがいればおそらく、大体の試験の突破口を思いつくことができるだろう。それに大会運営側も死者が出るようなことは何としても阻止するはずだ。そのために手だれの魔法使いが本国からもわんさか派遣されていた。

 

 そんな状況下でシリウス・ブラックから手紙が届き、私は肝を冷やした。

 

 


 

フレイ・グリンデルバルドへ

 

 一体君は何をやっているんだ?

 ハリーを守る、それが君の役目ではなかったのか?

 吠えメールを送ろうかと直前まで悩んだよ。しかし君が逮捕されては本末転倒だからね。

 とにかく、君はどれだけ事態を把握できているんだ?対策は打っているのか?

 これがもし君のせいで引き起こされた事態なら、私はすぐにでもハリーを引き取りに行くからな!

 とにかく、報告してくれ。

 

 パッドフットより

 


 

 

 

 文面から怒りが滲み出ていた。以前からリーマス・ルーピンとは手紙を交わしていたのだがそのどれもがフクロウ便ではなく自宅の郵便受けに直接投函されていたり新聞に紛れていたりする中で、シリウス・ブラックの手紙は堂々とフクロウ便だった。たまげたぜ。

 しかし同様の差出人不明のお叱りの手紙はたくさんきていたので、今回はそれに違和感なく溶け込めている。

 報告してくれというが、どこに返事を出せばいいんだ?まったく…。

 リーマス・ルーピンへの手紙は新聞広告を元に出している。私がとっている日刊予言者新聞、週刊魔女、戦う魔法戦士、月刊魔法紳士、日刊魔法スポーツのどれかに返事を出すべき住所のヒントが載っている。どれもまともに読んでないが、めくれば今回の不祥事についての記事は嫌でも目についた。

 露骨な誹謗中傷は検閲されているとはいえ目も当てられない。クラウチ校長の前歴をあげて彼が犯人だと名指ししているような記事まである。

 まあこんなものは見なければいいだけだ。私は雑誌を火に焚べる。さようなら。

 

 セブルスは私は楽観的すぎると評した。

 

「炎のゴブレットにポッターの名前を入れた何者かが課題中に殺しにくるかもしれないのだぞ」

 

 もっともな意見だった。信用できるものはホグワーツの教師だけ。魔法省の連中はことごとく怪しく思える。私の失脚はすでに明らかだが、グリンデルバルドの名を落としたいと思うものは私が思っているよりずっと多い。

 しかし結局、我々にできることなど限られていた。

 

「…セブルス。君の推理を聞いていなかったね。犯人は誰だと思う?」

 セブルスは無言で私に左腕を捲って見せた。そこには蛇と髑髏のいけてる刺青…闇の印が刻まれていた。

「濃くなっている。3年前よりも。そして冬よりも」

「前から思っていたけどその印、派手すぎだよな」

「少しは危機感が湧いてきたようで何より」

「いいや。尚更訳がわからなくなった。あのヴォルデモートが課題中に運良くハリーが死にますように。…なんてことすると思うか?」

「それは…ふむ。確かに」

 セブルスはしばし無言で考える。しかし答えはすぐにでなかったらしい。

「現状、死喰い人は壊滅状態だ。闇の帝王に従順なものはみな処刑され、今残っているのは裏切り者だけ。闇の帝王に使える手駒があるとしたらクィレルのような偶然手に入ったものだろうが…」

「なるほど。そう簡単にって状況では無いな。…もし紛れ込んでるとしたら君のように長年潜伏している皮肉屋で狡賢いやつだろう」

「…我輩への評価、どうも」

「いいえ。感心しているよ。口が固くて忍耐強いところには」

「…それで。君は結局静観か?」

「そうだな。仮にこれが私を陥れる策略だった場合、私が罠にハマればいいだけ。だがもしヴォルデモートと狡賢いやつの手先が仕掛けた何かだった場合は…」

「場合は?」

「…うーん…」

「駄目だな。君と話しても無駄だ」

「そんなこと言うなよ。じゃあ君は何ができるってんだまったく。…とにかく、私ができるかぎり大会の安全を守る。それでいいだろ」

 

 セブルスは微妙な顔をした。なんでハリーを守りたがるくせに近づかないどころか嫌がらせをするんだか。おじい様の指示?やれやれ…。

 

 

 

 第一の課題、ドラゴンとの対決は4人とも見事生還した。セドリックは多少火傷したものの、他はほぼ負傷ゼロ。ハリーは呼び寄せ呪文で箒を呼び出し、華麗に空を飛びドラゴンをいなした。正直一番派手で見事だったが、イゴール・カルカロフの露骨な忖度により点数は奮わなかった。

 イゴール・カルカロフは私が卒業してからの校長なので人となりはよく知らない。しかしどこかフィニアス・ナイジェラス・ブラック校長に似た気配を感じた。

 

 

 続く第二の課題では私は周辺の巡回しかやることがなかった。蜘蛛の毒を無効化する魔法薬の調合に駆り出されそうになったが、私の魔法薬の腕を信じてないセブルスが拒絶したため暇になったのだ。

 そのため私は森を巡回しながらロックハートの戯言をずっと聞かされる羽目になった。こいつときたら、自分ならこうして課題をクリアするという妄想を四六時中私に語ってくる。私は試合中ハリーの心配を忘れてこいつをどうやって黙らせようか考えていた。色々と考えた結果、選手たちが生還する頃にやっと殺しても黙らないだろうから地の底か海の底に封印しようというところに落ち着いた。

 

 結果はフラーが最初に脱落。ビクトール・クラムが一番先に帰ってきた。人質は彼のチームメイトで、帰り道はかなり頼りになったと思われる。

 セドリック・ディゴリーはチョウ・チャンを救出。そしてハリーはロンと…見知らぬ女の子を救出してきた。どうやらフラーの妹だったらしく、自分の人質でもないのに助けてきたらしい。

 今回の課題は毒蜘蛛と聞いていたが、どうやら人質の周りは巨人とトロールが警護していたらしい。たしかに毒蜘蛛だけじゃ人質は食べられちゃうよな。巨人はどこから仕入れてきたのか知らないが、ハリー曰く「意外と話ができた」とのこと。そんなことあるか?

 

 

 とにかく、生きて帰ってくれて何よりだった。

 ハリーが死ぬとしたらこの課題だと思ったのだが、ハリーはドラゴンよりも楽に課題をクリアしている。なんだか思っていたのと違った。卵のヒントは地図だったそうだが、ハリーのだけ偽物とかそういうこともなかった。

 

 まったく。ハリーの名前をゴブレットに入れたやつは何をしたいんだろう?次の迷宮で何かあるのか?

 

 第三の課題を前にしてイースターパーティーがあるので私は準備に追われた。このパーティーが終わって翌日に第三の課題がはじまる。いわば前夜祭だ。

 フリーダ・グリンデルバルドをはじめとしたドイツ魔法省の何人かとイギリス魔法省の重役、それに各国の招待客などもやってくるためホグワーツは準備にてんてこ舞いだった。

 屋敷しもべ妖精たちを総動員してご馳走と飾り付けをこなす。短期集中開催にした皺寄せは彼らにきていた。しかし屋敷しもべは自分がボロボロになるまで働くことが至高の喜びなのだ。これこそ帝国の目指す理想の市民の姿だ。素晴らしいな!

 

 そういうわけで、イースターのパーティーは昼間から始まった。もちろんイースターエッグ探しなどのイベントもあり校内全体がお祭り気分。特にダームストラング、ボーバトンの生徒はホグワーツに興味津々で催しは盛況だった。

 私はダームストラング校長のイゴール・カルカロフの相手でもしようかと思ったら、彼はフリーダ・グリンデルバルドにかかりきりだった。フリーダは人材管理局の人間で、基本的にはマグルの管理が主な仕事だが魔法使いの人事も仕事の一部だ。どうやらカルカロフは野心家らしい。

 

 私は手持ち無沙汰にウロウロしていたらコーネリウス・ファッジとクラウチ校長に捕まってしまった。ファッジとはあまり面識はないが、ここ4年間帝国に特に文句など言わずやってきたようだ。クラウチ校長は居心地の悪そうな顔をしてガラスを頻繁に傾け、彼の元から去たそうにしていた。

「グリンデルバルド先生から見てどうでしょう?三大魔法学校試合は」

「そうですねえ…人材発掘キャンペーンとしては金がかかりすぎですね。でも生徒が楽しんでるのでいいと思いますよ」

「いやはや、確かに!私も繰り返しそう言ったのですがねえ。国際魔法協力部は魔法帝国との協力事業にもう乗り気で。まあ私もこれをきっかけにクィディッチワールドカップなんかに参加するきっかけになれば…と」

「ははあ。本命はそちらでしたか」

「いやそんなつもりはございませんがね。ございませんが…やはり、ね。イギリス魔法界からクィディッチを取り上げたの()()はやはり得策とは言えませんよ…」

 私とファッジのつまらない会話を聴きながらクラウチ校長は不機嫌そうな顔をしていた。

 バーテミウス・クラウチ校長。

 彼はあまり他の教員とも打ち解けていない。そもそも魔法省での失脚からこの職場に流れ着いたようなもので、もしかしたら現大臣であるファッジとは過去に一悶着あったのかもしれない。

 

「ゴブレットの件、結局未解決のままですかね」

 クラウチに話を振ってみると、実におっくうそうな表情で首を振られた。

「炎のゴブレットを錯乱させるような魔法使いが痕跡を残しているとは思えない」

「つまりは強い魔法使いが噛んでるわけだ。…イギリスと言えばヤツですよね?ヴォルデモート。あいつ関連でしょうか」

 私の言葉にファッジは気味の悪い虫でも見てしまったかのような不快感を露わにし、私を睨んだ。やつの名前を出すとみんなこうなる。イギリス人って面白いな。

「その名前を口にしないでください。ああ、なんてことを言うんです?あの人はとっくに滅びた。不謹慎ですぞ」

「おっと失敬。ですがね、狙われてるのがハリーとなると後見人の私からすればそう考えざるを得ないのですよ」

「失礼ながら、グリンデルバルド先生。あなたのお家騒動だったりしませんか?」

 クラウチが私をじっとみて言った。寡黙で他人に興味がない人だと思っていたが、その眼差しはどこかギラギラとしていて不気味だった。本気で私を疑っているのか?

「それにしちゃまわりくどく感じますがね。私の脛にある傷の数を考えるともっと効果的な方法はいくらでもありますよ」

「そのお年でずいぶん悪さをしてきたようだ」

「ええ、校長。ですので明日の試合が心配でたまらないのです。迷路、本当に大丈夫なんですか?」

「もはや闇祓いすらも信用できませんからな。人員配置を大幅に変え、私もマクゴナガル副校長も設営、警備に携わる予定だ」

 ややピリついてきた私とクラウチ校長の間にファッジが割ってはいった。

「そうですよ。そんなに心配ならばグリンデルバルド先生も当日の見回りをするのはどうかな?もちろん特定の生徒の手助けをされては困るが、あなたがいれば百人力だ」

「えっ?ああ。そうですね」

「…確かに。そうですな。グリンデルバルド先生なら身元はこれ以上ないくらいに保証されていますし、ハリー・ポッターの安全もより守りやすい」

 クラウチは頷いた。私は一瞬面倒臭くなったが、たしかに迷路の中に入れるのならばある程度ハリーの安全は守れる。

 

「とにかく…明日の課題で事故など起きぬよう頑張りましょう!」

 

 ファッジはそう明るく締めくくった。

 

 

 イースターの夜には三校の生徒はある程度打ち解けたらしく、みな思い思いのテーブルについて夕食を食べていた。パッと見の分布だとダームストラングはスリザリンのテーブルにおおく、ボーバトンはばらばら。グリフィンドールとハッフルパフのテーブルにはあまり他校の生徒がいなかった。ハッフルパフはセドリックの寮だし、グリフィンドールはハリーの寮だからか。わかりやすい。

 

 私はドラコ・マルフォイに無理やり腕を引かれ、ビクトール・クラムの翻訳に駆り出されてしまった。私がやって来るとダームストラングの生徒たちは湧いた。しかしクラムだけは微妙な顔をした。

 ダームストラングはグリンデルバルドの母校なだけあって全員が私のことを尊敬しているようだった。私は在学中これと言って目立ったこともせず本の虫をしていたものだからあまり話題が合わなかったが、とりあえずホグワーツの説明や周りを取り囲むスリザリン生たちの会話を中継することで場を繋げた。

 デザートが来る頃には全員の質問が出尽くしたので、私はようやく解放されてハリーの元へ行くことができた。

 

 ハリーは第一、第二の課題を潜り抜けたことでだいぶ自信がついていたようだった。元来自分の資質を試したいと思っていたらしく、第三者の介入があったにせよ本戦に出れたことを感謝しているようだった。

「ここからの逆転もあるよね」

 とロンは興奮気味だった。グレンジャーは心配そうな顔をして早く寝たほうがいいと仕切りに促していた。ハリーもその通りだと思ったのか早めに切り上げ、私はようやく職員テーブルの方へ戻れた。

 招待客や他校の生徒もどんどん帰り始め、ようやっと寛げる雰囲気になった矢先。見回りに行くようマクゴナガルに言われ、私は泣く泣く夜の校舎へ行く羽目になった。

 

 見回りはロックハートと一緒だったため、私はまた彼の戯言に付き合わされるハメになった。もう辛抱ならないのでトムに代わってもらった。

 

「明日は楽しみだな」

「お、ついにハリーを殺す気か?」

「僕じゃないって何度言えばわかる?」

「悪い悪い」

「これまで動かなかった敵が動くかもしれないだろう?せいぜいハリー・ポッターのために這いつくばるといいさ」

「迷路の中で巡回はできても助けられるかはわからないんだがな…」

 トムはハリーに死んで欲しいよりの考えなので手助けは一切期待できなかった。私が手も足も出ないという顔をしていると愉快そうに笑った。

 

「それで、君の計画の進み具合は?」

「万事滞りないよ。ただ…セブルスがちょっと」

「スネイプ?」

「そう。犬猿の仲の犬の方のやつがいて…」

「はあ?バカバカしい…」

 

 トムは人間関係の悩み事なんて一切なさそうで何よりだった。もしかしたら誰も愛さない方が人はより強い存在になれるのかもしれない。あれこれ悩まなくていいものな。しがらみは少ないほうがいい。

 私もそうだったらよかったのにな。

 

 ロックハートは私にごちゃごちゃとしたおやすみを言い、私は部屋に戻った。

 

 

 そして翌日、第三の課題がついに始まる。

 

 

 

 

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