勇者と共に魔王を討ち滅ぼした剣士が追放されるよくある話   作:社畜だったきなこ餅

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というわけでまた続きました。
何となくお気づきかと思いますが、主人公はナチュラルに傲慢かつ上から目線な暴力野郎です。
色々策略や謀略を仕掛けられると、めんどくせぇとか言い出して剣を抜く程度には血の気が多い危険物でもあります。


そしてこちら、AIを使用した作画となりますが。
第一話時点での異形に変じていた主人公のイメージ図となります。

【挿絵表示】



暴力は世界の共通言語

 

王国の外れにある森林に面した開拓村。

その村はどこにでもあるような村落であり、拓いた土地を用いた畑作や森林から得られる豊かな恵みで緩やかに成長をする途中の段階にあった。

しかし、その立地が故に王国から追われる身となった犯罪者にとっても狙い易く与しやすい獲物である事実からは逃れることは出来ずにもいた。

 

だからこそ村を導く立場の人間は壊滅覚悟で犯罪者達に抗うか、もしくは犯罪者の片棒を担ぎながら生き延びる事を選ぶしかなく。

勇者の少女、リリフィアを山賊たちに差し出した村の人間たちは前者ではなく後者を選んだに過ぎなかった。

 

王国に認められた勇者の証を持つ少女、そのような存在を山賊に差し出したことを知られた日には開拓村に明日は無い。

だが単身でこのような辺境に足を運ぶような勇者が一人居なくなろうと、王国が本気で捜索するようなこともないだろうと村長は判断していた。

 

ただ、村長達にとって想定外だったことがあったとするならば。

万が一勇者が失踪したとなった場合……リリフィアという少女は家名持ちの由緒正しい家の令嬢であるため、村長の思惑以上に執拗な捜索が行われたという事と……。

 

 

「ほーん、なるほどなぁ」

 

 

どこからともなく現れた上に、村の中に招き入れた勇者を今度こそ口封じしようとした瞬間に、村長含めた村の屈強な男達を半殺しにした赤毛の男がいたことであった。

不憫なのはリリフィアである、突然の村人達の凶行が起きたと思ったら同行していた赤毛の男が問答無用で村人達を叩きのめす現場に遭遇したのだから。

 

 

「まぁ開拓村なんて国の警邏やら騎士は行き届かないもんだしな、あの山賊どもも数だけは揃えてたからその判断もわからんではない」

 

「そ、そうでありましょうと……ぐへぇっ!?」

 

「だが俺がその行為に納得してやるとも言ってない」

 

 

腕を組み、心底不愉快そうに言い放つ赤毛の男の言葉に一筋の希望を見出した顔面がぼこぼこにされ晴れ上がった村長が顔を上げるも。

問答無用と言わんばかりに赤毛の男はその顔面を容赦なく蹴り飛ばした。

 

 

「ちょ、ちょっと!何やってるんですか?!」

 

「安心しろ、後遺症を残さない喧嘩の仕方は心得ている」

 

「そういう事を言ってるんじゃありません!!」

 

 

 

我に返ったリリフィアは傲慢極まりない態度を崩そうとしない男の様子に、全力で制止するが返ってきた言葉に違うそうじゃないと叫ぶ。

 

 

「と言うか何で一番の被害者であるお嬢ちゃんがこいつら側についてんの? 正直途中から一緒に乱闘に加わると思ってたんだけど」

 

 

自分達に襲い掛かって来た時と打って変わり、怯えと恐怖の視線を向けてくる村人達を睥睨しながら不機嫌そうに男はリリフィアへ問いかける。

表情以上に、リリフィアへ向けられる視線にはどこか酷薄な感情と色が乗せられていた。

 

赤毛の男の問いかけとその視線にリリフィアは一瞬言葉に詰まりながらも、同時に下手な言葉では赤毛の男は納得しない事を察し、自身の嘘偽りない気持ちを言葉にして紡ぎだす。

 

 

「貴方に助けられたおかげで私はどこも傷つけられていません、だから私がこの事を誰にも言わなければそれで全ては収まります」

 

「……おい」

 

 

リリフィアの言葉が心のどこかに突き刺さったのか、赤毛の男は不機嫌そうに眉毛を吊り上げさせると大股で少女へと近付き。

少女の真正面に立って見下ろしながら、不愉快さを抑えようとすることもなく詰問する。

 

 

「心の底から言ってるようだが、この手のやつらに情けをかけても意味ないぞ? その場では反省して見せながら都合悪くなったらすぐに裏切りやがる」

 

「そういう人達も確かにいるでしょう、だけどそんな人ばかりではありません」

 

「ああそうだろうよ、だがその手の輩は総じて声も立場もデカい。そしてそういう輩に率いられた何も考えてない連中なんざ考慮してやる必要もねえよ」

 

 

もはや遠くなった思い出の記憶と理不尽に喪失させられた温もりを思い出し、赤毛の男は気の弱い村人が失神するほどの殺気と怒気を振り撒きながらリリフィアを諭す。

しかし強情極まりない、人の善良さを心から信じてると言わんばかりの少女の様子に赤毛の男は勇者と呼ばれたお人好しの親友を無意識に重ね見ながら、不機嫌そうに後ろ頭をがりがりと掻く。

 

護った人間たちに致命的な裏切りを受け、暴走する殺意と憎悪に呑まれた事のある男と。

勇者として任じられた事に誇りを持ち、他者を助ける事に疑問を感じたことのない少女。

二人の意見が交わらない事は火を見るより明らかであった。

 

 

「……私だって山賊に身柄を差し出されそうになった事は悲しいですし、辛かったですよ?」

 

「ならば何でだ、こいつらには相応のケジメをつけるべきだろうよ」

 

「ケジメって……」

 

「強い弱い関係なく、お嬢ちゃんを山賊に差し出すって選択をしたのはこいつらだ。ならばその結果はどうであれ受けなければならない」

 

 

赤毛の男の言葉に、村人の何名かが気まずそうに顔を伏せる。

そしてリリフィアが赤毛の男に尚も言い募ろうとした、その時。

 

 

「あ、あの!」

 

 

村人の中から一人の少年が飛び出し、赤毛の男とリリフィアへ向けて声を張り上げる。

 

 

「ごめんなさい!俺が、俺が森の中で出会った勇者様に山賊をやっつけれてくれってお願いしたからなんです!」

 

 

ぼさぼさした髪をしたやんちゃそうな印象が強い少年が、目に涙をためて二人へと頭を下げる。

突然の少年の行いに、赤毛の男は目を細めて言葉の先を促す。

 

 

「あいつらに食料を奪われて、次は母ちゃんを差し出せって言われて!だから!」

 

 

嗚咽交じりになりながら言葉を続け、必死に頭を下げる少年。

村人の輪から少年を追いかけてきた妙齢の女性もまた、少年と一緒に頭を下げる。

 

 

「ごめんなさい!本当にごめんなさい!爺ちゃんと村の皆を許してください!」

 

 

少年の謝罪に釣られるように、村人達もまた謝罪に加わる。

腕を組み半眼で状況を見守っていた赤毛の男は、大きくため息を吐くと先ほど蹴り倒した村長へ向かって声をかけた。

 

 

「おい爺、このガキはてめえの孫か?」

 

「……はい」

 

 

男の問いかけに身を起こした村長が答え、その内容に赤毛の男は天を睨むように視線を上へ向ける。

男は理解したのだ、村長が我が身可愛さだけではなく孫息子の母親……即ち娘を守るために、都合よく村へとやってきた勇者を差し出した事を。

無論赤毛の男の考え方として許せるものではないが、かつて妻と娘が居た身として村長が選んだ決断もまた一定の理解を示せるうえ……。

 

 

「私はもう怒ってないからね、大丈夫だよ」

 

 

泣きじゃくる少年の頭を抱きしめて慰めている勇者の少女、リリフィアがその事を引きずっていない以上赤毛の男が怒りを示す理由は無かった。

いや、元から男が怒りを示す理由など無かった。

ただ男自身が『勇者』という存在を簡単に悪意へ引き渡すという行為そのものが、許せなかっただけなのだ。

 

 

「おい爺、付近に蔓延ってる賊の規模はわかるか?」

 

「……30人ほどの集団ですじゃ」

 

「という事はまだ残ってやがるな。爺、好き放題暴れた詫びに賊を根絶やしにしてきてやる、何か証明で必要なモノはあるか?」

 

「…………宝石がはめ込まれた金細工の指輪が奪われてます、内側に文字を彫り込んだ妻の形見です」

 

 

先ほどまで傍若無人に自分達を痛めつけた男からの言葉とは信じられない村長は、赤毛の男が問いかけた内容を訝しみながらも素直に答える。

すると男は理解したとばかりに踵を返し、村の外へと歩き始めた。

 

 

「え、ちょ、ちょっと?!」

 

「お嬢ちゃんは村に残れ、その剣があればあの程度の連中がどれだけ来ても敵じゃないだろ」

 

「そうじゃなくて!私も!!」

 

「お嬢ちゃんは残れ、連中の残存戦力と行き違いで村が襲われたら面倒だ」

 

 

唯我独尊と言わんばかりの男の姿勢にリリフィアはやきもきしながらも、その言い分に一定の理がある以上それ以上言い募る事も出来なかった。

一緒に過ごした時間こそ短いが、宣言したからには目の前の男は山賊の殲滅を苦も無くやり遂げる事をリリフィアは疑っていなかった。

 

だから、色々聞きたい事やどうやって山賊を探すつもりなのかという疑問を呑み込んでリリフィアは男へ問いかける。

 

 

「貴方の名前、教えてください!」

 

「……ああ、そういえば名乗ってなかったか。俺の名前、なぁ……」

 

 

──適当にラース(憤怒)とでも呼んでくれ。

 

 

そう言い残すと、男は軽く駆け出し瞬きの後にはもうその姿はどこにもなく。

その日の日暮れに戻ってきた返り血に塗れた男は、村長へ向かって指定の宝石がはめ込まれた指輪を投げて山賊の殲滅を終えた事を告げるのであった。




勇者ちゃんことリリフィアは豊満なドスケベボディをした、ゆるふわロングヘアをした娘です。
主人公ことラースが居なければ、ドスケベシーンからのエロステータス増加待ったなしだったのは言うまでもありません。

なお勇者ちゃん自身はピュアの為、貞操の危機だったことは理解してながらも最悪の事態の想定は甘かったのは内緒です。
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