ヴァーチャル美少女キャラにTSおっさん 世紀末なゲーム世界をタクティカルに攻略(&実況)して乗り切ります!   作:えぴっくにごつ

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Part9:「タクティカル・バニーガール」

 さて、チート性能バニーガール衣装に身を包んだ二人は。早速モール施設へと侵入する運びとなった。

 

 ステルスによる侵入とは言うと難易度が高そうだが、このロケーションはピッキング等のパーク・スキルの数値条件さえ満たしていれば、侵入はさほど難しくはない。

 オータントの歩哨の少ない施設裏手へと周り、途中二体三体程のオータントをやり過ごし。もしくはステルスから急所を突いた攻撃で排除し、突破。

 施設裏手の従業員用アクセス口より、モール施設内へと侵入した。

 

 

(――すっ)

(ぬんっ)

 

 それぞれ声には出さず、脳裏でそんな効果音をおふざけで浮かべつつ。

 二人はスタッフオンリーの区画と売り場空間を結ぶ扉から、向こうを覗いて様子をうかがう。

 その向こうに広がるはモール内のスーパーマーケット区画。広大な空間に無数の大きな商品棚が並び連なる売り場空間。このTDWL5の開発された国ではなじみ深い、日本人である星宇宙からすれば規格外な広さの空間だ。

 

(――うん、近くに敵は無し)

 

 目視での確認と。同時にプレイヤーキャラにデフォルトで備わるサポートガジェットの簡易レーダーで、周囲に敵の存在がいないことを確認する星宇宙。

 

 ちなみにプレイヤーが使用できるウィンドウ機能やステータス数値の確認、その他サポートの類の多くは。ゲームの設定上はこのガジェットの機能だ。

 星宇宙は、画面越しのプレイ時とは勝手の大分違うそのガジェットを、しかし慣れない様子ながらもできる限り活用。攻略の頼みとしている。

 

(よし、行こうっ)

(おっけーっ)

 

 確認が取れ、二人は慎重にしかし素早い動きで従業員用扉より飛び出し。

 そしてすぐ近くにある大きな商品棚の影に飛び込んだ。

 

(ッ)

(っ)

 

 商品棚の間、陰に飛び込んだ直後、二人はそれぞれ棚を遮蔽物としてカバー。それぞれその手中に持った装備火器をいつでも向けられるよう控えながら、周囲に視線意識を走らせた。

 

 星宇宙が手中に控えるは――FN SCAR-H。

 特殊部隊向けに開発された、ベルギー製の7.62mm口径のアサルトライフル。

 

 モカが手に持つは――M27 IAR。

 ヘッケラー&コッホ社製造の、5.56mm口径のアサルトライフル形態の分隊支援火器。

 

 いずれもまた、有志作成のMOD武器アイテム。

 サンスフィルテの村を訪問する前に立ち寄った、廃スタンドロケーションで回収入手したもの。

 そして現在の星宇宙とモカのメインウェポン。強力かつタクティカルな戦いを可能とする、二人の新たな力だ。

 

(――おっけ)

(こっちも)

 

 星宇宙とモカはそのそれぞれの手中の新たな相棒を、状況からの緊張によって少し強めに握りつつ。

 走らせた視線で周囲に敵影が無い事を確認。それから互いの視線を合わせて、状況がクリアである旨のコンタクトを取る。

 そして次には星宇宙は、またアイコンタクトで続く行動を示し。二人はカバーを解いて再び動き出した。

 

 大きな商品棚に挟まれ連なり続く、長い売り場コーナーを。二人は静かに、しかし可能な限り素早く駆ける。

 ちなみに現在二人はバニー衣装であるが、その足元はそのバニー衣装を損なわない造形のコンバットブーツだ。

 ゲームの特性上、足元装備の見た目は完全な演出なので。別にこのバニーMODの足元がハイヒールのデザインであっても、プレイヤーキャラクターの動きに影響は無いのだが。

 そこをあえてブーツデザインにする所に、有志作成者の趣味の徹底を感じられた。

 

 そして尖る造形のバニー耳をウサウサと、可愛らしい尻尾をフワフワと揺らしながら。二人は商品棚のコーナーを駆け抜けた。

 

(――止まって)

 

 その商品棚のエンドにたどり着いたタイミングで。先行する星宇宙が、小さく腕を翳して後続のモカに制止を促した。

 進行を止めると同時に、すぐさま二人は商品棚に寄って張り付きカバー。警戒の意識を前へと向ける。

 その向こう、商品棚が明けた先に見えたのは巨体のモンスター、一体のオータントだ。

 立哨ないし巡回の個体だろうか。しかしその姿に警戒の色は見えず、明後日の方向を向いて退屈そうに屯している。

 ステルス状態に入っている星宇宙等には気づいていない。

 

(俺がやる、援護を)

(おっけ)

 

 星宇宙はハンドサインと視線でモカへと自身の行動を、そしてモカにはこの場で待機支援を求める旨を伝える。

 そして次にはその腕中のSCAR-Hを一度降ろし。そして入れ替わりに太腿に装着するホルスターから、別の一丁の拳銃を取り出した。

 

 それは45口径のオートマチック拳銃。それもサイレンサーが装備されている。

 これにあってはバニラ状態のTDWL5に登場する、オリジナルの装備火器。

 序盤に入手できるが、改造強化によって終盤まで戦えるポテンシャルを持つ武器アイテムであり。TDWL5を何度も周回プレイしている星宇宙も、ほぼ毎プレイにおいてサイドアームとして愛用している武器アイテムであった。

 

 その45口径拳銃へと装備換装し構えた星宇宙は。一旦視線を出して周囲を確認、近くに他に敵がいないことを確かめ。

 息を潜め、商品棚の影を離れ踏み出した。

 

 背を晒すオータントまでの距離は長くはない。しかしその強靭な巨体を確実に仕留めるべく、近距離で弾を打ち込むため。

 息を、声を殺し。オータントとのギリギリの距離まで接近を試みる。

 

 そしてオータントの背後真後ろに忍び寄り。その後ろ首のほほ間近に突きつける域で拳銃を向け構え。

 ――引き金を引いた。

 

「――ッ!」

 

 連続的に二回引かれた引き金に呼応し、拳銃はサイレンサーに抑えられた独特の音を微かに立てて。オータントの後ろ首に45口径弾を叩き込んだ。

 急所に銃弾を叩き込まれたオータントは、瞬間に目をかっぴらくが。次にはその意識は遮断するように消え、オータントの巨体は力を失い崩れ落ちる。

 

(ッ)

 

 星宇宙はすかさず、片足を蹴り出すように突き出して、そのオータントの巨体を迎え支えた。崩れ落ちる際に立つ音を、少しでも抑えるためだ。

 オータントの巨体の体重が星宇宙の片足に伸し掛かるが、星宇宙はその重さに逆らわずにゆっくりと足を下げて、オータントの亡骸を床に降ろす。

 

(――)

 

 そして、ステルスキルの成功に気を緩めず。

 次にはまた拳銃を構え直して警戒の姿勢を取り、周囲に気づかれた様子がないかを確認する星宇宙。

 

(だいじょーぶ、星ちゃんっ)

 

 しかしすぐに、商品棚の影から監視支援をおこなっていたモカより。気づかれていない、問題ない旨がハンドサインと視線で寄越された。

 

(よし、いこうっ)

 

 それを受け、そしてモカに促すハンドサインで返し。星宇宙とモカは、それぞれのポジションを解いてまた素早く移動。

 オータントを無力化したことにより開けた売り場内経路を通過し。その向こうにある目的地点、スーパーマーケットエリアのバックヤードへ続く従業員用扉へと到達。

 その両端へと取り付く。

 

(行ける?)

(すぐにオッケーっ)

 

 それぞれはまたアイコンタクトで合図を交わし。

 次には星宇宙が、静かにしかし素早く従業員用扉を開き。拳銃を構えてスルリと向こうへ踏み込んだ。

 

「――ッ」

「っ」

 

 星宇宙が、次いでモカが素早く踏み込み。

 その向こうのバックヤード空間の各方へ、銃口と警戒掌握の視線を走らせる。

 

「――クリア」

「クリアっ」

 

 数秒の時間の後に。少なくとも近場周りに敵の影や気配は無いことが確認でき。

 二人は普通に聞こえる最低限の声量で、互いにその胸を伝え合った。

 

「――ふぁっ、知ってる通りの敵配置でよかった」

 

 そこまでの確認が取れ。そこで初めて星宇宙は拳銃を降ろし、少し力を抜いてのそんな言葉を零した。

 TDWL5を周回プレイしている星宇宙は、実の所このモール施設内の敵配置、安全エリアと危険エリアはおおまかには知っていたのだが。しかし現在の諸々の状況からイレギュラーの可能性は捨てきれず、慎重な行動を徹底。そしてここまでのステルス行動は中々に緊張を有するものであった。

 それも限りなくリアルに近い感覚の今の状態でのそれは、画面越しのプレイ時のそれの比ではなかった。

 

「ふぉっ――星ちゃんマスター、なんかすごかったねっ。なんか、コマンドーっ!ってカンジの動きだったよっ?」

「コマンドーは違うくないか?」

 

 そんな星宇宙に、同じく緊張を少し解いたモカが掛けて来たのはそんな言葉。それはそこまでの星宇宙の一連の動きを評するもの。

 それにツッコミの言葉を入れる星宇宙。

 

《お手並み鮮やか》

《なんか動きが妙にこなれてたね?》

《FPSとか得意系?》

《タクティカル美少女おじさん》

 

 そこへ合わせて、コメント欄にもそんなコメントが並ぶ。

 ちなみにコメントスクリーンなどは、星宇宙等プレイヤーキャラにしか見えない仕様なため、ステルス行動には影響は無かった。

 

「うん?そうか?なんとなく普段のプレイの調子を倣って、あとはゲームとか映画の見おう見まねで動いてみただけなんだけど……?」

 

 しかしそんな反応に、星宇宙が示したのはどこか無自覚な様子の言葉だ。

 

《モカちゃんも同じく鮮やかな動きだったよね》

「うん?あたし?」

 

 そこへさらに、今度はモカへもそんな評する言葉が送られる。

 

「そうかナ?なんか星ちゃんに合わせて、ターっと行ってパーっと動いただけなんだけど?」

 

 しかしそのモカにあっても、不思議そうな様子でそんな感覚派全開の回答を返して見せる。

 

《感覚派……!》

《戦の申し子では……?》

 

 それに、今度は感嘆のそれの混じる様子のコメントが流れる。

 

「うーん……モカはともかく、俺はFPSとかゲームは下手の横好きで、どっちかって言うとぶきっちょな方だし……分かんないな?これも今の姿、キャラになった恩恵かな?」

 

 そして星宇宙も、どこ吹く風でそんな言葉を零して見せる。

 

《せやろか……?》

《機体性能ってだけじゃない動きにみえたけどなー》

《そういうポテンシャルがあった可能性も》

《戦場で覚醒したと言うのか……!?》

《星ちゃん、モカちゃん……恐ろしい子……!》

 

 しかしコメント欄に流れるは、推察を混ぜてのそんな評するコメント群。

 

「よしてくれ、考えすぎだよ……っ。それより、目的の物資の物色を始めなくちゃ」

 

 そんなコメント群に星宇宙は少し困り戸惑う色で返し。

 仕切り直すように、そんな次への行動へ移る旨を発した。

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