(完結)高坂麗奈の幼馴染みで車椅子生活のオーボエ奏者が吹奏楽部に入部して活動する話   作:春はる

11 / 24

遅くなりましたが、第10話です。

では、本編をどうぞ。



第10話

 

~蓮視点~

 

オーディションでのコンクールメンバーが発表されてから、先生の指導に熱が入り練習も厳しくなった。

 

音楽室で全体での演奏も熱が入った指導が続いていた。

 

その指導が続いたある日の今日、毛布を持ってきた。

 

毛布を持ってきた訳は、昨日の活動終わりに先生から家にあるいらない毛布を持ってきて欲しいと言われたからだ。

 

そして部活時間になった際に、音楽室の床に家から持ってきた毛布を皆が敷き始めた。

 

そんな時に吉川先輩が滝先生に声をかけた。

 

優子「先生、一つ質問があります」

 

滝「なんでしょう」

 

優子「先生は高坂麗奈さんは以前からの知り合いだったというのは本当でしょうか?」

 

吉川先輩が滝先生にそんな質問をした。

 

滝「それを聞いた所でどうするですか?」

 

優子「部内で噂になっているんです。2人は知り合いの為、ソロに高坂さんか選ばれたんじゃないかと」

 

滝「オーディションは公平に審査しました。何より審査には松本先生もいましたので、私が実力ではなく知り合い等の贔屓だけで選んだ場合、松本先生がストップをかけた筈です」

 

滝先生の説明に、吉川先輩は黙ってしまった。

 

優子「……高坂さんと昔からの知り合いというのは……」

 

滝「それは事実です。が、知り合いだとしても指導が変わる事はありません。演奏等に問題があれば容赦なく指摘します」

 

2人の様子を黙って見てたけど、吉川先輩がまだ何か言おうとしてるのと、麗奈も反論する雰囲気が出てるのを見て感じた俺は反射的に口を挟んでしまった。

 

蓮「先生が言ってるのは本当ですよ、吉川先輩」

 

俺が一言を言った為、部員全員が俺の方を見てきた。

 

優子「えっと、確かオーボエの……」

 

蓮「一年の西原蓮です」

 

優子「……そう。それで、なんで言い切れるのよ」

 

名前を伝えると、吉川先輩がそう聞いてきた。

 

心の中で、俺が口挟んだ所で麗奈が反論すると思うけど、そこまで酷い事は言わないと願いつつ、俺はすぐに話す内容を整理して吉川先輩に伝えた。

 

蓮「今回の自由曲三日月の舞に、トランペットのソロ以外にユーフォとオーボエのソロ部分がありましたよね」

 

優子「そうね。オーボエソロに選ばれたのは、みぞれでしょ。それがなんなの?」

 

蓮「実は俺も俺の親も滝先生と知り合いなんです。だから、麗奈が贔屓とかで選ばれたのなら、俺もソロに選ばれてる筈です。でも俺は選ばれてないので、麗奈は贔屓じゃないって事です」

 

優子「……」

 

俺がそう伝えると、吉川先輩と他のメンバー達は何も言えなくなった。

 

その様子に俺は準備に戻ろうと、先生も何か言おうと動こうとした瞬間に麗奈が俺の前に出てきた。

 

麗奈「蓮の言う通りです!なんで私が選ばれたのか分かってるでしょう。それは贔屓でもなく、"先輩より私の方が演奏が上手かった"って事です!」

 

蓮「ちょ、麗奈「あんたね!」……!」

 

優子「うぬぼれるのもいい加減にしなさいよ!香織先輩がどれだけ気使ってきたと思ってるのよ!西原が言った後、何も言えなくなった所に追い打ちをかける言葉を言わないでくれる!?」

 

夏紀「ちょっと、やめなって!」

 

優子「うるさい!」

 

香織「やめて!!」

 

麗奈「……ケチつけるなら、私よりも上手くなってからにしてください」

 

麗奈は、そのまま廊下に出ていき久美子が追いかけていった。

 

俺はその様子を見たままになってしまった。

 

滝「準備の手を止めないでください。準備が終わり次第、練習を始めましょう」

 

先生の一言で皆は吉川先輩と中世古先生、出ていった玲奈と久美子を気にしつつも準備の続きを始めた。

 

来南「……蓮、気になるかもだけど準備進めよ」

と、喜多村先輩が俺にそう言ってきたので、渋々頷いてから手伝える事を手伝っていった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

〜パート練習教室〜

 

 

蓮(あれは絶対に吉川先輩の暴走のような気がする。……けど、麗奈がケチつけるなら云々とかを言うとは思わなかったな……)

 

パート練習する教室に着いた時に俺は内心そう思っていた。

 

けど、練習しないとと思ったので先に廊下で1人練習を始めていた鎧塚先輩の所に移動しようとした時に、喜多村先輩に"蓮"と呼ばれた。

 

来南「一応聞くけど、大丈夫?」

 

蓮「……全然大丈夫といったら嘘になりますけど、まぁ大丈夫です。単純に麗奈があそこまで言うとは思わなかっただけです。特に最後のケチをつけるなら云々の部分で……」

 

美貴乃「てことは、蓮は高坂に反論させない為に話をしたの?」

 

蓮「いや、あれは反射的に口を挟んじゃった感じです。けど、麗奈なら反論はするとは思っていたんで、俺が吉川先輩に何かしら言えば麗奈はそこまで言わないと思っていたんですけど」

 

来南「だけど、予想していた以上だったって事ね」

 

喜多村先輩の言葉に"はい"と答えた後に、1つ質問をした。

 

蓮「2人は先生が贔屓したと思ってます?」

 

美貴乃「いや、思ってはないわよ。蓮から色々と話聞いたりしてるから先生が贔屓するとは思えないからね」

 

来南「そうだね。蓮がいなくて先生や高坂の事とか色々と聞いてなかったら、怪しいとは思ってたかもしれないけどね」

 

美貴乃「あと滝先生も言ってたけど、あの松本先生がいるのに贔屓で選ぶは無理があると思うし」

 

来南「それはそう」

 

蓮「……そう言ってくれるだけ安心です」

と、2人の言葉を聞いて自然とその言葉が出ていた。

 

美貴乃「まぁ、贔屓したとは思ってないけど、やっぱり2人の演奏を直接しっかり聞いている訳じゃないから、高坂の演奏がどこまで上手いのかが分からないのはあるけど」

 

来南「その気持ちは分かるよ。香織も上手いのは確かだけど、その上手さを抑えた高坂の演奏が気になるね」

 

蓮「そこは俺も似たような事を思ってますよ。俺は麗奈の演奏は知ってますけど、中世古先輩の演奏をしっかり聞いた事はないので……」

 

来南「そうだよね。出来る事なら2人の演奏だけ聴いてみたいのはあるよね」

と、2人の演奏の話を続けた。

 

来南「まぁ、そういう事だから贔屓したとかは思ってないから、蓮はそこまで心配せずに今は自分の演奏に集中しよ」

 

蓮「はい、そうします」

 

喜多村先輩の言葉にそう返事をしてから、俺は鎧塚先輩の隣に移動して、オーボエの演奏部分の練習を始めた。

 

 

その後、音楽室で全員での練習をしてから今日の活動を終えた。

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

〜久美子視点〜

 

 

オーディションを終えてコンクールメンバーが発表され選ばれた日から、練習が続いたある日。

 

今日は家から持ってきていた毛布を音楽室の床に敷いていた。

 

先生の話だと敷いた毛布が音を吸収するらしいく、実際のホールでの演奏を念頭にした練習をする為に敷いたとの事だった。

 

その作業をしている最中に麗奈と同じトランペットの先輩、吉川先輩が先生と麗奈が知り合いなのかと質問をした。

 

知り合いだと分かった後に、オーディションで贔屓してメンバーとソロパートを抜擢したんじゃないかと質問をした。

 

滝先生と吉川先輩がやり取りした後に、麗奈が口を開く前に蓮が吉川先輩に話をし始めた。

 

その中で、蓮が言った言葉に先輩や噂をしていたらしい部員達は何も言わなくなった。

 

吉川先輩が質問をしてから部内が緊張感が出てたけど、蓮の言葉で一旦落ち着いた感じになったから良かったと思った瞬間に、麗奈が動いたのが見えた。

 

麗奈「蓮の言う通りです!なんで私が選ばれたのか分かってるでしょう。それは贔屓でもなんでもなく、先輩より"私の方が演奏が上手かった"って事です!」

 

蓮「ちょ、麗奈「あんたね!」……!」

 

麗奈の言葉に、吉川先輩と麗奈が言い争いを始めた。

 

最終的に中世古先輩の"やめて!"という言葉でやり取りが落ち着いた。

 

麗奈「……ケチつけるなら、私よりも上手くなってからにしてください」

 

最後に麗奈がそう言ってから廊下に出ていった。

 

蓮はその様子を見て驚いている顔をしていたが、私は麗奈が心配になったから麗奈のあとを追いかけて私も廊下に出た。

 

麗奈「うぁぁぁ!」

 

廊下に出てから、すぐくらいに麗奈が叫んだ。

 

麗奈「ロクに吹けないくせに何言っての!そう思わない!?」

と言いながら、私に振り向いて抱きついてきた。

 

麗奈「久美子。私、間違ってると思う?」

 

久美子「……ううん、思わない」

 

麗奈「……本当に?」

 

久美子「うん」

 

私の頷きに、麗奈は小声で"……でも蓮に悪い事しちゃったな"と呟いてから静かになった。

 

小声でつぶやいた言葉に、"?"となった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

〜外〜

 

〜久美子視点〜

 

 

私と麗奈が廊下でやり取りをしている間に部活の準備を終わっていた。

 

練習はひとまず各自パート練習となったけど、私と麗奈は外にいた。

 

久美子「麗奈は、先生の好きなの?」

と、外にあるベンチに座った後に、麗奈にそう質問した。

 

麗奈「……好き。と言っても、LOVEじゃなくてLikeの意味でだけど。指導者としてとか、トランペット演奏者としてとかで尊敬してる気持ちの方が強いかな」

 

久美子「あ、なるほど、そういうこと。……尊敬してる人を悪く言われたから怒ったって事ね」

 

麗奈「そういうこと」

 

久美子「……それで、蓮の事は?」

 

麗奈「蓮?」

 

久美子「蓮の事は好きなの?」

 

麗奈「前に聞いてきて答えなかったっけ?」

 

久美子「まぁ、確かに聞いたけど……」

 

麗奈「……まぁ好きなのは好きだよ、蓮の事は。でも前にも言ったけど、LOVEの意味の好きなのかは分からない。幼稚園の頃から一緒にいるけど……」

 

久美子「ふーん。……私から見たら何で付き合ってないの?って見てて思うんだけど」

 

麗奈「……」

 

私の言葉に麗奈は黙ってしまって、お互い少し黙ったままになったけど麗奈から返事が返ってこなかったから、気になった事を一つ聞くことにした。

 

久美子「あのさ、麗奈に聞きたい事が一つあるんだけど……」

 

麗奈「……何?」

 

久美子「廊下で私に抱きついた時に、小声で"蓮に悪い事しちゃったな"って言ってたけど、なんでそう言ったのか気になって……」

 

麗奈「……あの時、蓮は絶対に私のフォローで言ってくれたと思う。あとは、私がそこまで凄い反論しないようにっていうのもあるかもだけど」

 

久美子「それだったら、麗奈はなんで先輩にわざわざあんな事を言ったの?」

 

麗奈「トランペット奏者として特別になるには必要な事だから」

 

久美子「……ソロを譲る気は?」

 

麗奈「ない。ねじ伏せる。それくらいしないと特別になれない」

 

麗奈の言葉に、私は何も言えなかった。

 

麗奈「でも、私のせいで蓮に何かあっても嫌だから、蓮の事を気にかける。久美子も気にかけてあげて」

 

久美子(……気にかけるぐらい蓮の事は大事に思ってる。ホント傍から見ると、単純な幼馴染の関係以上の気持ちを持ってると思うんだけどな……)

 

内心そう思いながら"分かった"と返事を返してから、音楽室の方へ向かった。

 

 

その後、音楽室で全員での練習をしてから今日の活動を終えた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーーー

 

 

〜翌日〜

 

〜葉月視点〜

 

 

高坂さんと吉川先輩の口論、中世古先輩の制止の件から部内ではチラホラ不満とかを言う部員達が出ていた。

 

そんなある日。

 

低音パート組でいつも練習をしている教室前の廊下で、私は吹部で起きたトランペットのソロパートの事で緑と話をしてた。

 

葉月「緑はソロを譲れって言うの?」

 

緑「ここまで部内の空気が悪くなるならそれもアリかなって」

 

緑の言葉に聞いた私は"でも……"と呟いた。

 

葉月「……そうしちゃうと、蓮の立場も悪くなっちゃうと思うけど」

 

緑「それってどういう……?」

 

葉月「ほら……吉川先輩と滝先生が話をした後に、蓮も先輩に高坂さんは贔屓じゃない事を言ったでしょ」

 

緑「言ってましたね」

 

葉月「で、その時に2人とも幼馴染だから名前で呼んでたでしょ。2人が幼馴染なのを知ってるのって、私と久美子と緑と塚本、あと蓮のパートメンバーぐらいだよね」

 

緑「そうですね。先輩では蓮くんと同じパートメンバーだけだと思いますけど……」

 

葉月「でしょ。で、2人が先輩に話してた時にお互いの名前を呼んでたのを聞いてた部員の一部が、2人は恋人か幼馴染みたいな関係じゃないかって思ってるみたい」

 

緑「……」

 

葉月「それで、蓮も高坂さんをソロにさせる為に先生に何かしたと疑ってる人がいるらしいよ。だから、高坂さんがソロを譲ったら実際は違うのに、本当に贔屓だったってなると思うよ」

 

緑「……蓮くんも、良くない事を言われるって事ですか?」

 

葉月「実際にそんな風になるかは分からないし、なってほしくないけど、そうなるかもしれないかもとは思っちゃってるのはあるよ」

 

私がそう言うと緑は静かになった。

 

葉月「そうは言っても、私も部のこの雰囲気は嫌だからどうにかしてほしいけど」

 

夏紀「このまま銅を取っちゃったら、私と加藤がオーディション落ちた意味ないんですけどー」

 

教室から中川先輩のそんな声を聞こえてきたけど、しばらくは先輩達と話をした。

 

ーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーーー

 

〜教室〜

 

〜蓮視点〜

 

麗奈の贔屓どうこうの件から、少し経った。

 

そんな日の今日も部活動だったけど、一年生には二者面談があった。

 

で、今俺の番なので教室にいる。

 

松本「進路とかは考えてるか?」

 

蓮「いや、まだです。……あ、でも一応音大とかに行きたいかな〜とかは、思ってますけど」

 

松本「そうか。それだったらひとまず勉強は続けとくように。演奏は大丈夫でも勉強はついていけない。そうなっては意味がないからな」

 

蓮「あ、分かりました」

 

松本「あと、色々あると思うが部活では余計な事を考えずにコンクールに向けて音楽を楽しめ」

 

先生の言う通り、贔屓云々の発言、今も麗奈を気にかけているから、俺も贔屓に関わってると一部の部員から思われてる。

 

けど、喜多村先輩達のパートメンバーと久美子達、果ては麗奈にも逆に気にかけられている。

 

蓮「その辺は一応大丈夫です。パートメンバーの喜多村先輩達と同じクラスの久美子達も気にかけてくれてるので、練習も音楽も学校生活も楽しめてます」

 

松本「そうか、それならいい。……話は以上だ」

 

蓮「あ、はい」

 

返事をした後、教室を出てパート練習をしてる教室に向かい練習をした。

 

今日は、各自の練習だけて活動が終わった。

 

ーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーーー

 

〜連視点〜

 

 

〜翌日・音楽室〜

 

 

二者面談があった翌日。

 

音楽室で、練習を始まる前に部長の小笠原先輩が話を切り出した。。

 

晴香「皆に話があります。最近、先生について根の葉もない噂をあちこちで聞きます。そのせいで集中が切れている。これじゃ金はおろか銀すら怪しいと私は思ってます」

 

麗奈「……」

 

蓮「……」

 

晴香「一部の生徒と知り合いだったからといって、不正があった事になりません。それでも不満があるなら裏でコソコソ話さず、ここで手を挙げてください。私が先生に伝えます」

 

小笠原先輩の言葉に何人かが手を挙げ始めたが、そのタイミングで滝先生が入ってきた。

 

先生は、手を挙げている事を不思議に思いつつも部員全員がいる事を確認してきて、全員がいるのを確認した後に1つ提案してきた。

 

滝「希望者には、再オーディション行いたいと考えています。前回のオーディションの結果に不満があり、もう一度やり直してほしい人はここで挙手してください」

 

先生の言葉に、皆に驚きが広がった。

 

滝「来週、全員の目の前で演奏し全員の挙手によって合格を決定します。……全員で聴いて決定する。これなら異論はないでしょう。……いいですね?」

 

そう伝えてきた先生に戸惑いを感じながらも皆は頷き、それを見た先生は再オーディションを希望する人を聞いた。

 

そして手を挙げたのは、中世古先輩で"ソロパートのオーディションをもう一度やらせてください"と、先生に伝えた。

 

滝「分かりました。では、今ソロパートに決定している高坂さんと中世古さん、その二人のどちらがソロに相応しいか再オーディションを行います」

 

こうして、トランペットのソロパートの再オーディションをする事に決定された。

 





次回も遅くなってしまうと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。