俺は、フルマッピングボーナスで迷宮を無双する。   作:龍々山ロボとみ

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10話目・チュートリアルみたいに基本事項を確認する

 

 装備屋通りにきた。

 

 俺は、なぜか途中から手を繋ぐハメになった(ホントに何故だ? 俺には分からん……)ツバサを連れて、昔馴染みの装備屋に入る。

 

「すみません、『ミドルメイス』と『スモールシールド』をください。あと『ミドルハンマー』と『ヘルメット』と『チェストレザーアーマー』も」

 

 ずらっと並ぶ商品棚をざっと見渡し、目についたやつを手に取る。

 

 まぁ本当は、俺は装備屋に来なくても装備品を買えるんだが。

 

 まだそのことはツバサに言うつもりはないので、今日のところは普通にお店で買い物だ。

 

 俺の識別票(タグプレート)を店の決済用端末に押し当てて支払いをし、買った装備品を抱えて店を出た。

 

「ほら、やるよ。とりあえず装備しとくんだ」

 

 と言って買ったばかりの装備品を渡して装備品として設定させる。

 

 装備品は、装備しないと意味がないからな。

 

「毎回思うんだけど、この装備品とかドロップ品が光の球になってプレートに吸い込まれていくの、変な感じじゃない?」

 

「まぁ、そういうルールだからな。それにこれも、ここがダンジョンタウンだからこそだな」

 

 基本的に、ダンジョンの装備品はダンジョン内でないと具現化したり使用したりできないんだが、この虚空街アカシアでは街の領域内なら普通に装備品の出し入れができる。

 

 これはアカシア自体もエネミーの出ないダンジョンになっているから、ということらしい。

 

 逆に、街の外に出ると幻想体も装備品も使えなくなるので、傭兵を兼業している探索者なんかは普通の武器も装備している。

 

 なお、俺は探索者として以外で戦うつもりもないので、そういう通常の武器は持っていない。

 せいぜい寸鉄とか、分銅のついた革紐ぐらいだ。

 

「シールドとメットとアーマーは、ダンジョンに入ったらすぐに具現化しろ。いいな?」

 

 それだけ言い含めると、俺はさらにツバサを連れて歩き、途中でツバサとパーティー登録をしてからF級ダンジョンに向かった。

 

 

 

 ◇◇◇

 

「さて、(F級)ダンに来たわけだが」

 

 俺は、マップを開いて歩き出す。

 

「お前のその幻想体のレベル、何日ぐらいかけてそこまで上げた?」

 

 各種防具を身につけたツバサは、俺のあとに続きながら元気よく答える。

 

「えーっとね、5日ぐらい!」

 

 まぁ、そんなもんか。

 

「とりあえず、歩くぞ。まずはその防具類を着けた状態に慣れろ」

 

 俺は、マップを見ながらてくてくと歩く。

 ツバサも俺のあとに続いててくてくと歩き、時折ぴょんぴょん飛び跳ねたり手足を振ってみたりしている。

 

「なんか、この革の鎧、サイズ小さくない?」

 

 んなことないだろ。

 ダンジョン用の防具は、装備して具現化すると自動的にサイズが合うようになってるからな。

 

 お前の胸が育ちすぎなだけだろ。

 

「んんー……?」

 

 もぞもぞと胸周りを気にするツバサ。

 俺はそれを無視してさらに歩き、比較的開けた場所にやってきた。

 

「今度はここで武器を振ってみるぞ。まずはメイスを出せ」

 

「はーい!」

 

 ツバサは言われたとおりにミドルメイスを出し、ブンブンと振ってみる。

 

 ふむ。へっぴり腰だが勢いはある。

 わりと重いはずだが、ツバサの筋力ならスムーズに振り回せるようだ。

 

「次にハンマーも」

 

「はーい!」

 

 同じようにミドルハンマーも、軽々と振り回す。

 

 うん、やはり脳筋ステだ。

 なんなら、メイスとハンマーの二刀流でもいけそうだな。

 

「よし、次だ。これを持て」

 

 次に俺は、俺の装備品から具現化した弓をツバサに手渡し、使用状態にさせる。

 

 そしてステータスを表示させて、残りPPを確認する。

 

・━・━・━・━・

 

【名前 ツバサ・シノノメ】

【性別 女】

【年齢 15歳】

 

【消耗度】

HP・100.00/100%

PP・99.33/100%

 

・━・━・━・━・

 

 ……コイツ、意外と減ってないな。

 わりと幻想力も多いタイプか。

 

「弓を使ってみろ。ああ、もちろん俺に向けるなよ。どっか適当に、安全な方向に向けてだ」

 

「タッキー、あたし弓なんか使ったことないよ?」

 

「大丈夫だ。弦を引けば自動的に矢が現れるから、あとは手を離せば飛んでいく」

 

「けどそれ、どこに当たるか分からないんじゃない?」

 

「どこに飛んでもいいんだよ。矢を撃つことが目的なんだから」

 

「???」

 

 ツバサは、意味が分からないという表情を浮かべていたが、俺が「ほら、早くしろ」と言うと弦を引いて矢を撃った。

 

 矢は、斜めに飛んで10メートルほど先の地面に突き刺さった。

 

「ほらー、やっぱり」

 

「いいから、あと19本撃て」

 

「ええー!?」

 

 その後、全然真っ直ぐ飛ばない矢が合計20本地面に突き立ったところで、もう一度ツバサのステータスを確認してみた。

 

・━・━・━・━・

 

【名前 ツバサ・シノノメ】

【性別 女】

【年齢 15歳】

 

【消耗度】

HP・100.00/100%

PP・94.33/100%

 

・━・━・━・━・

 

 ふむ、20本撃って5%消費ということは、4本撃ったら1%消費、400本で100%分の消費。

 そこに幻想体構築と初期装備品の分も合わせると……。

 

「平常時で4万4000PPぐらいか」

 

「よんまんよんせんぴーぴー??」

 

「お前の幻想力の強さだよ。基本的には、多いほうがいい。それだけ長くダンジョン内で活動できるってことだからな」

 

 これは、俺が勝手に定義しているだけだが、ミドルボウを普通に引いて撃つ矢一本の消費量を100PPとすると、他の装備品とかの消費PPを計算しやすいんだ。

 

 ちなみに俺は2万ちょいぐらいしかないので、すでにツバサは俺の倍以上のPPを持っていることになる。

 

 しかしうーん……、コイツに負けてる要素があると思うと、なんか悔しいな。

 

「ちなみに、黄ダンや灰ダン(C級ダンジョン)に潜っている中堅どころでも、三万から五万ぐらいが平均だ。お前はそこに並ぶぐらい幻想力がある」

 

「つまり……、あたしってスゴい! ……ってこと!?」

 

「まぁ、PP量は他の新人と比べれば多いな」

 

「やったぁ! えへへ、もっと褒めてくれてもいいんだよ??」

 

 調子に乗って照れるツバサのドヤ顔にカチンときた俺は、鼻先をギュッとつまんでやった。

 

 尻尾を踏まれたネコみたいに飛び上がって悲鳴を上げ、地面を転げ回るツバサを見て、俺は溜飲を下げたのであった。

 

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