俺は、フルマッピングボーナスで迷宮を無双する。   作:龍々山ロボとみ

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64話目・決闘終盤

 

「タッキー! ……うわっ、すごいことになってる!」

 

 強制退場していくビリーを見送っていると、崖下からツバサの声が聞こえてきた。

 俺は白煙が晴れ始めた崖下に降りていき、ツバサたちと合流する。

 

「私たちのいたところが立ち入り禁止区域に指定されましたので、ステラさんやお弟子さんたちとともにこちらに移動してきました」

 

 と、姉貴を背負っているモルモッティーアさんが、左手に持った大盾を下ろしながらニコニコと言う。

 

「そうでしたか。爆弾を投げまくっていたので、アナウンスが聞こえていませんでした」

 

「おいおいセリー、人形越しに見ていたが、さすがにやりすぎじゃあないか? あんなの見せたら、さすがに何の説明もなしじゃあ他の連中は納得しないぞ?」

 

 姉貴の言葉に、俺は頷く。

 

「だろうな。だから構わない範囲で説明するし、それ以上知りたい奴からはカネを取って教える」

 

 俺の爆弾無双もそうだが、弟子たちの動きも見るやつが見れば明らかにステ値が高すぎるってことが分かるだろうからな。

 

 秘密を知りたい奴は必ず出てくるし、あまりにも異常すぎる強さを見せつけておけば、無理やり聞き出そうとしてくる奴らへのけん制にもなる。

 

「すでに、街中で襲われないように弟子たちには茶ダンをクリアさせてきている。よほどのバカでなければ、自分たちが返り討ちに遭うだけってことが分かるだろうよ」

 

「ふゥむ。まぁ、そこまで考えてのことなら、お姉ちゃんからはもう何も言わないよ。セリーの好きにすればいいさ」

 

 そうさせてもらうよ。

 

「それで、姉貴。そっちの首尾はどうだ?」

 

「あァ、それこそさっき見つけたところだ。モルモ君、降ろしてくれたまえ」

 

 姉貴は、モルモッティーアさんの背中から降りると、新たに一体の人形幻想体を作成した。

 

「ワーオ、なんかデカいネ」

 

 姉貴が新たに作成したのは、馬の胴体から4本腕の人間の上半身が生えた形の人馬一体(ケンタウロス)型だ。

 

 ご丁寧に馬部分の背には鞍が付いており、姉貴はそこに乗馬(乗馬でいいのか、これ?)すると、パカパカと移動を始めた。

 

「ついてきたまえ。案内しようじゃないか」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 姉貴に続いて移動を続けていると、何度か幽霊男(ゴースト)たちの分身体による襲撃があった。

 

 それらをことごとくツバサのタイラントフレイル・ホームランで殴り飛ばしながら進み続けると、偵察に出していた姉貴の人形たちも戻ってきた。

 

 そして皆で一塊になってゾロゾロと移動していくと、そこそこ開けた場所にたどりついた。

 

「……すげぇな」

 

 そしてその開けた場所いっぱいに、幽霊男(ゴースト)たちがひしめき合って待っていた。

 

 全部で200体はいるか?

 あまりにも密集しすぎていて、何かの冗談のようにも思えてくる。

 

「これだけの数の分身体を作ったら、もう幽霊男たちの本体にはほとんどPPが残っていないんじゃないのか?」

 

 となれば、幽霊男たちの本体はもう戦闘力がほぼないかもしれない。

 四つ子連携は警戒しなくてもいいのか?

 

 だが、そうまでして用意したこの大量の分身たちは……。

 

 そこで俺は一つ、嫌な考えが脳裏をよぎった。

 まさか、いや、しかし。

 

「あらあら、あのヤンチャくんでは足止めにもならなかったようね」

 

 と、大量の幽霊男(ゴースト)の向こう側、少し小高い場所からこちらを見下ろしてきているのは、

 

「まぁ、けど、仕方がないわね。あの子たちには、私たちと違って優雅さが足りないもの」

 

 暗い呼び声(リビングデッド)のリーダー、貴腐人のマインさんだ。

 

 マインさんの隣には、暗い呼び声(リビングデッド)の弓士の男と、

 

「とうとう来たな。そして……、おぉ……! そこにおわすは、間違いなくユーマリオンお嬢様!!」

 

 ミドルブレードとミドルシールドで武装した(実にオーソドックスな装備だ)フレスピークの奴がいた。

 

 フレスピークはユミィを見つけて叫び、ユミィはフレスピークを見て、ものすごく嫌そうな顔をした。

 

「ほんとにフレスピだ……。はぁ、やだなぁ……」

 

「お嬢様!! 今からその不届き者どもを成敗いたします!! 今しばらくお待ちを!!」

 

「ほら、全然こっちの話聞く気ないし……」

 

 まぁ、アイツはずっとあんな感じなんだろうな。

 

 気合いだけは入っているから、こんな遠いところまで探しにこれるってわけだ。

 

「それではマイン! やるぞ!」

 

「ええ、フレスピーク様。やってやりましょう」

 

 その言葉を合図に、大量の幽霊男たちが動き出した。しかも、

 

「タキ兄ぃ! 後ろからも来てるぞ!?」

 

 なんと俺たちの背後から、さらに100体近い幽霊男たちが現れた。

 

 嘘だろ!?

 こんなに大量の分身体を作れるのか!?

 

「オォー! 挟み撃ち、やばいネ!」

 

 姉貴が、前後に展開していた人形たちを迎撃態勢にした。

 

 モルモッティーアさんは姉貴のガード、モコウは背後から来る大量の分身たちと戦おうとするが、

 

「モコウ!」

 

 俺が出した自在盾で、モコウを狙って飛んできた光弾を防ぐ。

 マインさんからの一発まとめての光弾だ。

 

 しかも、今回は属性付きだった。

 自在盾で防いだ瞬間、光弾が炸裂して紫色の煙が周囲に広がる。

 

 継続ダメージの入る毒属性だ。

 煙が一気に広がるのを見て俺は「毒属性!」と叫び「防毒コート」を具現化して(マインさんが毒属性を使うのは知っているからな)羽織った。

 

 そこに今度は弓士からの雷矢が飛来する。

 前から来る分身たちと戦おうとしていたツバサに三本ほど当たり、全身鎧でダメージは防いだが、雷属性のマヒが入ってしまった。

 

「うぎゃっ!? 体が!?」

 

 ぐっ、まずい。

 ツバサは体力はあるが心力が比較的低めだから属性の追加効果が入りやすいんだ。

 

 あれだとマヒで数秒動けん。

 そしてその間に前からの幽霊男たちがどんどん近づいてくる。

 

 乱戦にする気か?

 いや、おそらく違う。

 

 俺がマインさんなら、数と地形で逃げ道を塞いだあとは、確実に仕留めにかかる。

 

「姉貴! 人形で壁! 幽霊男たちを近寄らせるな!」

 

 俺も地面から塀盾(フェンスシールド)を生やして足止めにかかるが、幽霊男たちはそれを無理やり乗り越えてやってくる。

 

 そして分身たちが、先ほどとは違って手に何か持っているのを見て、俺は確信した。

 

 まさかとは思ったが、おそらくこの分身たち、分身作成時に具現化している装備品だけじゃなく、装備品欄にある装備品も使えるようだな。

 

 つまり、だ。

 

「すまん姉貴! 死守!」

 

「はァッ!? って、まさか……!」

 

 姉貴も思い至ったようだ。

 クソッ、間に合え……!

 

 俺は、近くで光弾を出そうとしていたユミィの首根っこを掴んでツバサの近くに投げ、さらに後方からの分身たちと戦おうとしていたモコウも首根っこを掴んでツバサのところに向けて投げた。

 

 そして俺は、弟子たち3人の周りを囲むようにして塀盾(フェンスシールド)を生やしながら「全力防御!」と伝えた。

 

 幽霊男たちは一斉に、手にしていた()()を俺たちに向けて放り投げ……、

 

 

 

 次の瞬間、300発近い爆弾がまとめて大爆発した。

 

 

 




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