この素晴らしいテイワットに祝福を!   作:グランドマスター・リア

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現実はくそったれなので作者も現実逃避しようと思います



この奇妙な転移をもう一度

 

◇復活の呪文を唱えますか?

【Yes/No】

 

 

 『この素晴らしいテイワットに祝福を』

 

 

 

*△+このすば+▼*

 

 

 

どうも、カズマです。

今も冒険者業に励み、熾烈なモンスター達との激戦に日々身を投じる俺ですがーー

 

「いぃやぁぁぁぁあああ!!」

 

ダンジョン内にもはや聞きなれた金切り声が響く。

 

「冒頭の語り口くらいさせろやぁぁああ!!」

 

とうとうこの世界は大事なシリーズ開始の語り口さえもさせてくれなくなったらしい。

ジタジタバタバタと、モンスターの群れに追いかけられながら、一心不乱に足を回転させて石畳の上を駆ける様はとても経験豊富なベテラン冒険者には見えないだろう。これでも、今までめっちゃ強敵を倒して、この国の王女とか、強者冒険者から一目も二目も置かれる存在なんです。信じてください!

 

「カズマッ!訳の分からない事を言ってないで、何か策を考えてください!何の為にその小ズルい頭は付いてるんですか?セクハラをする為だけですか!?」

 

「お前、他人(ひと)に背負われてる分際でよくそんな事が言えるな!?何ならここに置いてって囮にでもしてやろうか!」

 

そう、俺は今何が悲しいのかこんな絶体絶命の状況で、背中にとんがり帽子の狂魔法使いを背負いながら走っているのだ。

 

「お、囮!?あんな化け物の群れを前に置き去りだと!?それなら是非とも私がーー!」

 

「うっせぇ!変態騎士は黙ってろ!」

 

泣きわめくアクア、背負われるめぐみん、そして喜色を浮かべるダクネス。

よもや後ろに迫っている謎の仮面を付けた人型モンスターの群れよりも圧倒的に質が悪い。

 

「だいたい何だよあいつら!あんなモンスター見た事ねぇぞ!?」

 

変な紋様の仮面を付け『ヤー!』という鳴き声を叫び散らすコボルトみたいなモンスター。

ギルドで頼まれたダンジョン調査の依頼に来た俺達は、遺跡内でこの謎のモンスターを発見した。そして、何を思ったのかアクアは『所詮は新種のコボルトか何かでしょ?このアクア様の相手じゃないわ!』などと言い放って特攻。

結果、会敵した瞬間に新種コボルトは角笛を吹きならしたのだ。

そして、この様である。

 

「だぁくそっ!出口の位置も分かんねぇし、てかこの遺跡どんだけ広いんだよ!」

 

かれこれ三十分前は走りっぱなしだが一向に遺跡の通路は続いている。

袋小路になるよりは余程マシだが、このままでは体力バカのダクネスを除いて俺やアクアはいずれ追いつかれる。何か策はないか、そう考え一瞬視線を背後の仮面コボルト達に移した瞬間、背中からめぐみんの声が響いた。

 

「か、カズマ!?前!前見てください!」

 

「は?前が何……ってどわぁぁぁああ!?」

 

何と約二十メートル先の床が丸々崩壊しており、恐れていた行き止まりとなっていたのだ。

遺跡の中は薄暗くて、千里眼スキルを持ってしても床抜けなどといった物はちゃんと近づかないと見えにくい。というより、逃げる事に必死過ぎて気付かなかった。

 

「止まれ止まれとまれぇぇぇぇえ!」

 

直前で急停止、ダッシュから急に立ち止まると心臓に悪いというがそんな事を気にしている場合じゃない。

 

「ふぅ、何とか助かーー」

 

俺とダクネスは何とか縦に並ぶ形で絶壁深淵の淵で立ち止まれたものの、その背後から「うぎゃぁぁああ!」という悲鳴と未だ石畳をダッシュする音に顔をさっと青ざめた。

 

「あっ」

 

だが、もう遅い。

俺とダクネスは背後から全速力でダッシュしてきたアクアにぶつかられて、俺達は仲良く床抜けへと真っ逆さま。

 

ーーマジでこの駄女神は……

 

「覚えてろよぉぉぉおおーーー!!」

 

暗闇の底へと悲鳴は消えていく。

 

 

 

バシャンと闇の中を落下する体は、固い谷底ではなく深淵の水底に落ちた。

「ごぼぼぼ……」と泡を吐きながら俺達は命からがら水から引き上げて、そしてそこはまた別の洞窟だった。

 

「てめぇは!毎度まいど俺に死ぬ思いさせなきゃ気が済まないのか!?」

 

「いひゃいかずゅまさん!」

 

俺は先程背後から奈落の底に突き落としてくれやがった駄女神に愛の制裁(ひっぺ引っ張り)を加えていた。

 

「まあまあカズマ……結果的には助かった訳だし、そのくらいに……」

 

そうして見かねたダクネスに宥められて、何とか俺は心中の赤い炎を鎮火させた。

 

「はぁ……それで、何処だここ?見たところ、さっきの遺跡の地下みたいだけど……」

 

「ああ、落ちた距離的にも相当深いところまで落ちてしまったらしい。助かりはしたが、地上に戻るのも一苦労だろうな」

 

見たところ、道は続いているようだがそこは薄暗い洞窟だった。

落ちてきた天井の穴を見上げると、その先には闇が広がっているだけ。とてもじゃないが、そこから登れそうな感じはしない。

 

「とにかく進むしかないですね。それじゃあカズマ、引き続きおんぶお願いします」

 

さっと当然のように両手を伸ばしためぐみんに、俺は露骨に顔をしかめた。

さっきは緊急の状況だったからおぶってダッシュしたが、正直お互いずぶ濡れの今の状況で背負うのは御免こうむりたい。俺は未だ頬を擦っているアクアを見て、近づき首筋に手を当てた。

 

「ちょっ、カズマさん!?ずぶ濡れの私の姿が若い衝動を刺激するのは分かるけど、流石にここじゃ……」

 

そのままアクアを無視してめぐみんの手を握り、ドレインタッチ。

魔力量は神様クラスのアクアからめぐみんに流すこと数秒、さっと手を離した。

 

「これで歩くくらいは出来るだろ?」

 

「むぅ、カズマのケチ……」

 

「何で回復させてやった俺が抗議されなきゃならないんだ……」

 

そんなに自分で歩くのが嫌なのかコイツは……それとも、俺におんぶされたいのか?

止めよう、今はそんな場合じゃない。

 

俺達は洞窟内を歩き出した。ジメジメした空間には天井からいくつもの地下水が滴っており、如何にもな雰囲気だ。

一応〈ティンダー〉で服を乾かしたものの、こう湿っていると地下なのもあって少し肌寒い。早く地上に出たい。だが、こんな普通に考えれば絶望的な状況でも、俺達は大した脅威を感じてはいなかった。

それは今まで、これ以上に危ない状況を何度もどうにかしてきた事による信頼と自信ゆえだ。

 

まあ、約一名の駄女神は「早くおうち帰りたい」とかほざきやがるので一発ぶん殴ってやりたいが……

 

「カズマ!」

 

「はい、カズマです。って、あそこに見えるのって明かりか!?」

 

めぐみんが指差した先、洞窟に薄っすらとだが光が見えるのだ。

確かにここまで登り坂が多かったし、出口かもしれない。そう思って、俺達は走り出す。徐々に大きくなる光に、期待と希望で胸を躍らせながら向かう。しかし、その先に広がった景色はシャバの美味い空気でも、目を細めたくなる青空でもなかった。

 

「ッ、何だよここ?」

 

その先には、また別の遺跡があった。

それも、上の遺跡に何処と似ていて、更に開けた大部屋だった。

 

「行き止まり、のようだが……」

 

警戒しながら部屋に入ると、何枚もの意味深な壁画に像などが壁沿いに立ち並んでいる。

そして、一層目を引くのは光源の正体である部屋の奥の印象的な『像』だ。

 

「これが光の正体のようですね。確かに強い魔力を感じます」

 

ローブを身にまとった少年が象られた像。そこに備え付けられた宝玉のような意匠が、青い光を放っているのだ。

 

「……妙ね、この像。僅かだけど、神の力を感じるわ」

 

「本当か?それじゃあ、これは女神と何か関係があるものなのか?」

 

「そこまでは分かんないわよ。私だってこの世界で信仰されてる神を全員覚えてるとかじゃないし」

 

だが、手がかりである事には変わりない。

 

「ふむ、では、各々で一旦この部屋を隅々まで探索してみよう。何か、脱出の手掛かりが見つかるかもしれない」

 

「そうだな」

 

ダクネスの提案で、この部屋をそれぞれでくまなく調べる。

途中で珍しい遺物をくすねるのに夢中になっているアクアをどついたり、像を前に変なポーズを取り始めためぐみんを引っ張ったりと、いつもの如く色んな意味で難航した。

 

しかし、十分ほど探索した後。アクアが不意に例の像の前に立って、神妙な顔つきで何かを考え出したのだ。

 

「おい、どうしたアクア。いつになく真面目ぶった顔して……変な物でも食ったのか?」

 

「………」

 

だが、いつもの煽りにも反応しない。

そんなアクアの奇妙な様子に首を傾げた俺だったが、次に不意に腕を上げたアクアはその像の柱に手を近づけーー

 

「ほいっと」

 

何て軽い調子で触れて、プリーストが浄化を行う時と同じ神聖な光を放った。

すると、それと同時に遺跡が凄まじいに揺れに襲われ始めたのだ。

 

「のわぁ!?おいアクア!お前、今度は何やったんだ?」

 

明らかにアクアが像に触れた瞬間に起こった現象に、俺は石畳に膝をついて問い質す。

 

「え!?いやぁ、神の力を使えば何か起きそうな気配がしてたから、試しにやってみたんだけど……」

 

テヘッととぼけた様子で言ったアクアにイラっと来る。

 

「おい!?カズマ、それにアクア!凄まじい揺れだぞ、一体何があったのだ!?」

 

「またアクアがーー」

 

「やらかした」と、言おうとしたが次に起きた現象によってかき消される。

遺跡内に今度は凄まじい風が吹き出したのだ。それは宛ら暴風のような突風だ。

 

「ぐぉおッ!?今度は何だ…って、なんじゃこりゃあ!?」

 

見れば、像の宝玉が黒く染まっておぞましい光を放って、そこを中心にブラックホールのような大穴を空間に開けていたのだ。

 

「カズマさぁぁあん!吸い込まれる!吸い込まれるゥ!!助けてぇぇえ!」

 

「無茶言うな!こっちだって踏ん張るだけで手一杯なんだ!というか、女神なんだからこういう時こそ、その神パワーって奴でどうにかしろよ!」

 

「無理無理無理ぃ!ちょっとでも動いたら吸い込まれちゃうからぁ!!」

 

「こんの役立たずがぁぁああ!」

 

言い合いをしている間にも、遺跡の中を包む風は強くなる一方で、気がつけば俺、ダクネス、めぐみんもアクアと同じくブラックホールの目前まで吸い寄せられていた。

 

「どわわわわわわわわわわわぁぁああああ!?」

 

何とか遺跡の縁を掴んで耐えていたが、それもやがて限界が来る。

先に限界を迎えたのはアクアだった。

 

「うわぁああカズマさぁん!」

 

一瞬手を放して宙を舞ったアクアはブラックホールに吸い込まれる直前に、あろう事か俺のマントを掴んだのだ。

 

「うおぉおい!?何掴んでんだ離せ!離せっつってんだろうがゴラァ゛!!」

 

脚でゲシゲシとアクアを振り落そうとするが、アクアは涙目で悲鳴をあげる。

 

「嫌よ!離したらあたしが吸い込まれちゃうじゃない!だから蹴らないで、蹴らないでぇ!私達仲間じゃない!」

 

「おおそうか、仲間なら俺を道ずれにしようとすんじゃねぇよ!て、うおあぁぁああ!?」

 

真正面から飛んできた黒マント。そう思えば、ロリっ子の尻が俺の顔面に激突して鼻先に走った激痛と衝突の衝撃によって俺の手は縁から完全に離れた。

途端にスローモーションになる世界。俺、アクア、めぐみん、そしてダクネスはブラックホールへと一直線に吸い込まれていく。

 

「くそったれがぁぁぁあああ!!」

 

そうして、俺達四人は奇妙なブラックホールにあえなく吸い込まれてしまったのだった。




精神ぶっ壊れ太郎がかいたものです
マジでそんな深くは書いてません
見てくれる人が居たらもしかしたら書くかもくらいな奴です
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