ヴァーチャル美少女キャラにTSおっさん 世紀末なゲーム世界をタクティカルに攻略(&実況)して乗り切ります! 作:えぴっくにごつ
「あれは……」
「まさか」
星宇宙等に限らず。
ヘリパッド周囲に居るRP AF隊員や要員、ファースにToBのパイロット等。
そのいずれもが南西方向の上空に視線を持っていかれている中。星宇宙とヴォートはそれぞれ声を上げる。
南西の方向の空に見えたもの、それはあまりにも巨大で禍々しい存在だ。
大きさは、石油リグを一回り抑えたほどはあるか。
無数のクレーンのような作業アームを備え、底部には地上を自立歩行を可能とするために備えられた、巨大な歩行脚。
そして備わる、大小の無数の火砲火器。
表現するなら、地上の要塞。
それが多数機のPartyのVH機に吊り下げられ、中空をこちらに向かっている。
いや――それだけならば、驚愕の物ながらも。各員各所のそれはまだそこまで大げさなものでは無かっただろう。
しかし、その巨大要塞は――〝おかしかった〟。
その構造表面のあちらこちらに、ブラウン管TVにみられるような「ノイズ」が走り蠢き。
かと思えば、各所が真っ黒なモザイクでも掛けたかのようになっている。
そしてあろうことがそれは巨大要塞の本体に限らず、その周りの空間にまで広がり生じていた。
「あれ……DLCの……!」
《「グラムブロンガー」……》
《Partyの歩行要塞じゃん……》
《嘘……》
その異様な光景を纏わり付かせる巨大な存在を視線の向こうに。しかし星宇宙はその要塞そのものにあっては思い当たる節があり。
合わせて手元のコメント欄には同時に思い当たった視聴者の皆の、その名称を打ち込んでのコメントが流れる。
そのそれぞれの言葉の通り。その巨大要塞の正体にあっては、TDWL5のダウンロードコンテンツの一つである、アナザーエピソードに登場するもの。
Party残党の最期の切り札という設定の、自立型の最終決戦要塞であった。
「登場はDLCのエピソードのはず……いや、それはもういいか……」
本来はDLCにより追加される別のエピソードに登場はずの巨大要塞であり、星宇宙は最初はそれのこの場での登場に驚くが。
しかしすでに明らかになった通り、ここはゲームの世界こそ模してはいるが。確かな人々の意思が存在する一つの「世界」。そこからの歴史物事の違いについては、すでに細事と割り切る。
「……だけど……」
しかしだ、それはそれとして。
上空向こうに出現した巨大要塞のその姿は、明らかに異常。
そこかしこにノイズやモザイクが歪に生じ。言い表すならば「映像不良」「モデル構築の不具合」を越している様相だ。
「あれは――〝バグ〟か」
そして、その見え方から察しそんなワードを口にしたのはヴォート。
「肯定、もしくはエラーとも呼称。この世界の発生誕生の際に、あの要塞は構築が不完全な形での出現となったようです」
そのヴォートの推察の言葉を、説明と合わせて肯定したのはラグラデオス。
「この世界は一つの現実ではあるが、その構成は電子によるもの」
「あの要塞の在り方は。いや存在自体が、このままではこの世界の人々にとっては一番の脅威となる」
「Partyは窮地からなりふり構わず、それの利用を決めたようだが」
そして続け、FLHから詳細と推察が述べられる。
直後向こうの空では。そのバグの生じた巨大要塞を運ぶVH機の一機が、その空気中にまで広がり生じたバグに接触。
ティルトローターを消失させて損じ、機体の制御を失い墜落する姿を見せた。
「――なんて事を」
その、いくら追い詰められたからといって、禁忌と言えるそれにまで手を出し繰り出して来たPartyの行いに。
ヴォートは苦い声で、その愚行を呆れを越えて嘆くまで色で零す。
「よくわからないが、世界の禁忌に触れたと言うところか……愚かな……」
ファースに在っては疑問疑念が未だに大半を占めたが。しかしその中でPartyが手を出した行いを推察して当て、そしてそれに対する反応を顔を顰めて発する。
「ほ、星ちゃん!」
「アレ、どうしたらいいんだ!?」
そこへ、モカやヨロズからの焦りつつの呼びかける言葉が飛ぶ。
「!、そうだ、あれを何とかしないと……!」
「ともあれ迎え撃つ必要がある」
それに気を取り直し、発する星宇宙にヴォート。
そして周囲では、RP AFの銃砲座や戦車車輛、各部隊の火力投射が開始され。けたたましい咆哮の数々が上がっていた。
しかし。各員各所からの射撃投射は、しかしいずれも有効打を成せていなかった。
それは移動要塞の堅牢さに――いや、それ以前の問題だ。
要塞周囲に生じたバグにより、同じ電子の世界において構成される各攻撃は、完全に消滅無力化していたのだ。
「大隊の、こちらの攻撃が無力化されている!?ッ」
「嘘……バグの影響!?まずいよアレ!」
その事実を見て察し、ヴォートと星宇宙はまた苦い声を上げる。
このまま止める術も無くあの要塞が進行してくれば、この太陽光発電施設に、この周囲一帯が。
いや、その特性から最悪この世界自体が危機に陥る事となる。
「希望の星、生の祝福」
「案ずることは無い」
「策はある」
しかし、そのそれぞれの背後からそんな伝える声が聞こえたのは直後。それは他でもないFLHの声。
「え、策……それって?」
「どうするんだ?」
それに、星宇宙はまた少し戸惑いつつ返し。ヴォートは端的に解決策を尋ねる。
「簡単だ。その要は、ユートピア・デバイス」
「そして――」
「君等自身だ――」
その星宇宙とヴォートに。FLHはそのそれぞれを示し、見つめ返して。
そう回答する声を向けた――