この素晴らしいテイワットに祝福を!   作:グランドマスター・リア

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俺はまだ生きているぞ!!ジョジョぉぉぉおおおお!!

てなわけであじまる


この稲妻で衝撃の再会を

 

響くさざ波の音ぉ~。

かぐわしい花の香りぃ~。

 

とんでもない息苦しさから一転、訪れたのはまるでフワフワの揺り籠みたいな至福の感覚。誰かさん達のせいで、嵐に揉まれ、海に飲まれと最悪の体験をしたにも関わらず、今俺が感じている物はどうだろうか?

柔らかい、良い香り、そして鈴の鳴るような優しい声。何処の誰だか知らないが、俺にユートピアをくれてありがとう。例えこれが漂流のショックから見る夢境か、或いは本当に死後の世界の安らぎであったとしても、日々世界の不条理に叩きのめされまくっている俺にとっては身にしみる幸福だ。

 

でも、夢ってのはいつか覚めるもので、俺は人生で幾度となく味わった目覚めを予感する。

重たい瞼が薄っすらと持ち上がって、意識が徐々に明瞭になり始めたのを感じて、俺は大層微妙な心地を覚えた。

 

目を覚ましたら、きっとこんな安らかな感覚とはおさらばして、また当たり前のように『アイツら』が顔をのぞかせるに違いない。しかし、二度寝をする事もまた危険だ。何せ、例によって過去に無視を決め込んだ時、俺の身に襲ったのは耐え難い苦痛だったからだ。

 

「――――は、大丈夫――です」

 

「――マはもう――んで――さい。あとは―が……」

 

聞きなれない二つ声。途切れ途切れな会話が耳に入った時点で、俺の意識はすでに現実へと舞い戻ってきてしまっていた。

目覚めたくない気持ちとは裏腹に、もう二度寝が出来るような状態でもなかった。そんな風に目覚めたくない葛藤をしている間に、一つの足音が遠のいて俺の傍に誰かが座った。

 

「この時期にあなたの様な異邦人が現れるとは……これもまた、運命なのでしょうか」

 

今度はしっかりと聞き取れた。

それは俺が知る誰の声でもなく、そして誰よりも清楚かつ清廉さに満ちた声音であり、そっと額に柔らかな手の感触が触れた瞬間、俺はもう凄まじい勢いでバチッと目を見開き覚醒する。

 

「え?」

 

少女がそんな声をもらす。

 

目に映ったのは、空とも白とも取れる綺麗な髪に、あどけない美貌。

突然目を覚ました俺に目を真ん丸とする様は大層可愛らしい。オーケー、落ち着けサトウカズマ。まずは状況の確認からだ。

 

俺は稲妻に向かう航海の途中で、嵐の真っ只中だと言うのに船の外に出ようとした頭のおかしい変態(ダクネス)を止めようとした拍子に海へと投げ出された。その結果、嵐に煽られ、大海を漂流し、意識を失ったわけだ。

ぶっちゃけもう本当に終わったと思ったが、目を覚ますと知らない部屋、知らない天井、そして知らない清楚な美少女。

 

おっと、早まるなよ。まだだ、まだこの少女が見た目通りの人物と決まった訳じゃない。

俺はこれまで幾度となく見てきた。

抱いた幻想が意図も容易く破壊され、後に残された成れの果てを――

 

「良かった……意識が戻ったみたいですね」

 

着物姿で淑やかにそう言う姿は実に絵になる。

 

「………」

 

うん、グッジョブだわ。

 

改めて思う。この子は誰だろうか?

こんな子を見かけた事があったなら、忘れるなんて有り得ない。しかし、俺の記憶にはついぞ覚えがない。ハッ!まさか、これが例の『突如溢れ出す存在しない記憶』という奴なのか!?確かに思い返してみれば、この子は俺の事をお兄様と呼んでいたような気がしなくもない。

――※彼は漂流のショックと、期待を裏切られなかった驚きで正気を失っています。

 

アイリスという妹が居ながらなんたる不覚。

 

「……大丈夫ですか?何処か悪い所でも……」

 

しばらく固まっていて返事をしなかったからか、少女が心配そうに声をかけてきた。

ズバッと跳ね起きると、俺は渾身のキメ顔を作る。そして、さっと少女の手を取るとこう言った。

 

「この不詳サトウカズマ。どなたか存じませんが、あなたが俺を助けてくれたのですね?ありがとうございます」

 

「は、はい。それは良いですけど……あの、どうしていきなり手を?」

 

「おっと、これは失礼。目を覚ましたらあまりにも美しい女性が居たもので、つい……」

 

「はあ……」

 

困惑する姿まで淑やか。

これは確定だ。この子の中身は真っ当オブ真っ当の大和撫子。断じて、頭のおかしい爆裂脳だったりとか、ドM変態騎士なんて事は有り得ない。見た目通り、そう見た目通りなのだ。ここ大切、超大事。

 

「えっと、サトウカズマさんというのですね?私の名は神里綾華。何はともあれ、無事に目が覚めて良かったです」

 

神里綾華。

そう名乗った少女を前にして、俺はようやく自分にもツキが回ってきた等と思っていた。しかし、後にして思えばその思考こそ短絡的だったと言わざるを得ない。何故なら、この目覚めと出会いこそが、俺の異世界人生でも十本の指に入るほどの最悪の旅――『稲妻の旅』の始まりだったのだから。

 

 

 

*△+このすば+▼*

 

 

 

往日の日、新章開幕。

と、同時にクライマックス。

 

綾華の計らいで、その後食事を与えてもらった俺は彼女に事の経緯を話した。もっとも、密入国をしようとして漂流した事などはそれとなく伏せたが、綾華は部下に赤い鎧を纏った金髪の男『トーマ』を伴って俺の話を真剣に聞いてくれた。

そこまでは良かった。

彼女は俺の事を大層案じてくれたし、帰る手助けをしてくれるとまで言ってくれた。でも、この時点で俺は気付くべきだったのだ。何故、彼女は見ず知らずの漂流者である俺にここまでしてくれるか……

 

その理由はおずおずといった様子で話された。

そこから衝撃の連続だった。

 

何と、俺が流れ着いたのは稲妻の本土である『鳴神島』という場所で、更に俺が今居る場所も『神里屋敷』と呼ばれる所らしく、何か社奉行とかって言う偉い組織の本拠地らしい。そして、屋敷の名前からの察せられる通り、何を隠そう綾華はそのお嬢様。言わば令嬢って訳だ。

あの品のある雰囲気から薄っすらとそういった手合いだとは思っていたが、そこまでの立場だったとは思わず、先程自分が取った行動を糾弾されないかと終始汗ダラダラだった。

しかし、それすらもまだ驚きの始まりに過ぎなかったのだ。

 

「現在、稲妻が鎖国状態にあるのはカズマさんも知っていますね?」

 

「え…えぇ、まあ」

 

「私はあなたに必要以上(・・・・)の詮索を入れるつもりはありません。帰る為の手助けをするという約束も必ず果たします。ですが、その代わりと言ってはなんですが……少し頼み事を聞いてほしいのです」

 

畜生、まだ何かあるってのか?

助けてくれた人がお偉いさんの令嬢だったとか、流れ着いた先が稲妻の本土だったとか、もう色々とお腹いっぱいだ。確かに稲妻に密入国するのが目的ではあったものの、こんな展開は予想外だ。俺は稲妻の雷神に会いたいだけなんだ。いきなり魔神と戦わされたりだとかもうごめんだぞ?

 

内心ではそう思いつつも、綾華に恩があるのは確かだ。

そして、これからも借りを作ろうとしている以上、こちらも何かする必要はある。というのは、俺にも分かる。

 

「……分かった。そう言う事なら、俺も冒険者の端くれとして受けた恩は返すよ。頼みって何だ?」

 

どちらにしろアクア達の事も探す必要がある。頼みの内容次第ではあるが、稲妻での滞在時間を伸ばせると思えばそう悪い事じゃない。

 

「ありがとうございます。では、その内容についてですが……」

 

 

 

 

 

冒険者として活動している以上、それなりに無茶な事を何度もこなしてきた。

魔王軍の幹部を倒したりとか、デストロイヤーを破壊したりとか、魔神を撃退したりとか……俺が望んでいなくても、何故か厄介ごとの方からやってくる。時にはそのおかげで大金を稼ぎ豪遊する事もあれば、誰かさん達のせいでその金が全部吹き飛んだりもした。

そんな幸運なのか不幸なのか分からない冒険者人生の中では、綾華の依頼っていうのはまあそんな無茶な部類でもないのだろう。

 

「稲妻は鎖国によって外国人の往来は減ったが、それでも他国で大事などが起こればそれなりに情報は入ってくる」

 

場所は稲妻城の城下町。

様々な店が建ち並ぶそこを歩くのは、普段の冒険者姿から稲妻人の装いに着替えた俺と、綾華が一緒にとよこしたトーマ。

 

「これは冒険者協会からもらった情報なんだが、先の璃月で起こった魔神との戦いで、大きな戦果を上げた冒険者が居たって話だ。その名前は確か、お前と同じだった」

 

トーマはいい奴だ。

少し話しただけでも分かるように、言わずと知れた陽キャたるタルタリヤタイプ。

 

「さぁな、ご想像にお任せする。……まさか、綾華もそれ知ってるのか?」

 

「勿論。でも、お嬢はたったそれだけでお前に頼み事をしたんじゃないぞ」

 

「そうなのか?」

 

綾華からされた頼み事というのは至って単純なものだった。

――自身の代わりに社奉行の者として、トーマと一緒に稲妻の様子を観察し、報告してほしいというもの。いわゆる斥候的なやつだ。

 

「ああ、カズマも知っての通り今の稲妻は目狩り令を始めとした度重なる不幸によって、暗雲が立ち込めている。鎖国によって外国から来る者も極端に減って、そんな中で期を見計らったかのようにお前が来た訳だ。璃月の件も当然関係はあるが、お嬢が期待するのはそういった側面があるんだよ」

 

「そこまで言われて悪い気はしねぇけど……」

 

やると言った以上は手を抜いたりはしないつもりだが、アクアが傍に居ない以上死ぬのはダメだ。

幾ら俺の幸運があったとしても、それを上回る不幸なんて山ほどある。正直な気持ちを言うなら、出来ればやりたくはない。……とは言え、綾華が両手を握って「ありがとうございます」と言ってきたあの顔が忘れられないのも事実だ。俺はああいう泣き落とし的なものに弱いのである。

 

「で、最初は何処に行くんだ?」

 

腹を括るしかない。そう考えて、トーマに聞く。

密偵、斥候という程だから、貴族の家に潜り込んだりとか、やはりそう言うのだろうか?

 

「話が早くて助かる。まあ、今回は最初って事もあるし、そう難しい事じゃない。――実は最近、城下町に怪しげな三人組が奇妙な店を開いたらしくてな。それの調査をしてくるのが俺達の仕事だ」

 

「奇妙な店?そんなもんの事まで社奉行は取り仕切ってるのか?」

 

「いや、普段こういった事は天領奉行の管轄だ。でも、今回はその天領奉行がだんまりを決め込んでいてな。その店は噂によると、一週間前に何の前触れもなく突然開店し、店員は三名でその全員がこの稲妻では珍しい異国情緒の漂う風貌をしているそうだ。だが、天領奉行も特に取り締まる素振りは見せないと来た。おかしいと思わないか?」

 

「確かに……普通、そんな怪しい連中が突然店なんか開いたら、真っ先に取り締まられそうなもんだけど」

 

「だろ?外見風貌に限らず、売っている物まで奇妙って話だ。ここまで来ると流石に俺らも無視は出来ない」

 

なるほど、だから社奉行も念の為に調査に行くという訳か。

それに内容自体は簡単だし、最初の仕事にしてはピッタリのものだと言える。

 

「それにしても、異国情緒漂う三人組かー。因みに聞くけど、その三人ってどんな格好してるんだ?」

 

店とやらに着く前に少しでも情報を手に入れようとトーマに聞く。

だが、そこで返ってきたのは思いもよらないものだった。

 

「ふむ、俺も詳しくは知らないんだが……何でも一人は仮面を被った紳士服の男で、もう一人は紫のローブを羽織った女性、そして最後の一人が金髪の見目麗しい少女だって―――」

 

「おいちょっと待て、その三人って……」

 

俺は立ち止まった。

トーマが怪訝な顔をしているが今はそれどころじゃない。思考は驚愕に包まれ、胸中の困惑はまるで全てを察した瞬間のような大宇宙に吹っ飛ばされる。リピートプリーズ、仮面をつけた紳士に?紫のローブを羽織った女性に?金髪の見目麗しい少女?ハッハッハ、これは面白い冗談もといとんでもない偶然もあったもんだ。何せ俺はその特徴にピッタリの三人を知っている。

だが、その三人がこの城下に居るのはまず有り得ない。

そもそも世界が違うのだから居るはずがないのだ。

そう、これはきっと他人の空似。噂は噂、尾ひれが付いてる可能性だってある。

 

「おい、カズマ。どうした?」

 

聞かれて、俺は首を横に振る。

 

「あ、いや、何でもない。それより、早くその店に行こうぜ」

 

俺はさっさと行って確かめたかった。どうかこの合致が何かの間違いであってくれと……

 

 

 

「皆さーん!今日は便利な新商品が入荷しました!」

 

「是非ご覧になって行ってください!」

 

…………。

願いは容易く消え去った。

件の店まで来ると、待っていたのは往来に向けて元気よく客引きをする見覚えしかないリッチー(・・・・)に、見間違うはずもない我が妹にして王女様(・・・)。店の様相はまんまアクセルにあった某アイテムショップと同じで、薄っすらと店内には仮面を被った悪魔の姿が垣間見える。

 

「すぅ……」

 

俺は叫んだ。

心のままに――

 

「何でお前らがここにいんだぁぁあ!!」

 

遠き地稲妻には、何故かウィズ、バニル、アイリスの三人が居ましたとさ。




この話を書き直して計十回ほどでやっと稲妻編の構想が固まりました
絶対にフォンテーヌまでやりたいんです
あそこをカズマ達にギャグ大団円にしてもらうまでは!
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