Fate/Cradle   作:味噌そぼろ

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 英霊(サーヴァント)を召喚した魔術師(マスター)達は各々、自身の召喚した英霊(サーヴァント)との交流を開始していた。

 魔術師(マスター)の一人、阿津部(あつべ)憲政(のりまさ)もまた、召喚を終えていた――――。


英霊(サーヴァント)魔術師(マスター)①――阿津部憲政とセイバー――

 吹き荒れる強風がろうそくの火を吹き消した。

 部屋の塵や埃を巻き上げ、視界が悪くなる。

 反射的に身構える阿津部。

 

 (どんなヤツだ? 上手くやっていけるか?)

 

 一抹の不安を胸に抱くが、一度召喚した以上はその英霊(サーヴァント)とやっていく他無い。

 もっとも、会長(コード)の用意した触媒から察するに、召喚される英霊(サーヴァント)は一騎に絞られるだろうが……。

 巻き上げられた埃が晴れていき、召喚した英霊(サーヴァント)の姿が露になる。

 

 「――――問おう」

 

 その英霊(サーヴァント)は片膝を着き、静かに問いかける。

 清廉な印象を受ける、何処か花弁を想起させる衣装と出で立ちだ。青色の帽子には、様々な装飾が施されている。

 阿津部の返答より先に、立ち上がり、顔が見えるように帽子を上げる。

 

 「君が、私のご主人様(マスター)かい?」

 

 阿津部よりも小柄だが、その存在感はかなり強大なものだった。やはり英霊(サーヴァント)ということか。

 

 「俺の名は阿津部(あつべ)憲政(のりまさ)。同家三代目当主であり、お前のマスターだ」

 「これで契約は成立だね。よろしく、ご主人様(マスター)

 

 契約の成立と共に、英霊(サーヴァント)のステータスが脳内に流れてくる。

 軒並Bランク以上……悪くない。十分優秀な能力だ。

 ステータスが土地や魔術師(マスター)にも影響を受けることは資料に書いてあった。優秀なステータスということは、やはりフランスに縁深く……同時に、阿津部本人の魔術師としての質が高いということでもある。

 しかし、阿津部にとって不可解なものがあった。

 

 (性別――――『不明』?)

 

 人間は有性生殖により子孫を残す生物であり、性別は雌雄に区別される。

 それが『不明』。すなわち、阿津部の召喚した英霊(サーヴァント)は、彼の想像するモノではなかったということだ。

 

 「聞くがお前――――マリー・アントワネットじゃないのか?」

 

 そう、会長(コード)が彼に渡した触媒は『王妃が仕立てさせたドレス』。阿津部がいる場所がフランスであるなら、そう考えるのは必然である。

 だが、英霊(サーヴァント)は即座に否定した。

 

 「まさか、私は彼女に仕えていただけだよ」

 

 どうやら、本当に阿津部の想像とは異なる英霊(サーヴァント)らしい。

 しかし、彼女にゆかりのある英霊(サーヴァント)にはくぁりないらしい。

 マリーアントワネットに仕え、かつ性別が『不明』……。

 

 「なら、お前は――――」

 

 阿津部が問いかけると、英霊(サーヴァント)はサーベルを抜き、デモンストレーションと言わんばかりに、その場で美しく舞って見せた。

 そして、自身の魔術師(マスター)に高らかに宣言する。

 

 「私の真名はシュヴァリエ・デオン。フランス王家に忠誠をささげた、白百合の騎士! (クラス)騎士(セイバー)。その名に違わぬよう、君の剣となり戦うことを誓うよ」

 「シュヴァリエ……デオン」

 

 阿津部の記憶の片隅にその名があった。

 文武両道にしてスパイでもあり、半生を男性、半生を女性として生きた騎士(シュヴァリエ)の称号を持つその存在……。フランスでの聖杯戦争、そこに喚ばれる可能性のある存在を調べていた時にその名を知った。

 まさか自分が喚ぶことになるとは。

 

 「……どうかしたかい? ご主人様(マスター)

 「ん? ……あぁ、いや、何でもない。……俺の剣になる、といったな。ならば俺は盾になろう。背中は任せてくれ。防衛には自信がある……これからよろしくな、セイバー」

 「あぁ、よろしく」

 

 阿津部と英霊(サーヴァント)……セイバーは握手を交わした。

 

 

 

 

 

 証拠隠滅(あとしまつ)を終え小屋から出ると、斎藤が出迎えた。

 

 「お疲れ、憲政君。それで、そっちが――――」

 「ご主人様(マスター)、下がって」

 

 見知らぬ人間、それも(雰囲気から察するに)魔術師を前に、サーベルを抜くセイバー。

 斎藤は両手を上げ、やや焦ったように自己紹介する。

 

 「わぁ! 待った待った! 僕はキミの魔術師(マスター)の仲間だよ!」

 

 敵と勘違いしたためか、斎藤の態度に拍子抜けしたようなセイバー。

 思わず阿津部の方を見る。

 

 「心配いらん。この人は斎藤(さいとう)(りょう)。信頼できる人間だ」

 

 その言葉を聞き、セイバーはサーベルを収めた。

 

 「これは……失礼した。そうとも知らず」

 「……気にしないでよ、聖杯戦争だもんねぇ。ちょっと、怖かったけど……」

 

 ほっと胸をなでおろした斎藤は自動車の扉を開けると、二人に乗るように促した。

 

 「乗ってよ。多分ここは主戦場になる。少し離れたところに経典を用意したんだ」

 「……支部に向かうんじゃだめか?」

 「それも良いけど、魔術師(マスター)の拠点ってバレるとそこも襲撃されるリスクがある。聖杯の降臨地でもあるわけだし、そういうリスクは低いほうが良い」

 「……なるほど」

 

 話を聞いて乗り込む阿津部。

 セイバーは首をかしげていた。

 

 「支部? 拠点? ご主人様(マスター)、貴方は一体……?」

 

 阿津部は少し考えると、一度車から降り、セイバーに近づいた。

 

 「それについては、話すと少し長くなる。車内で話そう」

 「……了解」

 

 セイバーが承諾すると、阿津部はセイバーに道を譲った。

 

 「ご主人様(マスター)?」

 「お前が先に乗れよ。……さっきは悪かったな。勝手に俺だけ先に乗ってしまった」

 「あ、ありがとう……」

 

 少々ぎこちない風のセイバー。

 二人が車に乗り込むのを確認すると、斎藤が運転席に座った。

 

 「それじゃ、シートベルト締めてねー」

 

 三人を乗せた車が、拠点を目指し出した。




サーヴァントステータス
※マスター等の違いから、FGOのものとは違う部分があります。

クラス:セイバー
マスター:阿津部憲政
真名:シュヴァリエ・デオン
属性:中立・中庸
身長/体重:158㎝/45㎏(外見より推定)
筋力:A・耐久:A・敏捷:B・魔力:C・幸運:A・宝具:C
・クラススキル
・騎乗:B
現代の乗り物であるならば十二分に乗りこなせる。ただし、幻獣等の種族は乗りこなせない。

・対魔力:C
魔術に対する耐性・防御力。
Cランクであれば、二節以下の詠唱による魔術程度は無効化できる。

・保有スキル
・心眼(真):C
修行や鍛錬により培われる洞察力。いかなる逆境からでも活路を見出す戦闘論理。
スパイでもあった彼(彼女)は、その経験からこのスキルを有している。
そう、セイバーは――――“可愛いだけではない”のである。

・自己暗示:A
自身への強力な暗示。魔術や宝具等による精神干渉をシャットアウト出来る。
その暗示は自身の肉体にまで作用し、時に男、時に女といった性別、肉体の変化から、身体強化やある程度の治癒に至るまで可能とする。

・麗しの風貌:C+
固有スキル。
性別を問わず惹きつける美しさを雰囲気で有する。
男女を問わず、交渉時の判定にプラス補正。
特定の性別を対象とするスキル等も無効化する。
出身地で召喚されたためか、あるいは美しさに磨きがかかったためか、本来よりも補正が上昇している。

・諜報:C-
存在としての気配ではなく、敵英霊(サーヴァント)としての気配を絶つ。
出身地で召喚されたためか、スパイとしての側面も発現したようだ。
麗しの風貌と相まって、敵地での単独潜入任務程度は問題なくこなせる。
ただし、発動させるためにはサーベルを装備から外していなければならず、スキルの発動中は幸運、魔力、宝具を除くステータスが2ランクダウンし、騎乗スキルの喪失や宝具使用不可等のデメリットを背負う。

・宝具
百合の花散る剣の舞踏(フルール・ド・リス)
・ランク:C/対人宝具/最大補足:一人/レンジ:1~2/最大補足:一人
人々を惑わせ、しかし己の任務を遂行したセイバーの生きざま、及びその剣技が宝具となったもの。
舞い散る白百合の花びらと剣捌きで惑わせ、必殺の剣技をお見舞いする。
ダメージと幻惑の二段判定。幻惑によるパラメータ低下はしばらく持続する。
魔力よりもセイバーの剣技に拠る宝具のため魔力消費は少ない。

百合の花咲く豪華絢爛(フルール・ド・リス)
・ランク:B+/対軍宝具/レンジ:1~30/最大補足:50
人々を惑わせながらも自らの目的を遂行させたセイバー、その生きざまの真骨頂。
フランス王家の象徴たる白百合の紋章を召喚する。
物理的なダメージは無いが、敵陣のパラメータを低下させ、さらに幸運判定に失敗すれば1ターン行動不能に陥る。
パラメータの低下は宝具にまで影響し、低下の幅は最大3ランクに及ぶ。
出生地での召喚であるため、ランクが向上し、効果が上昇している。


 外見は第二再臨を想定しています。
 次回は、マスターである阿津部(あつべ)憲政(のりまさ)についてのお話の予定です。
 よろしくお願いします。
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