はぁ……
「あ、あ、あ……………!?」
天照は口を精一杯開き、叫び声を出そうとするが、「あ」しか出せず自分自身で驚いているようであった。
だが、漣たちが驚いているのは『ソコ』ではなかった。
絶が狂ってしまった。
以前漣達は紫の提案で絶の過去を知るために四季映姫の元へ行ったとき、『浄瑠璃の鏡』で見せられたあの時の絶になってしまっているのだ。実の両親を食い殺したあの時の絶に……つまり、あの時の絶は自身の体重と実の両親の体重、合わせて約150kg以上あったということになる。とても胃袋一つに収まる量ではない。それを見事食い切ったという異常なことをしてのけた。
その時の絶が、今アドバイザーが言っていた『冥界の扉』から現れたのだ。
「クヒャヒャヒャァァァ!!神様美味死イィ!全部……全部ゥ!喰ワセロォォォォ!!」
絶は酔拳のように不規則な動きで天照を嘗め回すように観察すると、ブンッと首を振ったように見えたかと思えば、天照の両足が絶の口の中へと入っていった。
「がああああぁぁぁぁ!??よ、よぐもぎざま……!我の両足をぉぉぉ!」
天照は後ろに倒れながらもさっきよりもとても小さいサイズの太陽を絶へと放つ。それだけでも漣達からすればとんでもない量の神力を秘めている。
だが、絶は天照が放ったミニサイズの太陽が当たる寸前、またもや首をブンッと振る。
「馬、鹿な……」
天照はあまりの出来事に言葉を失っている。それもそうだろう。漣達も同じように言葉を失っている程なのだから……だが、絶は……
「アハハハハ!!アハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!ネェ、ドンナ気持血?ドンナ気持血ィ?自慢ノ太陽ヲ食ベラレテェ?」
「ありえない……っ!こんなことぉ!」
「煩イ。喰ウゾ其ノ口」
ガブリッ!!
天照の頭が胴体から消えた。
首から噴水のように噴き出す血。そして信仰によって再生しようとする体。その肉体をただの爪で引き裂き、喰らっていく。
ただの
「モウ喋レナイカ?苦死イカ?ナラ貴様ガ大嫌イナ計画ノ礎二ナッテモラオウ」
天照の肉体全てを食い尽くした絶はゲラゲラと腹を抱えて笑っていると、絶の体に異変が起こる。
なんと絶の腹が膨張してきているのだ。
絶の腹の中には天照……信仰さえあれば無限に生き返る神の肉片がある。それが絶の体内であろうと関わらず、再生しようとしているのだ。このままでは絶の腹が破裂し、天照が復活してしまう。だが、ぶくぶくと膨れ上がっていても絶は笑うことを止めなかった。
バンッ!!
肉が破裂した音とは思えない銃声のような音がしたかと思うと肉片が絶がいた辺りを中心に散らばる。
そして……
その肉片がまた再収集されていく……
やがて……一つのカタチへと変わっていく……
元の絶の姿へと戻ったのだ。
「絶!一体これは……」
漣が絶に問いかけるが……
「…………ククク」
笑ったのはアドバイザーであった。
私の友は絶と滅だけか……あぁ、またボッチになってしまったよ