東方二重録【完結】   作:咲き人

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咲き人っ!さて、絶の秘密がそろそろ紐解いていくぜ


第九三話「貴女ノ為二」

「はぁ……はぁ…………ぐっ!」

 

 

アドバイザーは足の激痛を耐えながら、紫からの攻撃(弾幕)を躱し続ける。暗すぎる森の中どちらもその暗さに目が慣れているためか何の躊躇もなく、地面を踏み、木々を掻い潜っていく。

 

 

一見、アドバイザーは負傷していて更には心の動揺が落ち着かないため、絶好調とは程遠いパフォーマンスでしか動けない。

 

 

(何故……!?なんでこんなことに……!『あいつ』か!『あいつ』の仕業か!?だが、このままいけば……駄目だ!これでは運命の子たち皆に第二次の被害が及ぶ……っ!どうすれば…………なんて打開策なんてものはもう見つけてしまっている……だが、絶と滅は許さないだろう……我のプライドも……こんな打開策は許せない……だが!だが、我のプライドよりも!絶と滅の言葉よりも!強く胸に秘めたことがある!二度と……繰り返さないと!誓ったのだ!我は!ならば、もう……やることはたった一つ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全ての意思を汲んでやることだけだ……)

 

 

 

 

 

 

突如、攻撃を必死に回避していたアドバイザーが立ち止まる。紫もそれに合わせて止まる。

 

 

「やっと、抗わずに死ぬ覚悟ができましたか……ならお望み通りに!」

 

 

紫は右手に霊剣を握り締め、真っ向から振り下ろす。

 

 

ブンッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブォォオオッ!!

 

 

バクンッ!!

 

 

 

 

 

「…………何故、止めるのですかあなた達は……?」

 

 

「お前……たち」

 

 

そこにいたのは瀕死に追いやられていた『風間』と『岸蛇』であった。風間は天狗の扇で風を仰ぎ、岸蛇は霊剣を喰っていた。

 

 

「はぁ……はぁ……紫様と言えども……我が上司である……絶様を殺させはしません!」

 

「我も同じだ……我等が父が『こうした』ように……!」

 

「!お前たち……」

 

 

アドバイザーは彼らの父の顔を知っている……どんな死に様だったかも……彼らは彼らで悩み、苦しんだ上で、目の敵である自分と絶に付いたのだ……

 

 

「この戦いには邪魔な妖怪共が……!消えろッ!」

 

「無音――天地――!」

 

 

紫が左手に持っていた霊剣をアドバイザーは素早く土を盛り上げ、剣自体は叩きつけるように上下でプレスするように霊剣を圧迫させ、折る。

 

 

「「絶様!」」

 

 

「この戦いにお前たちは必要ない!何故ならこの戦いは……『親子喧嘩』なのだからな!下がれ!」

 

 

「「はっ!」」

 

 

そう言って風間と岸蛇はその場を離れる。紫はさらに殺気を込めた眼差しでアドバイザーを睨むが、アドバイザーも普段の怪しい笑みに戻っていた……

 

 

「ククク……どうした?我を殺す……だったっけか?ククク!バカみたいな考え方だよな」

 

「…………」

 

「我にも……我自身の能力が存在する……今は冥府の門により封印しているが……その能力を使用しなくても我は貴様のことがもう隅から隅まで知り尽くした」

 

「…………というと?」

 

「昔に『主を絶に殺されたメイド』が現れた時、そいつは言った……絶は幻想郷の敵だとな……故に、『レミリア・スカーレット』を殺したこと以外にも絶はそういったことをしたということになる……結論はつまりだ『幻想郷そのものさえ破壊した』……そうだろう?」

 

「……あなたなんかに…………あなたなんかに私の何が分かるっていうのよッ!」

 

 

紫は突如、ブチ切れる。堪忍袋の緒が切れ、溜まっていた全てのストレスが、アドバイザーにぶつかる……言葉の暴力だけでなく、言霊となって、スキマの中から大量の致死量の妖力の弾幕が放たれる。

 

 

「最初は認めてもらいたいだけだったッ!だけど絶は一向に私を見てくれない!こんなにも努力しているのに!こんなにも愛していたのに!絶に追いつけるだけの力を欲して魔術を学んだ!神力に手を出そうとした頃もあった!禁忌だろうと!絶に追いつけるなら!認められるなら!最後に!私が夢を叶えたあの日しか!あの人は認めてくれなかった!幻想郷を創って!まだ……まだまだまだまだ!私を見てほしいのに!突然、あの人は裏切った!自らが認めた幻想郷を破壊した!私が愛した幻想郷を!許せる訳がない!必ず殺す!過去に戻る禁忌の魔術を使ってでも!自らの寿命を減らしたとしても!復讐を遂げられるのならなんだってしてやる!」

 

 

 

「……醜い…………絶の育て方は確かに……間違っていた」

 

「『育て方』?『親を殺して奪った赤子』に!?愛情が注げるわけがなかったんだ!」

 

「…………!」

 

「そのためには『実の子供』だって犠牲にして来たくせに!ここまでして、死にたいのなら!勝手に死んじまえ!」

 

 

そう言って、紫は一枚の写真をスキマから取り出す。

アドバイザーは苦虫を噛み潰したように表情を歪ませる……

 

 

 

 

 

その写真には……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

双子の赤子と絶が写っていった……

 

 

「彼らは本物なんでしょ!?私みたいな義理じゃない!正真正銘、絶の子なんだ!」

 

「……正解だ……だが、貴様言ったな?実の子すら犠牲に……と、それは間違いだ……彼らは『人間』だった……そして生まれてきた時代が悪かった……その写真を撮った1か月後には死んだよ」

 

「そして『運命の子』が足りなくなって補充したのが……私」

 

「それも違う……偶然、その子たちを失った日に『偶然』にも『出産』を迎えた『女妖怪が存在した』……そいつは子供を出産する際にかなり体力を消耗したため、子供を取り上げると、まもなく死亡……『父親は不明』だそうだ」

 

「…………結局、私は攫われていた……!そして待っていたのは幸せの充実感が薄い地獄のような日常だった!家族が増え!仲間との絆を感じ始めた時!絶は私の全てを奪った!」

 

「それも違う……絶が貴様から全てを奪ったのではない……『絶望』を与えたのさ!」

 

「ふざけるなぁ!」

 

「ふざけて夢を見ているのは貴様の方だ!本当の希望を知った時、貴様の全ては絶望色に変わるのだ!もう一度見せてみろ!その絶望に歪んだ表情を!」

 

「なら見せてあげましょう!私の真の力を!」

 

 

 

 

 

最後の醜い戦いが始まる……そして最後に笑うのは……『あの人』だけだろう……




???「信じがたい戦いだ……アレが未来。これが絶望か……
人も妖も一番の大切なこと……根本を理解していない。
真に大切な事は死以外を恐れないことにある……生きとし生きる者たちよ……
イエスや釈迦がお前たち未来の子を愛して死んだように……人に理解されなくても生きようとする心と死すらも恐れない真っ直ぐな生き方をしようとする者はいないのか……
いや、寧ろ全てを恐れ、全てに立ち向かってこその人間か……
ならば見せてみろ。お前たちの死に様を……それこそが一瞬で輝きであり、美であり、
人間である…………我はお前たちのことを愛している……だが、同時に憎んでもいる……
矛盾だな……だが、その矛盾こそが……人間らしさかもしれないな……」
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