ヴァーチャル美少女キャラにTSおっさん 世紀末なゲーム世界をタクティカルに攻略(&実況)して乗り切ります!   作:えぴっくにごつ

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Part43:「脱出進路遭遇戦」

「星ちゃん!ちょいと、急がないとマズイ感じだよっ!」

「あ!」

 

 ため息交じりの言葉を零していた所へ、しかし背後からモカの訴える声が飛び来る。

 そう、この艦は間もなく爆発自壊するのだ。

 

《――艦内の全Party兵に次ぐ、こちらはToBだ!艦の中枢は無力化され、さらに動力は暴走に入り間もなく爆発する!繰り返す、艦は間もなく爆発するッ!命が惜しければ戦闘を中止して退艦するんだッ!》

 

 そして今の空間に、いや艦に全体に響き伝わっているのはファースの声。

 見れば今の区画の一か所に在る艦内放送装置を用いて、ファースは艦全体に向けて退艦を勧告する知らせを張り上げていた。

 ファースの騎士として、せめてもの慈悲からのものだ。

 

「っぅ!君は走れる?」

「自立は問題なく可能です」

 

 星宇宙はアイテム・インベントリにユートピア・デバイスを収納しつつ、まずはラグラデオスニ尋ねる。彼女から返るは肯定の言葉。

 

「モカ、FLHさんはッ」

「FLHさんはちょっとしんどいみたい……っ」

 

 続けモカに駆け寄り、モカに抱き支えられるFLHの様子状態を尋ねる星宇宙。モカの回答からどうにも、FLHは自分で走る事は厳しいらしい。

 

「すまない」

「長期にスリープ状態にあった影響だ」

 

 それにFLHは少し苦い色で、独特に区切りながら言葉を返す。

 

「大丈夫、俺が抱いて――」

「いえ、お任せください」

 

 星宇宙はそんなFLHを抱いて運ぶ算段で、モカからFLHの身を受け取ろうとしたが。

 しかしそれに、ラグラデオスの声と体が割って入る。

 

「〝絆の相棒〟、FLHをお預かりします」

「ほぇ?あ、うんっ」

 

 そしてモカをそんな特異な形容名称で呼びながら求め。次にはラグラデオスはその華奢にも見える美少女姿に反して、FLHの身を受け取って片手で軽々と抱きかかえ上げて見せた。

 

「トランスポート・サポートはこのコア体でも可能のようです。他、サポート要請に対応可能です」

「おおう……」

「ほぇぇ、パワフルロボっ娘……」

 

 そんな様子に、思わず感嘆の声を上げる星宇宙とモカ。

 

「皆、目的の回収物は全部かいッ?Partyはこの状況でも仕掛けてくるだろうっ、それも考えれば流石に脱出を始めないと限界だ!」

 

 しかしそこへ、退艦勧告の放送を終えたファースが駆け寄って来て訴える。

 艦の爆発まで、時間的猶予はギリギリと言って良かった。

 

「ほぁ!」

「っと、いけない――拾うモノは全部拾った、行こう!」

 

 それに星宇宙とモカは意識を取り直し。

 そしてラグラデオスやそれに抱かれるFLHを視線で示しつつ、回収完了を肯定。

 

 AI少女二人を新たに加えたチームは、艦からの脱出を開始した。

 

 

 

「――オックス、そっちは!?」

《こっちはちょーどジャストSV機に回収されるトコだッ、あとはそっちだ仕事屋ズッ!》

「了解、急ぐ――しかし……!」

 

 星宇宙等は脱出を目指して、艦内通路を急ぎ駆け進んでいる。

 合わせて星宇宙は、オックス等破壊工作チーム側と確認のために通信を行い。向こうにあってはすでに先んじて脱出完了段階にある事が知らされる。

 そしてオックスから寄越された急ぐよう促す言葉に、了解の返事で返した星宇宙だったが。

 通信を終えると同時に、しかし星宇宙は少し苦い声を零した。

 

「――タンゴダウンっ!」

「クリア、行こう!」

 

 間髪入れずに、前方から聞こえ来たのはモカやファースの敵排除の知らせ。

 星宇宙等は脱出開始してからも、Party兵と所々で遭遇し戦闘に陥る事を繰り返していた。

 

 それ等は脱出中の偶然の遭遇と言うよりも、戦闘を明らかに見越しての待ち伏せ接触。

 先程にファースが戦闘を中止しての退艦を促したにも関わらず。艦の放棄を諦めきれないのか、それとも仇敵たる星宇宙等に一矢報いようとしているのかは不明だが、一部のParty部隊がこちらを狙って来ていたのであった。

 

「ッー」

 

 その執拗さに。そして脱出を妨害延滞させられる不都合にまた苦い顔を零しつつ。

 しかしPartyを破り脱出を進める以外に選択は無く、星宇宙等は通路を懸命に駆けた。

 

 

「――っと、抜けたッ」

 

 なんとかParty兵の待ち伏せる艦内を突破し切り、星宇宙等は艦橋構造物の内部を経由して、艦の外部・最上層。

 巨大航空戦艦「エクログロフス」の飛行甲板へと踏み出た。

 

 いくらかの者は命を懸けて状況へ逆らう事を選んだようだが。流石に多くのParty兵・部隊は爆破を迎えようとしている艦からの脱出を当然と選択したのだろう。

 飛行甲板上には、デッキスポットに揚げられ離艦しようとするVH機に慌てて乗り込むParty兵たちの姿が見え。艦の上空にはすでに発艦して我先にと離れて行くVH機の姿がいくつも見える。

 

《――キャプテンッ、仕事屋ズ、そっちを視認したッ!》

 

 そんな光景を視線を流して視認した所へ、通信にまたオックスの呼びかけが飛び込んだ。

 そして次には艦の側方上空近く低い高度をToBのSV機、護衛を担っていた戦闘降下機仕様のそれが飛び抜ける。

 見上げればそれの兵員輸送スペースの開け放たれたカーゴドアからは、こちらを見下ろすオックス等であろう人影が微かにだが見えた。

 

《もう一機が今から艦尾に着けるッ。こっちが援護するから、その間に飛び乗れッ!》

「了解ッ」

 

 そして続け、脱出の手順を伝える言葉がまたオックスから届く。

 それを受け、それの通りに星宇宙等は飛行甲板を艦尾に向けて駆けだした。

 

「――ッぅ!」

 

 しかし、甲板上を駆け出して間もなく。星宇宙はその進行方向の向こうに見えた姿光景に。またも苦い声を零した。

 見えたのは甲板上に駆け出て来て散会展開する、小隊規模のParty部隊。その動きは明らかに脱出の途中のそれでは無く、こちらの脱出を阻害するための動き。

 脱出よりもこちらの妨害を優先する一派のものだ。

 

「とぁ!」

「ひぇ!」

「っゥ!?」

 

 次にはそのParty小隊からの手当たり次第の銃火が、火力投射が飛び来て掠め。

 星宇宙等は慌て散会、近くの放棄されていたトーイングトラクターや、ミサイルや爆弾を運ぶための車台に飛び込み身を隠す。

 

「こんなっ……逃げてっ!ぜんぶ爆発しちゃうんだよっ!?」

「ッ……ラグラデオス、FLHさん、身を晒さないで!」

 

 飛来する銃火を凌ぎつつ、モカから上がったのは彼女らしからぬ悲痛な色での叫び声。

 それを横に聞きつつ、星宇宙は後ろで同様に隠れるAI少女の二人に隠れるよう促す。

 

「最早正気ではない!説得も届かないようだ……ッ!」

 

 そしてモカの叫びに答えるように、ファースからは呆れを示す言葉が、しかし苦い声色と顰めっ面で発される。

 

「っぅ……――!、げッ!?」

 

 それに星宇宙も何度目かもしれぬ苦い声を零したが。

 しかし次には星宇宙は、その向こうにさらに不都合な光景動きを見て、思わず濁った声を上げた。

 見えたのは、「エクログロフス」の後ろ甲板上に備わる巨大な構造物、装備。

 それは、艦の主砲。

 「エクログロフス」の備える「三連装大型レールガン砲塔」。それの稼働旋回する様子光景だ。

 主砲砲塔はその巨大さに反した早く滑らかな動きで、100°以上旋回。そして各レールガン砲は俯角を取り、その砲口が次には星宇宙等を向いた。

 

 それは、星宇宙等は無論。

 そのまま艦の飛行甲板をぶち抜く射線だ。

 

「んなッ!?」

「冗談……――ッ!」

 

 主砲という洒落にならない代物が向けられた事実はもちろん。

 その奥に、最早なり振りの一切を構わないParty側の行動意志を垣間見て。

 ファースや星宇宙は思わずの声を発し上げる。

 

 しかし――その艦の主砲が咆哮を上げる前に。別の爆音が上がり響いて状況を上書きした。

 

「ぬぉ!?」

 

 咄嗟に身構えた星宇宙等の眼に映ったのは、いままさに対峙していた主砲砲塔がしかし――爆発炎上。その砲塔本体に大穴を開けて大破に至った光景だ。

 少なからずの爆風熱波の煽りが巻き起こり、それがより主砲砲塔の近くに位置していたParty小隊を襲ってその体勢を崩す。

 

 そして、そんなParty部隊へ次に襲ったのは。真上から砲火の雨あられだ。

 

「ッ!」

 

 降り注ぎParty部隊を襲ったのは機関砲クラスの砲火。

 そしてほぼ同時に上空側方に聞こえたのは、バタバタという連続的な激しい音。ホバリング音。

 そこまでで推察は容易だった。見上げれば、艦の側方上空には、そこにホバリング滞空して25mmガトリング砲を飛行甲板に向けて撃ちばら撒く、ToBのSV機の姿があった。

 

 今しがたの砲塔の爆発炎上は、SV機からの援護が成したもの。

 SV機が抱える対艦ミサイルが、上空間近の位置から撃ち放たれ叩き込まれ。それが艦の主砲砲塔を、その咆哮を上げさせる前に撃破無力化したのであった。

 

《――Party連中はいよいよイカレ切ってるみたいだなァ!進路は開いた、急げェッ!》

 

 そして通信に飛び込むは、オックスからの皮肉を混ぜての張り上げられた声。

 対艦ミサイル攻撃から続くガトリング砲の投射で、飛行甲板上の進路を阻む存在は居なくなっていた。

 

「助かった、皮肉屋の秀才ッ!一気に抜けるッ!」

 

 それに星宇宙も皮肉を混ぜたしかし感謝の声を張り上げ返し。

 そして星宇宙等それぞれはカバーを解いて、一気に駆けだした。

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