グリンデルバルドが勝った世界   作:ようぐそうとほうとふ

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より大きな悪徳のために

 やや時は遡り、1994年、某日。

 私、フレイ・グリンデルバルドは現在、ドイツ魔法帝国国会議事堂内にある会議室にて極めて私的な会合に参加している。この建物は100年前、帝政ドイツ時代にマグルが建てた由緒ある建物だが、内装は完全に魔法使いの手による荘厳な作りとなっている。というのもここは1933年に焼け落ち、魔法使いがマグルを退けてから再建したものだからだ。

 そんなある種象徴的な場所で、私はジークフリート・グリンデルバルドとガブリエル・グリンデルバルドとやたらと瀟洒な椅子に腰掛けている。

 

「フリーダは乗らなかったか」

 ジブリールは鼻を鳴らす。ジークもまた馬鹿にしたような顔で言う。

「あいつは勝ち馬に乗るつもりなのさ。昔からそうだろう?」

「ふん…必ず引き摺り下ろしてやる」

「ところでフレイ、ヴィルヘルムは?」

「呼ばなかった。まだ若いのに悪巧みに強制参加させられちゃ気の毒だろう」

「フレイ、愛するあまりそれを遠ざけるのはお前の悪い癖だ」

「…なんだ、ジブリール。何が言いたいんだ?ん?」

「ああ、まったく。我々はなんて仲のいい兄弟だろう!」

 ジークのそのつもりは全くないであろうクリティカルな皮肉で私とジブリールは一度顔を見合わせた。そしてようやく本題に入る。

 

「さて。まずご覧の通りだが…わたしたちグリンデルバルドの孫連盟は魔法帝国の中枢で正々堂々と密談をしている。それすなわち、すでにこの国の実権はお祖父様ではなく、ほとんど我々にあるということを示している」

 ジークの言葉にジブリールは神経質そうな顔を少し歪め、訂正をいれた。

「いや、それは違う。お祖父様は政治的なやりとりに対する関心を失っただけだ。今でもあの人がただ一言『やれ』と命じれば、法的手続きなど関係なく我々は逮捕されるだろう」

「ジブリールの言う通り。お祖父様にとってはここは豪華ででかいだけの箱にすぎない。…しかし民衆にとっては違う。私たちのゲラート・グリンデルバルド逮捕の正当性は、まさにここででっち上げられる。そう言う意味ではジークの言うことは間違っていない」

「ふ…フレイ、お前は屁理屈がうまいな。わたしの挨拶がいささか大袈裟だったことは謝ろう。…さて。その肝心の計画について話そうじゃあないか」

 椅子に座った私たちの他に、私たちははそれぞれ1人付き人を連れてきていた。彼らはまるで影のように背後の壁に張り付いている。

 ジブリールは右手を挙げる。すると影のような従者がジブリールに書類を渡した。

「さて。物事が滞りなく動くよう、思想テストから選抜した人員は全て要職につけた。人事異動は数年かけて行ってきたから不自然には見えない。事が起きても帝国は今日と変わりなく穏やかに続くだろう」

「結構。魔法軍参謀本部でも親ゲラート・グリンデルバルド派はほとんどアメリカ連邦との軍事作戦にまわしてある。実行部隊の選抜も完了した。さらに軍全体の思想テストを実施済み。反乱の予想される地域への将校の配備は万全である」

「万全ね。これほど頼もしい言葉はないね」

「フレイ、皮肉ばかり言ってないでお前はきちんと準備をしたのだろうな?」

 私は私の背後の人物に向かって手を挙げる。彼は椅子から立ち上がり、私の椅子のすぐ後ろへ立った。

 

「お目にかかれて光栄です。ドイツ魔法省神秘部より参りました、ソール・クローカーでございます」

 

 私は心の中で少々ため息をつく。彼とはもう会う気はなかった。おそらく彼も同じように思っている。いや、もしかしたら二度と私の顔なんて見たくないと思っていただろう。なにせ私は彼の生涯かけた研究をエゴのため台無しにしたのだから。

「続けたまえ」

 

「はい。帝国におかれましては、その確固たる理念と信念により、世界の覇権を握っておられる次第でございます。時を支配することは、帝国の揺るぎない未来を保証するのみならず、過去さえもその輝かしき栄光のもとに置くことを意味いたします。

 わたくしは逆転時計制作プロジェクトの主任研究者でした。「逆転時計」は、時間を遡行するために極秘裏に開発された魔法の道具でございます。

 この装置は砂時計を模した制御機構と、魔力を圧縮した砂粒によって構成されております。

 フレイ氏のプロジェクト参加以前は、この砂粒の生成が最大の難題であり、遡行可能な時間は最長でも七日間に限られておりました。

 しかし、氏の卓越した技術により、百年の時を遡ることのできる改良型逆転時計が完成いたしました。その改良型逆転時計により選択的時間利益反映実験が行われました。

 しかしながら、その実験は失敗に終わり、我々のプロジェクトは解体されることとなりました」

 

 


 

実験日: [1985年10月17日]

実験責任者: [フレイ・グリンデルバルド]

参加者: [アニー・バーンズ]

実験名: 「改良型逆転時計による最適未来実験」

 

1. 実験目的

 

過去の分岐点に干渉し、望ましい結果のみを現在に反映させることが可能かを検証する。

 

2. 実験対象

 

被験者: アニー・バーンズ、逆転時計研究に従事

装置: 改良型逆転時計

 

3. 実験方法

 

装置の使用: 特定の過去の分岐点に干渉。

干渉内容: 戦争に関連する歴史的事件に介入し、犠牲者を最小化し、平和な未来を目指す。干渉後、最適な未来を選択。

帰還: 干渉後に現在へ戻り、結果を確認。

 

4. 実験結果

 

犠牲者の増加: 犠牲者数は数百人から数万に増加。

歴史への影響なし: 干渉後も現在の時間軸に変化なし。

消失: 実験に関わった研究員2名が消失。

 

5. 考察

 

過去の干渉は現実に反映されず、犠牲者が増加する結果となった。さらに、時間軸の安定性に問題があり、実験者の消失という深刻な事態が発生。時間遡行技術の応用には大きなリスクが伴う。

 

6. 結論

 

過去に干渉しても望む結果を現在に反映させることは困難で、犠牲者が増加し、結果は変わらなかった。エロイーズ・ミントブルの件から進展なし。実験継続は困難か。

 


 

 

「現在、ドイツ魔法省神秘部ではプロジェクトを再編。名称を『プロジェクト・アイオーン』へ変更し1時間のみ逆行可能な逆転時計の量産計画を進めております」

「…それは初耳だな」

 思わず後ろを振り返った私にクローカーは微笑みかけた。

「当然だろう。フレイ、君は逃げたのだから」

 あ、やっぱり根に持っていた。私は言い返さないで無言で前を向いた。

 

「ありがとう、クローカー。さて、我々がわざわざ貴方をここへ招いたのは資料を読めばわかることを説明させるためではない。貴方の知見において、いくつか質問に答えて欲しい」

「なんなりと」

 ジブリールはクローカーと私を見る。いつもよりも猜疑心に満ちた目だ。まあ、無理もない。

 

「フレイが100年もの時を遡れる時計を開発したのは本当か」

「ええ、そうです。それも悔しいことにたった1人の力によって」

「なぜ失敗したと思う?クローカー、貴方の意見は?」

「…そうですね。改良型逆転時計の制御機構が改変される時間の波に耐えきれなかったのでしょう。過去の改変は、はじめは小さな波紋です。しかしその波紋が未来に到達する頃には我々には全く予想がつかない荒波となる。改良型逆転時計はその波をも制御する機構が備わっていました。結論として、それは十分ではなかったのです」

「ではそれさえ万全なら、我々は時を支配できると」

「…ええ。わたくしどもの悲願です。しかし、現在の技術では…」

 

「では失われた技術なら?」

 

「それは…。なるほど。…可能かもしれませんな。いや、ぜひとも試したい」

「よろしい。本日はご足労いただきありがとう、クローカー教授」

 ジブリールが言うと、クローカーの背後の壁がドアへと変わった。クローカーはまだ何か言いたげだったが、有無を言わさず退場させられる。私はようやく一息つける。

 

 

「言った通りだったろう」

「そのようだな。神秘部め。放っておくととんでもないものを作り始めるのは変わらんな」

「しかし時間逆行とは驚きだ。フレイ、本当に100年の時を遡れるのか?」

「ああ。ニワトコの杖さえあれば制御装置を完成させられる。100年どころか千年だって可能だね。あの杖に不可能はない」

「まるで知ってるかのような口ぶりであるな?」

 ジークは私をじっと見つめる。相変わらずの冷徹な眼差しだ。私はまっすぐ見つめ返し、にっと笑ってやった。

 

「まあいいだろう。時間を自在に操ることができれば我々に敗北はない。アメリカとどんな形で戦争するにしろ、世界をどんなふうに焼き尽くすにしろ、その力があれば我々は不滅だ。フレイ、作戦終了後、おまえにニワトコの杖を渡そう」

「わたしも賛成である。が…一度くらいは試させて欲しいものだ」

「軍のトップが情けないぜ。カビたおもちゃを欲しがるなんてな。たった1人強くても意味ない仕事だろ?」

「いや、そんなことはないぞ。上に立つものが力を示さなくてどうする」

「ジークフリート、君はまったく旧時代的だ。杖なんてものは道具に過ぎない。我々に実力主義はもう古い。我々は直ちに階級を安定化し、社会の基盤を確固たるものにする。お祖父様の腐敗し切った全体主義は終わりだ」

「フン。ガブリエル、人民が皆お前のように賢いとは思わない方がよい。わかりやすいシンボルこそが、民の支配に最も効果的だ。お祖父様を見て学ばなかったか?」

 ジークとジブリールはにらみ合う。長い間彼らは協力関係にあるが事が成したあともそれが続くとは思えない。

「ジーク、ジブリール。兄弟なかよく、だろ」

「ああ…そうだったな」

「ふん…」

 だが私が『今後』を心配するのはナンセンスだ。私にとって重要なのはニワトコの杖を手に入れてすべての間違いを正す事だけ。世界が変わればここにいる愛すべき兄弟は生涯一度も顔を合わせることはない他人になるだろう。ほんの少し寂しいので、今のうちにもう少しこの不仲を楽しむべき?

 

「運命の巡り合わせか、来年は国際魔法使い機密保持法が廃止されて50年の節目だ。ウィーンで大規模なパーティーが開かれる」

「三日三晩続く国家の祭典中に指導者を逮捕?少々派手過ぎやしないか?」

「終わってからだよ。祭りのあとの静寂に紛れ、迅速に事を済ませよう」

「…となると決行は…」

「クリスマス、だな。フン、ガブリエルにしてはなかなか気の利いた計画であるな!」

 

 だったら私はそれまでに気の利いた怪物になっておくとするか。多分簡単になれると思うから。

 

 


 

 そして、そんなクーデター参加者たる私はダンブルドア軍団に計画の詳細を伝えるため、ロンドンへ来ていた。変装のため帽子をかぶってメガネまでしたが、これがまあ似合わない。ダイアゴン横丁(マグルから隠れる必要がなくなって何ブロックも拡張された)端の古道具屋で待ち合わせだった。

 

 店に入ると、そこは古道具屋というよりもガラクタ置き場という方がふさわしいくらいのゴミの山だった。私は少々気圧されながらも棚を物色した。見事に量産品のゴミとガラクタしかない。

 

「何をお探しで?」

 

 店主と思しき男が話しかけてくる。少し緊張した顔でへらっとした笑顔を貼り付けている。

「犬の置物を」

「え……へぇ!でしたらこちらです」

男は私をレジカウンターの奥へ案内した。そこには古びたキャビネットがあった。男は私を残してカーテンを閉めてしまう。

 姿をくらますキャビネットだ。本国では違法の骨董品。私はそれを開けて中に入る。

 しばらく待って扉を開けると、そこは古びた屋敷の客間に移動していた。

 

「きたか」

 

 部屋のドアの前には不機嫌そうな面をした黒髪の男が立っていた。久しぶりのシリウス・ブラックだった。以前会った時よりも身なりがきちんとしていた。ここはダンブルドア軍団の本拠地らしいが、逃亡者の住居にもなっているのだろうか。

 シリウスは私の爪先からてっぺんまでみて鼻で笑った。

「冴えない魔法使いの変装が上手いな、グリンデルバルド」

「お前も浮浪者のコスプレはやめたのか?似合ってたのに」

 シリウスはがるる、とでも聞こえてきそうな剣幕で睨みつけてきた。

 

「ようこそダンブルドア軍団本部へ。といっても、廃墟寸前の私の実家だが」

「ここがあらゆる記録に存在しないブラックの屋敷、か」

「安心しろ。中に入ったからといってここの住所はわからないようになっている。残念だったな」

「そうか。クリスマスに治安警察に突き出してやろうと思ったのにな」

「その日はおたくらはてんやわんやなんじゃなかったか?」

 シリウスはどこか浮き足立っていた。血の気の多いやつだと思ったがこれから起こるどんちゃん騒ぎが楽しみで仕方がないらしい。

 シリウスの後ろをついて階段を下り、食卓まで通された。先ほどの部屋と違って掃除が行き届いており、ここでダンブルドア軍団が膝を突き合わせて会議をしていることは明白だった。

 

「やあ、ようこそ。フレイ・グリンデルバルド」

 

 キッチンからひょいと顔を出したのはリーマス・ルーピンだった。満月は当分先だからか顔色がいい。

「リーマス、こいつにお茶なんていい!」

「話をするならあった方がいいかと…」

「どうせ味にケチをつけるさ」

「まあ、つけるけどな」

 

 

 去年のごたごたのせいでもううっすら忘れかけていたが、セブルス経由で依頼していた不死鳥の騎士団たちの捜査能力によりやっとスリザリンのロケットに残された手紙と一致する筆跡が見つかったらしい。しかしまあ、まさかシリウス・ブラックの家族が犯人とは思ってもいなかった。

 ブラック家に訪問するチャンスが訪れたのも僥倖だった。天はヴォルデモートよりかは私に味方しているようだな。

 

「ブラック、お前には弟がいたな」

「…レギュラスか。なぜそんなことを聞く?」

 

 

 私は杖を掲げる。シリウスも反射で杖をあげるが、私はそれを片腕で制する。

 

「レベリオ」

 

 目的のものはあっさりと見つかった。暖炉の上の小物の中に、まるで出かける前にちょっと外したみたいに置いてあった。Sの紋章入りの鈍色の金のロケットだ。

 私がそれを手に取りポケットに突っ込んだ。あまりに堂々とした盗みにシリウスの反応も遅れた。

 

「何を勝手に」

「土産にもらうぞ」

「いやいや…何をしてるんだお前は」

「シリウス。君、この家の全部はガラクタだって言ってたじゃないか」

「リーマス、そりゃ言葉の綾だ」

 シリウスとお茶を持ってきたリーマスがごちゃごちゃやってると、私の足元にプルプル震える小汚い塊がいつの間にか立っていた。

 

「盗人!」

 

 よく見るとそれは老耄のやしきしもべ妖精だった。私を睨みつけて怒鳴っている。

 

「盗人!盗人!よくもレギュラス様のものを!」

 

 しかもそのしもべ妖精は首に銀の首輪を嵌めていなかった。

 

「なんと珍しい」

「こら!クリーチャーッ!」

 シリウスが怒鳴りつけるとしもべ妖精はびくっと肩を震わせた後、バシッと音を立てて消えてしまった。

 

「たっくあいつときたら。とはいえお前が悪い。屋敷のものを盗みたいならせめて私に許可を取れ」

「あのしもべ妖精は魔法省に届出してないのか」

「ああ。うちの母親がそんな事するわけがないからな」

 さすが純血の家だなと皮肉を飛ばそうとしたところでリーマスが私の目の前にカップを置いた。私はとりあえずその席に座る。向かい側にはリーマス、シリウスがいて、私を睨んでいる。

 

「ハリーは元気かい」

「リーマス…」

 シリウスはため息をつく。

「なぜ?君だって色々話したいことあるだろう」

「本題が先だ」

「お忙しいグリンデルバルド校長が本題を話した後もレジスタンスの本部で雑談してくれると思うかい?」

「ああ、確かにそうだな。ハリーは元気だ。はい、雑談終わり」

「悪いが私は…ッ。はあっ。私は、冷静に話したいからハリーの話はしたくない。なぜなら、こいつはそばに居ながら…ヴォルデモート復活を止めなかった!」

「おい、悪意的解釈がすぎるぞ。それに私はハリーを助けた。ゴミだめに頭突っ込んでな」

「どうだか!お前にとってヴォルデモートの復活はグリンデルバルド政権打倒のための計算に入ってたんじゃないか?それに…ハリーの記憶をいじらせるなんて!」

「私がそんなこと望むと思ってんのか?!頭に来たぞ貴様。ぶっ飛ばしてやろうか」

「やれるものなら…」

「シリウス、シリウス、シリウス!!」

 

 リーマスの怒声に立ち上がり拳を振り上げかけてた私とシリウスは止まる。

 

「フレイも…。席に着いてくれ。私が悪かったよ。本題に入ろう」

 

 ふう、と深くため息をついてリーマスは黙った。私とシリウスはお互いをじろっと一瞥したのち席についた。

 

「これが間取り図。作戦概要。そして突入合図用の鈴に、ポートキー。…今触るなよ」

 

 私は上着のポケットから封筒を取り出して机に置く。

 

「封筒は作戦当日まで開けられないように封印されている。これはクーデターそのものを台無しにさせない処置だ。悪いがぶっつけ本番で頼む」

「用心深いな」

「そりゃ少しでも情報が漏れたら台無しだからな」

「中身はちゃんとしてるのか?当日開けてガラクタしかなかったら目も当てられないだろう」

「…そもそも我々はお前たちの手など借りなくても作戦を遂行させられる。お前たちが私に頭を下げる立場だろ」

「うん。確かにそうだ」

「リーマス…」

「シリウス。フレイを刺激して何の意味がある?…実際、グリンデルバルドの孫がダンブルドア解放に協力してくれるなんて奇跡のような話だ」

「はあ…気に食わん」

 

 シリウスはお茶をぐいっと飲み干すと退席してしまう。リーマスは困った顔をしてそれを見送ると、私に謝罪した。

「すまないね。普段はここまで子供っぽくないんだけど」

「別にいいさ。犬が戯れてるようなもんだろ」

「たしかに」

 リーマスは笑ってお茶を飲んだ。一年ちょっと前と比べるとずいぶん楽そうだ。脱狼薬が効いてるんだろうか。私は目的のものも手に入れたしもう長居する必要はなかった。

「さて、もうお暇しようかな。キャビネットで帰ればいいのか?」

「あれはあと1時間は使えないよ」

「はあ?じゃあ他には?」

「待てばいい。が、もし急いでるなら…うん。待つしかない」

「最悪だ…」

 

 結局私は1時間むっつり黙りながら、時々投げかけられるリーマスの質問に答えたり、機嫌を直してやってきたシリウスと再度やり合いかけたり、ハリーへのプレゼントを押し付けられてからやっと帰れた。

 

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