吾輩はジムである   作:呼び水の主

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5話 私、リリィ・マルレーン

 

 地球連邦軍第一独立部隊所属、第一モビルスーツ戦隊隊長、リリィ・マルレーン中尉。

 それが今の私の名前だ。

 一年戦争が終結し、あれから3年がたった。

 ここは地球。トリントン基地。私の故郷からほど近い、コロニーの落ちた地。

 危うげなく滑走路へ進入したミデア改が、ランディングギアをコンクリートへ押し付けてその巨体を減速させる。機内に着陸完了のアナウンスが入り、たちまち機内で慌ただしく乗員たちが動き出す。

 その流れがおさまり、やがて静かになったことを確認してから私はようやく座席から重い腰をあげた。タラップを踏み締め、私にとって因縁深いその大地へと降り立つ。

 

「帰ってきたんだ……」

 

 お父さん、お母さん、そして恋人のセド。

 ……もう、みんなの顔も忘れてしまったけれど。

 旅立ちの時には感じなかった、海の香りを含んだ懐かしい故郷の匂い。そしてそれに混ざった僅かな鉄の味と埃っぽさに、思わず顔をしかめる。

 

「──帰ってくるんじゃなかった」

 

 遠くへ見える巨大な鉄の墓標から目を逸らしつつ、私は基地司令塔へと一歩を踏み出した。

 

【→】

 

「こっちですマルレーン中尉!」

 

 アナハイムの女性技術者の案内を受け、私の受領する予定のモビルスーツを見上げる。

 

「RX-78GP02。私たちはコードネームの“サイサリス”と呼んでいます」

「ガンダム、サイサリス……」

 

 たしか、花の名前だ。花言葉は……、「偽り」?

 なんという皮肉、なんという巡り合わせだろう。偽名を使う私にピッタリな名前だ。

 コックピットに乗り込み各種説明を受ける。

 標準兵装はバルカンとビームサーベルか。武装は今の乗機であるガードカスタムと大差ない。あれ?対応兵装一覧にいつものブラッシュ社製ビームライフルがない?え、この機体にはエネルギーサプライ機能がない?初の装填型エネルギーパック採用?なるほど、機体のエネルギー残量を気にせずライフルが使えるわけね。この機体、ペイロードは高そうだし、このシールドの裏にでも予備のパックを携行すれば……。え?これはシールドとして使えない?こんなに大きいのに?ふぅん、変なの。

 

「案内ありがとう。ニナ・パープルトン」

「ニナで結構ですわ。マルレーン中尉」

「では、私のこともリリィと」

「あら?」

「意外、ですか?」

「ふふっ。ええ、少し。一独(イチドク。第一独立部隊のこと)の方は怖い、とお聞きしていたので」

「まさか。私含めて優しい者ばかりですよ。他の隊員にあったら是非話しかけてあげてください。けど、ニナさんみたいな美人に声をかけられたらウチの男連中はのぼせちゃうかも」

「ふふっ、お上手ですこと」

 

 女性の少ない職場だ。自然、同性との会話は弾むし砕けたものになる。

 言葉少ない私を牽引するほどの熱量を感じたニナのモビルスーツ講習は、私にとっても実に有意義な時間だった。

 好きを沢山語れて、彼女も楽しんでくれた、と思いたい。

 

 「そういえば、隣の機体は?あれもガンダムですよね?」

 「ええ!ガンダム試作1号機“ゼフィランサス”です。この機体実は革新的な関節機構を搭載しているんです!元を辿れば開発コンセプトまで遡るんですが、この機体はRX78の──」

 

 ああ、またニナのスイッチを押してしまった。まあいいか。楽しそうだし。予定時刻までまだ時間もある。なによりモビルスーツの話は私も好きだ。私の手足、私の意識を拡張するもう一つの体。この“ガンダム”なら、辿り着けるのかな。あの時の、「彼」へと。

 

 「それでですね!1号機と2号機はコンセプトを明確にわける事でそれぞれを補完しあう役割を、──キャア!?」

 

 基地が、揺れた。咄嗟にニナの頭を庇い、機体から離れる。

 この振動は地震じゃない。

 まさか、こんな僻地に──

 

「敵襲?」

 

 




グリプス戦役編と言ったな。アレは嘘だ。
バスク「コーウェンとの派閥間調整も大佐となればやってみせんとな」
ララちゃん「この人見た目は怖いけど有能なんだなぁ」

圧 倒 的 ユウジョウ !

ララちゃんはちょっと影のある美人に成長しました。
ロングだった髪は実務的なショートに。瞳はカラコンで誤魔化してます。
愛機は特別仕様の黒いガードカスタム。
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