俺は、フルマッピングボーナスで迷宮を無双する。   作:龍々山ロボとみ

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9話目・あまりにも脳筋すぎる……!

 

 ◇◇◇

 

 翌日。

 弟子一号が俺の部屋にやってきた。

 

 さすがに今日は、昨日と違いちゃんと女物の服を着てきている。

 

「お待たせタッキー!」

 

 おい、タッキーって言うな。

 俺とお前は友達じゃないぞ。

 

 ちなみにこのバカ弟子は、昨日のうちに探索者協会に連れていって借入金を全額返済させ、クソボロ安宿を引き払わせて俺と同じ宿の隣の部屋に押し込んでいる。

 

 というか、あんな治安の悪い(宿の鍵もかかるか怪しいんだぞ。信じられん)ところに平気で住むとか、やはりコイツはどこかヌケてるんだと思う。

 

 聞いてみれば案の定、夜中は他の人間が気になってあんまり熟睡できていなかったらしい。

 安眠できない宿に泊まってもカネの無駄だろうに。

 

 まぁ、いい。

 一度面倒を見ると決めた以上は、当面のコイツの生活費や宿泊費は俺が立て替えておこう。

 

 ツバサの装備品の更新とかも必要だしな。

 

 安定して探索できるようになるまではコイツの収入などタカが知れているし、ひとまず、諸々のカネの支払いはコイツの将来にツケておく。

 

 頼むから、三日坊主で投げ出してくれるなよ。

 

「まず最初にダンジョンに入る前に、あらためて言っておく」

 

「はーい!」

 

「今回お前に教えていくのは、俺のダンジョン探索の集大成とも言える知識と技術だ。俺の五年間の血と汗と涙の結晶と言ってもいい」

 

 俺がダンジョン探索をする中で磨き上げてきたノウハウとも言えるが、すなわち俺が探索するうえで気をつけていることや重要視していること、誰にも教えていない秘密情報なども含まれている。

 

「俺が言うことは、きちんと聞いて理解しろ。分からなければ、必ず俺に聞き直せ。そして言われたことは言われたとおりに必ずやれ」

 

「はーい!」

 

「少なくとも俺は、俺のやり方で安定している。これがツバサにも合うのか、まずはそこから確かめたい」

 

 だから、きちんと言われたとおりにしてくれ。

 想定外のことをされると効果測定ができない。

 

「まず、今のツバサが知りたい。ステータスを出してくれ」

 

「はーい!」

 

 コイツ、返事だけは良いな……。

 返事が良すぎて本当に聞いているのか少し不安になる。

 

 俺は、素直に差し出してきた識別票(タグプレート)を受け取り、ツバサのステータスを確認する。

 

 そこには、こう書かれている。

 

・━・━・━・━・

 

【名前 ツバサ・シノノメ】

【性別 女】

【年齢 15歳】

 

【消耗度】

HP・100.00/100%

PP・100.00/100%

 

【ステータス値】

LV・9

知力・G

心力・F+

速力・F+

技力・G+

筋力・C+

体力・C

 

【装備品枠・7/20】

『マップ(1)』

『通信装置(1)』

『緊急脱出装置D(5)』

 

【所持品枠・0/20】

 

・━・━・━・━・

 

 な、なんだこの脳筋ステータス……!

 

 レベル一桁で筋力と体力がC以上なのも驚きだし。

 

 それよりなにより、燦然と輝く「知力・G」がヤバい。

 

 いや、ここでいうステータスはあくまでも補正値なので、本人の資質とはそれほど関係ないんだが……。

 

 いや、やっぱりあるか。

 

 確か、このステータスの初期値や伸び方は人によって異なり、本人の性質にある程度沿っているという話もあるしな。

 

 そして「知力・G」ということは、コイツは賢さになんの補正も加わっていない状況を意味する。

 

 やっぱりコイツ……。

 

「ねぇねぇタッキーどう? あたしのステータス、すごい?」

 

 と、木の枝をくわえて戻ってきた犬のような、いかにも褒めてほしそうな表情でツバサが聞いてくる。

 

 ぐっ、そんな顔をされると、さすがに「お前やっぱりバカなんだな」とは言いにくい……。

 

 とりあえず、褒められるところは褒めておこう。

 コイツは単純だから、褒められれば喜ぶだろ。

 

「あ、ああ。体力と、とりわけ筋力のステータスが高いな。すごいぞ、将来有望だ」

 

「えへへー! そうでしょー!」

 

 褒めてやると、ツバサはとたんに上機嫌になり、大きな胸を張って偉そうにする。

 

 やめろやめろ。

 見ているこっちが恥ずかしい。

 

「このステータスなら(F級)ダンも楽勝だろうし、ちゃんとしたパーティーで挑めば(E級)ダンもクリア可能だな」

 

「そうでしょそうでしょ! 昨日の探索も、向こうから誘ってくれたんだー。これなら一緒に潜ればすぐにクリアできるよ、って」

 

 まぁ、ステータスだけ見ればそうだな。

 

「これは、元からそうだったのか? あー、つまり、筋力と体力は元から高めだったのか?」

 

「うん! 体力は覚えてないけど、筋力は最初からEだった!」

 

 つまり、筋力値が最大補正になるタイプか。

 まぁ、そう考えれば極めて順当にステータスが伸びているな。

 

 それにたぶん、レベルアップごとのステータス値の上昇量もだいぶ上ぶれしているはずだ。

 

 わりかし運も良い、と。

 しかし、そうなると……。

 

「よし、分かった。お前は耐久型の前衛向きだな。それを踏まえてプランを練る」

 

「耐久型? 前衛?」

 

 お前、その段階から疑問符が出るのかよ……。

 

 いや、もういい。

 今はこれ以上説明しないでおこう。

 

「要するに、強さと硬さを備えた、最前列で殴ったり殴られたりする役だ。まぁ、いわばパーティーや探索者の花形だな」

 

 本当は、どちらかと言えば泥臭いイメージのタイプだが、

 

「花形ってほんと!? やった! あたし頑張るね!」

 

 こう言っておけばモチベーションも上がるだろう。

 

 やる気が出るのは大事だ。

 特にコイツみたいなタイプは、最初でつまずくと後々まで響くおそれがある。

 

 調子に乗りすぎない程度におだててやって、調子に乗ってきたらちょくちょくクギを刺してやろう。

 

「それじゃあまずは、ツバサの新しい装備から調達するか。装備屋通りに行くぞ」

 

「はーい!」

 

 というわけで、二人で並んで宿を出た。

 

 なお、目的地に向けてスタスタと歩いていると、後ろをついてくるツバサから「早いよ! もっとゆっくり歩いてよ!」と怒られたが、無視した。

 

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