Fate/Cradle   作:味噌そぼろ

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 ライダーを召喚したリリアンだが、聖杯戦争に向けて準備があると言って自室へ向かってしまった。
 彼女の準備を待つライダーだが……。


プロファイリング②——リリアン・フィンレイについて——

 「これが吸血鬼の心臓で、こっちはヒドラの卵で……」

 「……ホントにいたんだな、そんな生物」

 

 ライダーはローウェンに屋敷の内部を案内されていた。今は研究対象の倉庫を案内されている。

 

 「貴方にとっては専門外ですか?」

 「流石に神話上、伝説上の生物は俺の専門外だ。実際に目で見て研究することなんか出来ないからだ」

 

 ライダーは生前、生物の進化について研究を行っていた。

 亀の甲羅や鳥のくちばしなど、対象となる生物やその特徴は多岐に渡ったが、流石に神話上の生物を実際に目で見て研究することは出来ない。

 

 「そんな生物が実在したんじゃ、俺もお払い箱か……?」

 「いいえ、これらは神代の生物です。それ以降の生物については、科学者の領域でしょう」

 「なら、良いんだが……」

 

 ライダーにとってはそれなりに堪える内容だった。まさか自身の知る以前の、遥か昔の時代の生物、その痕跡が現代まで残っているとは。

 

 「それに、魔獣や神獣と動物や植物では、まったく別のモノでしょう」

 「まぁ、それもそうか」

 

 あくまで、時代も出自も別物――――ライダーとローウェンはそう結論付けた。

 

 「そういえば、リリィはどうでしたか?」

 「リリィ?」

 「あー……貴方のマスターです」

 「あぁ、マスターか。……どう、っていうのは?」

 「……マスターとして、どうですか?」

 

 ローウェンは心配そうにライダーを見ていた。

 

 「……アイツは、聖杯戦争に関して、まだ覚悟が出来ていない感じだったな。俺を呼び出すときの触媒についてほとんどわかっていなかったし、怯えているようにも見えた」

 「そうですか……」

 

 その後、しばらく気まずい沈黙が続いた。

 倉庫にあるモノは見終えてしまったし、話題を切り出そうにも、浮かぶ話題は専門的過ぎて会話には不向きだろう。

 ――――ふと、ライダーは思った。

 

 (そういえば俺、まだマスターとはほとんど話してなかったな)

 

 自身のマスターよりもその叔父と話している時間が長いのは、どうにもおかしい気がする。

 今後の為にも、マスターとはもっと深くコミュニケーションを取っておくべきだろう。

 

 「案内ありがとな、ローウェン。俺、マスターのところに行くわ」

 「えぇ、お構いなく……」

 

 ローウェンと別れたライダーは霊体化し、マスターの元へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 ――――撃ち抜く。

 時計塔で自分を邪険に扱ったもの。

 ――――撃ち抜く。

 時計塔で自分を無視したもの。

 ――――撃ち抜く。

 時計塔で自分を落ちこぼれと決めつける講師を。

 

 ――――撃ち抜く。撃ち抜く。撃ち抜く――――

 

 ――――リ――――

 撃ち抜く。撃ち抜く。撃ち抜く。――――

 ――――リリィ!

 

 「え、あ……なに?」

 「お、おい……大丈夫か?」

 

 

 ライダーが来た時、リリアンはテレビの前で座り込んでいた――――ように見えた。

 

 「ご、ごめん、ちょっとゲームしてただけ」

 

 テレビ画面は一人称シューティング(FPS)ゲームのリザルト画面を写していた。

 

 「楽しいのか?」

 「うん……今日は調子が悪くて、33キル5デスだったけど」

 

 リザルトから察するに、100ポイント先取のチームデスマッチらしい。

 自軍側スコアボードの一番上だけ色が違う。リリアンのスコアだろうか。

 

 「……一番ってだけじゃ、納得いかないか?」

 「普段より倒せなかったし、逆に倒されちゃったから」

 

 リリアンは再戦をキャンセルし、ゲームの電源を落とした。

 

 「……そういえば、いつからいたの?」

 「い、いや、さっき来たところだ。気にすんなよ」

 

 本当はゲーム開始時点では既に部屋に入っていた。1マッチ話しかけても、終了まで応答は無かったのだ。

 

 「なぁ、リリィ、準備の方は、もう出来たのか?」

 「準備……そ、それより! その呼び方――――」

 「ローウェンのが移ったみてぇだな。嫌だったか?」

 「ううん、嫌じゃないよ」

 

 そう言いつつも、表情はどこか暗かった。

 

 「なぁ、リリィ、1ついいか?」

 「な、なに……?」

 

 ライダーは真剣な表情だった。

 

 「聖杯を何に使う? 魔術師(マスター)になったんなら、それなりの願望ってやつがあるはずだ」

 

 聖杯はごく一部の例外を除き、聖杯に(あるいは聖杯戦争に)かけるだけの願望を持っている者から魔術師(マスター)を選出し、令呪を授ける。

 裏を返せば、令呪を授かり魔術師(マスター)となったリリアンには、それ相応の願望があるはずである。

 

 「私は……」

 

 リリアンはうしろめたそうに俯いた。

 

 「……聖杯戦争に参加すれば、自分を変えられるかも知れない……って……」

 

 元々、聖杯戦争に参加したくてフランスに来たわけではない。しかし、そのことがライダーに知られたら関係に亀裂が入ってしまうかも知れない。

 当然、リリアンの言っていることに嘘はない。ライダーも、マスターの言葉を信じているようで、特に怪しんでいる様子は無かった。

 

 「そうか……」

 「ど、どうかしたの?」

 

 ライダーはリリアンの目を見据えた。

 

 「お前、戦う覚悟はあるのか?」

 「覚悟……?」

 「そうだ。俺を呼んだあの部屋で話したよな? 『準備をする』って……」

 

 ライダーは視線をモニターに移した。

 

 「アレは戦いに行く前の、いわば最後の一服みたいなもんだと思っていたが……さっき俺が準備が終わったか聞いた時、露骨に嫌がっていただろ? だから、本当にこれから戦う覚悟があるのか、ここで確認しておきたい」

 

 ライダーは視線を再びリリアンに向け、再度問いかけた。

 

 「本当に戦う気があるのか、もう一度確認しておきたい。……覚悟は、出来てるのか?」

 

 ライダーの眼差しに思わずたじろぐリリアン。彼女は正直に言うべきかウソをつくべきか、咄嗟に結論が出せなかった。

 迷っていると、部屋の窓をたたく音がした。

 

 「ん? なんだこれ?」

 「伝書鳩だ……」

 

 鳩から手紙を受け取ったリリアンは差出人を見て驚いた。

 

 「これ……聖堂教会からだ」

 




マスタープロフィール

名前:リリアン・フィンレイ
英霊(サーヴァント):ライダー
身長/体重:160cm/52kg
年齢:19
血液型:A
属性:火


魔力
量:B/質:D 名家の生まれだが、質を高めるには鍛錬が必要。

人物
・褐色肌に黒い長髪を持つ女性。
 世代としてはフィンレイ一族の七代目に当たるが、跡取りは彼女の兄と決まっている。
 正義感が強いのか、不正を許せない一面がある。少々行き過ぎているためか周囲と中々馴染めていない。争いごとにも消極的で、他者に対し強く出ることが苦手である。
 代々時計塔に関わりがあるためか、その卒業生に知り合いがいる。

参戦の動機
・彼女自身は突発的に令呪を授かったに過ぎない。しかし、彼女はこれを自身を変えるきっかけであると捉えたようだ。

聖杯への願い
・彼女が聖杯に託す願いは今のところは存在しない。フランスに来たのは、元々は自分の心身の休養が目的である。
 
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