私の畜生街   作:島田愛里寿

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第二話

さて、先日のオールフォーワン襲撃から数日たったある日。

 

 

畜生街はいつもの喧騒で包まれある意味の平和な状態であった。

 

 

 

ダダン!!!タタタタタタ!!!!!

 

 

え?銃声が聞こえる??畜生街ではいつものことです。いいね?

 

 

 

「ふぅ‥‥。ようやくたまっていた書類が片付きましたね」

 

 

「室長…遠い目をしながら外を眺めていても現状は変わりませんよ?」

 

 

 

そう。確かに彼女の天敵でもある書類一式は一旦片付いたものの、あの経理部につきかえされてくる可能性がある上に今は難問があったのだ。

 

 

「‥‥なんだって先日の戦闘が政府側に漏れているんですかねぇ?」

 

 

 

そう。先日畜生街をオールフォーワンが襲撃した件についてヒーロー公安委員会から説明を求めてきているのだ。

 

 

 

「いや絶対干渉する気満々じゃないですかぁ…。何のためにあんな大立ち回りをしたのやら…」

 

 

「次やったら謹慎にしますよ!!」

 

 

 

なんせカヤはこの事態を避ける為に数時間、単身でオールフォーワンと交戦したのだ。

 

 

なのにこの結果である。苦労が報われないとはこのことだろう。

 

 

 

「しかし、事情を聞きたいというのなら分かりますがなんで使用した武器等をすべて説明しろなんて何が狙いなんでしょうか?」

 

 

「簡単ですよ。この街に干渉する材料にしたいんでしょうね」

 

 

疑問に思っていた次席にカヤはそう返した。

 

 

実際彼女の予測は当たっていた。

 

 

そもそもこの畜生街は超常黎明期末期に政府からの干渉が途絶えていたのだ。

 

 

理由は簡単。超常黎明期末期にもなると異能を個性として扱うようになってきて『異能持ちにも人権を!!』と言った感じで人権運動等が過熱していたのだ。

 

 

そんな状況下でこの畜生街の存在が知れ渡ったらどうなるか?結果が弾薬庫にマッチとジェット燃料を同時に注ぎ込むレベルでやばいのは誰の目にもわかる。

 

 

そしてそれは保身・利権第一主義の政治家共にも一発で分かることだ。

 

 

なので警備等に派遣させていた警察を撤収させて警察経由で警備会社等に任せていたのだが警備会社も関わりたくないと言った感じで金だけもらって週に一回程度確認する程度で済ませていたのだ。

 

 

おまけにその警備会社も数年で倒産。

 

 

結局、黎明期以降は政府直轄地という看板しか隔離壁の外には残っておらず誰も気にもとめなかった。

 

 

 

数年前にとあるヒーローが気に留めて確認してしまうまでは‥‥。

 

 

 

そしてそれから日本政府による畜生街への干渉が始まった。

 

 

最初は代表への謝罪と言う感じで接触を図ってきたのだが政府側は唖然としただろう。

 

 

 

なんせ応対したのが齢十代前半かなったばかりの少女だったからだ。

 

 

実のところこの政府の接触の数か月前に防衛室が誕生したばかりであり、不知火カヤにとっても初めての一大案件であったのだ。

 

 

とはいえ政府側としては運がよかったと言えよう。もし数か月早く接触していたら三大ヤクザの組長らが顔を出してきて面倒な事態になっていたからだ。

 

 

 

ともかくこの接触の際の政府の謝罪は形だけのものであるとカヤも見抜いており、形だけの返答をした後はさっさと帰ってしまった。

 

 

以降は基本フェーズアウトを決め込んでいるのだが外から政府関係はおろかヒーロー・ヴィラン・ヒーロー公安委員会が何度も接触してくるので防衛室が外交部なんてあだ名を付けられる始末になっているのだ。

 

 

政府としても公安による調査によって防衛室が超常黎明期以前の兵器を多数所持していることが分かったことからヒーロー社会である現代の価値感から何としても破棄させたかったのだ。

 

 

と言っても畜生街からしたら嘲笑モノの理由である。

 

 

畜生街では基本的に自由に個性が使えるし、個性もよほどの強力な個性でない限り銃火器の方が頼りになるので破棄なんぞもってのほかだし、最近まで見捨ててきた政府がいきなり干渉してくるなんでふざけんなという感じなのだ。

 

 

おかげで防衛室は畜生街の市民からの政府への不満と政府・ヒーロー公安委員会からの圧力、三大ヤクザ組長らからの要請の面倒な状況下で調整する羽目になっているのだ。

 

 

 

「『こんなに危険な兵器を持っているぞ!じゃあ鎮圧しても問題ないよね?』とでも考えているんでしょうねぇ。世論操作は政府のお家芸ですから適当なことをマスゴミに言わせてヒーローによる制圧を正当化したいんでしょう」

 

 

 

「なんですかそれ…(# ゚Д゚)」

 

 

防衛室次長はカヤの予測に怒り狂いそうであったが、どうにもならない。

 

 

「まぁともかく過少に報告してやりますか。装甲車数台程度に収めましょう」

 

 

「はいではこれが報告書です」

 

 

 

カキカキカキカキ‥‥。

 

 

 

「これで良しと。さて、一息ついてコーヒーでも飲みますか。次長も飲みます?」

 

 

「ではお言葉に甘えて」

 

 

そうして二人は窓から外を眺めながらコーヒーを啜る。

 

 

 

「ふぅ…。相も変わらずのうるさく騒がしい街ですね」

 

 

「確かにそうですがアウトローが多いのがこの畜生街の問題点でもあり、良い点でもありますから」

 

 

「ま、そうですね。さっさと飲んで仕事を進めますか、ごくごくご『ドゴォアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッッ!!!!』ぶぅうううううううううっっっ!!!」

 

 

 

外を見ながらカヤはコーヒーを飲みほそうと飲んでいたが突然眼下の工場が爆発したのでコーヒーを噴き出してゴホゴホと激しく咳き込んでしまった。

 

 

 

「いったい何事ですか!!」

 

 

「室長!!勁牙組の傘下組織が暴走して剛欲同盟傘下の組織が保有している工場を爆破しました!!抗争が始まってしまい現在警備局の第九小隊が急行中です!!」

 

 

「仕事が増えましたね‥‥」

 

 

 

「ぁぁぁぁぁぁあああ!!!もう!!!」




次回 原作開始

過去編を書こうかと思ったのですが、どれがいいですか?

  • オールマイトとカヤの話
  • カヤの防衛室創設前の話
  • 防衛室の日常話
  • ヤクザとの抗争
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