【のびのびTRPG リプレイ】ファントムバニーは2度笑う! 作:羽園頼也
静 「ワット様」
ワット「(書類にサインしながら)………どうした。俺は忙しい、手短に頼むぞ」
静 「はい。ルレーブ王国には、コシアン・ルーレットを行うという奇祭があるとわかりました」
ワット「………………ほぅ、で?」
静 「はい、
ワット「………………………(顔を上げて)………………何だって?」
静 「コシアン・ルーレットを行うため、あんぱんを準備いたしました」
ワット「………………………………………頭のネジでも外れたかね?ん?」
香 「お姉様、アラン様を連れて参りました」
静 「ご苦労様です、
アラン「ほーぅほぅほぅ、これはこーれは、何が始まるんですかねぇ?」
静 「コシアン・ルーレットです」
アラン「コシ………………何と言いましたかねぇ?」
静 「コシアン・ルーレットです」
アラン「………………"コシアン・ルーレット"、ですかぁ?」
香 「アラン様。コシアン・ルーレットとは、ルレーブ王国における奇祭『ルレーブ秋の餡まつり』において、クライマックス時に行われる祭事行為のことです。
検索によると、ルレーブ王国において毎年秋に行われるこの祭りは、こしあんとつぶあん、それぞれのあんぱんをよく混ぜ、
祭司が選んだあんぱんがどちらになるかによってその年の吉凶を占うということが文献に記されております」
アラン「………………出典は?」
香 「民明書房および古事記という書物に記載がございます」
アラン「………………ほーぅほぅほぅ、文献があるのならば、あながち嘘でもないのでしょう」
静 「(無表情で黙っている)」
ワット「くっくっく………アラン、君も巻き込まれたクチか」
アラン「ほーぅほぅほぅ、おや、ワット様もおられたのですかぁ?」
ワット「ああ、静がこの正気の沙汰ではないイベントを、どーーしてもやりたいと言い出してな」
静 「別にそこまででは」
ワット「部下の願いを最大限叶えてやるのは上司の役目だろう?ん?」
静 「別にそこまででは」
アラン「ほーぅほぅほぅ、素晴らしい、素晴らしいお考えですねぇ、ワット様!」
ワット「くっくっく、そうだろう、そうだろうとも」
香 「良かったですね、お姉様」
静 「別にそこまででは」
香 「お姉様、こちらの準備は完了いたしました」
静 「………わかりました。ありがとう
ワット「さて、我々は何をすれば良いのかね?ん?」
静 「現在、ここに4つのあんぱんがあります。そのうち、1つはつぶあん、残り3つはこしあんとなっております」
アラン「ほーぅほぅほぅ、つまりはつぶあんを選んだら負けということですねぇ?」
静 「いえ、こしあんを選んだら負けとなっております」
アラン「………………ほぅ?」
ワット「はぁ(ため息)………ならば、つぶあんを選んだ1人が勝ちとかいうやつだろう。くっくっく………………くだらん」
香 「その通りです、ワット様。さすが、洞察力が高いですね」
ワット「………………………」
静 「それでは、ワット様、アラン様、共にコシアン・ルーレットにご参加いただけるとの回答で宜しかったでしょうか?」
ワット「………くっくっく、どうせ茶番だ。少しくらいは付き合ってやろうではないか」
アラン「ほーぅほぅほぅ、了解ですよぉ!ワット様には悪いですがぁ、今回はワタクシが勝たせていただきますよぉ!」
ワット「くっくっく、俺のヒキの強さを知らないとでも?ん?」
静 「ありがとうございます。なお、こしあんにはタバスコを入れました」
ワット「………………………………すまないね、ちゃんと聞き取れなかったようだ。もう一度言ってもらえるかね?ん?」
静 「こしあんにはタバスコを入れました」
ワット「………………やはり聞き取れなかったようだ。もう一度、改めて、間違いのないように、はっきりと、言ってもらえるかね?ん?」
香 「何度聞かれても同じ回答になりますが、お姉様、お願いします」
静 「こしあんにはタバスコを入れました」
アラン「な、な、な、なんですとぉーーー!?」
ワット「………………答えたまえ。なぜそんなことを?ん?」
静 「スリルをお楽しみください」
香 「のと事です」
アラン「ほーぅほぅほぅ、こーれはこれは、いきなり恐ろしい茶番になりましたねぇ!」
ワット「………これが終わったら、改修が必要なようだな、静」
静 「いえ、問題ございません」
ワット「異常者はほぼ、自分のことを"問題ない"と言うのだよ………」
静 「それでは、あんぱんをお選びください」
ワット「それ以前に、静、
アラン「ほーぅほぅほぅ、そうですよぉ!ワタクシたちは辛いのを我慢して、静たちは何ともない、不公平ではなぁいですかぁ!?」
香 「そんなこともあろうかと、ワタシたちの代理の者を呼びました」
ワット「代理だと?」
悪党「なんだオラァ!俺様をこんな所に呼んで何をさせる気だオラァ!(連れてこられる)」
運転手「あ、わ、え、あ、その、えっ、えっ、ななな、なんですか?ううう、訴えますよ!(連れてこられる)」
ワット「………………なんだコイツらは」
静 「あんこ食べ隊の者です」
ワット「あんこ食べ隊。」
静 「はい。あんこ食べ隊です」
香 「味の分からないワタシたちの代わりに、あんぱんを食べてもらいます」
ワット「………………………………はぁーーー………………(深いため息をついている)」
悪党「あんぱんだとオラァ!食っていいのかオラァ!」
アラン「ほーぅほぅほぅ、いいですよぉ、ここにあるでしょう、好きなだけ食べなさぁい!」
悪党「へっへっへ、いただくぜオラァ!(1つ取ってガブリ)………………ぐわぁぁぁ!!」
香 「コシアン・ルーレット、1名脱落。残り3名です」
静 「死亡確認………」
運転手「ひ、ひぃっ!ななな、なんなんですか!ただのあんぱんじゃないんですか!」
ワット「………………タバスコ入り、と言うのはあながち嘘ではなかったようだな」
運転手「どどどど、毒入りじゃないですかぁ!」
アラン「ほーぅほぅほぅ、タバスコは毒ではありませんねぇ。死ぬことはないと思いますよぉ!」
悪党「………………………(ビクン!ビクン!)」
ワット「どう見ても致死量を食ってるがな」
アラン「ほーぅ?」
運転手「ぜぜぜ、絶対毒ですよ!!毒に違いない!あ、あ、泡吹いて倒れてるじゃないですか!!」
ワット「………………一応聞いておこう。本当に入れたのはタバスコなんだろうな?ん?」
静 「確認します。………あんぱんにはタバスコを入れましたか、
香 「ええ、お姉様。こちらの調味料を入れました」
ワット「………………………おい、ラベルに書かれている、これはなんだ」
アラン「ほーぅほぅほぅ、"デスソース"と書かれてますねぇ!」
香 「タバスコとは辛くて赤い液体です。またデスソースはタバスコの商品名の1つであり、辛味はタバスコよりもマイルドです」
ワット「………………誤って学習させたのはどこのどいつだ」
香 「間違いがありましたら、正しい情報をお教えください」
静 「タバスコとデスソースは異なる物であり、デスソースの方が一般的にタバスコより辛い物ですよ、
香 「失礼いたしました、お姉様。では修正いたします。………入れたのはタバスコではなく、デスソースとなります。なお、こしあんぱんには、それぞれデスソースが1瓶分入っています」
ワット「………………………くっくっく、俺たちを殺す気か?ん?」
アラン「ほーぅほぅほぅ、これは危険な感じにぃなってきましたねぇ!」
運転手「あ、あわ、あわわわわ」
静 「それでは、どうぞ1人1つずつお食べください」
ワット「………………くっくっく、ならばアラン、お前から選ぶといい」
アラン「ほーぅほぅほぅ、ワタクシですかぁ?いえいえ、ここはワット様から選んでいただければぁ」
ワット「くっくっく、俺は後にさせてもらうよ。好きなのを選べ。そして、その場で食え。当たれば茶番は終わり、解散だ」
アラン「ほーぅほぅほぅ、なーるほどぉ?ならば、そこのキミぃ!キミから選びなさぁい!」
運転手「へぁ!?ぼぼぼぼぼぼ、僕からですか!?」
アラン「いぃかにも!さーぁ、この3つのあんぱんから、最初に当たりの1つを選べばいいだけですよぉ!」
ワット「その通りだ。くっくっく、俺たちのために、ぜひとも最初に当たりを引いてくれたまえ」
運転手「ぼぼぼ、僕が、僕が、その、そのそのその、えら、えら、選ぶ、選ぶんで、ででででで」
アラン「早く選びなさぁい!」
静 「決められないのであれば、
運転手「あわ、わわわわ、は、は、はい、はい、は、じゃ、じゃぁ、こここ、これで!これでお願いしま、しままままままままま(震えている)」
ワット「………………おい、誰だこいつを連れてきたのは」
香 「ワタシです。適当に捕まえてきました」
ワット「………………………2人とも、後で強制メンテだ(深いため息)」
アラン「ほーぅほぅほぅ、ほら、選んだら早く食べるのですよぉ!」
運転手「ひ、ひぃぃ、し、死にたくないぃぃ!助けてぇぇ!」
香 「たかがあんぱんに、大袈裟ですね」
ワット「………その"たかがあんぱん"を特級呪物にしたのは、一体誰なのかね?ん?」
静 「お名前わかりませんが、そこの方。あなたが食べないと次に進みません。早急な対応をお願いします」
運転手「名前………………そ、そうか!わ、わかったぞ!そうだ、そうだよ!そうすれば良かったんだ!」
アラン「ほーぅほぅほぅ、一体どうしたのですかぁ?」
香 「錯乱でもしましたか?」
運転手「は、はは!ぼ、僕が、こ、この話自体を、無くせばいいんですよ!!僕が名前を言えばいい!!」
静 「どういう意味ですか」
ワット「ついにおかしくなったのか?」
運転手「見ててください!いきますよ!いきます!はい!いいですか!?………僕の名前は、シ」
アラン「いいから早く食べなさぁい!(運転手の口に突っ込む)」
運転手「むぐっ………………ぐわぁぁぁぁ!!(ちーん)」
香 「コシアン・ルーレット、1名脱落。残り2名です」
静 「死亡確認………」
アラン「ほーぅほぅほぅ、残念、はずれでしたねぇ!」
ワット「………………なんだったんだ、奴は」
静 「それでは、ワット様、アラン様、あんぱんをお選びください」
ワット「………………おっと、俺はこれから会議が入っていてな。失礼させてもらうぞ」
香 「ワット様、次のご予定の会議まではあと27分ございます。まだ余裕があるかと」
ワット「………………チッ」
アラン「ほーぅほぅほぅ、お逃げになられるのですかぁ、ワット様ぁ!」
静 「ワット様は当たりを引く自信がないのでしょうか」
ワット「くっくっく………………この俺が当たりを引けないだと?言ってくれるな」
アラン「ならば同時にぃ食べましょう!ワタクシはこちらのあんぱんを選びますよぉ!」
ワット「ならば俺はこっちか。………くっくっく、運試しだな」
静 「それではお二方、お食べください」
ワット「アラン、食べる前に一つ言っておくことがある。お前は俺に勝つためにあんぱんを全て食うことが必要だと思っているようだが、別に全て食わなくても倒せる」
アラン「な、何ですとぉ!?」
ワット「そしてお前の両親はやせてきたので最寄りの町へ解放しておいた。あとはこれを食べるだけだな、くっくっく………」
アラン「上等ですよぉ!ワタクシも一つ言っておくことがありまぁす。
このワタクシに生き別れた妹がいるような気がしていましたが、別にそんなことはありませんでしたよぉ!」
ワット「そうか」
アラン「ウオオオオいきますよオオオオ!!」
ワット「さぁ来いアラン!!」
アラン医師の勇気が世界を救うと信じて………!
ご愛読ありがとうございました!
終
制作・著作
━━━━━
Ⓤ Ⓢ Ⓝ
レニー「………………わざわざ食べなくても、割って中身を確かめるだけでいいのに………」
ティム「言ってやるな(笑)」