俺は、フルマッピングボーナスで迷宮を無双する。   作:龍々山ロボとみ

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43話目・色んな問題でフルコンボだドン!!

 

「セリウス・タキオンです。エリーゼさんをお願いします」

 

 探索者協会に赴きエリーゼさんを呼ぶと、俺たちは来客用の部屋に通されてしばらく待った。

 

 そしてエリーゼさんと、協会幹部のシュナウザーさん(探索者たちからはシュナ爺の愛称で親しまれている人だ)が部屋に入ってきた。

 

「お久しぶりです、シュナウザーさん」

 

「久しいの、ター坊」

 

 俺が立ち上がって頭を下げると、それを見た弟子たちも同じように立ち上がって頭を下げた。

 

 どうやら俺の態度を見て、真似したほうが良いと判断したようだ。

 そういうところに気が回るようになったというのは、素直に喜ばしいことである。

 

 だが、シュナ爺やエリーゼさんの表情を見るに、話の内容はあまり良くないことなのだろうと察せられた。

 

「ほっほほ、畏まらなくても構わんよ。ほら、皆お座り」

 

 促され、俺たちは再び着席した。

 テーブル対面の椅子にシュナ爺が座り、何かの資料を抱えたエリーゼさんは座らずにシュナ爺の後ろに控えた。

 

 シュナ爺が、俺の弟子たちの名を一人ずつ呼ぶ。

 

「ユーマリオン・テンドローム君」

 

「は、はい」

 

「君の()()()から、捜索願いが出ておるらしいぞ」

 

「……えっ!?」

 

 なんだと?

 

 シュナ爺が、エリーゼさんから受け取った書類をこちらに見えるようにテーブルに置いた。

 

 そこには確かにユミィらしき少女の似顔絵とともにこの少女を家出人として探している旨が書かれており、届出人として、この国の()()()()の家紋と、当主のものらしき署名が入っている。

 

 署名のヌシはユーゴロイド・ガーランドック、……って、

 

「辺境伯家じゃないですか。しかも、こっち(王国の東側)じゃなくて真北を守護するほうの」

 

 ほんとなら、だいぶ遠いぞ。

 馬車や地竜車でも2か月はかかる距離だ。

 

 シュナ爺は頷き、ユミィを見つめる。

 

「この捜索願いの出ている少女は、君で間違いないかね?」

 

 ユミィは、あうあうと言葉にならない声を漏らしていたが、やがて観念したように「……はい」と頷いた。

 

 マジかコイツ。

 お貴族様んとこの人間だったのかよ。

 

 ユミィが泣きそうな顔で俺を見てくるが、そんな顔されても困る。

 俺も今初めて知って、情報を呑み込むのに労を要しているところだ。

 

 だが、シュナ爺の話はそこで終わらなかった。

 

「イ=モコウ君」

 

「はいネ」

 

「君の義兄弟を名乗る者たちが協会に来て、君のことを探しておったよ」

 

「オゥッ!?」

 

 ……義兄弟?

 

「なんでも、一門の鍛錬に耐えきれず逃げ出した軟弱者を探している、見つけ次第連れ帰って矯正大牢で鍛え直さなくてはならない、とのことじゃ」

 

 モコウを見ると、頬を引きつらせて顔を青くしている。

 

 おいおい、お前も探されてるのか。

 しかもなんだ、逃げ出した軟弱者とか言われてるのかよ。

 

 コイツを軟弱者呼ばわりする集団か……。

 ヤバそうな連中だな。

 

 俺は、発覚した弟子たちの新事実に頭が痛くなってきたのだが、さらにさらにシュナ爺はとんでもないことを言ってきた。

 

「最後に、ツバサ・シノノメ君」

 

「はい!!」

 

「君のことを、アンコウ会の連中が探っておるそうじゃ」

 

 ……はあっ?

 シュナ爺、マジで言ってる?

 

「へっ? その、アンコウ会って、なんのことですか……?」

 

「簡単に言うと、金貸し業を主な生業とする連中じゃが、色々と黒い噂の絶えん連中でもある。違法な金利でカネを貸し、取り立てる時は骨の髄まで吸い尽くされるともっぱらの評判じゃ」

 

 ……ツバサ?

 

 俺がジロリと睨むと、ツバサは慌てて首を振った。

 

「待って待って待って!? あたし借りてないよ!? いや、確かにここに来るまでの道中でお金借りそうになったことはあるけど、ちゃんと我慢したもん!!」

 

 じゃあなんでアンコウ会は、お前を探してるんだよ。

 

「し、知らないよ! ……ほんとだよ信じて!!」

 

 俺はツバサの目をジッと見つめたが。

 

「……ふむ」

 

 この感じ(コイツ嘘ついてる時は目線とか態度ですぐに分かるからな)は、マジでコイツ何も知らないやつだな。

 

 だが、だとすると……。

 

 俺はいくつかの可能性を考え、それからシュナ爺に目を向けた。

 

「ター坊の考えで当たっておるじゃろうて。アンコウ会は、違法な奴隷売買のツテもあると言われておる。ツバサ君のご両親どちらかが借金をしていたとして、手っ取り早くカネを回収するためにツバサ君をさらおうと考えているやもしれんな」

 

 やっぱりそうか。

 

 俺はシュナ爺たちに断りを入れてから、元ヌケニンの斥士、ハンズ・ハトリに通信を入れてみた。

 

 するとハンズからは『よぉ。お前んとこの嬢ちゃんたちを探してる連中がいるが、いくら出せる?(向こうより多くカネを出すならお前につくぞ、の意)』と言われた。

 

 やはりな。

 すでに色々、話が回っているな。

 

 俺はハンズに『そいつらの三割増しで払う。護衛と情報収集を頼みたい』と伝えた。

 

 幸いにしてハンズは『……二割増しで良いぜ。お前を敵に回すのは面倒だ』と言ってくれたので。

 

 俺は『お前の首を刈らなくて良いように頼むぞ(さらに向こうに寝返ったら許さんぞ、の意)』と伝え、ひとまず協会の外に潜んで待機していてもらうようにした。

 

 そして俺は通信を終えると、不安そうな目でこちらを見つめる弟子たちに向き直る。

 

 とりあえず。

 

「お前ら、どいつもこいつも問題児か!」

 

 ツッコまずにはいられないことを叫んだ。

 

 三馬鹿弟子たちが揃ってビクリと震えた。

 

「家出娘に脱走者に借金漬け! どうせ何かあるんだろーなーとは思っていたが、マジで揃いも揃って面倒事を抱えてやがったな!」

 

 しかもどれもこれもけっこう面倒臭いぞ!

 

 お貴族様の捜索隊(当然、それなりの戦闘力となにより権力がある)に、

 

 武闘派集団(モコウを落ちこぼれとか軟弱者呼ばわりできる激ヤバ戦闘力持ち)に、

 

 さらにはデカくてカネのある黒い組織(小さな貴族の家とかなら、コイツらからカネ借りてて何も言えなくなってたりするらしい)だぁ?

 

 一つずつでもたいへんなのに、三つまとめて来るんじゃねーよ!!

 

「あーもう、どうすっかなマジで……」

 

 俺は今後のことを考えて頭を抱えたが、ふと見ると、弟子3人が3人とも泣きそうな顔になっていた。

 

 お前らなんだよその顔は。

 泣きたいのはこっちのほうだっての。

 

「お前ら、()()()()()()()()()覚えてろよ、マジで」

 

 どれもこれもマジで面倒くせーよ、クソが!!

 どれから手を付けたら良いんだよ……!

 

 と、脳内で今後のプランを練っていたところ、3人娘たちが各々顔を見合わせ、

 

「……ねぇ、タキ兄ぃ?」

 

 それからユミィが、おずおずと俺の名を呼んだ。

 

 なんだよバカ弟子。

 

 俺は今忙しいんだ。

 

 手短に言え、手短に。

 

「……怒ってないの?」

 

「……はあっ? めっちゃイライラしてるよ! 早急に解決が必要なタスクが積み上がったからな!!」

 

 だから今、一生懸命今後のことを考えてるんだろーが!

 

「あの、それについてはごめん……。けど、もしかして、ボクたちの問題を解決しようとしてくれてるの……?」

 

「あ!? そう言ってるだろ! さっきから何が言いたいんだよお前は!」

 

 するとユミィは、また泣きそうな表情になる。

 なんだなんだ、さっきからどうしたんだよ!

 

「タキ兄ぃ、だって、これってみんなボクたちの個人的な問題なんだぜ……?」

 

「だから分かってるよ! お前らバカ弟子たちがどいつもこいつもバカだから起きてる問題だろーが!」

 

 どれもこれもほっとくと死ぬほど面倒臭いことになるのが目に見えてるから、さっさと解決する方法を考えてるんだよ!

 

 意味分からんことごちゃごちゃヌカすぐらいなら黙って待ってろ!!

 

 頭に来た俺は、エリーゼさんにお願いして三馬鹿弟子たちを別室に連れていってもらった。

 

 まったく、意味分からんことをダラダラ喋りやがって……!!

 

 時間は有限で、俺の頭脳の処理能力も有限なんだぞ。

 余計なこと考えてるヒマないっつーの!

 

「ほっほほ。ター坊も苦労するのう」

 

「本当ですよ! まったくアイツらときたら……。全部片付けたらめちゃくちゃに説教してやる……!」

 

 俺は、さらに思考をフル回転させる。

 

 途中でエリーゼさんの持ってきてくれた書類や報告書にも目を通し、おおよその枠組みを考えてから、

 

「……それで。協会はどこまで動いてくれるんですか?」

 

「ほほっ。そうじゃなあ……、」

 

 と、シュナ爺(探索者協会の幹部)と話し合いを始めたのであった。

 




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