身長2m28cmの大男、平成元年の日本に転生する   作:はるあき 007

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本日二話投稿
二話目



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17歳-11 (閑話)第三戦前の戦い

 

「ふー、食ったぜ!」

 

場所は大手ファミリーレストラン、ギャスト。

6種類あったモーニングメニューを2セットずつ頼んだ俺の目の前には、ハムや目玉焼き、ご飯やみそ汁、パンにサラダにスープと、和洋折衷な食事が所狭しと並んでいた。

ご機嫌な朝飯だ・・

やはりモーニングは良いな。

 

「今の日本代表は歴代最強と言えるでしょう。既に予選突破はほぼ決まりましたし、このままいけば、メダル獲得は確実だと思います」

 

後ろの席に座る女性の携帯電話の画面からは、そんなニュースキャスターの声が聞こえてきた。

・・・ワンセグ放送か、懐かしいな。

 

そう、このキャスターが言っている通り、日本代表の予選突破はほぼ確実な状況である。

フランス代表に20点差、ギリシャ代表に30点差で勝ったことで、たとえカナダ代表に負けても得失点差で決勝に進むことができるのだ。

まあ、カナダ代表に50点差で負ける様な事があれば予選突破が出来なくなるが、流石にそんなぼろ負けすることは無いだろう(フラグ)。

 

「いただきます」

 

俺はそう言うと、若干急いで朝食を食べ始めた。

 

カナダ戦の試合開始時間まであと2時間だ。

あまり直前に食事をすると消化にエネルギーを取られるからな。

出来れば、30分以内に食べ終えたいところだ。

 

というか、会場までタクシーで40分くらいかかるからな。

山田コーチには1時間前に集合するように言われているし、割とギリギリのタイムスケジュールだ。

選手村での朝食を断ってまでここに来ているのだ、遅れたら大説教を食らいそうである。

説教は食らわず、モーニングを食らわないと。

 

「ハフッハフッ」

 

俺はアツアツの朝食を掻き込みペースを上げた。

やっぱ味付けの濃い食事は旨いな。

選手村ではアレンさんの監修が入っちゃったおかげで、ヘルシーな食事しか出ないからな。

美味いには美味いのだが、偶にはジャンクなものが食べたくなるのだ。

 

とは言え、朝からラーメンを食べるほど愚かでは無いからな。

消化にそこそこ良く、それでいて若干のジャンキーさがある朝食。

これを満たすためにわざわざタクシーでファミレスまでやってきたのだ。

 

「ご馳走さまでした!」

 

そんな事を頭の片隅で考えながら食べ続けている内に、12食分のモーニングを食べ終えてしまった。

いやー、美味かったぜ。

通常であればここからドリンクバーでコーヒーやジュースを飲んで一服しているところだが、もう試合開始まで1時間半を切った。

流石に移動開始しないとまずいな。

 

そう思った俺は伝票を取り、財布を取り出して会計を・・・

 

あれ?

 

財布どこだ?

 

背筋に冷たい汗が流れる。

 

冷静な心を保ちつつジャージのポケットを全て裏返した。

出てきたのは、

 

「選手村の部屋のカギに携帯電話、タクシーチケット、テレビのリモコン・・・リモコン?」

 

まずい。

どうやら、寝ぼけた俺は財布と間違えてリモコンを持ってきてしまったようだ。

 

選手村まで30分、戻って1時間、会場まで40分。

計130分。既に試合は始まっているだろう。

・・・・

 

あれ、詰んだかこれ?

思わずテレビのリモコンを握り潰す俺だったが、

 

「やはり各国、東雲選手への対策が厳しくなるでしょう。なにせ・・」

 

後ろから聞こえてくるニュースキャスターの声で冷静になる。

 

そうだ。

今や、俺は有名人のはず。

 

身分を明かして頼めば、流石に支払いを待ってくれるだろう。

本人確認も、この高すぎる身長で大丈夫だろうし。

よし、そうと決まれば交渉開始だ。

 

俺は鍵や携帯電話を全てポケットに戻し、早歩きでレジまで向かった。

レジには可愛い髪留めをした店員さんが立っていた。

ばっちりと目が合う。

 

俺は申し訳なさそうな顔を作りつつ、伝票をお姉さんに差し出した。

 

「・・あの~、すみません。このお会計なんですが、実は「あ、はい!このお会計は既にお連れの方に支払って頂いていますよ!」」

 

・・?

お連れの方?

今日は誰もつれていないのだが・・

 

と、困惑して目線を左右に振ると、レジ横に【必勝!KURENAI JAPAN】【ギャストは日本バスケ代表を応援しています】というPOPが目に入った。

 

・・・なるほどね!

知らなかったのだが、恐らくギャストグループがスポンサーになったのだろう。

そして、店長かが気を利かせて、もしくは本部の指示で代表選手の食事を無料にしてくれていると見た。

 

「あの・・東雲選手ですよね!?今日の試合、頑張ってください!!」

 

状況整理をしていると、レジのお姉さんがエールを送ってくれた。

これはもう確定だろう。

 

「応援ありがとうございます。今日のカナダ戦も、確実に勝利してきますよ!」

 

俺はそう言うと、左手を軽く上げて歩き出し、クールに店を後にすることにした。

右手をポケットに突っ込んだらテレビのリモコンが当たり、慌てて右手も上げたせいで一瞬ジューク更家みたいな動きになってしまったが。

まあ、問題ないだろう。

 

食い逃げ犯にならずに済んだのだ。

それだけで100点満点である。

 

その後、俺はタクシーで試合会場に移動することができ、無事に試合前練習に参加することができた。

 

 

 

尚、試合には快勝した。

 

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