吾輩はジムである   作:呼び水の主

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3話 俺、進化

 宇宙要塞ソロモンとは別名コンペイトウである。

 何言ってるかわからねー人はこれを機にガンダム履修してきてください。何十年前とは思えないほどおもしろいよ。(ガンダム界のフランシスコ・ザビ…!?そうか、ザビ家の復讐装置とは……!人の心の光とは……!ああ、刻が見える)

 いかんいかんテンションがハイになって見えちゃダメなもの見えてたわ。

 

 俺はただいま絶賛マグネットコーティング中である。

 全身エステみたいな?これを受けると体が軽いんだ。アキレス!今、夢が走り出す。

 そんな日曜日の朝に流れてそうな運動靴のCMを格納庫の中心で叫んでしまうくらいには気持ちいいZOY☆

 

 さて、話を戻そう。

 今の俺の現状を説明するには今の銀河の状況から理解する必要がある。少し長くなるぞ。

 人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになってすでに半世紀が過ぎていた。地球のまわりの巨大な人口都市は人類の第二の故郷となり、人々はそこで子を産み、育て、そして死んでいった。

 

 宇宙世紀0079。

 地球に最も遠い宇宙都市サイド3は、ジオン公国を名乗り地球連邦政府に独立戦争に挑んできた。この1ヶ月余りの戦いでジオン公国と連邦軍は、総人口の半数を死に至らしめた。人々は、自らの行為に恐怖した。

 戦争は膠着状態に入り、11ヶ月余りが過ぎた。

 

 そう。つまり、俺がこの世界に来てから2ヶ月くらい。短いようで長い道のりもゴール目前。俺を乗せたペガサス級一番艦ペガサスは現在ジオン公国の最終防衛ラインである宇宙要塞ア・バオア・クーへと進行していた。

 

 動乱の一年戦争に決着がつく。ようやくこの日がやってきた。長かったぜぇ!

 決戦に備えて俺の装備も変更されている。

 全身の装甲を取り替え見た目はもうただのジムじゃねぇ。

 その名もジム・インターセプトカスタム!

 なんだインターセプトって!かっけぇー!

 なんか頭から背中にかけてフェロウブースターとかいう追加装備を背負うんだけど、これがまたジムらしからぬ威圧感が出てスッゲーいい。インターセプトッ!!(言いたいだけ)

 色もララちゃんのパーソナルカラーであるブルーグリーンで塗装されている。かわいいね。初音ミクカラーとか言わない。

 

 そんな至れり尽くせりな待遇で俺、ご満悦である。

 進化先がブラッキーじゃなくてよかった……。(全方位爆撃)

 え!?つよいポケモンよわいポケモン、そんなの人の勝手!?

 悲しいけどこれ、戦争なのよね。

 

 俺が脳内でカリンさんとレスバを繰り広げていると、いつの間にかララちゃんが足元で俺を見上げていた。

 きゃー!ララちゅわぁーん!今日もかわいいねぇ!

 よーし!俺ってば最終決戦張り切っちゃうぞぉ!

 

「ねぇ」

 

 ……おや。ララちゃんが話しかけてきた。

 別に珍しくもない。この娘はよく俺に話しかけてくる。

 俺に意識があると確信している。

 まああんだけ好き勝手やればね?(ヒートソード白刃取りとかドップハエ叩きとかミクミクダンスとか踊ればこうもなろう!)

 中に人入ってる!?とか言ってコックピット分解し始めた時は焦ったね。整備兵さんが必死の形相で止めてたけど。

 

「たぶん、これが最後の出撃になる。ジオンを倒して、それで私の復讐もおしまい。アナタともお別れよ、私の悪夢、私の幻覚。──そう、アナタが本当に私の生み出した幻覚なら。最後まで魅せてよね、私の復讐劇」

 

 ──スゥ。あぁ〜!新鮮なポエムの音〜!!

 ララちゃん、実はこういう厨二的なかわいさがある。

 属性は盛ればいいってもんじゃねぇ。けどな、ララちゃんは別だぜ!かわいい!かわいい!俺のパイロットかわいいね!ヨーシヨシヨシヨシ!もっと盛るジム!!

 

 俺がニコニコしていると艦が大きく揺れた。

 デギン公王との和平交渉に臨んだレビル将軍が敵のコロニーレーザーによって死亡。我らが艦隊も30%を損失した、との通信が入った。

 現場までその情報が降りてくるってことは上層部も大概混乱してんな?

 

 だがこの艦の士気は揺るがない。

 ここに俺のスーパーかわいいパイロット、ララちゃんがいる限りなぁ!

 

【パイロット視点】

 

 私、ララ・アンデルセン。

 私はシドニーで生まれ育った平凡な女の子だった。

 けれどジオン公国の宣戦布告によって私の日常は崩れ去った。

 コロニーの落ちた日。忘れもしない、私の故郷が奪われた日。

 家族も恋人も無くし、それでも運良く生き残った私は軍に入隊。

 今ではモビルスーツのパイロットなんてのをやっている。

 私の愛機。ジム。復讐に取り憑かれた私が見る悪夢を載せた機体。

 謎のシステム(私の幻覚らしい)が私の操縦とは別に勝手に敵を倒してくれる。

 そうして私は戦果をあげ、どんどん祭り上げられていった。

 

 「連邦のアイドル」

 当初はそんな皮肉も込められた言葉が私の二つ名だった。

 けど今は違う。その後行われた地上の掃討戦でついた「ロードローラー」、謎のシステムを積んだ蒼い機体を倒した「騎士殺し」、ソロモンの悪夢を撃墜した「悪夢喰い」、同じくソロモンの巨大MA撃破に貢献した「巨獣狩り」、ソロモンの亡霊と呼ばれたニュータイプ専用機を撃退した「闇祓い」エトセトラエトセトラ……。

 

 私、この戦争が終わったら絶対隠居する。

 優しい旦那様を見つけて争いとは無縁の静かな土地で支え合って生きるの。

 でもそれは故郷の仇をとった後。

 復讐は私の澱んだ心を燻らせ続ける。

 こんな火を抱えて、平穏なんて望めるものか。

 復讐だ。それができる力が今の私にはある。

 こんな夢を見させたんだから、最後まで責任とってよね?




みんなニコニコ素敵な職場。
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