ヴァーチャル美少女キャラにTSおっさん 世紀末なゲーム世界をタクティカルに攻略(&実況)して乗り切ります!   作:えぴっくにごつ

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Part51:「プレイヤーズ・ワンショット」

 FLHの説明はこうであった。

 

 まずFLHは、ラグラデオスの元でスリープさせられている間に、しかし同施設設備内で保存されているユートピア・デバイスに干渉。改良を行っていたらしい。

 それはゲーム設定上では土地土壌の浄化を行うユートピア・デバイスに。この世界に悪影響を及ぼすバグやエラーの除去復元を可能とする効果を、一種のワクチン効果を付与するもの。

 

 すなわち、メインクエスト通りにユートピア・デバイスを起動すれば。バグ・エラーを生じる巨大歩行要塞を無力化できるというのだ。

 

 

 現在、それを実行するため。アルスタライル太陽光発電所ではそのための作業手順が急ぎ進められていた。

 各作業班・技術者が配置に付き、慌ただしく動き回り。

 そしてその手によって、星宇宙から引き渡されたユートピア・デバイスが。

 発電所施設内の主要発電所区画内に同時に設備された、起動・発動用の機械設備にセットされた。

 そして、太陽光発電所もまた稼働を開始。

 そのエネルギーを用いての。ユートピア・デバイスの起動シークエンスが開始されていた――

 

 

 

 その一方で、星宇宙とヴォートはある〝役目〟に取り掛かっていた。

 

「――っよ」

「っと」

 

 乾いた荒野、地面を降り立ち踏む、星宇宙にヴォート。

 それはここまでをRP AFの軍用四輪駆動車によって移動し、降り立ってのもの。

 

「ふぉっ」

「ふっ」

 

 それに続き四輪駆動車より飛び降りるは、それぞれの相棒のモカにヨロズ。

 二人は降り立つと次には、星宇宙とヴォートのそれぞれの脇を守る様に、それぞれの武器装備を構えて展開配置する。

 

 そして、上空をその星宇宙やヴォートの援護の任務を帯びた。V-4L艦上戦闘機がちょうど飛び抜けた。

 

「さて――」

「と――」

 

 そのそれぞれの相棒の援護を受けながら。星宇宙とヴォートは荒野のただ中で、思い思いの形で雑把に並び立ち。

 同時にその向こうを見上げた。

 

 ――そして見えたのは。巨大歩行要塞、「グラムブロンガー」

 

 吊り下げ輸送していた多数のVH機より切り離され、その巨大な脚で自走歩行して迫る姿。

 星宇宙等は、その「グラムブロンガー」の進路方向の真正面に立ち構えて居た。

 距離は、すでに1kmあるかないかの域。

 一見すれば自殺行為の如き危険な行為、立ち位置。

 

 しかし今、星宇宙等がその場に踏み立つのは。星宇宙とヴォートの彼(彼女)らに要請された、ある〝役目〟を果たすためであった

 

 先に伝えられた、ユートピア・デバイスの起動をもっての「グラムブロンガー」の無力化作戦だが。

 FLHによれば、ユートピア・デバイスに付加したワクチン特性はまだ完全では無く。大きくは「グラムブロンガー」の脅威特性を削ぐことが出来るが完全無力までは届かず。

 それには最後の「止めの一撃」が必要との事だった。

 

 ――その「止めの一撃」こそ、星宇宙とヴォートの役目だ。

 

 「グラムブロンガー」はこの世界に生じた歪な存在。

 そして、星宇宙とヴォートの存在もまた。言ってしまえばこの世界にとってはイレギュラーである。

 

 FLHの説明によれば。ユートピア・デバイスのワクチン特性によってバグの生じるグラムブロンガーを修復、言い方を変えれば崩壊させれば。

 最後はまたイレギュラーたる星宇宙とヴォートの攻撃の一撃を撃ち込むだけで、グラムブロンガーは完全無力化されると言うのだ――

 

 

「――大役だな」

 

 なんだかご都合主義と言うか、向こうに見える歪で明らかな脅威に対して、ずいぶんとあっけない話ではあるが。

 また一方で。それがこの状況を打開する、そしてこの世界を救う現状唯一の方法であるらしく。

 そう言われてしまえば、やらない手段は無い。

 

 そんな一連の内容を思い返しつつ。

 ヴォートは向こうの巨大要塞を見据えながら、皮肉気にそんな一言を零す。

 

「だね」

 

 それに星宇宙も同じく向こうの要塞を見ながら、賛同の声を返す。

 そして、二人が見せたのはそれぞれの武器装備を構える挙動。

 

 ヴォートは、愛用の大口径リボルバーをホルスターから抜き。片手を突き出して、悠々とした立ち姿勢で構え。

 

 星宇宙は、やはり愛用して来た対戦車ライフル、L-39を「よいしょ」と言うように腰だめで確かめ構え、要塞へと向ける。

 

 ここまで。どちらも様々なことが、目まぐるし過ぎるそれで起こってきたが。

 二人はどちらも。おそらくだがこれがその全ての決着になると、どこかで感じ察していた。

 

《――少佐、聞こえますか?ユートピア・デバイスは起動準備完了。今より、起動カウントダウンに入ります》

「了解」

 

 そんな思いを浮かべてきた所へヴォートの耳に届いたのは、発電所の作業チームからの知らせの言葉。

 それにヴォートは端的な返答を返す。

 

《――統合指揮所より全部署全部隊へ。これより、ユートピア・デバイスの起動カウントダウンを開始。総員、退避し備えよ――》

 

 そして後方の発電所施設側より、放送音声での全体に伝える旨が響き渡る。

 ユートピア・デバイスは発動の際に人や生物には害を及ぼさないが。少なからずの振動衝撃を伴うため、念のための退避備えを促すそれだ。

 

《――開始、10、9、8――》

 

 開始されるカウントダウン。

 その間も視線の向こうより「グラムブロンガー」は重々しい歩行音を立てて迫って来るが。それを動じるでもないと言うように、カウントダウンの声色は淡々なもの。

 

《3、2、1……――アップ――》

 

 そしてカウントダウンの終結は迎えられ。

 

 

 ――独特な衝撃派が、そして衝撃音が。

 

 

 周囲一帯へ伝わり響いた。

 

 それは爆発のそれとはどこか違う、電子的な音色を伴うそれ。

 同時に上空を高くから低い高度までを、太陽光発電所を中心に円形に広がったのは。衝撃を可視化したような青白い光の波。

 それが、一帯全周をまんべんなくコーティングするように伝い広がっていく。

 

 

「――っぉ……っ」

「――」

 

 独特で、しかし不快ではない。どこか身体を内から揺さぶり呼び覚ますような衝撃、鼓動をその身に感じながら。

 しかし星宇宙にヴォート。モカにヨロズはその場で立ち構え、維持し。そして向こうの要塞を見据え続けた。

 

 その要塞、「グラムブロンガー」には異様な変化が起こり見えていた。

 

 その各所に生じていたノイズやモザイク。バグに寄るそれが一瞬の膨張、暴走のようなものを見せたが、その次には消失していく。

 そして「グラムブロンガー」自体は、反した歪な乱れた挙動動作を。悲鳴にも聞こえる重々しい音上げると合わせて見せた。

 その動きはバグをエネルギーの一環としてのものであったのか、それを失ったことによる一時的な暴走に見える。

 

「……」

「――」

 

 その巨人要塞の暴虐にも、しかしどこか苦し気にも見える挙動様子に。

 星宇とヴォートはどこか悲し気なものを覚え、静かに見据える。

 

「――眠って」

「――さらば」

 

 そして星宇宙とヴォートは、それぞれに向ける言葉を紡ぎ。

 

 そして、同時に引き金を引いた――

 

 木霊する銃声。

 風を切り裂く弾道。

 微かだが、確かな打ち叩き貫く金の音。

 

 「グラムブロンガー」から、巨大な生物のまるで断末魔のような。

 身を振るい暴れるような各部の暴走の動き。、鋼鉄の擦れる動作音、金切り音が響き上がり届いたのは一瞬。

 しかし、その直後に「グラムブロンガー」はその巨体を硬直。

 

 そして次には、その巨体の各部署の大々的な崩落崩壊を見せ。巨大な歩行脚を崩してその本体を荒野地上へと崩し、盛大に土煙を巻き上げ。

 

 それが晴れた果てにみせたのは。

その歪で禍々しい巨体の――しかし儚く崩れ沈んだ姿であった――

 

「――ラスト・クエスト――完了」

「――決着だ」

 

 その儚き最期を向こうに見つつ。

 星宇宙とヴォートは決着を断ずる言葉をそれぞれ、端的に静かに発する。

 

「――モカ」

「星ちゃんっ」

 

「ヨロズ」

「寿有亜」

 

 そして星宇宙とヴォートはそれぞれ背後側方に振り向き。

 それぞれの相棒、モカとヨロズと声を交わしながら。それぞれコツンと掲げた拳をぶつけ合い。

 

「やったねっ――」

「あぁ――」

 

 そして、戦いを。

 そしてここまでの互いの、長い旅路の最後に締めくくる様に。

 星宇宙とヴォートは、互いの拳を掲げ景気よくぶつけ合った――

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