勇者と共に魔王を討ち滅ぼした剣士が追放されるよくある話 作:社畜だったきなこ餅
その結果どんな具合になったのか、そんな話です。
それと趣味で無理やりお風呂回。
神殿騎士メルトをリリフィア達が仲間に加えた事により、パーティ全体の立ち回りが大きく変更された。
しかしその変更は非常に前向きな方向性での変更でもあった。
従来のリリフィアとファムとラースの3人で動いていた際は緊急時にファムをカバー出来るよう、ある程度まとまって動く必要があった。
しかしカバーの為とは言え、ファムが前線に近づくという事は相応のリスクが発生する事と同義であると共に、彼女が持つ高精細かつ広範囲へ行使する攻撃魔法の運用に制限がある状態に陥っていたのだ。
いっそファムを安全な後方に配置するという案もその時出た事はあるも、口の悪いラースが首から上以外へっぽこと称されるファムを庇えない位置に置くのは心理的によろしくないという事でその案は却下された。
ちなみにラースが発言した内容については流石にあんまりだという事で少女二人にラースがこっ酷く叱られた事は、言うまでもない。
だがしかし、超重装甲な神殿騎士であるメルトが加入したことで戦術が大きく改善された。
まず最前線にラースとメルトを配置、中間にリリフィアを配置、そして後衛にファムを配置するという編成が出来るようになったのである。
これが思った以上に戦術としてしっくり来たというのも大きいと言えよう。
「ここも空振りか」
「教祖って人、出てこないですね」
ギルドや神殿で得た情報を下に向かった邪教徒の拠点、その中にいた魔物や襲い掛かって来た狂信者の返り血に塗れた長剣を血振りして軽く拭った後に鞘に納めたラースは呟く。
メルトが合流して早一か月が過ぎ、幾つもの拠点を潰しているラース達であるも強化された魔物こそ現れどメルト達が遭遇したという教祖に未だ会う事は叶わずにいた。
「ダメですね、保管された書物類にも特に情報は見当たりません」
万が一に備えメルトに傍に控えてもらっているファムが、片っ端から拠点の中にある書物を流し読みしては選り分けて一部を自身の魔法格納空間へ仕舞っていく。
情報の手がかりこそないが、興味深い書籍や魔導書はあったので持ち帰るつもりらしい。
「でもコレが破壊の邪神の似姿、なんですかね? こう、見てて背筋がぞわぞわします」
決戦の舞台となった拠点の奥にある祭壇がある広間、その広間の壁にかけられた大きなタペストリーを見上げリリフィアは何とも言えない顔をして呟く。
そのタペストリーに描かれていた姿、それは無数の触腕が生えた闇の集合体のような異形の塊というどの魔物にも類似項が見当たらない特異な姿をしていた。
「そうだな、流石の俺もこんな異形は一度も見たことがない」
リリフィアとが見ているタペストリーに視線を向けたラースもまた勇者である少女の言葉に同意を示し、仮に相対するとなった場合どうしたものかと思案する。
ラース達が魔王を討伐した旅路においても生理的嫌悪感を掻き立てる化け物は幾つも居た、しかしこのような不定形の代名詞のような存在は戦った経験がないようである。
「で、魔物の死体はまぁまとめて焼いておくにしても。狂信者共の死体はどうする?」
「このままにしておくのは忍びないですし、弔ってあげましょう」
「結構数多いぞ、めんどくせぇ……」
この苦痛に満ちた世界は一度破壊しつくされなければならんのだ、と叫び襲い掛かって来た拠点の責任者と思われる狂信者の死体を足先で突くラース。
そのようなラースの行動にリリフィアは死者を冒とくするのは良くないです、と口をへの字にしてラースの行動を止める。
ラースからして見たら魔王の軍勢が絶えず攻め寄せ、人類の明日も確かではない場所に比べたら天国極まりないこの世界で何寝言を言ってるんだこの狂信者、という感情しかなかった為。
良い子過ぎるリリフィアの先行きが心の底から心配になる。
「お嬢ちゃん、お前……なんか可哀想な身の上話に騙されて大金恵んでそうだな」
「あのラースさん、バカにしてません?バカにしてますよね?!」
「ご安心をラースさん、このポンコツは既に何回も騙されてます」
「……勇者殿、善良である事は美徳。されど詐欺にまでお金を出すのは感心しない」
ラースがぼそりと呟いた言葉を聞き逃さなかったリリフィアは、私はそこまで愚かではないですと強く主張する。だがしかし。
リリフィアが幼い頃から仕えているファムは、言葉巧みにリリフィアの同情を誘いお金をだまし取った人間は存在すると言えばメルトは言葉を選びつつやんわりとリリフィアを窘めるのであった。
「まぁお嬢ちゃんがポンコツで騙され易いのは良いとして、前から思ってた騎士さん。お前さん面白い障壁の使い方するよな」
「……面白い、とは?」
「いやだってお前さん、普通障壁って自分や仲間の前に展開するものだろ。それを……」
酷くないですか?!とぴょんぴょん跳ねて抗議するリリフィアを黙殺しつつ、この一か月共に戦って日頃から感じていた所感をラースはメルトへ告げる。
唐突にそんな事言われたメルトは、はて?と首を傾げラースに真意を問う。
メルトの問い返しにラースは、広間の中に転がっている超重量物に真正面から圧し潰されたかのような魔物の死体を指さすと。
「相手の背後に強固な障壁作って、その障壁とシールドチャージでサンドして圧し潰すとか普通ないだろ」
ラースが指差した場所にあるオークの死体は、でっぷりとした体だったと言っても信じられないぐらいにぺちゃんこになっていた。
メルトが得意としている戦術を図解にすると、このようになる。
障壁| □<出す場所間違えてやがる! 盾
障壁| □ 盾=3
障壁|[]盾
「そんなデカすぎる盾、攻城戦とかでしか見た事なかったぞ俺……」
「……重く巨大な盾は時に武器にもなる」
「知っているが限度はあるだろ限度は」
最初期から考えればそこそこ打ち解けてきたラースとメルト、互いに軽口のようなやり取りをしつつ手際よく死体を片付けていく。
こういう時力仕事は苦手はファムは手持無沙汰となる為、リリフィアと周囲警戒や他に手がかりがないか探すと言った役割分担が4人の中で定着していた。
そんなこんなで今日も今日とて邪教の動きを掣肘するという意味では成功したが、ラースの目的としては空振りにおわった邪教徒拠点への襲撃。
4人は最近拠点として馴染んできたフォレスティアの町に戻ると、4人共に武装を手入れした上で宿に置いて一つの施設に集まる。
「じゃ、また後で合流しようや。出たら飯でも行こうや」
「そうですね、美味しくて量が多いお店に行きましょう!」
「メルトさんが見た目通り食べますからね」
「……すまない」
ラフな格好をしつつ腰には使い古した長剣を提げたラースが3人の女性へ声をかけると、一足先に施設へと入っていく。
残された三人もまた和気藹々と言葉を交わしながら施設の入口から中へ入る。
4人が訪れた施設、それは豊富な水源が流れ込むフォレスティアの町ならではの温めた湯で体を清める事が施設とは……。
そう、平たく言うならば銭湯である。
「……リリフィア、また大きくなってませんか?」
「そうなんだよね、ファムちゃんみたいに小さいほうが動き易いのにさー」
「嫌味か?嫌味なんだなこのポンコツぅ!!」
3人の女性がきゃいきゃいと賑やかに談笑しながら衣服を脱ぎ、ふるんっと大きく揺れながらリリフィアの下着の下から現れた山にファムは思わず自身の大平原の平たい胸を見下ろしながら、羨ましそうに呻く。
だが羨ましがられた少女、リリフィアと言えば心の底から大きくて邪魔だと述べた上に悪意無くファムの大平原を羨ましがり、その無邪気な羨望は平たい胸族であるハーフエルフの逆鱗に触れた!
そんな二人のじゃれ合いを横目に、仲良きことは良きことかなと若い身空でありながら老成した感情を抱きつつボディスーツ状内鎧を脱ぐメルト。
そうして現れたブツは、山を越えた巨大山脈であった。
「でっか……」
「すっご……」
偶然居合わせた町の住人である女性が思わずつぶやく大きさ。
リリフィアの胸をリンゴとしたら、メルトの大山脈はメロンを超えたスイカの領域に到達していた。
「……入らないので?」
「あ、うん、そうだね!」
見慣れた筈なのにメルトの大山脈に圧倒されているリリフィアとファムの様子に、メルトは心から不思議そうにしながら浴場への扉に手をかける。
メルトの言葉に我に返ったリリフィアは慌ててメルトに続き、悲しそうに自身の大平原をぺたぺたと触っていたファムも無言でそれに続く。
ファムは自分の年齢はエルフ基準で言えば少女どころか幼女なので、まだまだ成長の余地があると自身に言い聞かせる。
だがしかし無情な事にハーフエルフとしては成長がほぼ見込めない成人扱いの年齢であるため、彼女が自身に言い聞かせているのは欺瞞でしかなかった。
そして浴場へと足を踏み入れた、大・巨・無とバリエーション取りそろえた見目麗しい女性達はかけ流しのお湯で体を軽く洗った上で持ち込んだ石鹸で体についた汚れを入念に落とす。
ちなみにメルトはブラシも持ち込んでおり、無表情な中に気持ちよさそうにしながら自身の角や尻尾を丁寧に洗ってたりする。
その後体についた泡を洗い流せば、待ち望んだ清潔な湯が張られた浴槽に漬かる時間の到来。
三人は思い思いの吐息を漏らしながらちゃぷりと水音を立てて浴槽に漬かり、その顔に至福の表情を浮かべる。
「この町は水源が豊富なおかげで、常に清潔な湯に入れるから素晴らしいですねぇ」
「王都とかの銭湯のお湯は汚いんだったっけ?」
「店の者も気を使ってはいるようですが、いかんせん水の入れ替えと客入りが追いつかないそうですよ」
はふぅ、と幸せそうな吐息を漏らしながらしみじみと呟くファムの言葉にリリフィアが質問すると、ファムは普段の彼女らしからぬだらしない顔つきのまま質問に答える。
その回答にリリフィアは大変なんだなぁ、と呑気に呟きながら湯船の中で軽く体を伸ばす。
彼女が王都にいる時は殆ど家が所有する別邸から外に出れない為、そういう町の事情には疎いのである。
「そう言えばメルトさんの故郷はどんなお風呂があったんですか?」
「……故郷ではこういう湯に入る事は滅多にない、蒸気風呂が主流だった」
「サウナ、というヤツですか。最近王都でも流行り始めたヤツですね」
リリフィアの質問に対して瞳を閉じてじっくりと湯を堪能していたメルトは、薄っすらと目を開けて質問に答える。
ちなみに何がとは言わないが、大山脈はお湯に浮いており立派な北半球が見えている。
リリフィアの山も浮いてはいるが、メルトの大山脈ほどの法外な浮き方はしていない。
「サウナかぁ、入ってみたいなぁ」
「御父上にねだったら案外作ってくれるかもしれませんよ」
「……気持ちよい入り方は幾つも知ってる、そのうち教える」
無法極まりない格差こそ広がっていたが、一か月共に戦いこうやって裸の付き合いを続けたおかげか3人の仲は良好なのであった。
一方そのころ、赤毛の剣士ことラースは。
「あ゛~~……風呂上りに呑むキンッキンに冷えたエールとかもう、ダメだろ」
さっさと体を洗い終わり風呂が長い女性陣を待つ間、銭湯に併設された酒場で蒸かした芋とキンキンに冷えたエールでご機嫌になっていた模様。
女性陣の体型イメージ
リリフィア:小柄だがぼんきゅっぼんとメリハリ付いたドスケベボディ
ファム:小さくて平たい生き物、略してちいひら
メルト:めろ〇先生の描く色んな場所が大きな女騎士