第三帝國召喚   作:(休止中)サン少佐

7 / 7
追記:第六話に変更あり
・カレー港をダンケルク港に変更
・サンマリノ共和国とリヒテンシュタイン公国を追加。
・スロバキア共和国も追加


第七話『ようこそ、神聖なるブルグント国へ』

 『ノルドフランクライヒの港湾都市"ダンケルク"は、湿潤な空気に包まれていた。

季節外れの高温・湿潤・大雨。地は泥濘に侵され、大陸西岸とは思えない気候である。

 同年2月13日午後。同地の港湾に、"クワ・トイネ公国欧州使節団"を乗せた貨客船が接岸した。』

 「閣下、間もなくであります。」

「来たか…。」

 ボーディングブリッジ*1で待ち構える数十人の親衛隊員。

下船する欧州使節団の面々を出迎える為、ブルグント騎士団国の外務担当者()はカレー港の旅客ターミナルで到着を待っていたのである。

 「…それにしても酷い雨だ。」

降りしきる雨が屋根を酷く鳴らす。

…どんよりとした暗色の雲は、若干の不気味さを感じさせるであろう。

 

 『1955年2月14日。この日、ある外交団が初めてドイツの地を踏んだ。中世時代を思わせる装いの彼等(かれら)は、新たなドイツの友好国となった"クワ・トイネ公国"が派遣した使節()である。』

 

 …そして、彼等はボーディング・ブリッジより現れた。

「使節団の皆様。この度、騎士団国領内において皆様の案内役を努めさせて頂きます。私は親衛隊全国指導者個人幕僚部、外務及び広報担当官の"フォン・リッベントロップ"と申します。」

彼は右手を差し出す。

数秒の間の後、団長と思われる中世貴族風の男が歩み出る。

「フォン・リッベントロップ殿。私はムギイラ。

今度の欧州使節団の団長を努めております。この度は宜しくお願い致します。」

…そして遂に、両国代表は握手を交わす。

 

 カメラのフラッシュが輝く中、半ば困惑した表情を浮かべる使節団長に対し、フォン・リッベントロップはこう言った。

 

「ムギイラ殿。

ようこそ、この()()()()()()()()()()へ。」

 

 この日、クワ・トイネ公国の欧州使節団はブルグント騎士団国(親衛隊の巣窟)へ入国した。

 

 

 

 

…グレゴリオ暦1955年・中央暦1639年、2月13日。…

―――ダンケルク市内のホテルにて。―――

 

 「やれやれ、驚きの連続だ。(ようや)く落ち着けるわい。」

朝方にマイハーク港を出港し、9時間の船旅の後、ダンケルク市内のホテルで外相と会談。

ドイツ船での旅は快適であったが、少なからず疲労は貯まるのだ。

 「ハンキ様、まさか辺境にこの様な国家があるとは…思いもしませんでした。」

クワ・トイネ公国外務局の職員"ヤゴウ"は、同・陸軍局に属する軍人、"ハンキ"将軍に話しかけた。

「全くだ。…まあ、抑々(そもそも)この地は国家の存在せぬと言われた地。

…船も寄り付かぬし、我が国が認知出来なかったと言うのも当然やもしれぬな。」

元来、大陸東方は船舶の遭難が相次ぐ"喪失の海域"と呼ばれており、今まで数多の冒険者が新天地を求め旅立ったが…誰一人として帰還した者は居ない。

 「…さて…私は早めに寝る事とするよ。

明日は国家元首級との会談だ。」

 

 

 …そうして、ブルグント騎士団国での最初の一日が終った。

 

 

*1
(旅客船の乗り降りを行う橋)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。