俺は、フルマッピングボーナスで迷宮を無双する。   作:龍々山ロボとみ

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20話目・厨二病弾バカ美少女

 

 俺は、昨日の今日でユミィと鉢合わせたことでなんだか嫌な気持ちになったが、しかしいまさら店を変えるのも面倒なのでそのまま席に着くことに。

 

「失礼、店員から相席を案内されまして。お隣よろしいですか?」

 

 返事はなかったが、わずかに頷いたように見える。

 

 ううむ、はっきりとしない奴だな。

 仕方ない、さっさと食べて店を出よう。

 

 俺とツバサは適当に料理を注文する。

 

 料理が来るのを待っている間ふと見てみると、ユミィの前のテーブル上にはコップ一杯しかないのが目についた。

 

 コイツ、オレンジジュースしか頼んでないのか?

 

 飯屋に来て飯も食わずにうなだれているとか、よほど昨日のことがショックだったんだろうか。

 

 そんなことを考えながらユミィを見ていると、ユミィもチラリと俺を見てきた。

 

 おっと、いかんいかん。

 つい不躾に見てしまっていた。

 

 コイツそれなりにできる奴だから、他人の視線とかは普通に感じ取れるんだろうな。

 

 仕方なく俺は、社交辞令モードで話しかけることにした。

 黙って盗み見ていたと思われるよりはマシだろう。

 

「ああ、すいません。なにやらひどく落ち込んでいるみたいでしたので、気になって」

 

「……んーん、気にしないで。落ち込んでないから」

 

 いや、めちゃくちゃ落ち込んでるじゃん。

 ズモモーン、みたいなどんよりした効果音が聞こえてきそうなぐらい落ち込んでんじゃん。

 

 コイツ、昨日の言動から察するに相当プライドが高そうだったし、見栄っ張りでもあるんだろうな。

 

 ほぼ初対面の人間に弱みを見せたくないのだろう。

 

 まぁ、気持ちは分かる。

 弱みを見せると付け込まれることもあるからな。警戒するのは大事だ。

 

「うっそだぁ。昨日からずっと落ち込んでるでしょ。そんなにパーティー追い出されたのが悲しかったの?」

 

「……!?」

 

 おい、バカ!

 ズケズケと踏み込んだことを言うな!!

 

 そしてコイツはコイツで「なぜそのことを……!?」みたいな顔してるが、昨日俺たちが隣の席で飯食ってたの、気付いてないなこりゃ。

 

「なぜそのことを……!」

 

「いやだって、あたしたち昨日隣の席でご飯食べてたから、一部始終見てたし」

 

「くっ……、不覚……!」

 

 くっ、不覚。じゃねーよ。

 

 そしてツバサもなに普通の友達みたいに喋ってるんだよ。

 

 たまたま相席になっただけなんだから、仲良くしようとしなくていいんだよ。

 

「ねぇねぇ、ジュースだけだとお腹空かない? それともダイエット中なの?」

 

「ダイエットとか……、したことないし」

 

「あー、そうなんだ! でも確かにユミィちゃんって、スラッとしててダイエットとか全然必要なさそうだよねー。あたしはほら、最近ちょっと全身ふにふにしてきたというか……」

 

 ツバサは、自分の二の腕とかをつまんでみせる。

 それをユミィはじっと見つめている。

 

「……いや、女の子らしいお肉の付き方で良いと思うけど……。ボクなんかほら、全身ガリガリだし、背も低いし、胸も……」

 

 今度は自分の体を見下ろして悲しげな目をし始めるユミィ。

 

 やめろやめろやめろ!

 お前ら、普通にガールズトークを続けるんじゃない!!

 

「んんっ、ツバサ。この街では探索者同士の暗黙の掟というものがいくつかあるんだが、相手の過去や素性を深く詮索しないというのもその一つだ」

 

 この街で探索者するなんて奴は、どいつもこいつも大なり小なり事情を抱えていることが多い。

 

 そういうのは、相当親しい間柄でも内緒にしときたいことがあったりするもんだ。

 

 まぁ、俺はツバサの事情を根掘り葉掘り聞き出したり、カネと人手を使ってカトスたちの素性を洗いざらい調べたりもしたが、それはそれ。

 

 普通は、そういうことはしないもんだ。

 

「へー、そうなんだ」

 

「ああ、だから、たまたま飯屋で相席になったぐらいの相手とぺちゃくちゃ喋るのは……」

 

「じゃあ、友達になったら良いってことだね! ユミィちゃん、あたしとお友達になろうよ!」

 

「……」

 

 ちげーよ!

 逆方向に解釈してんじゃねーよ!!

 

 しかし、俺の思いとは裏腹に、ユミィは、

 

「えっ、ボクと友達に……?」

 

 と、なにやら満更でもなさそうな雰囲気でツバサを見た。

 

 おいおいおい!

 なにお前も雰囲気に流されそうになってんだよ!

 

 お高くとまってて友達が少なかったタイプか!?

 ちょろっと親しげに話しかけられただけで鼻の穴膨らませてんじゃねーぞ!?

 

「ユミィちゃんって髪も白いしお肌も真っ白だねー。あたしなんて野良仕事とかでずっと外にいたから、すっかり日焼けしちゃってさー」

 

「健康的で、いいと思うけどな。ボクなんか陽に当たるとすぐお肌がヒリヒリしてくるから、太陽は天敵なんだ」

 

「そうなんだー。あ、ユミィちゃんって前衛後衛どっち? あたし前衛! 今タッキーに教えてもらって、メイスとハンマーの練習してるんだー」

 

「そうなんだね。ボクは後衛だよ。杖士(シューター)をやっててね、エネミーどもを蜂の巣にしてやるのが仕事さ」

 

 シューター、と聞いて俺は理解した。

 

 ああ、コイツがゴンザのパーティーのエースだった奴か、と。

 

華火師(ファイヤワーカー)ってのは、お前のことだったのか?」

 

 思わず俺が口を挟むと、ユミィは嬉しそうに答える。

 

「ああ、そうだとも。ボクが稀代の天才シューター、白夜(びゃくや)華火師(はなびし)ユーマリオン・テンドロームさ!」

 

 どやぁ、っとした顔で自信満々に言い切る。

 

 おお、コイツすごいな。

 普通そんな、こっ恥ずかしい二つ名を堂々と口にはできないと思うんだが。

 

「ええー! なにそれなにそれ、カッコ良いー!!」

 

 そしてこちらのバカは完全に大興奮だ。

 めちゃくちゃ目をキラキラさせてしまっている。

 

「そうだろうそうだろう、ボクは凄いんだぜ!」

 

「すごいすごーい! ねぇねぇ、普段はどんな感じで戦ってるの?」

 

「ふふふ、それはね……」

 

 とかなんとか、ツバサとユミィは飯を食いながら(なんか、ユミィもサンドイッチを追加で注文して食べ始めた)も仲良くお喋りを続け、最終的には、

 

「じゃあ、この後ちょっくらボクと一緒に潜ってみるかい? なぁに、そこのボンクラっぽい兄さんと一緒に、まとめてボクが面倒見てあげようじゃないか!」

 

「やったあ!」

 

 と、そういうことになっていた。

 

 ええ……、嘘だろ……。

 

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