勇者と共に魔王を討ち滅ぼした剣士が追放されるよくある話 作:社畜だったきなこ餅
女としての魅力は壊滅的だが、幼い見た目と愛くるしい容貌から庇護欲と加害欲を誘うハーフエルフのファム。
大柄であるが女体の暴力と言わんばかりの超ド級のスケベボディを持つ竜人のメルト。
こんな極上な女性3人に囲まれたラース。
当然、妬みや嫉みはあるわけで……。
男が見目麗しい乙女に目を魅かれ、そして恋心を抱く。
どの世界何時の時代においても割と不変と言える法則、状況に置いて美醜感覚に差異こそあれどその時に美しいとされる存在が異性に言い寄られる事は必然であった。
そして赤毛の剣士、ラースが所属しているパーティはラース以外全て見目麗しい少女や乙女である。
パーティのリーダーであるリリフィアは対外的には凛とした勇者として振る舞いつつも、心を許した相手には無邪気に甘える少女性も持ち合わせており。
同年代の少女に比べ若干小柄ながら、豊満と言えるほどに発育した胸と男の目を誘う尻と太腿に目を向ける男性は後を立つことはなく。
少しの善意を織り交ぜれば簡単に騙せそうという雰囲気も関係し、リリフィアに邪な感情を抱く男は意外と多い。
そしてそんな無防備な勇者少女リリフィアを立ち居振る舞いで庇っているハーフエルフの魔術師であるクーリエの森のファムもまた、男の目を引く外見を持っている。
幼い少女のような背丈と体格をしており女として見る男はごく一部であるものの、その庇護欲を誘う愛らしさを快く思っている男は数多い。
中には幼い少女にしか劣情を抱けない輩に狙われ、身体能力が劣る事から攫われそうになった事が実は何度かあるが、そのたびに阻止されている。
更にそこに竜人の神殿騎士メルトが加わったものだから、男の目は絶えず誰かしらに向けられるという状態であった。
何せこのメルトという神殿騎士は珍しい竜人という種族である事もあるが、何よりも目を引くのはその大きな体とそれ以上に特徴的な大きな胸である。
大柄な人間の成人男性以上に大柄なその体に合わせたかのようなその大きな胸に、体を支える為に進化したかのような下半身。
冒険の時以外は超重装の鎧を脱ぎ、ボディスーツ状の内鎧と上着という格好をしている事も影響していた。
そんな極上の少女と女の集まりに紛れ込んだ人間の男性剣士、やっかみが起こらないわけがなく。
「おいアンタ、ちょっとこっち来いよ」
「んあ?」
パーティ内で調整し決定した休養日、女性三人の集まりに参加する気もないラースが一人酒場でのんびり食事をしている昼下がり。
蒸かした芋を潰し角切りにした塩漬け肉を混ぜたモノと、カリっと焼き上げた腸詰肉をもそもそ食べているラースに若い男性冒険者の集団が声をかける。
不機嫌そうにラースがそちらへ視線を向ければ、多少腕に自信がありそうだがこの二か月ほどの間に一度も見た覚えのない冒険者達がそこにいた。
「俺はお前らに用なんてないぞ、頼み事あるなら飯終わってからにしろ」
「おい、こっちは手荒に出てもいいんだぜ?」
「出来るならな」
親友達と魔王を討つために旅をしていた頃はよく見た冒険者のタイプに、ラースは内心郷愁を抱きつつやっぱこの手の連中鬱陶しいわ。などと考えるも食事を止める様子はない。
そんな赤毛の男の様子に冒険者達のリーダー格は目を吊り上げると、背後からラースの頭めがけて鞘に入ったままの剣を横から叩きつけようと振るう。
突然の蛮行に酒場の店員や周りの冒険者が止める事も間に合わず、ラースの後頭部が後ろからはたかられそうになるが……ラースは視線を向けることなく頭を前に倒して暴力を躱す。
「あまりやり過ぎると今後の仕事にも差し支えるんじゃないか? 今の冒険者は信用とかが第一なんだろ?」
「う、うるせぇ!!」
男達へ視線を向ける事なく、心底面倒臭そうな声で男達に告げながらラースは腸詰にフォークを突き刺し口へ運んで食事を続ける。
その自分達なんて眼中にもないと態度で示しているラースに、リーダー格のみならず男の仲間達まで色めき立つ、しかし。
「おいアンタら、どこで活躍してたか知らんがそのぐらいにしとけよ」
「そうだにゃ!これ以上暴れるなら出禁にしてやるにゃ!!」
「……っち!」
男達の傍若無人な振る舞いに我慢できなくなった、まだ駆け出しの部類でありながら一人の冒険者が声を上げ。
店員である猫獣人もまた毛を逆立たせながら怒りを露わにし、店員にその権限あったっけと他の冒険者が疑問を浮かべるような事を男達へ宣告する。
短絡的な行動を起こした自分達に非がある事を理解したのかしてないのか不明だが、旗色が悪い事だけは理解できた男達のリーダー格は舌打ちするとラースが座っている椅子に後ろから蹴りを入れ。
乱暴に足音を立てながら酒場から出ていくのであった。
「何だよアイツら……ラースさん大丈夫ですか?」
「そうだよ、ラースさん化け物みたいにつえーんだからアイツらなんて捻ってやればよかったのに」
流石に座ってる椅子を蹴られては回避できなかったラースが、衝撃でフォークに突き刺した腸詰が飛んで行って床に落ちた事を悲しそうにしていると。
ラースと顔見知りである若い冒険者達がラースに近づく。
彼らの大半は2か月ほど前に起きた大規模ダムのオーク襲撃を生き延びた若者達であり、ラースと彼の仲間達が起こした戦果を目の当たりにしているが故にラースへ一定の尊敬を向けていた。
中にはラースがふらりと出かける狩猟任務でコキ使われたモノもいるが、そういう若者もラースの強さだけは認めているようである。
「あんな連中相手にするだけ無駄だろ」
「でもお客さん、あいつらが武器抜いてたらどうしてたにゃ?」
「二度と冒険者なんてできないぐらいには痛めつけてたな」
床に落ちた腸詰の代わりを運んできた店員がそんなことをラースに尋ねれば、ラースは顔の周りを飛び回る羽虫を潰すかのようなテンションで言い放つ。
その言葉を聞いて店員の猫獣人は、あいつら運がよかったにゃねー。と言いながら厨房へと引っ込んでいった。
「でもあいつら何だよ、あんな連中フォレスティアで活動してたっけ?」
「あ、思い出した。あいつら前冒険者ギルドで受付ちゃんに絡んでたわ、王都で大活躍してたとか吹聴してたぞ」
「なんでそんな腕利きがこんな辺境にきてんだよ」
ラースが期せずして新たに運ばれてきた出来立ての大盛り腸詰に、わかりにくい満面の笑みを浮かべながら味わうのを見て若い冒険者達は解散。
そのまま思い思いの席に座り直して雑談に興じる、話題のタネは勿論先ほどもめ事を起こした連中の事だ。
「ごちそうさん、代金だ」
「まいどありだにゃー、あ。店長からはお代わりの腸詰代はタダでよいって許可もらったにゃ」
「許可を出す前に出したのかよ、イイ性格してるな」
普段と変わらない様子で店員に代金を払ったラースは階段を上がり自室へと戻っていく。
そしてラースが上に上がりきったのを見届けた冒険者達は、口々に話し出す。
「けどちょっとガッカリだよな、オーク襲撃の時あんだけ啖呵きったラースさんがあいつら見逃すなんて」
「アレだよアレ、達人は小物なんて相手にしないとかそういう事じゃね?」
「だけどよぉ……」
「おい!ラースさん降りてきたぞ!」
ラースのさっきの態度にがっかりした、と言わんばかりの口調で話す仲間を窘める冒険者。
そしてその言葉に対し反論しようとしたところで、またラースが上から降りてきたので若い冒険者達は慌てて口を噤む。
「んあ? どうしたんだお前ら、そんな神妙に押し黙って」
「い、いやなんでもないです!!」
「変な奴らだ」
使い古された長剣を腰に提げて降りてきたラースの姿に、若い冒険者たちは一様に押し黙る。
先ほどの会話を聞かれてたら、何を言われるかわかったものではないからだ。
若い連中の様子にラースはふーん、と呟くと不機嫌そうな足取りで酒場を出ていく。
その後ろ姿を見届け、今度こそ戻ってこないよなとか思いつつ冒険者の一人が口を開いた。
「な、なぁ……ラースさんって普段町に出る時、剣持ち歩いてたっけ?」
「い、いいや持ち歩かねえよな。流石にさっきのアレがむかついたから適当に狩りに行くんじゃね?」
「それなら、俺達を無理やり動員して獲物運ばせるだろ。前みたいに」
未だに魔法格納は手に入らない事にボヤいているラース、仲間達も自身の格納に狩りで獲た魔物を入れる事を嫌がられることから狩りに行くときは酒場で暇している若者を連行することが常態化しているのだが。
今回はそれすらない事に、若者たちはまさか、と思いつつもその先を言うこと無く顔を見合わせる。
余談であるが狩りの際連行された若者には相応の分け前がある為、死ぬほど疲れる事を除けば彼らにとって有難い臨時収入になっていたりする。
一方ねぐらである酒場から出てきたラース、彼が何しているのかと言うと……。
適当に町の中を練り歩いた後、自身に向けて殺気を向けてくる一団を察知するや否や町の外へ向けて足を運ぶ。
時折背後へ振り返り、物陰に潜みこちらに殺気を向けてくる一団に嘲るような笑みを向ける事も勿論忘れていない。
そのような行為を続け、やがてラースは町の外にある森の奥の木漏れ日が差し込む広場でラースは足を止める。
そろそろいいか、などと思いつつラースは長剣を抜き放ち背後から飛来した矢と魔法の火球を同時に切り払った。
「見え見えの挑発に引っかかるとか、お前ら本当に腕利きか?」
「うるせぇ!随分コケにしてくれやがって、ぶっ殺してやる!!」
ラースの視線の先から現れたのは6人ほどの男のみで構成された冒険者の一団。
前衛4に後衛2と行った所か、とラースは一目で編成を看破しつつ心の底からうんざりした表情を一団へ向ける。
「そもそもお前らなんで俺に因縁つけてきたんだよ、何か邪魔とかしたか?」
「ハッ、あんな極上な女3人侍らせてる男が何言ってやがる!」
「……え? マジで? もしかしてお嬢ちゃんら口説くのに邪魔とか、そんな理由でお前ら俺に因縁つけたの?」
そして目的を問うてみれば返ってきた想定の斜め上な回答に、思わずラースはハイレベルなアホを見るような目を冒険者の一団へと向ける。
しかし、その視線はすぐに殺意を込めたまなざしへ変わる事になる。
「口説くだぁ?人質取って肉便器にしてやるに決まってんだろうが」
「あんな良い子ちゃんなら人質は無視できねえし……最初は嫌がってても、クスリ使えばすぐにアへアへ言うからな!」
一団は自身が放った言葉にラースが放つ空気が変化したことに気付くことなく、好き放題欲望をまるで自身の戦果を見せびらかすように語る。
やれ仲良しこよしな男女の幼馴染相手に、男の目の前で女を玩具にしてやっただの。
駆け出しの女冒険者なんてカモだし、飽きたら足の腱を斬って魔物の巣穴に放置すればいいだの。
「女の受付も一晩マワせばいくらでも便宜図らせられるんだぜ、こんな楽な商売はねえ!」
「そうか、だがその様子だとその自慢の手腕がドジって都落ちしたってところか?」
上機嫌に語っていた一団のリーダーの言葉に冷や水を差すラースの言葉に、一団のリーダー格は顔を真っ赤にして殺意にぎらついた目をラースへと向ける。
「なんだその目、先ほどべらべら気持ちよく話してた辺り俺を生かして返す気はないだろうが」
「……ぶっ殺す」
御託はいいからこいよ、と右手で長剣を持ち左手で男をちょいちょいと手招きするラースにリーダー格は振り切れた殺意が導くままに。
初見相手にはほぼ確殺をしてきた自慢のスキルを発動、音を置き去りにしながら手に持った大剣でラースを一刀両断すべく飛び掛かる。
全身鎧を着こんだ相手すらも一撃で屠る一刀は、悠然と構えたラースへと襲い掛かり。
「技の入りも遅ければ剣に殺意乗せすぎとか、お前舐めてんのか」
心底どうでも良いと言わんばかりの表情を浮かべたラースに、身をずらすだけで回避され。
帰す刃でリーダー格は逆袈裟に切り裂かれ、その体を二つに分かちながら何が起きたか理解する間もなく絶命した。
自身に旨い汁をいつも吸わせてくれたリーダーが、まるで子供をあしらうかのように殺害されて硬直する一団。
だが彼らが逃げるかラースを仕留めるか判断する前に、ラースは既に動き出していた。
ラースを狙った武器や魔法は一度もラースの体に当たらず、ラースが剣を振るたびに一人また一人と断末魔を上げる間もなく絶命していく。
そしてあっという間に最後の一人になったところで、恐慌状態になった男は泡を食って逃げ出すがラースがその逃亡を見逃す事はなかった。
「一人ぐらいは事情聴取のために生きてる方が都合いいからな」
それも、まるでお前の命はどうでもよいが生きてた方が都合が良いと言わんばかりの言葉。
余りにも残酷すぎるその言葉と共に逃げ出そうとした最後の生き残りは両足の腱を器用に切り裂かれ、もんどりうって地面へと倒れこんだ。
生き残りは必死にはいつくばってラースへ命乞いするが、ラースは命乞いを相手にすることなく剣の腹を生き残りの頭に叩きつけて問答無用でその意識を刈り取る。
「はぁー……どの場所でもこの手の輩は絶えんもんだなぁ」
面倒極まりないと言わんばかりの溜息を吐きながらラースは剣を強く振って血振りして鞘へ納め、意識を刈り取った生き残りの両手両足を縛ると肩に担いで歩き出す。
フォレスティアの町の門番はちょっと前に出かけたラースがすぐに戻ってきたのみならず、肩に冒険者を担いでる事に驚くが軽く事情を聴くとその目つきを鋭くさせる。
「ご協力感謝します、謝礼はラースさんが滞在してる宿に届けさせます」
「おうよろしく頼むわ、首謀者は我慢できず殺っちまったけどこいつも共犯だから叩けば山ほど埃出るぞ」
「了解です」
直立不動の衛兵にラースは後は任せた、と手をひらひら振るとのんびりとした足取りでねぐらの酒場へと戻る。
少し前に出かけたラースがすぐに戻ってきた事に、もしかしてあの冒険者達始末に行ったんじゃ……と思ってた冒険者はそんな事なかったか、と少し残念そうにしながらラースが無事だったことに安堵する。
誰も考えはしなかったのだ、腕利きの一団相手にこの短時間でかつ無傷でラースが勝利する可能性があった事を。
仮にそうだとしても戻りが早すぎるというのもあり、若い冒険者の間でラースは剣の手入れでも頼みに武器屋に行ったのだろうという結論に至るのであった。
「おーい、いつもの蒸かした芋潰したヤツと腸詰。それと卵を焼いたやつ頼む」
「お客さんいい加減ソレ以外も食えにゃ」
「お、そうだな。エールも頼む」
「そう言う事じゃねえにゃ」
半ば定位置と化した椅子に座り、ラースは大きく欠伸をする。
食事が来るまでしばらく寝入るのも悪くないか、などと思っていると元気で無邪気な声が酒場の入口からラースへ向けて響く。
「ラースさん!一緒に食事しましょう!」
「……いやだからお嬢ちゃん、お前さんらはもっと良い宿に泊まってるんだからそっちで食えばいいだろ」
「この冒険者が集まるいかにもな場所で食べるのが美味しいんです!」
やってきたのは小柄だが男の目を誘う体つきをした勇者の少女、リリフィア。
彼女に続く様に幼い体躯のハーフエルフのファムと、ラース以上に大柄な体躯を持つ竜人のメルトも入ってくる。
何か気が付けば、こいつらと飯食うのも当たり前になってきたなぁなどとラースは考えつつ。
先ほど始末した記憶するのもバカバカしい悪意を抱えた集団については、特に口にすることなく少女達に付き合う事を選択するのであった。
フォレスティアの町を主軸に活動している冒険者達は、リリフィア達とお近づきになりたいと思いつつも。
ゴブリンの軍勢に臆することなく突撃し、無傷で切り拓いたラースに睨まれる可能性を考え健全に口説くしかしてません。
故にこそ今回の森の栄養になった一団は色んな意味で冒険者失格でもあったわけですね。
少しでも情報収集をすれば、ラースという男を暴力で排除する危険性を予め知ることができたわけですから。
ちなみに余談ですが、ラースが居なかった場合人質を取られリリフィアが捕獲。
リリフィアをダシにファムも捕獲。
メルトが頑張れば何とかなるかもという事態になり、実は精神系魔法が種族上弱点であるメルトも一団の魔法使いが放った魔法がクリティカルし無力化。
その結果エロCG展開待ったなしになってた可能性がおおいにあったり、なかったり。