真っ暗闇の空間でありながら……漣と妃香梨は目の前の二人の姿ははっきりととらえられていた。
「なんで……俺が……それに妃香梨まで……!?」
驚きで言葉がしどろもどろとでしか出てこない。
だが、同じ姿をした漣と言えども、あちら……仮に『黒漣』と『黒妃香梨』と名付ける。その黒漣は黒い布を巻いており、腰には白い帯が巻かれている。黒妃香梨も似たような服装である。
そして黒漣は、ふっと笑い
「ようやく、旅立ちを心に決めたか漣」
「なんでそれを……」
「俺はお前だからだ」
「説明になってねぇ……!それより本物の妃香梨は死んだんだ!それの説明はどうつける!?」
「……どうする?バレてるが?」
黒妃香梨は黒漣を笑うように言う。黒漣は、むっと顔をしかめるが、すぐにニコッと笑って平静を保つ。
「クッ、アハハハ!バレちまった!そうそう……そういう矛盾もあるよね……だが、『
「何だと……?いや、それより……『中身が違う』だと?魂のことか……」
「そう……ま、俺たちが誰だか分かるだろ」
黒漣は笑顔のまま、漣に問いかける。漣はその問いに対する答えをもう見つけていた。だが、それを肯定すれば後の展開が読めてしまう……
「どうした?お前たち?やり残したことがあるんじゃないのか?」
「「……!(ドクンッ!)」」
そうだ……
「俺は……」
「私は……」
「「あんたに勝ちたいんだ絶、滅!!」」
黒漣と黒妃香梨…………絶と滅は笑う。最期だと思うと涙の代わりに笑みがこぼれてしまう。
「さあ、来い漣、妃香梨!」
絶と漣は霊剣を構え、滅と妃香梨は陰陽札を構え、
「『無音――葬――』!」
絶の放った黒い斬撃を漣は霊剣を振り下ろし、真っ正面から迎え撃つ。
「『無音――奏――』!」
無音の斬撃が地を這う、振動がリズミカルに響きながらお互いの攻撃が衝突し合う。
「二重に重なる旋律よ、」
空中で詠唱を始める妃香梨。
「七つの金合わせし楽奏よ。
全も一も統一せんとする無の理よ。
今こそ我の問いかけに答え、混濁とした煉獄を一興を持ちいて全てを晴らせ!
禍々しい暗黒を一興消して光を灯せ!見ろ!『天上結界』!」
神々しく光り輝くその結界は妃香梨を包み込む。
「まだまだだ妃香梨!天を埋める絶望の星
奇跡見れない流星に、虚空の上、神の根城、腐敗する幻影
目を閉じたままの色識別
我が目を呪い、その代償を払え!失せろ!『呪刑結界』!」
滅の左目から現れし紫色の煙が妃香梨の天上結界と同じように滅を包み込む。そして二人は一気に衝突した。
それは絶と滅の最期の戦いであった……
限界であった……本来、魂が別の肉体に入ることなどあり得ない。拒絶反応が始まる。終わることはなく……もう見えない程に……感じない程にも……
???「そこにいては見えない景色があるように……我も見てない景色がある……
それを創るのがお前たち世界の住人だ……
だが、我しか見せられない光景がある……いつか……そういつか……誰かにその景色を見せた時……死から死への無限ループの意味が分かるだろう」