(完結)高坂麗奈の幼馴染みで車椅子生活のオーボエ奏者が吹奏楽部に入部して活動する話 作:春はる
17話です。
合宿2日目の話で、前回よりは文字数が多めです。
では、本編をどうぞ。
〜翌日〜
〜蓮視点〜
合宿2日目。
朝のミーティングは全員で呼吸と発声練習、その後はパート練習を行い、午後からひたすら合奏が続く。
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滝「10回通しに移ります」
「はい」
10回通しは、言葉の通りで課題曲と自由曲を合わせて10回通しで演奏するというもの。
しかも、10回通しにかかる時間は、2曲合わせて約12分1回2分の休憩を入れて160分以上はかかるから、最後の方はみんながバテバテの状態になる。
蓮(流石に俺もバテバテ状態になるな……これは)
そう思ってると、10回通しが始まった。
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「では20分休憩にします」
10回通しが終わり、休憩に入った。
蓮(……疲れた……)
あすか「20分か〜、ちょっと吹いてくるかな♪」
疲れたと思ってると、ユーフォの方から田中先輩のそんな言葉が聞こえてきた。
蓮「……田中先輩、やば〜……」
みぞれ「……あすか先輩、凄いよね」
蓮「ですね〜」
田中先輩の行動に呟いた言葉に反応した先輩の言葉に答えながら、うちわで自分を扇いだりたまに鎧塚先輩にも扇いだりして休憩を取っていた。
しばらくして、20分が経ち練習が再開した。
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休憩後も練習も、滝先生達からいろんな指導を受けながら続いていった。
練習中に、久美子が府大会前に田中先輩1人で吹くように言われていた場所を先輩2人と吹くようにと言われた。
いきなり言われたからなのか、最初は返事がなかったが滝先生からもう一度聞かれて大きく返事をした。
久美子の返事を聞いた滝先生が橋本先生に"何かありますか?"と聞くと、橋本先生は首をかきはじめた。
蓮(橋本先生……なんか鎧塚先輩と俺の方を見てきた?)
橋本「なぁ、滝くん。オーボエのソロ、あれでいいの?」
みぞれ「?」
どうやら鎧塚先輩が担当してるソロパートで疑問を思ったみたいで、いきなりオーボエソロの事を言われた先輩は首を傾げてた。
橋本「いや、音もきれいだしピッチも安定してる。けど、ぶっちゃけつまらん!ロボットが吹いてみるみたいなんだよ!」
みぞれ「ロボット……」
橋本「楽譜通り吹くだけだったら、機械でいい」
滝「……補足として言いますが、確かに鎧塚さんの表現力はまだまだ改善部分はあります。……が、私が初めて聞いた時よりは、上達はしてますよ」
橋本「ありゃそうなの?……でもな~……鎧塚さん、君はこのソロをどう吹きたいと思ってる?何を感じながら演奏してる?」
みぞれ 「……三日月」
橋本「じゃあもっと三日月感出さないと!」
みぞれ「善処します……」
橋本「善処って言い方してる時点で、ダメなんじゃない? もっと感情出せない?」
みぞれ「すみません」
橋本「謝る必要ないよ。クールな女の子って魅力的だと思うし。でも、このソロはクールでは困る!"世界で一番うまい私の音を聴いて!"ってくらいじゃないと」
そう力説した橋本先生は、一旦そこで言葉を区切ってから一方向に目線を向けてから、"現に……"と呟いてから口を開いた。
橋本「トランペットソロの高坂さんとかは、まさに私の音を聴いてって感じで演奏してたよ。……それに、君の隣にいるオーボエ男子の西原くんとかも表現力は凄いよ」
蓮・麗奈「「え?」」
橋本先生の言葉に、俺と麗奈は同じタイミングで言葉が出ていた。
橋本先生にいきなり言われた麗奈も驚いたらしいけど、俺もいきなり言われると思わなかった。
橋本「え、何その反応……2人して同じタイミングで驚いてるの?」
蓮「いきなり、そう言われるとは思わなかったので」
橋本先生の言葉に俺がそう答えると、"そう?"と聞かれたから"はい"と返事をした。
橋本「でもさ、僕が言った事は誇張じゃなくて、2人は表現力は凄いよ。2人はトランペットとオーボエをやってるけど、小さい頃からやってた?」
麗奈「私は、そうです」
橋本「君は?」
蓮「えっと、やり始めたのは中3の途中からですね」
橋本「マジ?」
蓮「あ、はい」
と、先生の言葉に返事をすると、少し考え始めてから質問してきた。
橋本「確認なんだけど、オーボエをやる前に別の楽器やってた?それも、別の楽器がメインでオーボエはサブと言うか趣味とかそんな感じで演奏してた?」
蓮「先生の言う通りですけど、なんでそう思ったんです?」
橋本「オーボエは木管楽器で一番難しい楽器だから、初心者だった場合、流石に中3の途中からやって今の実力になるのは無理があるから。……で、どうなの?」
蓮「……コンバスをしてましたけど」
橋本「……あ〜、なるほど」
俺が"コンバス"と答えると、橋本先生は俺の全身を見てからそう呟いた。
麗奈「……先生、そろそろ……」
滝「橋本先生、話が逸れてますよ」
と、麗奈が言葉発した後に、滝先生が橋本先生にそう伝えた。
橋本「おっと、すまん。……え〜、とにかく正直君たちの演奏はどんどん上手くなってる。強豪校にも引けを取らないくらいにね」
そう言って言葉を切ってから、"でも"と呟いてから口を開いた。
橋本「表現力に関して、名前を挙げた2人以外の皆はまだ表現力が足りない。それが強豪校との決定的な差だ。北宇治はどんな音楽を作りたいか。この合宿ではそこに取り組んでほしい!」
「はい」
滝「橋本先生も、たまには良いこと言いますね」
橋本「いやいや、"たまには"は余計だろ?僕は歩く名言集だよ」
二人のやり取りに皆から少し笑いが起きていた。
滝「では、練習を再開します」
滝先生の言葉で、練習が再開した。
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〜夜〜
〜外・広場〜
練習後、お風呂に入り麻婆豆腐だった夕食も食べ終わった後、花火をするという事で、泊まってる合宿所の広場に皆が集まっていた。
しかも、広場の中心にはキャンプファイヤーも用意されていた。
近くにいる緑なんて両手に花火を持って楽しんでいた。
美貴乃「蓮、蓮、あの2人付き合うってるとかないの!?」
来南「その辺、どうなの!?」
緑の様子とかを見ながら、俺も岡先輩と喜多村先輩の2人と花火をしている時に、滝先生と新山先生の2人が仲良く話してるのを見た2人が、先生の事を聞いてきた。
蓮「そうは言われても、知らないですよ」
美貴乃「え〜、滝先生から何か聞いてないの?」
来南「それか、蓮の両親から滝先生の事で聞いてたりしてないの?」
蓮「本当に聞いてないですよ。両親からも何も話は聞いてないし……って、花火終わった」
2人の質問に苦笑いしながら、そう答えると花火が終わった。
来南「はい、これ新しい花火」
蓮「あ、ありがとうございます」
喜多村先輩から新しい花火を受け取って、火をつけた。
蓮「……とにかく、2人の事は何も聞いてないから多分付き合ってないと思いますよ。付き合ってるとかそんな話があったら、俺の両親が話してそうなので」
美貴乃「あ~あ、せっかく滝先生の面白い話が聞けると思ったのに。あの二人、話してる時の雰囲気が良かったから、絶対に何かあると思ってたんだけど」
来南「ほんとほんと」
蓮「……まぁ、確かに2人の雰囲気は良かったのは確かですけど」
と、2人の会話にそう言いながら笑ってると、持ってた花火が終わった。
その花火を片付けようとした時に、"蓮"と名前を呼ばれた。
蓮「あ、麗奈」
麗奈「……花火、一緒にしない?」
麗奈の言葉に断る理由はなかったから、俺は頷いた。
蓮「うん、やろっか」
麗奈の言葉に返事を返すと、喜多村先輩が"あ"と声を出した。
来南「私達は、他の皆のところに行ってくるよ」
美貴乃「そうだね。香織達の方に行くね」
と、2人はなんかニヤニヤしながらそう言って、離れていった。
その2人の表情に不思議に思いながら、麗奈から線香花火を受け取って、花火に火をつけた。
麗奈「……さっき、先輩達と何を話してたの?」
と、麗奈がパチパチと出る線香花火を見ている時に、そう聞いてきた。
蓮「滝先生と新山先生の関係についてだよ。あの2人の雰囲気が良い感じに見えたから、付き合ってるの?とかを聞かれてた。知らないから、知らないって伝えたけど」
麗奈「それだけ?」
蓮「うん、それだけ」
麗奈「……そうなんだ」
と、麗奈は小さく呟いたのを聞いた後に、俺は聞きたかった事を聞いた。
蓮「……あのさ、プールに行ったのと久美子と2人で出かけたって日は、楽しかった?」
麗奈「うん、楽しかったよ。……プールに行った時に、知り合いというか仲良くなった子が出来たよ」
蓮「え、そうなの?」
麗奈「あ、うん。えっと、
蓮「どんな2人なの?」
と麗奈にそう聞くと、"えっと……"と言ってから教えてくれた。
まず2人は小学校からの幼馴染で、俺と麗奈、久美子達と同じ高1で、中学は吉川先輩達と同じ南中出身で、高校は立華に進学してると教えてくれた。
立華に行った結香とも仲が良いみたいで、久美子の中学時代の友達で立華に進学した佐々木梓って女子と仲が良いと教えてくれた。
プールの時は、吉川先輩や中川先輩達経由で宮津沙織と豊郷麻衣と仲良くなったと、教えてくれた。
麗奈「まぁ、2人とは結香の事を少し話しただけだね。2人とも結香と仲が良いみたいだから、共通の知り合い関係で仲良くなった感じ。その後は、一緒に遊ぶとかはしなかったよ」
蓮「向こうは先輩に誘われてたから?」
麗奈「そう。沙織達は先輩達に誘われて来てたから、向こうは向こうで遊んでて、私達は私達で久美子達と遊んでた。まぁ、グループ別で遊んでたみたいな感じ」
蓮「楽しんでたなら良かったよ」
麗奈「そっちは、どうだったの?先輩と玲と出かけたんでしょ?」
と、麗奈にそう聞かれたから、先輩達と出かけた日の出来事を伝えた。
麗奈「なんだかんだ、蓮も楽しめたんだ」
蓮「まぁ、そうだね」
麗奈「そっか。……前から聞きたかった事があるんだけど、府大会前の練習で朝早く来てたでしょ?」
蓮「うん。来てたけど、それがどうかした?」
麗奈「それで滝先生から指摘された後に、下校時間ギリギリまで鎧塚先輩と練習してたって久美子から聞いたけど、それ本当?」
蓮「え……まぁ、うん。本当だよ。先生に指摘された日に下校時間ギリギリまで練習するって決めた時に、理由は聞いてないけど、鎧塚先輩も練習に付き合ってくれた感じだよ」
麗奈「そうなの?」
蓮「うん。そこから府大会当日まで一緒に練習してたし、途中まで帰ってただけだよ」
麗奈「……別に好きだったりしないよね。鎧塚先輩……それに他の二人の先輩も……」
と聞いてきた麗奈に"ん?"となったけど、ひとまず答える事にした。
蓮「麗奈が滝先生の事を指導者として好きとか尊敬してるのと同じで、鎧塚先輩の事は同じオーボエ奏者として尊敬してるとかの意味で好きって感じ。岡先輩達の事も尊敬とかの好きだよ」
麗奈「……そっか」
と、俺の言葉に麗奈は嬉しそうに小さく呟いたのを不思議に思ったけど、嬉しそうな顔を見てたら"まぁいっか"と思い麗奈と花火を楽しんだ。
しばらくした時にお開きの時間になり、花火のゴミを片付けたりした後に、部屋に戻る事になった。
麗奈「部屋まで押して行く」
蓮「え、いいの?」
麗奈「うん」
蓮「ありがと、麗奈」
お礼を聞いた麗奈ほ無言で頷いてから、押してくれた。
蓮「花火、久しぶりだったね」
麗奈「うん、小さい時以来だよね。……今度は玲も入れて3人でやりたいね」
蓮「あ〜、確かにね」
と、久しぶりに花火をした事を話しながら部屋へ向かっていた。
少しして部屋に着いた。
蓮「麗奈、ありがと」
麗奈「別にいいよ。……それより、明日からの練習も頑張って関西大会に突破しようね」
麗奈の言葉を聞いた俺は、"うん"と頷いてから部屋に入った。
部屋で寝る支度を済ませてから布団にもぐった。
こうして、1日を終えた。
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〜久美子視点〜
〜夕食後〜
〜食堂内〜
10回通しやパート練習とかの吹部の練習を終えて、お風呂と夕飯も全て済ませた夕食後の食堂に、私はあすか先輩と一緒にいた。
あすか先輩がお茶が入っているやかんとコップも借りてきて、私の前にコップを置いてくれた。
あすか「……それで、話って?」
と、あすか先輩はお茶を一口飲んでから、そう切り出してきたから、聞くと決めた事を聞いた。
久美子「えっと、低音パートに来ていた希美先輩……傘木希美先輩の事で……。なんで、希美先輩が吹部に戻る事に反対なんですか?」
あすか「なんで、そんな事を聞くの?」
先輩の言葉に、"希美先輩と約束したから"と答えた。
あすか「……私が許可しない理由は、なんだと思う?」
久美子「もしフルートの上手な希美先輩が戻ったら、部が混乱するから……とかですか?」
あすか「んー、違います」
私の答えに、あすか先輩はからかう感じで手でバツを作りながらそう言ってきた。
久美子「じゃあ、なんでダメなのか教えてください」
あすか「もし聞いたら、黄前ちゃんが辛くなるよ。それでもいい?」
久美子「はい」
あすか「黄前ちゃんは、頭いいのに愚かだねぇ〜。……まぁ、警告はしたからね」
あすか先輩はそう呟いた後に、真面目な顔になり私を見てきた。
あすか「……オーボエの鎧塚みぞれちゃん、いるでしょ?あの子、希美ちゃんの事がダメなのよ。顔見ただけで、気持ち悪くなるくらいのトラウマがあるらしくて」
久美子「え?」
あすか「で、希美ちゃんはそう思われている事に全く気付いてなくて、未だに仲良しと思っている」
久美子「……そう……なんですか?」
あすか「そうだよ。……その希美ちゃんに、"アンタが戻ってくるとみぞれちゃんがオーボエを吹けなくなる"とか言えないでしょ?……流石にそこまで鬼じゃないよ、私は」
先輩の言葉に、私は何も言えなかった。
あすか「吹部のオーボエ、みぞれちゃんと西原の2人がいる。みぞれちゃんが実力があるのは言わずもがなで、西原もメンバーに選ばれてるし、私自身も彼に実力も表現力もあるのは知ってる」
久美子「あ、知ってるんですね……」
あすか「そりゃ〜、私自身も全体練習の合奏とかダブルリードのパート練で聞こえてくる音を聞いてるからね。……でもね……」
あすか先輩は、一旦言葉を切って一瞬目線を下へ向けて私の方を見て話してきた。
あすか「2人の課題が、演奏技術と表現力といった正反対の2つと来た。勿論、2人とも成長はしてるけど、お互いにカバーし合ってるような形で演奏している。……どういう意味か分かる?」
久美子「え、えっと……」
あすか「関西大会が近づいている状態の今、みぞれちゃんが潰れたら関西どころじゃ無くなるってわけ」
久美子「え?」
あすか「そりゃそうでしょ。カバーし合ってるような形から片方が居なくなると、オーボエの演奏部分や音の厚みやらに影響が出る」
久美子「それは……」
あすか「しかもね、それだけじゃない。今回、オーボエソロがあった。オーディションの結果……選ばれたのは、みぞれちゃんだったよね」
久美子「あ、はい」
あすか「それってつまり、ソロパートにも影響が出るって事よ。……だから、みぞれちゃんと希美の二人を天秤にかけたら、どっちを優先すべきかくらい分かるでしょ?」
久美子「……」
あすか「とにかくさ、私が話した今の話が真相なんだけど、どうする?希美ちゃんに言う?」
あすか先輩の言葉に私は何も言えなかった。
あすか「だから言ったのに……まぁ、聞かなかったことにするんだね。聞いても、あすか先輩は教えてくれませんでしたってね」
あすか先輩はそう言って、やかんとコップを片付けてから皆で花火をする広場へと向かっていった。
私もコップを片付けてから広場へ向かった。
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〜外〜
あすか先輩の話を聞いた私は、合宿所の広場に降りる階段部分に腰掛けていた。
久美子(あんな話、確かに希美先輩には言えないよね)
キャンプファイヤーと周りで花火を楽しむ皆を見ながら、あすか先輩から言われた内容を思い返して、内心そう呟いていると誰がか近づいてきた事に気が付いた。
久美子「ん?」
麗奈「久美子」
やってきたのは、線香花火を持った麗奈だった。
麗奈「花火、やろう」
麗奈の一言に、私は頷いて線香花火を始めた。
しばらく線香花火を眺めていた時に、ふと思った事を麗奈に聞いてみた。
久美子「麗奈さ、蓮と一緒に花火やらなくていいの?」
麗奈「なんで?」
久美子「いや最近、麗奈は蓮と出かけたり遊んだりしてないんじゃないかなって思って。……お盆休みはプールに行ったり私と出かけたし、前は花火大会に行ったりしたから」
麗奈「その前のあがた祭りも一緒に行ったよね、久美子と」
久美子「うん。自意識過剰のつもりじゃないけど、私は麗奈と2人で出かけるぐらいすごく仲良くなったって思ってる。だけど、代わりに麗奈は蓮と出かけなくなったって、勝手に思ってる」
麗奈「……まぁ、確かに久美子と仲良くなってからは、蓮と玲の2人と出かけてる記憶ないし」
という事を、私の言葉を聞いた麗奈は少し考え込んでから答えてきた。
その答えを聞いた私は、蓮がどこにいるか見渡して、蓮の今の様子を確認した。
久美子「……蓮、今は先輩と一緒に花火して話してるけど、行ってくれば?先輩と仲良くしてるのは嬉しいけど、嫉妬してるんでしょ」
そう言ったタイミングで、ちょうど線香花火は終わった。
麗奈「……行ってくる」
と、麗奈は私の終わった線香花火を持って新しい線香花火を取りに行ってから、蓮の方に向かっていった。
橋本「あの子……高坂さんは、西原くんの事が好きなの?」
久美子「……ふぇッ!?」
いつの間にか隣にいた橋本先生に話しかけられて、驚いた。
橋本「あ、驚かして、ごめんごめん。……で、どうなの、あの2人は?」
久美子「えっと、あの2人は幼稚園からの幼馴染で、2人から話を聞いてた限りだと、無自覚の両片思いってやつです」
橋本「あぁ~、恋愛物の物語でよく題材に使われる一つだね」
先生の言葉に頷きながら麗奈の方を見てみると、ちょうど蓮に声を掛けて花火を渡していた。
先輩2人は他の3年生がいる場所に移動しているのを見つつも、橋本先生と話を続けた。
久美子「そうですね。まぁ、麗奈の方は蓮の事を恋愛の意味で好きって事を自覚しましたけど、蓮はまだだと思います」
橋本「そうなの?」
久美子「はい。前に花火大会があって、私は麗奈と2人で行ったんです。行った時の事を蓮に伝えたら、なんとなくですけど羨ましそうにしてて嫉妬もしてた様に見えました」
橋本「まだ好きだって自覚してない感じ?」
先生の言葉に、私は頷く。
橋本「へぇ~、本当に物語みたいな感じ」
そう呟いた先生は、花火をしてながら話をしている二人を眺めていた。
橋本「……話を変えるけど、練習後に滝くんから聞いたけど西原くんって南聖中で車椅子になってしまったんでしょ」
久美子「あ、はい。なんか、オーディション結果に納得出来なかった先輩に背中を押されたみたいで。……その話を聞いて、流石にそれは酷すぎると思いました」
橋本「僕も滝くんから聞いて酷いと思った。納得出来ず相手に当たるとかは聞く事あったけど、それは流石にって思ったよ。だからかな……僕、高坂さんに睨まれたよ」
その話を聞いて私は、"睨まれた?"と内心で不思議に思いつつも、今の話の流れと麗奈に睨まれるという言葉に、私はどの場面の事を言っているを考えてから、質問した。
久美子「もしかして、麗奈と蓮の表現力の事とか、楽器の演奏歴を聞いた時ですか?」
橋本「そう。楽器、小さい頃からやってるかどうか聞いた時ね。睨まれた理由は、滝くんと君と話して分かったよ。彼女からしてみれば、幼馴染で好きな人の今に繋がる話題が出たからね」
久美子「そうかもですね」
と答えながら、"あの時、麗奈って先生に睨んでたんだ"と内心で思った。
そう思ってた時に、そろそろお開きになる時間になった。
皆で片付けを済ませて、それぞれ話をしながら割り振られた部屋へ戻っていったのを見つつも、私は麗奈を見てみた。
麗奈は蓮の車椅子を押してたから、一足先に部屋に戻った。
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〜翌朝〜
久美子「結局、全然寝れなかったな……」
朝早くユーフォを持ちながら外を歩いていた私は、そう呟いた。
昨日の夜、花火をした後に部屋に戻ったけど寝付けなくて夜風に当たりに行った時に、希美先輩と鎧塚先輩について会話をしている夏紀先輩と優子先輩を見かけて隠れて話を盗み聞きをしていた。
ただ、優子先輩に見つかってしまったけど、その時にトランペットソロの事とコンクールの好き嫌いについて話をしてから部屋に戻った。
部屋に戻ると、麗奈がまだ起きていて話しかけられたから、麗奈にもコンクールの好き嫌いを聞いて、麗奈なりの答えを教えてもらった。
答えてもらった瞬間に麗奈は寝てしまってたから、私は私で寝ようとしたけど、いつの間にか朝の時間に近づいてたみたいで、寝れなかった。
久美子(全然寝れなかったけど、少しでも気分切り替えようと思って、ユーフォが吹けそうな場所を探しに来たんだけど)
私は、内心でそう思いながら坂を歩いていた。
久美子「それにしても、朝日は凄くきれいだな……ん?」
と、朝日が昇っているのを見て呟いてると、ユーフォの音色が聞こえてきた。
丘の開けてる場所に出ると、あすか先輩がユーフォを吹いていた。
久美子(あすか先輩……)
あすか先輩が吹いている曲は、どこか不思議で暖かくて寂しくて、幾重にも重なった感情が込められている様に聞こえて、それになんとも言えないような顔をして吹いてるようにも、私は見えた。
小説の最後の久美子と麗奈と優子の3人の会話は、アニメで会話していたコンクールについての内容と一緒です。