ノルトライン=ヴェストファーレン州の古城、ヴェヴェルスブルク城。
堅牢なる城壁にヅィークルーネが高々と翻り、隅に三つの巨塔が聳える。
静寂なる石垣の間…中央には円卓と、その騎士達が集う。
12個の親衛隊中央組織、その長官
…その様は、"アーサー王と円卓の騎士"を彷彿とさせた。
その騎士達の中で唯一"王"の如く振る舞う。
彼こそが、ブルグント騎士団の長たる存在、
"ハインリヒ・ルイポルト・ヒムラー"親衛隊全国指導者である。
アーサー王伝説においてガラハット卿は、イスカリオテのユダを示す"13"番目の席に掛けられた呪いに、勇気で持って打ち勝ち、最終的に聖杯を手にしたのだ。
それ故、勇気の印たる13番目の席にヒムラーが座っていた。
「全員出席か。宜しい…。
ユットナー長官、説明を始めてくれ給え。」
「はっ。全国指導者閣下。」
丸眼鏡を掛けた初老の将官が、報告書を読み上げ始めた。
彼の名は"ハンス・ユットナー"。親衛隊大将、そして親衛隊作戦本部長官たる人物であった。
「皆様、先日よりフランス国政府との通信が途絶えている事は、周知の事実で御座いましょう。
「…ん?それは如何言う事かね、ユットナー殿。」
親衛隊全国指導者個人幕僚部長官、
"カール・フリードリヒ・オットー・ヴォルフ"親衛隊上級大将は聞く。
「そのままの意味であります。
それに加え、都市はおろか文明の痕跡すらも確認出来ず、フランクライヒは何らかの…こう言っては何ですが、非科学的事象によって消滅したのです。
…之に関しましては、"非科学的事象"としか言いようが御座いません。」
突如として東方地域が消滅し、西方地域の文明が失われた。
有り得ぬ事だが、
その報告を聞いたヒムラーはSS騎士
「…内務大臣としての立場で本国の閣僚会議へ情報を上げる。
本会議は終了する。
と言い、その日の円卓会議を終了させた。
グレゴリオ暦1955年1月3日。
ドイツの自動車工学者"ギュンター・アルデルト"博士の元に、
ドイツ国防軍兵器開発局の将校が訪れた。
「フランクライヒ地域現状調査…。
東方地域については先日の発表で耳にしておりますが…西方でも何か…?」
「…ええ、この件に付きましては不確定情報の為、発表は正確な情報が得られてからとなるのですが…。」
ブルグント騎士団国の齎した情報によれば、現在連絡の途絶えているフランクライヒ地域の地形、並びに植物相が大きく変化しているとの事であった。
之を受けた大ドイツ国政府は周辺諸国に呼びかけ、大ドイツ国・イタリア社会共和国・ブルグント騎士団国の3カ国で合同調査を実施する事を決定。しかし地形の変化や気温上昇による泥濘を考慮し、調査にはオフロード向け車両が必須と考えられた為、民間企業へ特殊車両の発注を行うに至ったのだ。
「―――付きましては、本調査に使用する特殊車両の開発を行ってほしいのです。
…
…
二週間後、アルデルト社は既存の兵員輸送車を改造したオフロード車両を完成させた。
その名も、「アルデルト 西部用装軌式特殊車両」*1である。車底を船型に改造した事で、泥濘の上を船の様にして進む事が可能であった。
そして1月24日―――フランクライヒ地域現状調査は開始される…。
騎士団長:ハインリヒ・ルイポルト・ヒムラー親衛隊全国指導者。
親衛隊全国指導者個人幕僚部:カール・フリードリヒ・オットー・ヴォルフ長官。
親衛隊本部:ゴットロープ・ベルガー長官。
親衛隊作戦本部:ハンス・ユットナー長官。
親衛隊人事本部:アルフレート・ベルンハルト・ユリウス・エルンスト・ヴェンネンベルク長官。
国家保安本部:ラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒ長官。
秩序警察本部:ギュンター・ライネッケ長官。
親衛隊法務本部:ヨゼフ・マイドラー長官。*2
ハイスマイヤー親衛隊大将本部:アウグスト・フリードリヒ・ハイスマイヤー長官。
親衛隊人種及び移住本部:エンゲルベルト・ヴィルヘルム・アダルベルト長官。*3
ドイツ民族性強化国家委員会:オットー・ヨーゼフ・ルートヴィヒ・シュワルツベッカー長官。
ドイツ民族対策本部:ヴェルナー・ローレンツ長官。
親衛隊経済管理本部:ハンス・フリードリヒ・カール・フランツ・カムラー長官。