身長2m28cmの大男、平成元年の日本に転生する 作:はるあき 007
一話目
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ギリシャ代表監督 アレクシオス・パパドプロス
「ついに戦力が整ったな」
52歳、引退してからずっとコーチ業を生業としてきた。
大学バスケ、国内リーグのヘッドコーチとして順調に経験を積み、今ではNBAのチーム”アトランタ・イーグル”でアシスタントコーチを務めることができるようになった。
しかも、現コーチの引退に伴って、来年からはヘッドコーチの座が確約されている。
コーチとしては頂点まで上り詰めたと言っていいだろう。
しかし、まだ成し遂げていないことがある。
国際大会でのメダル獲得だ。
前回大会までは戦力が整わず、ワールドカップでメダルを獲ることはできなかったが・・・今年は違う。
ついに強豪国と渡り合えるだけのロスターが揃った。
NBAで活躍する三人の選手、アンドレス、ニコス、ゲオルギオス。
全員、NBAではスタメン級の選手ではないが、ローテーション入りをしてそれぞれのチームを支えている。
特にゲオルギオスは長身と長い腕を活かしたリムプロテクト能力が評価され、シックスマン賞の候補に名を連ねた程の選手だ。
それに、ユーロリーグで活躍するチーム“アルテマ“のスタメンも全員参加してくれた。
かつてない程の層の厚さだ。
これほどのラインアップだ、国内ではメダルへの期待も高く、もし予選敗退で終わるようなことがあれば、俺は祖国に帰れないかもしれない・・
そう冷や汗をかいていた俺に、吉報がもたらされた。
同じ予選の組がフランス、カナダ、そして日本に決まったのだ!
フランスは正直手ごわい、負けてしまう可能性も十分にある。
しかし、カナダはダブルエースを務めるジェーソン、ミチッチがNBAのプレイオフで怪我をした。今大会は出てこないことが確定している。
むろん簡単な相手ではないが、今のチームなら押し勝つことができるだろう。
それに何といっても日本だ。
数十年ぶりにワールドカップに出てきたらしいが、小国も小国。
身長も低ければ身体能力もない。
容易に勝つことができるだろう。
そんなわけで、練習試合ではカナダとフランス代表を想定した練習に時間を割いた。
“アルテマ”のスタメン選手やアシスタントコーチは執拗に日本対策、特にダイ・シノノメなるエースの対策をするように言ってきたが・・全てはねのけた。
224cmの長身選手らしいが、NBAに来れていない時点で大した選手ではあるまい。
おおかた、身長が高いからハーフコート主体のユーロリーグで効果的なだけの選手で、スピードのある展開にしてやればついてこれなくなるだろう。
初戦の相手がカナダに決まり、私たちはカナダ対策により重点を置いて練習を繰り返した。
そして、その対策が効果を上げ、見事に初戦をものにすることができた。
これでフランスに勝つ必要もなくなった。
次の日本に勝てば本選への出場が決まる。
「ラッキーだな、ヘラの神に感謝を」
私はそう独り言ちた。
もう勝ちは見えている。
ホテルに帰って祝杯を挙げても良いくらいだ。
・・・だが、フランス代表とは本選で戦う可能性があるな。
念のため、次のフランスVS日本の試合も見ておくか。
そう思った私は試合の総括もそこそこに関係者席に移り、フランスと日本の勝負を見届けた。
「・・・なんだこれは」
目の前では、予想だにしなかった試合展開が繰り広げられていた。
インサイドではダイ・シノノメが豪快なダンクを決め、外からはサイトウブラザーなる選手たちがスリーポイントの雨を降らせている。
フランス代表もガード陣の身長を活かしてミドルシュートを中心に攻めていて、オフェンスはよく回っている様に見えるが・・・ほとんど対抗できていない。
理由は単純で、日本代表のオフェンスを全く止められていないからだ。
フランスが10点とる間に日本代表が15点とっている。
このままでは差が開き続けるだけだろう。
なぜ日本代表のオフェンスが止められないのか。
鍵はダイ・シノノメの卓越したプレイメイク能力にある。
彼がボールを持ったが最後、ポストプレイやドライブで確実に点を決めてくる。
1 on 1が強すぎるのだ。
そしてヘルプディフェンスやゾーンで対応しようとしても、空いている選手に的確にパスを出し、3Pやアリウープを決められてしまう。
シノノメのパスが上手いのはもちろん、他の選手のオフボールムーブも多彩で巧い。
最近流行り始めたモーションオフェンスだというのは分かるが、パターンが多すぎて対応が難しい。
何より、シノノメにディフェンスを二枚割く必要がある状況では、止めきるのは不可能に近い。
なんでこんないい選手がNBAに居ないのかと不思議に思ったが、なんと彼はまだ17歳らしい。
「・・・シノノメのデータを急いで集めろ!」
慌てた私はアシスタントコーチにそう指示を出し、日本代表対策を開始することにした。
ほれみたことかというアシスタントコーチの目線には腹が立ったが、優秀なスタッフ陣は用意していたかの様にスムーズな動きで、日本代表の戦術資料やキャッチアップ動画を用意してくれた。
私はそれを見ながら、丸二日かけて日本代表対策を立てた。
・・そして、戦略が決まった。
「ハーフコートで日本を止めるのは不可能だ。攻めを早くし、ディフェンスではガード陣にプレッシャーをかけ続けてボールをスティールしろ!トランジションとターンオーバーの差で勝ち切るんだ!」
ギリシャ代表の選手たちは私の指示通り動き、最高の仕事をしてくれた。
・・・しかし、こちらのトランジションオフェンスはシノノメにブロックを連発されて止められ、逆に速攻の先頭を走る彼を誰も止めることができなかった。
頼みの綱のガード陣へのプレッシャーは効果的に見えたが、スティールできそうになった途端、彼らはジャンプしてシノノメの方にボールを高くぶん投げ始めたのだ。
普通ならシノノメのマークマンがカットできるはずなのだが、彼の異常な身長の高さにスティールすることができなかった。
それどころか、そのボールをキャッチしたシノノメにダンクシュートを決められ続けた。
「そんなのありかよ・・」
結果は98-69の惨敗。
この負けは痛い、痛すぎる。
グループリーグ突破のため、もう負けが許されない状況になってしまった。
今日の試合のことは一旦忘れて、フランス代表の対策を練る必要があるだろう。
しかし、それよりもまずは・・
「やぁ、ニコルか。来年のドラフトでどうしても指名したい奴がいるんだ。今年タンクしているユタの指名権をどうにか手に入れられないか?対価は・・・」
GMに電話をして、来年の指名権の収集を依頼することにした。
体調を崩して投稿が遅れました・・
予選リーグはダイジェスト。
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リアルではユーロリーグが面白いですね。
来年のレイカーズが楽しみになりました。