Escape from Kivotos   作:からしすみそホタルイカ

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キャンプ行ってきました
寒かったです。


第11話

 

 

 

 

 

 

アヤネ…先生は?

 

輸血もしたし、止血もしました…けど、やっぱり意識が戻りません…

 

そんな…先生死んじゃうの?

 

 

んん…誰だ?人が寝ているってのにやかましい奴らだ

 

 

先生は死んだりしません!だって…ちゃんと手当てもして…脈だってちゃんと…

 

 

誰か分からんが、その通りだ!!俺は死なん!!

 

 

……とにかく、目が覚めたらすぐに呼んでね

 

ん…先生から目を離さないようにして

 

きっと分かってますよ、シロコちゃん

 

 

ん?シロ…コ…?

 

途端に、これまでの記憶が甦り、思考もハッキリしてきた

 

 

 

 

「ぶはぁ!!どうなった?!俺寝てたよな?!」

 

「先生……」

 

「おおアヤネ!偵察はご苦労だった!おかげで戦いを有利に進められたぞ」

 

「先生…分かってるんですか?自分が死にかけたって」

 

「ん?この通りピンピンしてるが」

 

ぎり、と歯が軋む音がした

 

「それは私が人口血液を輸血して、先生の身体に深々と突き刺さった銃弾を取り除いて止血処置と消毒を行ったからです!!」

 

アヤネが噛み付く様に捲し立てるのを聞き流し、礼を言う

 

「そうだったのか、そいつは世話になったな」

 

「先生はもう少しで死んでました、血圧は60を切りかけ、脈も弱くなっていくばかり、止血をして強心剤を投与する判断をしなければもうこの世にいなかったんですよ?」

 

「つまり命の恩人って訳か」

 

そう言うと、アヤネはなんだか不気味な笑顔を浮かべて黙った

 

「そうですね…"私が"先生の命の恩人ですね…」

 

「まぁ、そうなるな…」

 

話が終わろうというところでドアが開き、セリカ達が入ってくる

 

「先生…なんであんな無茶をしたの?先生は私達と違って弾食らったら死んじゃうんだよ?」

 

「大丈夫、俺はこの程度で死にはせん」

 

「現に死にかけたでしょ、そんな理屈聞きたくない」

 

「そうか…」

 

重苦しい空気が空き教室を満たし、呼吸のテンポが少し早くなる

 

「…とにかく、先生は助かった」

 

「そうですね〜☆ちゃ〜んと自分が誰のおかげで命を救われたのかも理解していそうですし♡」

 

あれ…ノノミってこんなに暗い眼をしていたか?

 

 

 

 

 

少し前…

 

 

先生は死なせない、死なせたくない、この人は私達の希望、ホシノ先輩を取り戻してくれる唯一の人、私達の唯一の味方

 

「先生…お願いですから…しっかりして…」

 

先生がくれた【戦場でよく見る傷に対する処置の仕方マニュアル】を読み、先生が持っていた医療キットで処置を施す

 

「血が全然足りない…セリカちゃんまだ?!」

 

「あった!今解凍してる!!」

 

冷凍庫に保管してあった人口血液のパックを使って輸血し、様子を見る

 

「全然血圧が戻らない…どうしよう…」

 

そこで思いついたのが薄めた強心剤を投与する事だった

 

「上手くいって…!!」

 

結果的にこれが幸をなし、先生は助かった

 

「先生…もう二度と誰にも傷つけさせませんから」

 

 

そして時は戻って…

 

 

 

「おい…なんで俺閉じ込められてるんだ」

 

扉の向こうから聞こえる声は同じ言葉しか話さない

 

「先生への罰だから」

 

俺罰される様なことしたかなぁ…

 

「腹減ったんだけど何か食べるものないか?」

 

「先生は腸を縫ってる、今はあまり食べない方がいい」

 

「だからって点滴はないだろ…」

 

俺は食って、腹一杯になって栄養をとるのがいいの!!それしかない時以外カロ○ーメ○トとか点滴じゃ駄目なんだよ!

 

「ん、二度と前線に立たないって約束するならカップ麺を内緒であげる」

 

「なぬ?!約束しようかな…」

 

しかしこの時の俺はやけに勘が鋭く、お湯が無いことに気づいた

 

「おい、カップ麺があってもお湯が無いんじゃ意味がないじゃんね」

 

「………」

 

「なぁシロコ、お前が運んできてくれたんだろ?ノノミと一緒に」

 

「関係ない」

 

「なんだよ、俺の事そんなに嫌いか?まぁそうだよな、こんなデカいだけの役たたずなんか…」

 

そう言い放った直後、バァンッ!!という音と共にドアがひしゃげた

 

「適当なこと言わないで先生、次に私の好きな人の悪口言ったら歩けなくするから」

 

「おお」*1

 

この時、俺の脳は6割がカップ麺、3割がホシノ、残りの1割をBEARの隊員で埋め尽くされていたのでその言葉の真意に気づくことは無かった

 

「カップ麺が無理なら…」

 

リュックを漁り、何か無いかを確かめる

 

「イスクラもなし…あっ、パンがある」

 

試しに食えるかどうかコンコンと叩いてみるが、何故か石のように硬い

 

「……?」

 

机に向かって思い切り叩きつけてみると、なんと天板が割れてしまった

 

「まるでレンガだな…スープがないと食えん」

 

あいつら…これがパンじゃなくて鈍器だと思ったのか?

 

「しかし俺の執念を甘く見てもらっちゃあ困る!!」

 

レンガパンに齧り付き、唾液でふやかそうと躍起になる

 

「ぐぬぬぬぬぬ…ガルルルルル」

 

四苦八苦していると、ようやく噛みちぎる事ができた

 

「うーん大地と穀物の香り」

 

ライ麦パンではあるが、いつしか食べた日本のパンの様な柔らかさや甘みは無い

 

「はぁ…パンだけってのもなぁ…せめて何か缶詰でもあれば」

 

ん?そういえばここって何階だ?

 

立ち上がって窓を開けると冬の風が吹き抜け、体感温度がぐっと下がる

 

「3階か…」

 

ロープも金具もない…だがカーテンはある

 

 

 

 

 

 

「先生?点滴の時間ですよ?」

 

扉を開けるが、そこに先生の姿は無い

 

「……逃げられましたか」

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ〜腹減った…大将がラーメン屋台始めたらしいからそれ見つけるか…」

 

にしたってちょっと怪我したくらいで過保護になりやがって…飯くらい好きに食わせろっての

 

「まったく…まぁ仕方あるまい、女の話ってチョーウゼーし!」

 

武装は例のスタンナイフのみ、銃火器は無し

 

「最近掃除したとはいえ、チンピラ共が彷徨いてたら終わるな…」

 

しばらく街を徘徊し、屋台らしきものが無いかを探し回る

 

「うーん無いな…一体どうしたもんか」

 

財布はあるが店が無いんじゃどうしようも無いな…

 

「はぁぁ…ここまで来て骨折り損か」

 

まだ日は高い…通信機器は無いがなんとかあいつらに見つけてもらえば…!

 

「ん?あれ、シッテムの箱って何処やったっけ?」

 

嗚呼そういえばアロナがシールドを張ってくれるとか言ってたが胡散臭かったから置いてったんだっけ…

 

「なんか記憶がボヤけるな…貧血の症状じゃない」

 

頭を打ったからか…?まぁいいか

 

「なんか使えそうな物は…」

 

持ってる物はスタンナイフ、IRレーザー、フラッシュライト、包帯か…

 

「フラッシュライトで位置を知らせるのもありだな…」

 

だが今はまだまだ日が高い…となると、偵察ドローンにレーザーで見つけてもらうしかないな

 

「発煙筒があれば良かったんだが、アヤネに真っ先に気づかれるしな…最悪周辺のチンピラを寄せ付けかねない」

 

ここはタルコフ市じゃない、一人一人がちゃんとした銃を持ってる…

 

「レーザー起動…気づいてくれよ」

 

レーザーを上に向け、円を描くように3回まわして反対方向にも3回まわすを繰り返す

 

「………おっ?」

 

しばらくすると上空に赤灯信号が打ち上がった

 

「よし…ちゃんと授業を聞いてたやつが居たみたいだな」

 

数分してヘリがやってきたが、ヘリを見上げると同時に嫌な物まで見る羽目になった

 

「アヤネのドローンか…」

 

輸送へリを送ってきてくれたのはいいが、これではドローンを撃墜できない…

 

「おい!銃は?!」

 

「どうしたんですか?そんなに血相変えて」

 

「いいから貸してくれ!!」

 

「はぁ…どうぞ」

 

不思議そうに見つめる隊員をよそにアイアンサイトを覗き込んで牽制として10発ほど撃つ

 

「敵襲ですか?」

 

「偵察さ」

 

心配せんでも今夜の晩餐が終われば戻ってくるさ

 

「やるべき事はまだまだ残ってるからな」

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、乾杯!」

 

「いよっしゃー!」

 

「初任務ご苦労だったな…俺も鼻が高いってもんだ」

 

それぞれチーム毎にグループを作って絆を深めている…いい傾向だな

 

「今回の戦闘結果から、アルファチームに推薦するのは…」

 

「チャーリーっすか?」

 

「エコーかな?」

 

「デルタチームだ」

 

「え?私達ですか?」

 

「えぇ〜!!どうして?!」

 

エコーのチームリーダーが何かボヤいているが気にしないでおこう

 

「言っただろ、戦闘記録を見た…特殊部隊と言うだけあって部隊員への適切な指示と一瞬の判断、戦略的センスが必要になるんだ、デルタチームはそれを満たしている…なんだ、難易度の高い任務がしたかったのか?」

 

「だってアルファチームになれば給与特待があるって聞いたから頑張ったのに!」

 

「知らねーよ、そんなの」

 

「ひどっ!!」

 

すすり泣く声を聞き流し、本題に入る

 

「では本題だ、次のカイザー基地奇襲作戦についてだな」

 

「あっ…」

 

今までわいわい騒いでいた連中も静まり返り、俺の次の言葉を待っている

 

「単刀直入に言う、全部隊を投入する事はない」

 

「では…」

 

「察しの通り、アルファチームの出番だ」

 

作戦の概要を大雑把に話し、宴会をお開きにする

 

「もう一度言っておこう、俺は使い道のないカスを手元に置いておく様な器は持ち合わせていない、使えなければ捨てる…それは敵にも同じことが言える」

 

「つまり、敵も利用すると?」

 

「そうだ、お前たちは捨てられる様な醜態は晒すなよ?まぁ俺の部下だし大丈夫だろうがな」

 

おっと、こんな時間か…そろそろ高校に荷物を取りに行かないとな

 

「ヘリを一機寄越してくれ」

*1
何がおおだよバカ




マジで金がない、どうしようコーナンと掛け持ちしようかな

カイザー基地攻略戦の時間帯

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