身長2m28cmの大男、平成元年の日本に転生する   作:はるあき 007

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14歳 中学の巨人

14歳になり、中学二年生に進級した俺の身長はついに212cmに達した。

小学生時代からの驚異的な成長は止まることを知らず、ますます目立つ存在となっている。

 

中学ではバスケ推薦がなかったため、近くの品川第八中学校に進学した。ここは、かなり荒れた中学校であり、校内では複数のヤンキーが派閥争いを繰り広げているらしいのだが。。。

誰も俺に絡んでこない。理由は簡単、この身長のせいだ。やはり自分より数十cm高い生き物に対しては、根源的な恐怖が宿るのだろう。

 

「おい、東雲、例の不良グループがまたあそこで騒いでるぞ。」

 

同じ施設の友人である三井くんが指さす方を見ると、今一番勢いがある(という噂の)不良グループが、校庭の隅で別の不良グループとにらみ合っていた。

気になるので少し見ていると、あちらも俺に気が付いたのか、しずしずと校舎裏の方へと消えていった。

 

…これはこれで少し寂しい気もするな。

 

 

 

いやしかし、不良のことはどうでも良いのだ。

問題は、何故か女子も俺に絡んでこないということだ。

イケメンであることは確実にプラスになっている筈なのだが、巨大すぎる体格が逆効果になっているようだ。

 

俺が女子に良く取られるリアクションとしては、

女子の軍団が数十m先にいる俺を発見

⇒イケメンがいると騒ぎながら近づいてくる

⇒数m付近まで近づくと静かになり、「デカくね?」などとこそこそ相談をし始める

⇒手の届く距離に来ると完全に沈黙し、口をポカンと開けながら東京タワーでも見学してるかのように首を90度上に傾けたまま脇を通り過ぎる

⇒感想を言い合いながら去っていく

という流れだ。。。

 

「東雲!ちょっと助けてくれ!」

 

「別に構わんが…」

 

結果、俺に話しかけてくれる人は施設の子達か、俺を対不良の盾として使いたい男子たちだけである。

まぁ、彼女を作るのはアメリカに乗り込むまで持ち越しかな。アメリカでは背が高ければ高いほどモテるらしいからな。それまでは、ボールが恋人だぜ。

 

 

 

さて、肝心のバスケについてだが、二次性徴が始まって急激に身長が伸びたり体が硬くなったりしたからか、ドリブルがまた少し下手になった。

 

しかし、シュートの精度は上がってきている。俺の身長と体格、そしてシュート力は中学バスケに置いても大きなアドバンテージとなっている。

もともと品川第八中学校のバスケ部は弱かったが、俺と品川エレファンツのメンバーが入ったことで急激に強くなり、昨年は東京都大会で準優勝を勝ち取った。

 

その影響もあってか、今日はスポーツ番組の密着取材が入るらしい。

さっそく、取材陣が到着したようだ。

 

「こんにちは!品川第八中学校の東雲大君ですね。今日はよろしくお願いします。」

 

佐々木レポーターは明るい笑顔で挨拶してきた。彼は俺の体格に圧倒されつつも、プロフェッショナルな態度を崩さない。

 

「はい、よろしくお願いします。」

 

「近くで見ると、改めて驚異的な体格ですね、東雲君。昨年の成績も素晴らしかったですが、今年はさらに期待が高まります。」

 

「ありがとうございます。昨年は良い経験になりました。今年も頑張ります。」

 

俺は基本的に、好青年っぽくなるように回答している。プロになった暁には、観客やメディアに好かれる必要があるしな。

ファンあってのプロだし。

今日はその予行演習だ。

 

「ところで、田淵選手がNBAに挑戦するためにアメリカ独立リーグに入ったことについて、どう思いますか?」

 

お、早速プロバスケに関する質問が来たな。

田淵選手がNBA選手になる事は既に知っているのだが、、

 

「田淵選手の挑戦には本当に感銘を受けます。彼の努力と情熱は見習うべきものですし、僕も彼のようにNBAを目指して頑張りたいです。」

 

俺は当たり障りのない回答をした。

ここで彼は必ずNBA選手になりますよ!、なんて予想しても意味ないしな。

しかも万が一、俺が転生したことによる未来改変で、NBA入りしないなんてことになると恥ずかしいし。

この手の予想は断言してから外した時が、一番かっこ悪いからなぁ。。。

 

 

さて、取材の一環として、バスケ部での身体計測が行われることになった。垂直飛び、100m走、そして長距離走のテストだ。

カメラが回る中、俺は全力を尽くした。

 

「まずは垂直飛びからです、準備はいいですか?」

 

「はい、大丈夫です。」

 

俺はそう答えると、腕をバックスイングしてひざを曲げ、全力で飛び上がった。

腰に付けた距離計の指示値をみると、105 cmと表示されている。

 

「おおっと、これは凄い!東雲君、垂直飛びで驚異的な高さを記録しました!」

 

「ありがとうございます。」

 

そう答えると、次の100m走のスタート地点へと向かう。

その後も好記録を連発し、俺は佐々木レポーターのリアクションを楽しむことができた。

 

「それでは東雲君、最後に今後の目標について教えてください。」

 

「全国大会で優勝し、将来的にはNBAで活躍することです。田淵選手のように、世界に挑戦したいです。」

 

こうして、密着取材を通じて、俺の身体能力や目標が多くの人に伝わった。

そして、俺の好青年っぷりも全国の視聴者に伝わったことだろう。。。

誰か、アメリカへの渡航費用出してくれないかな?

 

 

 

 

 

@日本バスケットボール協会にて

日本バスケットボール協会の会議室では、熱い議論が交わされていた。テーマは一つ、212cmの怪物、中学二年生の東雲大選手をどのカテゴリーに配属するかだ。

会議室にはU18の監督である山田と、U15の監督である佐藤が座っていた。元日本代表の先輩後輩であり、非常に仲の良いことで知られている。

 

「おはよう、佐藤くん。今日は東雲選手の話だね」

 

「おはようございます、山田さん。ええ、彼の才能は凄まじいものがありますからね。」

 

そんな言葉とは裏腹に、二人はにらみ合うようにして険悪な雰囲気をつくりながら握手をして、再び席についた。

 

「東雲君はすでに212cmの身長を持ち、身体能力も非常に高い。ぜひ彼をU18に入れて、即戦力として使いたいと思っている」

 

山田は力強い口調で宣言すると、ホワイトボードに赤字で「東雲⇒U18」と書き込んだ。

 

「いやいや、それは無理ですよ山田さん。彼はまだ14歳です。U15でじっくり育てるべきです。早すぎるステップアップは逆効果になるかもしれませんよ。」

 

佐藤はそう反論すると、ホワイトボードの文字を消し、「東雲⇒U15」と書き込む。

 

「いやいやいや、彼の能力でU15は勿体ないよ。彼のパフォーマンスは全国大会でも証明された通りだ、すでに超高校生レベルの実力を持っている。U18で彼を鍛えれば、さらに大きく成長するだろう。それに、前にやってたスポーツ番組見ただろう?あの身長で、垂直飛び105cm、最高到達点は380cmだよ?NBA選手だってあんなに飛べないよ」

 

山田は力強い口調で反論すると、ホワイトボードに「東雲⇒U18、超高校級」と書き込んだ。

 

「確かに彼の実力は素晴らしいですが、まだ精神的にも肉体的にも成長段階です。過度なプレッシャーを与えるのは危険です。私ももちろん身体計測の結果は見ましたが、NBA選手に匹敵する身体能力を持っているからこそ、大事に育てるべきなのです。彼はあの体格で100m走が11秒だったんですよ!?あの巨体であれだけの速度を出すと、足首にかかる負担は相当なもののはずです。無理をさせれば怪我をします。将来NBA選手になって貰うためにも、ここでの怪我は禁物です」

 

佐藤はホワイトボードに「東雲⇒U15、怪我・ダメぜったい」と書き込んだ。

 

「甘いな佐藤君。NBA選手になってほしいからこそ、低いレベルの試合に出すべきじゃないんだ。彼が力をセーブすることを覚えてしまうのは、日本バスケ界にとって取り返しがつかない損失だよ。U18の世界大会でハイレベルな競争をさせ、彼の潜在能力を最大限に引き出すことこそが、後に大きな財産になるんだよ」

 

山田はホワイトボードに「東雲⇒U18、チャレンジ!」と書き込んだ。そしてその瞬間、佐藤がまったをかける。

 

「いや,あなたU18の大会でアメリカにダブルスコアで負けて世間から叩かれたからって、チームを補強しようとしてるだけでしょ!?きちんと東雲選手のことを考えろ!」

 

「なんだと!?それを言うならきみもU15のアジア大会で中国に敗れて、世間からさんざん叩かれてたじゃないか!?」

 

「あれは東雲選手をU13に取られたからですよ!」

 

「ほら、君も東雲選手を取って勝ちたいだけじゃないか!というか、U13の試合見たらわかるだろ?相手選手はもはや彼のリバウンドやダンクを棒立ちで見てたぞ!年齢相応の環境に行ってしまうと、彼は強くなれないんだ!」

 

「いやいや、そりゃ詭弁ってもんですよ!」

 

「なにを!?」

 

「何ですか!?」

 

二人はホワイトボードそっちのけで口論をしており、もはや罵りあいの様相を呈してきている。

そして、互いに一歩も譲らないまま議論は白熱していき、会議が始まって二時間以上が経過した。。

 

しかし、最終的には協会のトップが仲裁に入り、以下のように決定された。

 

「両監督の意見はよく分かりました。東雲君の成長を考え、まずはU15の代表合宿で基礎を固め、健康的に問題が無さそうなら必要に応じてU18の国際大会でのプレーも検討するという形でいきましょう。」

 

トップが下した決定に両監督はしぶしぶと納得し、会議は終了した。

この瞬間、東雲大がU15とU18、二つの国際チームを渡り歩くことが決定した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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