戦争は終わった────
俺は────
一年戦争の英雄の機体として────
博物館に展示されていた!!
ファ────!!(かしこいサルの真似)
どうしてぇ!?ねぇどうしてなのぉ!?
俺なんか悪いことした!?
あ、ありのままこれまでの事を話すぜ。
その為には今の銀河の状況を理解する必要がある。少し長くなるぞ。
俺とララちゃんは無事、ア・バオア・クーを生き残った。
途中熟練のゲルググキャノンとかギャンクリーガーとかブラウ・ブロとかに絡まれもしたが全部しばき倒した。
いやー、ブラウ・ブロは激戦だった。やつのオールレンジ攻撃を高機動で撹乱しつつ、ビームサーベルで有線ケーブルをスパスパ斬って本体にフェロウブースターの全武装を撒き散らしながら突撃させなきゃアレは勝てなかったね。ありがとうフェロウブースター。君のことは忘れない。
俺も右腕と左脚を持っていかれた。思わず「畜生ォ!持って行かれた……!!」って言ったよね。こっちは鋼の機動戦士なワケだが。
戦闘中ララちゃんはコックピットで泣きながら笑ってたけど無事です。
テンションが最高にハイってやつ?
ピンチの時こそ笑え!そう仰るのですね!?
流石は俺のパイロット!ジム・インターセプトの魂!!
そして迎えた終戦。
母艦も無事だった。両翼を捥がれながらも奮戦し、俺たちの帰る場所として踏ん張ってくれていたらしい。
俺たちが生きて帰った時のクルー達の喜びようったらすごかった。
普段ムッツリした整備のおっさんたちも泣いて喜んでいた。
ララちゃん、愛されてるな。流石は連邦のアイドルだぜ!
「彼女を連れて帰ってきてくれてありがとう」なんて言われた時には俺まで泣きそうになったね。自分、涙いースか?
満身創痍ながらも生き残り、地球へと帰還したペガサス。
華やかな式典。勲章授与。讃えられる名声。
それをシャイアン基地の格納庫のモニターで満足げに眺める俺と整備兵さん達。
束の間の平和な時間。
そして────
ララちゃんが帰ってくることはなかった。
完全な音信不通。
拉致?誘拐?あんだけかわいいんだ、そりゃよからぬ事を考えるバカはいるだろうが……。連邦のトップエースだぞ?バッカモーン!護衛の連中は何やってたんだ!
「今朝、アンデルセン少尉の異動命令が届けられた」
「少尉の!?艦長、彼女はどうなったんです!?」
ペガサスの艦長と整備兵のおっちゃん達の会話を聞く。
突然の異動人事。本人の強い希望で後方勤務ゥ?彼女の知名度を踏まえ行き先は不明?
とりあえず誘拐とかじゃなくて安心したが、なーんか臭いな。
あ!ジムわかっちゃったぁ!
これ、軟禁されてね?
俺知ってる!Zガンダムで見た展開だ!!
ガンダムの主人公アムロは一年戦争で活躍し過ぎて、ニュータイプなんじゃね?と疑った連邦軍は彼を危険視して軟禁してしまうのだ。
ジオン・ズム・ダイクンが提唱した宇宙に適応した人類。それを根拠にジオンの独立戦争が勃発した事を考えれば、連邦軍の過剰な反応も理解できる。
ましてやララちゃんは今や世界的アイドル。
神輿として担がれたり、妙な影響力を持つ前に封印してしまえ、というのも政治家どもの考えそうな事だ。
けどやっていー事と悪い事があんだろ!
ジムは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の政治家を除かなければならぬと決意した。ジムには政治がわからぬ。ジムは、ガンダムの量産機である。ビームライフルを噴き、ジオンと遊んで暮らして来た。けれども邪悪に対しては、ジム一倍に敏感であった。
立てよ国民!ララちゃんを助けに行くぞ!!
「少尉のジムはどうなるんです?」
「博物館行きだそうだ……」
……えげつねーな……悟るヒマも無しかよ。
あ!お前らやめろ!俺をどこに連れて行く気だ!うわなにをするヤメ……HA★NA★SE!!
アッ────────────!?
【パイロット視点】
私、ララ・アンデルセン。
激動の一年戦争、私は遂に復讐を成し遂げた。
ジオン公国は敗北し、指導者たるザビ家も滅んだ。
私の戦争は終わったんだ……。
迎えられた地球での華やかな式典で、私は茫然と空を見上げていた。
かけられる賞賛も、盛大な軍歌も全てが耳を滑る。
復讐が終わった。私は、道標を失った。
これからどうすればいいんだろう。
以前切望していた平穏な暮らし。けれど、そこで過ごしている自分の姿が全く想像できない。
私は戦争を経験し、変わってしまった。鉄火場と硝煙の匂いが悪夢のように何処までも追いかけくる。
式典が終わり、原隊へ帰ろうという時にその男は現れた。
ジャミトフ・ハイマン将軍。
なんでも、地上でも宇宙でもジオンの残党が暴れていて手が足りないらしい。そこでエースパイロットである私の力を借りたいが、謙遜でもなんでもなく今や私は連邦の花形。後ろ暗い任務だが、平和を取り戻す為に名を隠し協力してくれないか、と。
「行きます。やらせてください」
そう、私の復讐はまだ終わっていなかったんだ。ジオンの残党、それを全て消し去るまで、私が平穏を取り戻すことは無い。
暗闇の中で見つけた新しい道標に、知らず笑っていたかもしれない。
唯一気がかりなのは、私の愛機。いいえ、彼をこれ以上私の復讐に引き摺り込みたくない。
そう思って、ハッとする。私はいつから、そんな愛着を持っていたのだろう。何度も何度も私の命を救ってくれた私の機体。本当に幻覚?わからない。だけど、彼をこの先に連れて行くのは憚られた。一年戦争の“英雄”の機体。それでいいじゃないか。
ここから先は、私だけの復讐譚だ。
あるいは、彼の力なしで臨む戦場に、死に場所を探していたのか……。
逡巡は一瞬。後ろ髪を引かれる思いを断ち切り、ジャミトフ閣下の乗るディッシュに乗り込む。
後にティターンズと呼ばれる部隊の最初のメンバーに、私は名乗りをあげた。
名も無きニャータイプをちぎっては投げ、ちぎっては投げ
次回、グリプス戦役編