わかるか?
俺には無限大の可能性。すなわち進化先があるわけだ。
ジムのバリエーションは108通りある。
いや、今はないがその内そうなる。後付けポンの追加設定は大人気コンテンツの宿命だからね。仕方ないね。MSVとか大好物だよ、俺は。
話を戻そう。
今の俺はかつての俺ではない。
俺は全身にパーツを取り付けられ、馬鹿でかい飛行機の着ぐるみに詰め込まれている。暑苦しいなぁ、ここ。おーい!出してくださいよー!
Gアーマーだねこれ。
なんかただのジムにすんごい豪勢じゃん?
ははーん?なるほどな?上層部からのこの優遇っぷり。理由は明白だ。俺のパイロット、ララちゃんがかわいいからだな?
彼女と俺は今や連邦でも屈指のエースパイロット。オデッサ作戦を起点に始まった地球での連邦軍の反転攻勢で各地を転戦し、行く先々でザクやらグフやらドムやらズゴッグやらザズゴググングやらをしばき回った結果ララちゃんは晴れて連邦の誇るスーパー美少女アイドルとなったのである。かわいくてつよいは正義。はっきりわかんだね。
俺たちを載せたペガサス級一番艦ペガサスが作戦空域に突入する。
慌ただしくなる格納庫。
ララちゃんが死を覚悟した悲壮な顔で俺に乗り込む。
ちょっとどしたー?顔暗いよ?大丈夫アンタはあーしが守護るし。(突然のギャル語)
体内時計(正しい意味)がピピピっと電子音を奏でる。オーシ、時間だ。
整備兵の皆さんが一斉に、だが静かに敬礼する。流石アイドルマスターララちゃん。おじさん達に大人気だぜ!
Gアーマー・ジム出ます!ジム発進!
⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーン
【→】
ここはソロモン、悪魔の宙域!
そこらへんでピンクの光が瞬いてるぜ!爆発一つ一つが命の光。
流石はジオンの宇宙防衛の要だぜ。
ザクとかリックドムとかいっぱい出てくる。
ポーヒー!バーン!
Gアーマーのビームが火を吹く。敵は死ぬ。
このGアーマーすごいよぉ。機動力も高いし火力もあるからあっという間にソロモンの地表は目前だ。
あん?なんか青いゲルググとドムコンビがやたらしつこく追いかけてくる。
これは、舐められてる?ケンカの世界じゃ舐められたら終わりなんじゃ!アアーンテメコラスッゾオラァ!反転して突撃じゃ!インド人を右に!ヴォン!アクセル全開!突っ込むぞつかまれ!
Gアーマーの機首でゲルググのコックピットにどーんと突き刺さる。そして刺したままゼロ距離でビームを発射。光になれー!
ゲルググは哀れ爆散。突撃と至近での爆発でGアーマーがダメになっちまったのですぽーんと脱ぎ捨てる。
両腕にシールドを装備したままドムに突撃。ジャイアントバズの連射をシールド2枚を犠牲に無効化し爆炎の中から俺、参上!必殺のビームサーベルをくらえぃ!
ずばーん。どーん。
ふぅ。すっきりした。
あれ、なんか周囲の敵がめちゃ怯んでる。
ヨォーシ!よくわからんが敵の士気は挫いた!ジオンに兵なし!突撃ー!
のりこめー^^
【パイロット視点】
「頭が、痛い……」
ペガサスの格納庫に隣接するパイロット待機室で私はもはや手放せなくなった薬を無理やり飲み込む。
「うぅ……」
初めてジムに乗ったジャブローを皮切りに、あの機体は何度も何度も私の操縦を無視し勝手に動き出した。
オデッサでの敗北により、地上での活動が鈍ったジオンの掃討作戦。
アメリカ大陸全土で行われたその掃討作戦のほぼ全てに私は駆り出されていた。
そう、ジオンの赤い彗星を撃退した連邦軍の新生エースとして。
違う!私じゃない!機体が勝手に動いたの!
何度もそう訴えたが上層部も仲間たちもマスコミも「新型の性能がそれだけ素晴らしいという表現なのかな?」みたいなにこやかな笑顔で全く取り合ってくれない。
一応技術士官がジムのデータを調査してみてくれたけど、なんにも異常はなし。ありませんよ、そんなシステム。そう言って溜め息をつかれた時、私は膝から崩れ落ちた。
ち、違うの……。本当に勝手に……。じゃああのシステムはなんなの?もしかして、私の幻覚……?戦場での強いストレスで時折ありもしない光景を見てしまうことがあるという。そっか、私、おかしくなっちゃったんだ……。あは、あははは!
それからは医師に渡された薬が手放せなくなった。
美少女エースパイロットして連邦軍のプロパガンダに利用される慣れない日々と、戦場でのストレス、そしてほぼ毎日私を無視して元気に動き回る愛機。
途中から「もうどうにでもなれ」と要請のあるまま各地を転戦し、その全てで多大な戦果を挙げてしまった。
スーパーパイロット、ララ・アンデルセン!連邦の魂!
メディアの飛ばし記事なんて知らない。
私はこの力で故郷の仇、ジオンを滅ぼすんだ!
医師「胃薬出しときますねー」