オリ主ハウス   作:朝苗

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一応形にはなったので投稿です。


第十九話 これがオリ主の力だ!

 ある程度予想していたとは言え状況は最悪に近い。

今の段階でフェイトに対して一対一で勝負になるのは士郎さんか恭也さんくらいで俺やギルは対人戦に対して経験が足りていなく、比較すればまだましレベルだが剣道の試合の経験がある一護は体を置いてこないといけないという制約のせいで援護に来ることも不可能。

 本来この場面でフェイトと相対したなのはに至っては原作の時もあっさりと負けたのに俺達の介入で原作よりも戦闘能力が下がっているという始末。

 

 (こりゃ完全に詰んでるな)

 

 この状況になった時点で最善のパターンであるフェイトを退けてジュエルシードを確保するという案は消えた、ここからはどれだけうまく負けれるかということに考えを変えていく。

 

 (ユーノ、なのはのことを守っといていくれよ)

 (それはいいけど蓮はどうするの、あの子からはなのはと同じくらいの魔力を感じるよ)

 (平和主義の俺は対話による解決というのを諦めないからな、話を聞いて見る)

 

 ユーノに軽く指示を出すと、言葉通り推定フェイトに話しかける。

 

 「なぁ、あんたも魔道師ってやつなんだろ?あんたもジュエルシードを封印しに来たのか?」

 

 まずはいきなり戦闘にならないように無警戒で話しかけていく、実際には着れないというだけだがバリアジャケットを着ていない俺は向こうからすれば丸腰の素人にしか見えないだろう。

そのことが関係あるのかは分からないがフェイトは俺に対して少し近づき質問に答える。

 

 「そう、私はジュエルシードを集めないといけないの。だから邪魔するなら無理やりでも回収する」

 

 フェイトの言葉には俺達と交渉しようとか穏やかにこの場を収めるとかいう気がまったく存在しないのがよく分かる。

というかまだほとんど話してないのにすでに戦闘態勢に入っているんですけどあの人。

 

 (これは説得は無理だ!俺が負けたら後は頼む!)

 (いろんな意味で諦めるのが早いよ!)

 

 ユーノに念話で後を託すと俺はフェイトに向き合うと

 

 「現地人としてジュエルシードのように危険な物をはいそうですかと譲るわけにはいかないな」

 「そう、じゃあもう話すことはない」

 「こうなりゃやけだ!そう簡単に俺を倒せると思うなよ!」

 

 なのはのことなど不安材料は残っているがここから先は少しでもフェイト以外のことに気を取られたら一瞬でやられるだろう。

ギル達との事前の討論では今の俺たちとフェイトの現在の戦力差は三人がかりでなんとか勝機が出るかどうかという所だと予想している、いくらこちらはチートを搭載していると言っても使いこなせなければ意味はないし、フェイトは当たらなければ云々を実践してしまう高速機動の近距離タイプだ、ギルではブリッツムーブで背後に回られて一撃昏倒というパターンが目に見えている。

ゆえに素の動体視力で反応できるだろう俺が対面しているのは最悪のケースではないのだが

 

 (見えていても対応できなきゃ意味がねえんだよ!)

 

 最初は予想通り動きが見えていたことでいけるかと思ったがフェイトのピッチが上がってくるにつれて俺の戦闘技術の未熟さが浮き彫りになっていく。

現に今も俺の右側頭部を狙ったフェイトの攻撃はバルディッシュが日の光を反射して光っているのまでしっかりと見えているのだが漫画や映画のようにきれいに受け流すなんてことはできず結局しっかりと腕で受ける羽目になる。備えとして腕全体に巻いておいたシュピ糸が腕を斬られるのを防いでいるが骨が折れそうな衝撃はそのまま伝わってくる、そんな腕で反撃に出られるはずがなくフェイトは悠々と俺のリーチの外に逃れ再び踏み込んでくる。

 

 (やっぱり基礎的な技術が違い過ぎる!)

フェイトの攻撃は俺の見よう見まねのボクシングの構えの薄い所を的確に狙ってくる為、後手に回らざるを得ない、かといって遠距離でけん制しようにも俺の糸はこれだけ早い相手だとろくに当たらない。

 

 (待ち伏せで糸をはって万が一フェイトが真っ二つなんてことになるなんてのも避けたいしな)

 

 シュピ糸自体は細さから強度まで俺のさじ加減で融通は利くがまだ使いこなせていないせいか大雑把な操作しかできない、よって相手に視認できないくらい細く、その上相手を傷つけないなんて言う繊細なコントロールは出来ないのだ。

 

「魔力は使っていても魔法じゃない、レアスキルかな……」

 

 近接戦では千日手になると踏んだフェイトがいったん距離を取り俺の事を分析する

 

 「さあ、どうだろうなこれが一体なんなのかは俺にもいまいちよく分かってないんでね」

 

 俺たちのチート能力は例のテキトーな仕様書や前世の知識から一応使えてはいるが能力が魔力由来で発動しているので原作の能力そのままと言うわけではない。

 こんな中途半端なものをレアスキルと言って誇っていいのかはかなり疑念が残る。

 

 

「そう、あなたのそれが何だろうと私には関係ない。回収の邪魔をするならこれ以上は手加減なしで行く」

 

 フェイト杖の先に金色の球体ができバチバチと嫌な音を立てる。

 

 「プラズマランサー、ファイア!」

 

 フェイトの声に応じて杖の先から電撃が弾丸となり俺に迫る、一つ二つなら見てから回避することが可能だが弾幕ゲームを三次元ではなく地面に足を付けたまま実行すればどうなるかと言えば

 

 (実戦にはグレイズも安置もないんだよ!)

 

 雷の弾丸を一射避ければその先には二発の弾丸が俺を狙って飛んできている、一発は体をひねり、もう一発はその反動に逆らわずそのまま転がり避ける。

地面に転がりながらも首だけを上に向けると更に五発の弾丸が俺を射抜くために空を走る。

 

(これは避けられんわ)

 

 身体能力がいくら上がっていてもここまで体勢を崩されてはどうしようもない。

結果として自分の意識を落とす為の弾丸が自分に着弾するのを無駄に高い動体視力で眺めながら俺の意識は闇に沈んでいった。

 

 

 「蓮君!」

 

 なのはの前で蓮が魔法の直撃をくらい倒れる。

なのはにとってジュエルシードの回収はユーノが困っていたために手伝っている物でけして危険なことではなかった。

 

 ジュエルシードを放置することの危険性や回収の際のリスクはなのはも理解していたがそれでも父や兄それに幼馴染の三人がいれば問題なく行えると信じていたし、実際にこれまでは危なげなく封印を完了させてきていた。

 

 今のようなジュエルシードを狙う他の魔法使いと戦うことなど考えてもいなかったのだ。

 

 なのはにはもしもの時暴走体と戦う覚悟はあっても人と戦う覚悟なんかは持っていない。

ありさと喧嘩した時もすずかの為に、そして何よりアリサが間違っていると感じたからこそ拳をふるった。

 

 自分のためではなくあくまでも他人や正しさの為にだけ力をふるう。

これが高町なのはの本質である。

 

しかし、幼馴染である蓮を一方的に打ち据えられそれでも何も思わずにいられるような人間でもないのも事実である。

これまでの人生の中で初めて他人に対して敵意を持って蓮を倒した少女を睨む。

 

 蓮を倒したことでこちらを無力化したと思ったのか少女は手馴れた様子で猫に魔力ダメージを与えジュエルシード回収する。

デバイスにジュエルシードを収納したところで初めてなのはに視線を向けて何かを口にしようと口を開き、思い直したように何もいうことはなく背を向けて去っていく。

その背中が見えなくなるまでなのははじっと見つめていた。

 

 

 

 

 




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