俺は、フルマッピングボーナスで迷宮を無双する。   作:龍々山ロボとみ

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33話目・レベル1だからこそ見えてくる課題

 

 3人で白ダンに潜り、まずはいつものように歩き始める。

 おっとそうだ、いつもより少し遅めに歩かないとな。

 

 俺は後ろの2人が遅れずついてこれているのを確認しながら、説明をした。

 

「まずは、レベル1の幻想体の動きを理解しろ」

 

「はーい!」

 

「なんか、すごく歩きにくいんだけど……」

 

 少し歩くとすぐに分かったが、ツバサがまた足音がうるさくなっているし、ユミィの歩き方がすごくぎこちない。

 

 今まで使ってきた幻想体に比べてステータスが遥かに劣るからな。

 感覚にズレが出るんだろう。

 

 俺はエネミーと遭遇しないように気をつけながら、しばらく2人を歩かせてみた。

 

「慣れてきたかも!」

 

「なんとか、普通に歩けるや」

 

「ステータス差に慣れてきたら、装備品の素振りや試し撃ちもしてみるといい」

 

 レベル1の幻想体だと、足も遅いし機敏さもない。

 

 走ったり戦ったりすればすぐに疲労状態になるし、装備品を振り回せば重さでフラつく。

 

 生成できる光弾は小さいし、連射するとすぐに息切れする。

 

 そういう違いも、今のうちに理解しておいてもらおう。

 

 エネミーが出てくる前にやっておかないと、なかなか攻撃が当たらなかったり余計な攻撃を喰らったりするからな。

 

 ちなみに今回、弟子2人には1つずつしか戦闘用装備を持たせていない。

 

 ツバサはショートハンマーで、ユミィはショートスタッフ(指揮棒サイズの杖だ)だけだ。

 

 これも、普段とは違う武器に慣れるための練習だ。

 

 幻想体を切り替えるときに装備品も切り替わるからな。

 色んな装備品を使ってみてもらおう。

 

「んー。あたしはそんなに、変じゃないかも」

 

 ツバサが手に持ったショートハンマーをブンブン振り回す。

 

 ツバサの筋力はレベル1でもそこそこ高いからな。

 ショートハンマーぐらいなら軽いものだろう。

 

 けど、やっぱりちょっとスイングがブレている。

 

 技力が低いからだな。

 これは、地上でも素振りをさせるべきか。

 

「うわっ、ヒョロヒョロ弾しか出ない! なんだこれ!」

 

 ユミィのほうは、いつもよりはるかに小さい光球しか出せないことに愕然とし、手に持ったショートスタッフをポロリと落とした。

 

 こちらは、レベル差と装備品の差のほかに、天才型と通常型の初期ステ差が加わる三重苦だからな。

 

 おそらく内心では「こんなんじゃ戦えない!」とか思っているのだろう。

 

「おいタキ兄ぃ! こんなヒョロヒョロ弾じゃ戦えないぞ! なんだこのヒョロさ! タキ兄ぃじゃあるまいし!」

 

 誰がヒョロヒョロだ、このチンチクリンが。

 

「だって! このサイズだと分割したらまともにダメージを与えられないぞ!」

 

 まぁな。

 今のユミィが出せる光球は、ユミィが普段出す光球を分割した後の小光球とたいして変わらんサイズだからな。

 

 それをさらに分割したら、まともなダメージは与えられないだろうな。

 

「だったら、分割せずに撃てばいい。そのまま撃てば普段のお前が撃ってる光弾とほぼ同じ威力が出せるぞ」

 

 一発だけだがな。

 

「一発だけじゃダメだろ!」

 

「ダメじゃない。……良いかユミィ、良い機会だから言っておくが、お前は無駄弾が多すぎる」

 

 お前の元の知力ならどこに当てても大きなダメージが出るし、元の心力なら倒せるまで弾を撃ち込めるから問題なかっただろうが。

 

「お前は、一発一発の狙いがヌル過ぎる。もっと相手の急所に弾を集めろ。そうすれば、もっと少ない弾でエネミーを倒せてPPの節約に繋がる」

 

 気前よく撃ちまくるのも良いが、ちゃんと狙いを絞れ。

 

 お前がやろうと思えば精密に狙えることも、俺は知っているからな。

 

「うぅぅ〜〜……、だって、弾がいっぱいになると狙いをつけるの面倒臭いんだもん……!」

 

 それはそうだ。

 だから、まずは一発だけできちんと急所を狙う練習をしろと言っているんだ。

 

「各エネミーの急所判定(クリティカル)のタイミングやポイントは俺が教えてやる。お前はそこをしっかり狙って撃て」

 

 こういう、ステータスに依存していた部分を鍛え直せるのも、レベル1攻略のいいところだ。

 

「正論すぎて反論できない……! くぅぅ、ボンクラ兄さんのクセに!」

 

 怒って地団駄を踏むユミィに、ツバサが「大丈夫だよ!」と声をかけた。

 

「ユミィちゃんはあたしより超すごいんだから、きっとすぐにできるようになるよ! それにタッキーは、めちゃくちゃなことを言うけどちゃんとあたしたちのことを考えてくれてるし!」

 

 と、笑顔で言うツバサに、ユミィは悲しげにため息をついた。

 

「……分かったよ……。ツバサがそう言うなら、ボクも頑張るよ……」

 

 おう、頑張れがんばれ。

 

 しかし、ははは。

 調子に乗ってる奴が鼻っ柱を折られるのを見ると、気持ちがいいな。

 

 愉快ゆかい。

 

 こうして俺は、低レベル幻想体で四苦八苦する弟子2人を連れて白ダン内を歩き続けた。

 

 

 

 ちなみにそれから少しあとで。

 

「え。タキ兄ぃの幻想力、少なすぎない……?」

 

 と、測定結果が驚異の10万PP越え(そりゃあ、あれだけバカスカ撃てるわけだ)のユミィから、可哀想な奴を見る目で見られてしまった。

 

「ツバサの半分もないんだろ……? 大丈夫? いきなりPP切れで落ちないでよ??」

 

 うるせー!

 だから俺はPP節約してるんだよ!!

 

 怒る俺を見てケラケラ笑い合うバカ弟子2人に、俺は「地上に戻ったら覚えてろよ!」と内心で吐き捨てたのであった。

 

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