勇者と共に魔王を討ち滅ぼした剣士が追放されるよくある話   作:社畜だったきなこ餅

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いやぁDDoS攻撃は強敵でしたね……。
けど結果的に展開をブラッシュアップできたから良しと、いや良くねえわ。


実は身長比較シミュレータなる便利なモノ見つけたので、大体の身長差イメージを張る予定だったのですが挿絵機能一時停止してるんですよね。
なので作中はボカしていた大体の実数値を下記に提示します。

ラース:178cm
リリフィア:153cm
ファム:121cm
メルト:190cm


戦い終わって夜が明けて

 

 

激戦の末に勇者一行が邪教の教祖に敗北し、それでも何とか生き永らえた夜が明け。

フォレスティアの町に夜明けの光がうっすらと差し込み始める。

 

結論から先に述べるならばリリフィア達勇者パーティは重傷を負いながらも、死神の魔の手からは脱する事に成功し。

未だ完治していない傷跡を抱えながらも、冒険者ギルドの奥の部屋にて話し合いをするくらいには体調も回復していた。

 

 

「まぁなんだ、色々あったが俺達は誰も死んでない。まずはソレを喜ぼうぜ」

 

 

いつもならこういう話し合いの際は真っ先に話し始めるリリフィアが暗い顔で俯いているのを眺め、ラースは殊更明るく振る舞う。

しかし少女達の顔色は未だ暗いのを見ると、ラースは溜息を吐くとエールを一口喉に流し込んで口を開く。

 

 

「じゃあ俺から話すぞ、正直言って俺は慢心していたし装備の更新も怠っていた。この二つをしっかりしとけばあんな無様な真似は晒さなかった」

 

「ラースさん、急に何を……?」

 

「いいからいいから、ほれリリフィア。お前は昨晩の戦いでどうしたらもっと上手く立ち回れていた?」

 

 

突然ラースが始めた反省会に戸惑うリリフィア、しかしラースは滅多にちゃんと呼ばない勇者の少女の名を呼んで話を促す。

その言葉に面食らいながらも少女は眠りにつく前から今まで、頭の中をぐるぐる回っていたことを吐露し始める。

 

 

「私は……多分浮かれていたんだと思います、憧れの勇者様の剣を振るえるという嬉しさに浮ついていたかもしれません」

 

「そんな事ない!そうだとしてもお嬢様を窘めるのが私の!」

 

「ストップだファム、言いたい事はあるかもしれないがまずは全部リリフィアが話してからだ」

 

 

リリフィアの自罰的な言葉に、折れた左腕を包帯で固定し頸から下げているファムが勢いよく椅子から立ち上がって叫ぶ。

しかし友人を想いソレは違うと叫ぶハーフエルフの少女の言葉を、ラースは手で遮りリリフィアの先を促す。

 

 

「私は勇者でありパーティのリーダーです、ラースさんが斃れた瞬間撤退か抗戦かをすぐに選ばないといけなかったんだと思います」

 

「辛いのに言ってくれてありがとうなリリフィア、続けてファム。お前さんは反省点はあるか?」

 

「反省点だと? そんなもの……あるに決まってる!」

 

 

顔を俯かせて消沈するリリフィアの頭を、まるで幼子をあやすかのようにラースは撫でると今度はファムへ話題を向ける。

向けられたファムは、普段の澄ました表情から想像できないぐらい顔を真っ赤にし激昂していた。

 

 

「異形と化した愚か者を相手に無駄に魔力を消費し過ぎた上、教祖が出てきた時に火力投射を見誤った!私がラースが斃れた時に全力で攻撃魔法を発動して触手を一瞬でも薙ぎ払っていれば、撤退の糸口が作れたんだ!」

 

 

その小さな体からは想像つかない程の声量で自身の後悔を叫ぶファム。

余りにも自身を不甲斐なく思っているのか感情は高ぶり目尻に涙を浮かべ、時折しゃくり上げながらも言葉を続ける。

 

 

「魔法の、専門家である私がやらなきゃ、いけなかったんだ……!」

 

「ごめんなファム、言ってくれてありがとう」

 

「慰める、なぁ……!」

 

 

何処かしら何かしらが足りないパーティメンバーの監督役を地味に気取っていたハーフエルフの少女にとって、昨晩の敗北は余りにも大きな挫折だった。

そして自分にしかできない事が多かったからこそ、ファムは自分自身が許せなかった。

 

 

「……ファム、貴方はいつも良くやってる」

 

「やめろぉ、優しくするなぁ! 膝にのせてあやすなぁ……」

 

 

嗚咽を漏らし顔中をくしゃくしゃにして涙を流すファム。

メルトは彼女の傷口を刺激しないよう注意しながら抱き上げると、自身の膝の上に乗せて子供を慰めるように優しく頭をなでその髪を梳き始める。

 

 

「……ボクは、最初の戦いで消耗し過ぎた。そして教祖を前に冷静さを欠いた、恥ずべき行い」

 

 

そしてメルトはファムをあやすように慰める手を止めず、しかし昨晩の己の立ち回りを思い返し致命的だった個所を端的に述べる。

しかしその声音は、もう二度と同じ真似はしないという強い決意に満ちていた。

 

 

「ありがとうメルト、唐突にすまんな皆」

 

 

全員が思い思いの反省点、改善点を述べたと判断したラースは軽く手を叩き全員の注意と視線を集める。

何故傷口を抉るかのような反省会を突然始めたのか、男はその意図を話し始める。

 

 

「あんまりこういう事やり過ぎても気が滅入るが、問題点の洗い出しと解決方法の模索ってのは沈んだ考えを前向きにするのに向いてるからな」

 

 

すっかり冷めた腸詰を手に取り齧りながら話すラースに、ファムは何か言いたげな視線を向けるが段々撫で方が愛玩動物を愛でる手付きになってきたメルトの手を振り払って元の位置に戻る。

しかしその気持ちは幾分か晴れたのか、戻る前に小声でメルトに感謝すると伝えてたりもする。

 

 

「それに、あーー……アレだ。正直俺はお前さんらが手を貸さなくても問題なさそうなぐらい育てば適当に手を引くつもりだった、だから適当にしてたんだが……」

 

「え、そうだったんですか!?」

 

「そうだぞ? そもそもリリフィア、お前何で異形の亡骸の中から出てきたこんな得体の知れない男に全幅の信頼置いてたんだよ」

 

 

突然明かされるラースが当初考えていた内容に、思わず顔を上げて驚くリリフィア。

そんな少女に対しラースは半眼になりながら、警戒心をなくした番犬か何かかお前はと告げると抗議する少女の額に軽くデコピンする。

 

思わず真顔になったのは先ほどまで泣きじゃくっていたファムの方だ。

ソレはなぜかと言うと……。

 

 

「おい、ちょっとまてポンコツ。ラースさんが仲間に入った経緯、山賊から助けてくれた流浪の剣士って言ってたよな?」

 

「え? そうだよ……あ゛」

 

「待てなんだその声、まさか、お前ポンコツまさか……?!」

 

「最初にソレ言ったらラースさん追い出されそうだから黙ってて、そしたら本当の事言うの忘れちゃった」

 

 

信じられないと言った顔で無事な右手でリリフィアを指さしながら、ファムは主である愛すべきポンコツ令嬢を問い詰める。

問い詰められたポンコツは、テヘペロ★と言わんばかりにごめんね!と今更ほざく。

 

 

「こ、ここここ、このポンコツゥゥゥ!? お前!お前最初からソレ言えば色々変わってただろぉ!?」

 

「だ、だって最初からホントの事言うとラースさん追い出してたでしょファムちゃん!」

 

「時と場合によるわ!!少なくともお前の恩人である人を無碍に扱う訳ないだろ!!」

 

 

吠えるちびっこハーフエルフ、しどろもどろになりながら抵抗するポンコツ令嬢勇者。

しかしその口論は言うまでもなく、圧倒的にリリフィアが不利であった。

 

 

「まったく……ああもう、私も厳しく言い過ぎましたよ!だけどお嬢様も隠し事はしないでくださいね!?」

 

「う、うん。ごめんねファムちゃん」

 

「わかればよろしい!」

 

 

二人の少女の口論を微笑ましそうに眺めつつエールを呷るラース。

しかしリリフィアを口で言い負かしたファムは、ギラリと瞳を輝かせるとラースへターゲットを移す。

 

 

「で、ラースさん。貴方の来歴を改めてお聞かせ願えますかね?」

 

「聞いて楽しいモノじゃないぞ?」

 

「楽しいかどうかは関係ありません……いえ、言い換えましょう。私達は聞かないといけない」

 

 

話の根本原因はラースだというのに無関係を装うラースに、ファムはこめかみをヒクつかせながらも今まで尋ねてもはぐらかされてきた事を改めて尋ねる。

これまでは流浪の剣士なら言いたくない事もあるだろう、と自主性を重んじ深くは聞かなかったファム。

それはリリフィアやメルトも同様で……。

 

ラースもまた、永劫癒える事のない過去の傷を話さずに済むのならソレに越したことはないとどこかで仲間達に甘えていた。

 

 

「そうか、そうだな……まず何から話したものか」

 

 

話す決意はついた、しかし今度は何処から話せばよいものかとラースは顎に手を当てて考える。

なんせ語ろうと思えば丸一日どころか数日間は要するほどに、彼が歩んできた道は深く重い。

そんな男に対し、リリフィアはおずおずと挙手しながら質問する。

 

 

「あ、あの!輝きの勇者様ってどんな御方だったのですか!?」

 

「輝きの勇者、誰の事だ?」

 

「……輝きの直剣を振るい、魔王を討ち果たした英雄」

 

「アイツ、後世でそんな呼ばれ方しとるんか……」

 

 

ある意味ブレないリリフィアの質問、しかしラースは聞きなれない単語に思わず耳を疑う。

そんなラースに対し、失った血を補充するかのように黙々と肉汁滴るステーキを食していたメルトが補足説明を入れる。ちなみに既に空になった皿が5枚積み重なっていた。

 

 

「そうだなぁ、曲がった事は大嫌いで誰かが涙を流す事になる理不尽を許さないヤツだったな」

 

「流石伝説の勇者様です!」

 

「けどアイツも大概ポンコツなアホだったぞ。迷宮で意気揚々と先頭を歩いて落とし穴に落ちるわ、町で逸れたと思ったら衛兵の詰所で保護されてるわ」

 

「凄いですね、お嬢様とは違うベクトルなポンコツっぷり」

 

 

おとぎ話には描かれていない勇者のポンコツっぷりに、憧れの勇者像に罅が入り固まるリリフィア。

しかし彼女を責めるのは酷と言うモノであろう、何せ書籍として流通している勇者のおとぎ話で描かれる勇者は品行方正勇猛果敢な超人なのだから。

 

 

「しかしそうなると、師匠……いいえ。エルフの賢者も何か面白い零れ話がありますか?」

 

「もしかしてお前の師匠アイツかよ、と言うかアイツまだ生きてるのか?」

 

「アレは生きてると言えるのですかねぇ、それで何か無いですか?」

 

「そうだなぁ……俺達のチームにアイツが合流したばかりの頃は傲慢極まりないエルフだったけど、人間社会の飯と酒を知ってから美食美酒狂いになってな。一回子豚みたいにコロコロに肥えた事ある」

 

 

まさかエルフがあんな風に肥える事あるなんて思わなかったわ、と過去を懐かしみしみじみと語るラースにファムは口角を吊り上げて笑う。

ハーフという事もありクーリエの森では腫物を触る扱いだった自身を導き、教育してくれた恩義は間違いなくある師匠であった。

しかし、その時の地獄ともいえる教育と魔法の修行は地味に反骨心旺盛なファムの魂にいつか師匠をギャフンと言わせるという、漆黒の決意を抱かせるには十分だったらしい。

 

ちなみに激太りしラースと仲間の重騎士に指を差して爆笑され、減量する事になった過去は賢者と呼ばれたエルフにとって一刻も早く忘れたい忌まわしい過去であるため。

万が一その事でファムが師匠を弄った場合、口に出すことも憚れる仕打ちが待っている事は言うまでもない。

 

 

「まぁそんな具合でな、勇者とか英雄達と言われてもそんなもんだよ。俺達は俺達の都合で魔王と戦い結果的に世界を救った、それだけなんだ」

 

 

始まりは勇者である親友が神託を受けた事から始まった旅、しかしソレは世界を救うとかそのような大それたものではなかった。

そう語るラースはまるで、外見以上に老け込んだ老人のような様子を漂わせていた。

 

 

「……剣士殿、貴方に娘が居たと聞いた。貴方は幸せでしたか?」

 

「そうだな、ああそうだ。俺は間違いなく幸せだったよ、愛する(ディーヴァ)(レイラ)が居て……妻の胎の中にも新たにできた子がいた、幸せだったよ」

 

 

静かにラースへ質問するリリフィア達を見守っていたメルトが、敢えて二人では聞けないだろうという問いをぶつける。

その問い掛けにラースは何処か遠くを見るような目をしながら、噛みしめるように呟いた。

 

そう、間違いなくラースは幸せだった。

 

 

「……俺はな、妻と娘を殺された怒りと憎悪を堪えきれなかった」

 

 

ぽつり、と懺悔するようにラースは呟いたのを皮切りに赤毛の男は語り始める。

少女達には今まで決して見せた事のない弱々しさで。

 

 

「俺は魔王を倒した後、王国の近衛騎士にならないかと誘われたが断ったんだ。それよりも妻の傍にいたかったし、俺に政治は出来なかったからだ」

 

 

何処まで行っても自分が出来る事は剣を振る事しか出来ない、あの時のラースは自分をそう位置づけ妻と共に静かに暮らすことを選んだ。

もしかすると、その時に近衛騎士になる道を選んでいればあの事件を防げたかもしれないと呟く。

 

 

「時々国王から来る軍では対処できない、魔王の力の残滓を受けた化け物を狩って報酬を貰いながら。それ以外は畑を耕して妻と生きて、やがて娘が産まれて賑やかになった」

 

 

エールの入った杯を傾けて中身を喉に流し込みながらラースは、大事な思い出を思い返す。

魔王討伐の戦いに身を投じた時とは比べ物にならないぐらい平和で、穏やかで満ち足りていた今はどれだけ願っても届かないその時を想いながら。

 

 

「今はそうでもないようだが、あの時は獣人は差別の対象でな。俺の妻は魔王討伐の立役者である神官で聖女とも呼ばれていたが、それでもまだ一部の連中はそういう態度を隠さないヤツもいたんだ」

 

「そんな、酷い。なんでですか?」

 

「連中が言うには人と獣が混ざった存在など魔王の手先に違いない、と言うのが言い分だったな。アホかって話だが」

 

 

妻と共に住いを建てた村の人達はそんな事もなかったがな、と言葉を続けるラースが語る内容にリリフィアは思わず質問をぶつける。

心の底からそんな事おかしい、そう思っているリリフィアの様子を好ましく思いながら男は当時の世論を語る。

 

 

「俺が言うのも何だが妻、ディーヴァは美しかった。邪な事を考える連中が湧いて出るくらいにはな、問題は」

 

 

ソレが、俺達の旅を支援してくれた国王の子供の内の一人だったという事だ。と語るラースの言葉に部屋の中の空気が凍り付く。

 

 

「そんな、ありえないです。だってラースさん達は魔王を倒した英雄なんですよ!?」

 

「そう考える王族も今思えば多かったよ、けどな。魔王と言う脅威が無くなったことで俺達に猜疑心を向け排除することを考える連中もいたんだ」

 

「……師匠から聞いた事はあります、ですがそれが……いや、まさか」

 

 

何処までもまっすぐなリリフィアの言葉に、ラースは力なく笑いながら答える。

ラースの説明を聞いていたファムは、邪神を鎮め被害を出さないよう腐心しながらも人間には冷笑的な師匠から一度だけ聞いた過去の人間の愚かさを思い出し、その後にラース達に起きた事を推察して目を見開く。

 

 

「国王は良くやってたよ、好き勝手し始める貴族を抑え民の為に身も心も砕いていた。けどな」

 

 

瞑目し過去を想起するラース。

あの時の事は今でも鮮明に思い出す事が出来、その時の無念と憎悪は今もラースの胸を焦がし続けている。

 

 

「手始めに英雄の一人である聖女を排除したい一派、妻を慰み者にしたいと考える王族の末席。この二つの悪意と欲望が最悪の結びつきをした」

 

 

貴族の働きかけで勇者と剣士を遠方に行かせ、その間に聖女と呼ばれた獣人の神官を排除する。

魔王を討伐した英雄であろうと軍勢の前には無力と考えた一部貴族、それに後押しされて自身の欲望を満たす事だけを考えた王位継承権など無いに等しい王子と取り巻き。

 

それらが齎したモノ、それは。

 

 

「その結果……俺の妻と娘は殺され、その事実に俺は憎悪に狂い異形と化して差し向けられた軍勢と王族の大半を殺し尽くした」

 

 

静かに語るラース、その言葉は大罪人の懺悔のようにもリリフィア達には聞こえていた。

 

伝説の英雄達を襲った悪意と悲劇の顛末、おとぎ話や伝説には語られない闇の歴史。

その真実の一端に触れたリリフィアは、あまりにも無情でやるせない話にはらはらと落涙し。

ファムは師匠が人間嫌いになったのも理解できる、と小さく呟き。

メルトは英雄の妻と子を殺す事を理解してなかった過去の愚者を心から侮蔑すると共に、応報を果たした剣士ことラースに畏敬の念を抱いた。

 

 

「改めて語ると何だかみっともない自分語りだが、その後は親友である勇者達に止められ。輝きの直剣を要として封印されて今に至るってわけだ」

 

 

俺は凄腕の剣士でも英雄でもない、何よりも守りたかった家族を守れなかった負け犬なんだよと自嘲的に笑うラース。

この話を聞いたリリフィア達が自分を恐れるのも無理はないし、むしろ拒絶されるだとうとラースは考えていた。

 

だからこそ、リリフィアがとった行動に不意を打たれて固まる。

 

 

「ラースさんは悪くないです、いいえ、殺戮は良くないかもしれない。けど悪くないんです!」

 

 

ラースの手を両手で包み、涙を流しながらリリフィアは叫ぶ。

リリフィアは今まで無邪気に信じていた、伝説の勇者と仲間である英雄たちは皆幸せになってめでたしめでたしで終わったのだと。

だが語られた英雄を襲った顛末はハッピーエンドとは程遠い、悪意と悲しみで塗りたくられた悲劇だった。

 

ラースが殺戮を実行したことは信じられないし認めたくないが、それでもリリフィアはラースが悪だとは思いたくなかった。

何故なら彼女の目の前にいる男は、どう見ても妻と娘を理不尽に殺されて泣き崩れているただの父親でしかないのだ。

 

 

「……英雄には、相応の礼をすべき。失したモノが応報された、それだけ」

 

「実に竜人らしい考え方ですねメルトさん、だけど私も同感ですよ。そもそも最初に排除を選ぶ時点で論外です、貴族なら便利に使い潰すぐらい考えろって思いますね」

 

 

邪教と戦う神殿騎士であると共に、強者には敬意を払う竜人でもあるメルトは口元をテーブルナプキンで拭いながら静かに呟く。

メルトの歯に衣着せない物言いにファムもまた苦笑いしながら同意を示す。

 

 

「ラースさん、貴方はこれからどうしたいんですか?」

 

「俺は……」

 

 

自身の手を優しく両手で包み、涙の痕を残しながら微笑むリリフィアにラースは言葉を詰まらせる。

色々しなければならない事、すべき事がラースの頭を駆け巡り……ぽつりとラースは呟く。

 

 

「邪神、いや……(レイラ)を止める。それが父親である俺がしたい事、しなければならない事だ」

 

「だったら決まりですね、一緒に娘さんを止めましょう!」

 

「……いい、のか?」

 

「だって私は勇者ですもの!誰かの悲しみを止めるのがお仕事です!」

 

 

ラースの手を包んでいた両手をほどき、腰に手を当て豊満な胸を張り誇らしげに宣言するリリフィア。

その姿は頼りなさは未だありながらも、紛れもなく勇者と呼べる誇り高くも優しい姿であった。

 




と言うわけで二章は締めとなり、次回から三章となります。
ここまでラースは装備変更不可・スキル設定不可・戦闘時は勝手に行動の三拍子が揃った助っ人NPCでしたが。
ここから先は使い易く装備とか変更できるようになる感じです。

それと重要なお知らせってわけでもないのですけども。
ここまでアクシデントが無ければ毎日更新を続けてきましたが、少し休憩のため更新速度落とします。
理由としてはここ最近展開を急ぎ気味だったのと、書きたい展開を書く事優先で心理描写とかおざなりになってた気がする為、プロットをしっかり膨らませねっとり書く時間を作りたいと思います。



~ここから先は泣き言と言う名の言い訳~
ラースの過去暴露が早いと思わなくもないんですが聞いてください。
ここから先書きたい展開のために、なるはやでラースの過去共有を作者的にはしたかったんですよ。
けど、怪しさMAXの剣士がいきなり語り始めてもアレですし白けるじゃないですか。
だからド派手に打ちのめされた後、ラースに反省させつつ質問されても断れないシチュを作って解説させたかったんです。
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