吹き荒れる強風がろうそくの火を吹き消した。
部屋の塵や埃を巻き上げ、視界が悪くなる。
反射的に身構える阿津部。
(どんなヤツだ? 上手くやっていけるか?)
一抹の不安を胸に抱くが、一度召喚した以上はその
もっとも、
巻き上げられた埃が晴れていき、召喚した
「――――問おう」
その
清廉な印象を受ける、何処か花弁を想起させる衣装と出で立ちだ。青色の帽子には、様々な装飾が施されている。
阿津部の返答より先に、立ち上がり、顔が見えるように帽子を上げる。
「君が、私の
阿津部よりも小柄だが、その存在感はかなり強大なものだった。やはり
「俺の名は
「これで契約は成立だね。よろしく、
契約の成立と共に、
軒並Bランク以上……悪くない。十分優秀な能力だ。
ステータスが土地や
しかし、阿津部にとって不可解なものがあった。
(性別――――『不明』?)
人間は有性生殖により子孫を残す生物であり、性別は雌雄に区別される。
それが『不明』。すなわち、阿津部の召喚した
「聞くがお前――――マリー・アントワネットじゃないのか?」
そう、
だが、
「まさか、私は彼女に仕えていただけだよ」
どうやら、本当に阿津部の想像とは異なる
しかし、彼女にゆかりのある
マリーアントワネットに仕え、かつ性別が『不明』……。
「なら、お前は――――」
阿津部が問いかけると、
そして、自身の
「私の真名はシュヴァリエ・デオン。フランス王家に忠誠をささげた、白百合の騎士!
「シュヴァリエ……デオン」
阿津部の記憶の片隅にその名があった。
文武両道にしてスパイでもあり、半生を男性、半生を女性として生きた
まさか自分が喚ぶことになるとは。
「……どうかしたかい?
「ん? ……あぁ、いや、何でもない。……俺の剣になる、といったな。ならば俺は盾になろう。背中は任せてくれ。防衛には自信がある……これからよろしくな、セイバー」
「あぁ、よろしく」
阿津部と
「お疲れ、憲政君。それで、そっちが――――」
「
見知らぬ人間、それも(雰囲気から察するに)魔術師を前に、サーベルを抜くセイバー。
斎藤は両手を上げ、やや焦ったように自己紹介する。
「わぁ! 待った待った! 僕はキミの
敵と勘違いしたためか、斎藤の態度に拍子抜けしたようなセイバー。
思わず阿津部の方を見る。
「心配いらん。この人は
その言葉を聞き、セイバーはサーベルを収めた。
「これは……失礼した。そうとも知らず」
「……気にしないでよ、聖杯戦争だもんねぇ。ちょっと、怖かったけど……」
ほっと胸をなでおろした斎藤は自動車の扉を開けると、二人に乗るように促した。
「乗ってよ。多分ここは主戦場になる。少し離れたところに経典を用意したんだ」
「……支部に向かうんじゃだめか?」
「それも良いけど、
「……なるほど」
話を聞いて乗り込む阿津部。
セイバーは首をかしげていた。
「支部? 拠点?
阿津部は少し考えると、一度車から降り、セイバーに近づいた。
「それについては、話すと少し長くなる。車内で話そう」
「……了解」
セイバーが承諾すると、阿津部はセイバーに道を譲った。
「
「お前が先に乗れよ。……さっきは悪かったな。勝手に俺だけ先に乗ってしまった」
「あ、ありがとう……」
少々ぎこちない風のセイバー。
二人が車に乗り込むのを確認すると、斎藤が運転席に座った。
「それじゃ、シートベルト締めてねー」
三人を乗せた車が、拠点を目指し出した。
サーヴァントステータス
※マスター等の違いから、FGOのものとは違う部分があります。
クラス:セイバー
マスター:阿津部憲政
真名:シュヴァリエ・デオン
属性:中立・中庸
身長/体重:158㎝/45㎏(外見より推定)
筋力:A・耐久:A・敏捷:B・魔力:C・幸運:A・宝具:C
・クラススキル
・騎乗:B
現代の乗り物であるならば十二分に乗りこなせる。ただし、幻獣等の種族は乗りこなせない。
・対魔力:C
魔術に対する耐性・防御力。
Cランクであれば、二節以下の詠唱による魔術程度は無効化できる。
・保有スキル
・心眼(真):C
修行や鍛錬により培われる洞察力。いかなる逆境からでも活路を見出す戦闘論理。
スパイでもあった彼(彼女)は、その経験からこのスキルを有している。
そう、セイバーは――――“可愛いだけではない”のである。
・自己暗示:A
自身への強力な暗示。魔術や宝具等による精神干渉をシャットアウト出来る。
その暗示は自身の肉体にまで作用し、時に男、時に女といった性別、肉体の変化から、身体強化やある程度の治癒に至るまで可能とする。
・麗しの風貌:C+
固有スキル。
性別を問わず惹きつける美しさを雰囲気で有する。
男女を問わず、交渉時の判定にプラス補正。
特定の性別を対象とするスキル等も無効化する。
出身地で召喚されたためか、あるいは美しさに磨きがかかったためか、本来よりも補正が上昇している。
・諜報:C-
存在としての気配ではなく、敵
出身地で召喚されたためか、スパイとしての側面も発現したようだ。
麗しの風貌と相まって、敵地での単独潜入任務程度は問題なくこなせる。
ただし、発動させるためにはサーベルを装備から外していなければならず、スキルの発動中は幸運、魔力、宝具を除くステータスが2ランクダウンし、騎乗スキルの喪失や宝具使用不可等のデメリットを背負う。
・宝具
・
・ランク:C/対人宝具/最大補足:一人/レンジ:1~2/最大補足:一人
人々を惑わせ、しかし己の任務を遂行したセイバーの生きざま、及びその剣技が宝具となったもの。
舞い散る白百合の花びらと剣捌きで惑わせ、必殺の剣技をお見舞いする。
ダメージと幻惑の二段判定。幻惑によるパラメータ低下はしばらく持続する。
魔力よりもセイバーの剣技に拠る宝具のため魔力消費は少ない。
・
・ランク:B+/対軍宝具/レンジ:1~30/最大補足:50
人々を惑わせながらも自らの目的を遂行させたセイバー、その生きざまの真骨頂。
フランス王家の象徴たる白百合の紋章を召喚する。
物理的なダメージは無いが、敵陣のパラメータを低下させ、さらに幸運判定に失敗すれば1ターン行動不能に陥る。
パラメータの低下は宝具にまで影響し、低下の幅は最大3ランクに及ぶ。
出生地での召喚であるため、ランクが向上し、効果が上昇している。
外見は第二再臨を想定しています。
次回は、マスターである
よろしくお願いします。